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嫌われてたはずなのに、騎士団のみんなが離してくれない  作者: ぷく


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聖女ミサキの胸の内

城の聖女の部屋。


白いカーテンが揺れる中、

ミサキは窓辺に立ち、遠くを見つめていた。


「……最近、静かすぎるわ」


ぽつりと呟く。


以前は、

騎士団が毎日のように様子を見に来ていた。

「お体は大丈夫ですか」

「不安なことはありませんか」


それが今は――

ほとんど来ない。


「……アオイのところ、なのよね」


名前を口にした瞬間、

ミサキの表情がわずかに曇る。


(あの子、ただ一緒に来ただけなのに)


(聖女じゃないのに)


(どうして……)


ミサキは胸元をぎゅっと握った。


「……私の方が、役に立ってるのに」


治癒魔法。

結界魔法。

浄化の力。


どれも、ミサキが必死に磨いてきた力だった。


それなのに。


「……騎士団は、あの子ばかり……」


悔しさと、不安が混じった感情が、胸に広がる。


「……会いに行こう」


ぽつりと決める。


「直接、確かめないと」


侍女が慌てて止める。


「せ、聖女様……騎士団寮は……」


「いいの」


ミサキは静かに言った。


「話すだけよ」


その目は、少しだけ強く光っていた。



同じ頃、騎士団寮。


アオイは部屋で本を読んでいたが、

文字が頭に入らなかった。


(……聖女様……)


ミサキの顔が浮かぶ。


(怒ってるかな……)


(ぼくのせいで……)


胸が、きゅっと苦しくなる。


コンコン。


扉を叩く音。


「……アオイ」


レオンの声だった。


「はい……?」


「団長が呼んでる」


「……なにか、ありましたか」


「……城から連絡だ」


レオンは少しだけ、言いにくそうに続けた。


「聖女様が、こっちに来るって」


アオイの心臓が、どくんと鳴る。


「……ミサキさんが……?」


「念のため、団長のところに来い」


「……はい……」


廊下を歩きながら、

アオイは無意識に服の裾を握りしめた。


(……ぼくのせいで……)


(また、怒られるのかな……)


(……ここから、出て行けって……)


頭の中に、嫌な想像ばかり浮かぶ。


団長室の前で足が止まる。


「……入れ」


カイルの声。


中に入ると、

カイルとノアがいた。


「……座れ」


アオイは椅子に座る。


「聖女・ミサキが、ここへ来る」


「……はい……」


「お前に会いに来る可能性が高い」


アオイの肩が、びくっと震える。


「……ぼく……なにか、悪いことしましたか……」


カイルは、すぐに首を横に振った。


「していない」


「……でも……」


「問題があるとすれば、相手の感情だ」


その言葉に、アオイは俯く。


「……ぼくが……騎士団にいるから……」


「違う」


カイルは低い声で言った。


「お前が悪いわけじゃない」


「……」


「だから、何があっても――」


「一人で抱え込むな」


「……はい……」


小さく答える。


その時、外から声が響いた。


「聖女様、到着です」


空気が、一気に張りつめた。


アオイは、ぎゅっと拳を握る。


(……どうなるんだろう……)


(……また、何か起きる気がする……)


心臓の音が、やけに大きく聞こえた。

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