表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/84

リーズン Ⅰ

「お疲れ」


 声を掛けてきたのは、国定洋平くにさだようへいだった。俺はスポーツバッグを肩から掛け、椅子から立ち上がった。一緒に帰ろうぜ、と彼が言ってきたので、いいよ、と返事をした。


「しかしあの権藤ごんどう、オニ監督だよな。三年が引退したからって、なんか張り切ってね?」


 そうだなー、とのんびり返事をする。


「まあお前はいいよ。余裕で一年からレギュラー入りしてんだから。しかも4番でキャプテンだろ。女子にも人気あるし、ほんと苦労ないよな」


 軽く笑って返しておいた。苦労がないわけじゃない。それなりに結構努力してんだぞ、と心で呟いた。

 夏が過ぎたというのに、気温はまだ三十度近く、昼間はじりじりと照りつける太陽が暑く眩しい。今日は朝から外練でへとへとだ。体育館はバレー部が使っていて、追い出されたから仕方がない。まだ手のひらにバスケットボールの感触が残っていて、もう少し触りたくなる。

 洋平とは中学に入って仲良くなった。元々違う小学校でミニバスをしていたから交流試合なんかで顔を合わせることはあったけれど、同じ部活で過ごすうち妙に馬が合うというか、一緒にいて心地いい仲になった。お互い競り合いながら成長しているような気がする。


「それはそうと、お前、いつりんちゃん紹介してくれるんだよ」


 そう言って洋平は肩を組んできた。


「紹介も何も、お前ら一緒のクラスじゃないか」


「あんなにかわいい子、なかなか話しかけれたもんじゃないよ。いいよな、お前は。一緒にお風呂入れてさ」


「バカか。幼稚園の頃の話だっつってんだろ」


 洋平の腹を一発殴る。うっ、と呻いた後、またヘラヘラ笑い始める。図太いやつだなあ。


「それでも、南中みなみちゅうの男子全員がお前を羨んでるぜ。いいな~」


「あんなに性格のキツい女、俺は知らん」


「またまた。鈴ちゃんを盗られたくないから、そうやってはぐらかすんだからぁ」


「きもちわり」


「悪かったってぇ、紹介してくれよぉ」


 走って逃げると、洋平が追いかけて来た。鈴のどこがいいんだか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ