「あほーな像と悪徳教頭の行方」
「そうじゃないんですけども。
教授、お言葉ですが、
あの変な像はどうなったと思います?」
「あほのようだが、
医師になったという少年の鼻に穴にひっかかったという像か?」
「校長と教頭が消えた以上、
その像は不要になったんです。
それで、
その保健室の女はその像をくそたにあげたんです」
「それじゃ、
悪徳教頭の言ったとおりにしたのか」
「いいえ、あげたのはずっと後です。
例の少年が勉強するようになってからです」
「ふーん、
うさんくさい話しじゃな」
「多分、
普通は信じてくれないでしょうねえ。
僕は信じてますが」
「うーん。
長い話しだが、
おぬしは何がいいたいのじゃ」
「くそたは、
その像を僕にくれたんですよ。
これです」
助手は変な像の写真を見せた。
「本当じゃろうな」
「本物です。
これがカミサンの像の写真です」
「でも、
おぬしは助手には採用してやったが、
はっきりいってそんなに賢くはないぞ」
「そのとおりです。
でも、あほじゃなくなったんですよ」
「うーん、
そう思ってるのはおぬしだけじゃろう」
「ですが、
まったく勉強できなかった私が、
この大学に合格できたんですよ」
「うーん、
で、くそたはどうしたんじゃ」
「私は浪人ですが、
くそたは現役であの東大に合格したんです。
あほーの、
あのくそたがですよ」
「うーん。
じゃあ、
あの教頭は何者だったんじゃ」
「教頭自身は単なる悪党だと思います」
「私の解釈ですが、
多分、
この写真の像は、
あほーあほーあほーカミサンカミサンカミサン
の呪文を教頭と共に聞き続けたので
カミサンの効果が乗り移ったと思うんです」
「そんなあほな。
だったら、
教頭もあんなあほなことはせんだろ!」
「いえ、
教頭には邪心がありましたから。
カミサン伝説によると、
邪心を持ってカミサンの像を扱うとバチがあたるんですよね。
だから、
あの悪徳教頭にはバチがあたったんですよ」
「うーん?
でも、
おぬしはたいしたことないしのう?」
「私の考えですが、
多分、この写真の像は、
あほーな人間が持つほど、
効果が高いんだと思うんです。
私はくそた程、
あほーじゃなかったですから」
「うーん」
教授は何か考え始めた。




