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SECOND TAKE
私は、玉座に座る魔王に向けて言い放つ。
「ついに追い詰めたぞ!魔王!」
「さすがだな、勇者」
――!予想外だった。
返事など期待していなかったが、まさか。
「あんた日本語が――」
異世界に飛ばされて以来、初めて日本語を聞いた。
懐かしすぎて、郷愁すら感じるが、敵なのだと思いなおす。
そう言葉を発しかけたが、魔王が詠唱準備を始めていることに気づき、剣を構える。
「―、―、― ―― 、、― 、―、 、、、 、―、―、― ―、― ―、 ――、―、 」
転生して、早2ヶ月と少し。
剣で攻撃を右から左へ受け流したものの、耐えきれず宙を舞う。
私に魔法の才能がもっとあれば。
私に筋力がもっとあれば。
私にチート能力があれば。
私に――
勇者の身体に強い衝撃が走る!
勇者は敗北した……