番外編 熱が悪い! 前半
ちょっと休憩で番外編です( ´-ω-`)
「……さむ……」
夜更け。
アオイは布団の中で小さく丸まっていた。
昼から続く倦怠感は、
夜になると、はっきりとした熱に変わっていた。
「……のど……かわいた……」
起き上がろうとして、力が入らない。
コンコン。
「……アオイ?」
扉の外から、低い声。
「……起きてるか」
「……はい……」
弱い返事。
扉が開き、カイルが入ってくる。
「……顔が赤いな」
「……ちょっと……あつくて……」
「……熱だな」
カイルは一瞬考え、
「……体温計がない」
「……え……」
「……動くな」
そう言って、顔を近づけた。
――こつ。
おでことおでこが、そっと触れる。
「……っ」
距離が近い。
吐息がかかる。
「……かなり高い」
「……団長……近いです……」
「……測っているだけだ」
だが、すぐには離れない。
「……逃げないんですね……」
「……逃げる理由がない」
アオイは、ふにゃっと笑った。
「……なんか……」
「……安心します……」
布団の端をぎゅっと掴む。
「……ここに……いて……」
「……一人……やだ……」
普段なら言えない言葉が、
熱のせいでそのまま口から出る。
カイルは少し黙ってから、椅子を引いた。
「……分かった」
「……ここにいる」
アオイの指が、そっと伸びる。
「……手……」
カイルはその手を包んだ。
「……あったかい……」
「……眠れ」
「……はい……」
しばらくして――
「……う……」
アオイの呼吸が乱れる。
「……カイル……」
「……?」
「……いかないで……」
「……ひとり……やだ……」
うなされながら、
はっきり名前を呼ぶ。
「……すき……」
「……ここ……すき……」
カイルの指が、わずかに強く握られる。
「……熱のせいだな」
その時。
「……騒がしいと思ったら」
扉が開く。
ノアとレオン、
そしてユリウスだった。
「団長、ずっと番してるんですか」
「……番だ」
「独占じゃん」
「ずるいな」
アオイが、うっすら目を開ける。
「……ノア……」
「……レオン……」
「……ユリ……」
「ユリウスです」
「……みんないる……」
「……いなくならない……?」
三人とも、言葉に詰まる。
ノアが言った。
「行かないよ」
レオンも言う。
「ここにいる」
ユリウスは静かに言った。
「……逃げる理由がありません」
「あなたは、守る対象ですから」
アオイは安心したように目を閉じた。




