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嫌われてたはずなのに、騎士団のみんなが離してくれない  作者: ぷく


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捕まえた

アオイが騎士団に完全に囲われるようになってから、

ノアの距離は明らかに近くなった。


「アオイ、今日のお菓子なに?」

「一緒に食べよ」

「また後で話そうな」


訓練の合間も、食事の時も、常に隣。


「……懐きすぎだろ」

レオンが呆れる。


「だって可愛いじゃん」

ノアは悪びれない。

「ほっとくと、すぐ一人で抱え込むし」


その様子を、少し離れた場所から見ている影があった。


カイルだ。


腕を組み、無言で。


アオイがノアに笑いかけるたび、

その視線が鋭くなる。


「……団長、顔怖い」

レオンが小声で言う。


「……そうか」


そう答えながら、歩み寄る。


「アオイ」


「は、はい」


呼ばれた瞬間、ノアとの間に体を入れる形になる。


「こっちへ来い」


有無を言わせない声。


「……あ、あの」


「用がある」


ノアは一瞬、口を開いたが、

レオンに肩を押されて黙った。


「……完全に嫉妬だな」

「言うな」


詰所の奥。


「……何か、しましたか」


アオイが不安そうに言う。


「ノアと話しすぎだ」


「え……」


「距離が近い」


「え……?」


「……気に入らん」


短く、低い声。


アオイは青ざめた。


「す、すみません……」


「謝るな」


だが、その声は固い。


「俺の視界に、入れ」


「……はい?」


「一人で、動くな」


それは、守りでもあり、

独占でもあった。


その日の午後。


アオイは、わざとノアから距離を取った。


「……あれ?」

ノアが首を傾げる。


「……ごめん。ちょっと……」


理由は言えない。


(僕が、原因で……)


食堂でも、訓練場でも、壁際に立つ。


「アオイ、どうした?」

レオンが心配そうに言う。


「……迷惑、かけちゃうから」


その言葉を、背後で聞いていた者がいた。


「誰が、迷惑だと言った」


カイルだった。


「……団長」


「来い」


腕を掴まれる。


「……っ」


強くはないが、逃げられない。


「……離してください」


「離さん」


詰所の個室に連れ込まれる。


「……何をしている」


「……距離を、取ろうと……」


「なぜ」


「……僕がいると、喧嘩になるから」


沈黙。


「……愚かだ」


低い声。


「俺が割り込んだのは、お前のせいじゃない」


「……でも」


「俺が、嫌だった」


はっきりした言葉。


「他の男のそばにいるのが」


アオイの胸が、跳ねる。


「……それって……」


「言わせるな」


視線が、逸らされる。


「お前は、俺の保護対象だ」


「……はい」


「だが」


一歩、距離が縮まる。


「勝手に、離れるな」


「……はい」


「捕まえる」


「……え?」


その瞬間、腕を引かれ、

胸に顔が当たる。


「……団長……」


「静かにしろ」


低い声。


「逃げようとした罰だ」


扉の外で、声がする。


「団長ー?」

「アオイ、いるー?」


ノアとレオンだ。


「いない」


即答。


「え?」

「嘘だろ」


アオイは、息を殺した。


カイルの腕が、さらに強くなる。


「……捕まえた」


その言葉は、冗談じゃなかった。


(……逃げられない)


そう思ったのに――

なぜか、怖くなかった。


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