表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作り話と実話を混ぜた話3

作者: 外郎

場所は静岡とだけ言っておく。

俺がまだ短大に通っていた時の話をしたいと思う。

特に目的もなく短大に通っていた俺も就職活動というものをしなければならなくなった。

アルバイトを始め、そこで稼いだお金をギャンブル(パチンコ)につぎ込み、強運のおかげでお金にはかなりの余裕もあった。

なので、就活に有利だと思い、運転免許の合宿に友人と行く事にした。

ちなみに、俺は車があまり好きではないし運転も嫌いだ。

免許を取り10年以上経つが一度も運転をした事がない。

そのくせに、持っている免許はマニュアル車の免許だ。

一緒に合宿に参加した友人からも意味わからんと言われた記憶がある。

さて、そんな話は置いといて合宿中は楽しかった。

友人達と旅行気分という事もあり、夜は毎晩のように集まり騒いでいた。

しかし、俺は自分でも面倒臭い性格をしていると思うが基本的には1人が好きな人種なのだ。

毎晩騒がれれば疲れるし、1人でゲームしていた方が楽しいと感じる。

俺の周りはいい奴が多かったのだろう。

そんな俺の性格を邪険に扱わずに理解してくれる奴が多かった。

この点は恵まれていると思う。

合宿メンバーのリーダー格の陽キャが女の子を誘い、飲みに行こうと企画を立てた時、俺は断った。


「あ?俺はいいよ。酒飲めないし」


「酒なんか飲まなくていいから行こうぜ!」


「いや、いかん」


正直、知らない女の子と飯に行くのは嫌だった。

俺は体が大きく、ガタイがいい。

おまけに口も悪ければ目つきも悪いので基本初対面の人は俺を怖がった。

中学生の時から会話の途中で怒ってる?なんて言われた事も多々ある。

年上の人がいる環境にいると偉そうだとよく説教された。(社会人になった今でも言われる)

さらに問題なのは、説教されても萎縮しない人間だったので、それがより年上の感情を逆撫でる。

なぜお前にビビらなければならないんだ?バカなのか?などと考えていた。

そんな見た目と性格が災いし、初対面で人と仲良くなることはまずなかった。

基本的第一印象はいつも悪いかったと思う。

しかし、そんな俺を男友達はどんな事にもビビらないから頼りになると思ってくれたのかよく遊びに誘ってもらえた。(自分では結構ビビリだと思うが)

なので、このような雰囲気で誘いを断っても、まぁ、あいつだしなで終わり、翌日には何事もなかったかのようにまた誘われた。

女の子なんかも昨日は断って今日は来るんだと変わった人だなといった目で見られていたと思う。


飲み会に参加せず、1人ホテルでバラエティ番組を見ていたと思う。

飲みに行った奴らは他の合宿に来ていた人たちとも仲良くなり、面白い話があるから聞け!と無理やり俺の部屋に来た。

非常に不愉快だったがそこで追い返すほど人格破綻者ではない。

渋々だが話を聞く事にした。


「なんだよ?面白い話って」


「お前幽霊とか好きだべ?」


「好きじゃねぇよ」


いつの間にか、俺はそう言う不思議なことが好きな奴にされていた。

確かに好きだが嬉々として知らない奴から話を聞くほど好奇心旺盛ではない。


「まあ、聞けよ。この合宿って幽霊でんだって」


「へぇ、で?」


「肝試しやらね?」


「やんねぇ」


俺は肝試しにもよく誘われたが一度も行ったことはない。

幽霊よりもヤンキーや暴走族の方が実害があるから面倒だからだ。

部屋に居座られたから仕方なしに話を聞くと教習所のコースの山で幽霊が出るらしく、そのまま車に乗って着いてきてこのホテルにもよく出るとのことだ。


「よくある話だな」


「お前幽霊見たことあんだろ?今見えんの?」


「見えない...つか、寝てる時しか見ない」


この言い方がなんかリアルだなと変に盛り上がり、いろいろ聞かれた。

とりあえず、白っぽいのは平気で黒っぽいのはヤバいと言っといた。

とりあえず、23時頃まで人の部屋でダラダラと過ごされた面倒くさかった。


翌日、昨日の話があった山のコースを運転する事となった。

俺によく当たる教官は無口な人だった。

他の奴らは嫌がったが俺はこの教官の方がやりやすかったのでありがたかった。

クネクネと山道を運転していると、ミラー越しに何かが後部座席に映った。

内心、マジかとめちゃくちゃ焦った。

あれ?俺もしかして居眠り運転してる?などと思ったほどだ。

ちなみに、俺は高速道路の運転で本当に居眠りをして教官に怒鳴られた。


「あのぉ...」


「ん?どうした?」


急に俺が話し出したので教官が少し驚いた顔をしていたのが印象に残っていた。


「こ、ここって...幽霊でるらしいっすね」


「あ、あぁ...まぁ、そんな噂話はよく聞くね」


この教官、無口だが話出せば優しい口調で話しやすい。


「君もそういう話が好きなのかい?」


「いや、昨日そんな話を聞いたもんで......小さい女の子ですか?」


「そうだね、私も信じちゃいないけど、よく聞く話は小さい女の子か青ざめた顔したおじさんの話だな」


はい、ビンゴ。

後部座席に幼女がいます。

起きてる時に見たのは初めてだ。

だけど、白っぽいからセーフだな。

なんかニコニコしてるし。

そのまま何とか気にせず運転を続けて今日の講習は終了となった。

幼女はバックの運転練習で後ろを見たら消えてました。

このまま終われば大した話じゃなかったのだが、問題は夜中に起きた。


その夜、またしても陽キャに夕食に誘われた。

女の子も沢山いたがその日はその食事会に参加した。

なぜならば、そいつらが行くお店が某有名ハンバーグ屋さんだったからだ。

金遣いが荒いといった話はしたと思うが、俺が主に金を使うのはギャンブルではなく食べ物と本とゲームだ。(いや、ギャンブルでも散財してたけどね)

美味しいものを食べると幸せな気持ちになる。

なので、会話にはあまり参加した記憶はなかったがハンバーグの味の記憶はある。

明日は1人でこよう、そんな事を考えながら適当に答えたのがいけなかった。


「なぁ、今日みんな例の山行ったじゃん?

幽霊見た?」


またその話か。

見ちゃったよーん、などとは言わず、げんこつハンバーグを貪る。

そして、誰かが見たとか言ったのだろう、やたらと盛り上がっている。

なんだかんだで怖い話ってみんな好きだね。


「なぁ、お前どう思う?」


「あ?ほっとけよ。

小さい女の子だったし、白っぽいから害ねえよ」


これは口癖になってしまっているのだが会話の始まりによく「あ?」と言ってしまう。

こういうところが悪いのだろう。

社会人になった今でも油断すると出てしまう。

悪い癖だ。

話を戻そう、そう言った時、1人の女の子が「えっ!?」とやたらと驚いていた。


「あ?」


「あ、あのぉ、〇〇くん...み、見たの?」


やっべ、余計なこと言った。

誰だこいつ?俺の名前なんで知ってんだ?

まぁいいや、適当に誤魔化そう。


「いや、適当に聞き流して適当に答えた。

悪い悪い」


ハンバーグに夢中でさー、なんて言おうとしたらその女、後にまた関わる羽目になるその女は「絶対見たよ!」などとやたら興奮していた。

こいつとのエピソードは二つ程あるのでそのうち話そうと思う。

こいつの簡単な紹介すると耳にバチバチにピアスして、髪の一部がピンク色したメンヘラだ。

嫌いではないが特に親しくした記憶もないのでメンヘラと呼ぶ。

今はどこで何やってるかも知らないし連絡先も知らないから会うことはない。

しかし、こいつも飯に誘うところをみるとこの陽キャは本当にいい奴なんだとつくづく思う。

また脱線したな、話を戻そう。


「見てない」


「見たよ!だって私も見たもん!」


幽霊を見た事がある奴なんか精神的に疲れている奴かおかしな奴なんだと今でも思う。

俺は友人にも常々そんな話をしている。

だからメンヘラはイカれた奴だと決めつけあまり親しくしなかった記憶がある。


「見てない、ごめん、適当なこと言って」


「だって私、小さい女の子なんて言ってないもん」


「......あぁーと...うーん...まあいいじゃん」


もにょもにょと誤魔化しハンバーグを貪る事にした。

その後、メンヘラは俺の部屋に酒を持ってやって来た。

2人きりは嫌だったので陽キャの部屋に連れて行き適当に話をした。

他の奴らもしつこく聞くので諦めて正直に話した。

山でバックミラー越しに後部座席にいた事とニコニコしていた事と害は無いとその程度の話だ。

メンヘラも似たようなことを言っていた。

マジで見えたんか。

すると、酔っ払った陽キャが調子に乗り出し、とんでもないことを言い出した。

文字にするとR18になるのでここでは書かないがとにかく最低な発言で俺もメンヘラもドン引きした。


「つか、俺もう寝るから」


そう言って陽キャの部屋を後にした。

メンヘラも部屋に戻った。

そして、真夜中、俺は陽キャに起こされた。

深夜2時過ぎに携帯が鳴り響き死ぬほどビビった。


「......んだよ?」


「○、〇〇...お、俺の部屋来て...お願い......」


「......あぁ?」


部屋に行くと、陽キャが真っ青な顔していた。

俺の顔を見るなり助けてとか言い出した。


「なに?」


「お、お、女の子が出た...す、すげぇ怖い顔してる」


「どこ?」


「わ、わかんない...とにかく出たんだよ!?」


側から見ると滑稽だな。

酒のせいだろうよ。

俺には何も見えんし。

そもそも、無理だって、俺だって謝るしか対処法知らないし。

そう言って2度と起こすなと部屋から去ろうとしたらしがみつかれた。

仕方がないので部屋を交換してやった。

とても感謝されたのを覚えている。


「クソが...くだらん事で起こしやがって」


俺はタバコに火をつける。

念の為、念の為だが陽キャに女の子が何色に見えたか聞いたらわからないけど怒ってだと答えた。

嫌な答えだな、陽キャに卑猥なこと言われて怒ったのか?

部屋で1人タバコをふかしボソリと一言。


「......あー、あいつは明日俺がぶん殴っとくから勘弁してやってください」


それだけ言って、タバコをもみ消し俺は寝た。

金縛りもなければその子も現れなかった。

その後は幽霊騒ぎは特に何も起きなかった。

陽キャが幽霊を信じるようになったくらいでこの話は終わり。

メンヘラも陽キャも今どこで何してんのか知らん。

嫌いとかではないけど2度と会うことはないと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ