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神隠しの森
七月十五日――フェスティーノが催される当日、付き添いを撒いた俺は血族の宝血と甥を引き連れとある場所へ向かっていた。
「――さ、こっちだよ」
「なあロトさんや、突然なにこの状況。朝っぱらからかくれんぼでもしてーの? こっちは時差ボケでダリイし眠いし、日暮れにしよーぜ祭り抜け出してさ」
「総大将が帰るなら僕たちも帰る」
「残念、遊びに誘ったんじゃないよ。とびっきり素敵なところ、三人に教えたくてね。ほらこっちこっち、もうすぐそこだから!」
後方でゴネ始める三人をどうにか説き伏せ、俺は神隠しの森を突き進んだ。そしてようやく目的地の広い空間に出、くるり振り返り、足を止めた三人に両手を広げて告げる。
「――ここがねイチゴとブドウ、キミたち二人の父さんと母さんが逢瀬してた秘密の場所なんだよ」
(兄さん大神さん、……連れて来たよ)