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アウトオブあーかい部! 50話 フェイストゥフェイス

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人……ではなく、




「『キミが心配』、か…………///」


「〜〜〜//////」




自室のベッドで夢から覚め、枕を抱きしめ悶えている1人のうら若き乙女のお話……

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人……ではなく、




「『キミが心配』、か…………///」


「〜〜〜//////」




自室のベッドで夢から覚め、枕を抱きしめ悶えている1人のうら若き乙女のお話……




「……はっ!?お店お店!」




私は池図女学院の2年生、『キャットハウス鶸田(ひわだ)』という猫カフェの1人娘である。名前は鶸田みどり。




「まずは……ごはんっ!」




慣れた手つきでにゃんこ達の朝ご飯を準備、お部屋を解き放ちご飯のもとへ、にゃんこ達を一掃する。




「みんなーー!ご飯だよーー?」




にゃんこ達がご飯に夢中な隙に、生活スペースとふれあいルームをお掃除。にゃんこの抜け毛が凄い凄い……。




「……よし、こんなもんかな?」




掃除が終わりようやく一息。学校も部活も無いオフの日だって、猫カフェの朝は早い。




「え、もう来たの……!?」




ご飯を終えたにゃんこ達が、お掃除終わりのふれあいルームへ大挙する。




「ちょっ、タイ……、




磁石にくっつく砂鉄のように、全身にゃんこに貼り付かれてしまった。




「う〜ん、朝ごはん……。」




にゃんこまみれになった身体から、にゃんこのゴロゴロ音に混じって腹の音。




「みどりー?朝ごは……うわっ、今日も凄いわね……。」


「おかあさん助けて……。」




お母さんと2人がかりで全身に張りついたにゃんこをひっぺがす。ひっぺがしたそばから次のにゃんこが張りつくのでなかなか終わらない……。


苦労の末、なんとかにゃんこから解放されようやく朝ごはんにありついた。


……にゃんこに好かれるのは嫌じゃないけど、お客さんからにゃんこを根こそぎ奪い取ってしまうせいで、受付しかやらせてもらえないのがたまにキズ。




「ふぅ。」




朝ごはんを終え、お気に入りの制服に着替えたら受付へ。お客さんが来るまではここで頬杖をついてウトウト……。




「30分コースで。」


「……はっ!?はいっ!かしこまりました!」




開店早々、サングラスをかけた赤髪の女性に声をかけられた。




「まだ、寝ぼけているのか?」


「いえっ!?すす、すみま……




慌てるこちらを見てニヤける赤髪の女性は、よく見ると見覚えのある……、




「ああ!?赤井さん!」


「覚えていてくれて嬉しいよ♪」




赤髪の女性、改め赤井さんには前に保健室で怪我の手当てをしてもらったことがある。フルネームは赤井ひいろさん。




「また来てくれたんですね……♪」


「フフ、今日こそリベンジだ!」


「サングラスもバッチリですね♪」




赤井さんのサングラスは、怖い目つきを隠してにゃんこに逃げられないようにするためのものらしい。


……私はカッコいいと思うんだけど。




「ああ、行ってくるよ♪」




そう言うと、赤井さんは奥のふれあいルームへと歩いて行った。




「……行ってらっしゃい♪」




……きっと、声が小さくて聞こえてないと思うけど。




「〜♪」




朝からいいことがあって、つい頭の中で鼻唄を奏でる。




「……。」




今ごろ、赤井さんは奥でにゃんことイチャイチャ……




「〜!」




……いやいや、にゃんこに嫉妬なんて!?




「……///」




自室に置いてある猫ミミカチューシャのことが頭によぎった。




「〜!?」




いやいやいやいや、何考えてんの落ち着け私!?そもそもここは猫カフェ、にゃんこが赤井さんとイチャイチャするのなんて、お仕事だから当然……当然。


……なのは分かってるけど、今ごろにゃんこ共は赤井さんと




「ただいま……///」


「ふぇっ!?」




当初のコースの半分以下の時間で戻ってきた赤井さんに驚いて思わず変な声が出た。




「え、早っ!?……じゃなくて、もういいんですか?」


「ああ。猫と戯れていたら、不覚にもサングラスを取られてしまってな……。」




赤井さんはバツが悪そうに答えた。




「すぐに取り返したのはいいんだが……やはり一度でも素顔を見られるとダメみたいだ。」


「そ、そうですか……。」


「お金はフルタイムで取っておいてくれ。それじゃあ


「ま、待っ




赤井さんの言葉を最後まで待たず、私は赤井さんを引き留めようとした。




「失礼するよ。」




赤井さんはこちらに背中を預けるように、カウンターに寄りかかった。




「え?」


「残りの時間は、




赤井さんはサングラスを外してポケットにしまうと、




「……鶸田先輩が相手をしてくれるんだろう?」




彼女はこの世の全てのにゃんこが逃げ出す眼差しでこちらを横目に見やった。


鋭い……けど、優しい眼差し。




「…………///」


「……すまない、無理にとは





残りの時間は、にゃんこじゃできない彼女とのフェイストゥフェイス……私の特権を存分に享受しよう。




「よろしくお願いします……♪」

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