表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/84

リーズン Ⅲ

「ご飯だってー」


 鈴が呼びに来る。

 ノートを畳み、シャープペンシルをペンケースに仕舞った。

 階段を降りるとカレーの匂いがした。


「遅いよ」


 さっきの事を引きずっているのか、少し怒り気味だ。めんどくさいなと思いながら席について、テーブルの麦茶を注いで飲むと、心なしかすっきりした。


「どう?新人戦は。今年のメンバーはいけそうなの?」

 

 母さんがお玉でカレーをつぎながら訊ねた。


「うん、まあまあかな。フォワードがちょっと弱いけど、調整すればいいとこまでいくんじゃないかな。地区大会は余裕だと思う」


 鈴が配膳を手伝いながらブツブツ文句を言ってくる。どうしてこんなに気が短いんだろうと不思議に思う。


「今度洋平くんうちに呼びなよ。試合前に何か美味しいもん作ってあげるから」


 そうだね、と返事をしながら、カレーを頬張ると、いつもより辛いことに気が付いた。


「母さん、ちょっと今日の辛くない?」


「お、さすが。鈴は全然分かんなかったのに」

 

 更に不貞腐れて、もうお茶ついであげないから、と言われた。


「そうだ、今日はお父さん駅まで迎えに行かなきゃなんないから夜中いないよ、私」


 そういえば、今日は父さんが出張から帰って来る日だということを思い出す。


「えー、私も連れて行ってよ。自転車の鍵、何とかしてくれるって言ったじゃん」


 あ、そうだったわね、と母さんが言う。


「じゃあ俺も。靴紐見たいんだよね」


「自分で行きなさいよ、あんたは自転車壊れてないんだから」


 またしても突っ掛かってくる鈴を宥めながら、母さんは頷いた。


「じゃあ八時には出ようか。それまでに宿題済ませなさいよ」


 うん、と返事をして、残りのカレーにスプーンを運んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ