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嫌われてたはずなのに、騎士団のみんなが離してくれない  作者: ぷく


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24/31

騎士団寮の朝

朝、アオイは物音で目を覚ました。


――カン、カン、と金属が触れ合う音。

外から聞こえる、剣の音だった。


「……訓練……?」


そっとベッドから起き上がり、窓の外をのぞく。

中庭では、騎士たちが朝の訓練をしていた。


剣を振るう音。

掛け声。

整った動き。


(……すごい……)


城で過ごしていた頃、

アオイは騎士団の姿を遠くからしか見たことがなかった。


自分とは関係のない、

「強い人たちの世界」だと思っていたからだ。


コンコン、と扉が叩かれる。


「起きてるか、アオイ」


レオンの声だった。


「はい……!」


慌てて扉を開ける。


「朝食できてるぞ。まだ少しだけど」


「……ぼくも、行っていいんですか?」


「当たり前だろ」


レオンは笑う。


「ここはもう、お前の家みたいなもんだ」


その言葉に、胸が少し苦しくなった。


「……そんな……」


「変な顔するなって」


レオンは頭を軽くかいた。


「ほら、ノアも待ってる」



食堂には、すでに何人かの騎士が座っていた。


「アオイ!」


ノアが真っ先に手を振る。


「こっちこっち!」


「……おはようございます」


恐る恐る席に着く。


昨日よりも、空気がやわらかい。

でも、それでもアオイは落ち着かない。


(……ぼく、場違いじゃないかな……)


パンを手に取るが、なかなか口に運べない。


それに気づいたノアが言った。


「食べないの?」


「……えっと……」


「具合悪い?」


「ちがいます……ただ……」


言葉に詰まる。


レオンが代わりに言った。


「緊張してるだけだろ」


「……」


「昨日まで城にいたんだ。そりゃ怖いよな」


その言葉に、アオイは目を伏せた。


「……ぼく……騎士団に迷惑じゃないですか」


食堂が、少し静かになる。


ノアが目を丸くした。


「え?」


「……守られるだけで、何もできなくて……」


アオイは、小さく続ける。


「……ぼくがいると、みんな困るんじゃ……」


その瞬間。


「そんなこと、あるわけないだろ」


低い声。


カイルだった。


いつの間にか、後ろに立っていた。


「お前がここにいるのは、必要だからだ」


「……必要……?」


「そうだ」


カイルは、まっすぐアオイを見る。


「お前は、騎士団の一員ではない。だが――」


「守る対象だ」


「それは、負担じゃない」


「……俺たちの役目だ」


その言葉に、

アオイの喉が、きゅっと詰まる。


「……役目……」


「そうだ」


カイルは視線を外し、続けた。


「それに……」


一瞬、言葉を探すように間を置いてから。


「……放っておけないだけだ」


その言い方が、少しだけ不器用で。


アオイの胸が、じん、と熱くなった。


「……ありがとう……ございます」


声が、少し震えた。



食事のあと、アオイは中庭を歩いた。


騎士たちの訓練は、もう終わっていた。


(……ここなら……)


(怒られない……)


(叩かれない……)


(追い出されない……)


それだけで、胸が軽くなる。


でも同時に、

不安も、少し生まれる。


(……聖女様は……どう思ってるんだろう)


城に、取り残された人。


アオイは、ぎゅっと服の裾を握った。


(……また、何か起きる気がする……)


風が、静かに吹いた。

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