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エルフ姉妹とのお食事

「スルガ家の家庭料理の範疇と成りましょう事、ザーララ、我が王の来訪は範疇外であります事、故にお許し頂きたく。お二人方の口に合いませれば幸いです。」

 リーザとさくらが作った夕飯が並ぶ、並ぶ!

 三つの大皿にスープの鍋、ご飯(お米相当のご飯に見立てる穀物を探してくれた。)、葉物野菜のサラダボールも有る(大きい!鍋か?)。オカズが3品も並ぶ御馳走だよ!凄いなぁ〜。

 そしてそのそれぞれの量が多い!エルフが4人も集まれば、、、相撲部屋だな。


 リーザが作る『わが家の家庭料理』だと、エルフの皆さんにはちょっと味が濃いかも。

 エルフの舌は繊細だ。その反応器官である舌に有る“味蕾”は、その数が私の4倍以上は有るそうだから、事によっては4倍の不味さ、、、経験したくは無いな。

 『味蕾』は味覚を繊細に感じる器官だけど、それは口から入る『害』に対する防衛組織細胞でもある。

 まあ、薄味とまで行かないが、リーザは家族の健康面に気を遣いつつも、私の好みのギリギリの味の濃さで料理を作ってくれる。

 だけど『ソース掛け過ぎ』と、怒られちゃう時もある。


 そして、私から見てエルフは大食らいだ。

 私の夕飯も、一般男子に比べて多い方(らしい。)だけどエルフは比べるだけ損、エルフは少なくとも、(シズロック(男エルフ)、フェアルン(女エルフ)に関わらず)私の3倍は食べる。

 それは体が大きいから。でも何と言っても“魔力”を内に秘めるから。魔力の消費は肉体に影響が出る(そうだ。だって魔力を充電するのは”ルイラー“って聞かされてるんだけどなぁ)。


 リーザとさくらの作ってくれた夕飯が並ぶ!なんだけど、これだとまるで、夕飯のお皿や鍋に机の上が占領されてて、テーブルが小さくなっちゃったみたい。それにこのままだと、一人分の場所が足りない、椅子も無い。

「う〜ん、一人分の席が足りない(料理を乗せ過ぎ?)」

「トキヒコさん、私は後で頂きますので。」

 う〜ん、

「いや、ダメだ。皆で食事が揃って出来る機会なんだ。今ここに居る例え誰かが欠けてしまうのは、それは譲れない。私のやり方に反するよ」

 何か突っ張っちゃたけど、皆んなで食べた方が美味しいでしょ。そうだ!

「すいませ〜ん、どなたか魔力を行使して、この机を少し大きくしてくれません?」


「あっ!いやいやいや、、、」

 木製のテーブル、大きく広がった。だけど三つの方向に大きく歪んでいる。料理は中心部に集まり、スープの一滴もこぼれていないのだけど、、、どうやったら、こんなにも波打つ様に、端っこが伸びて反り返っちゃうんだ?、、このテーブル木製だろ!?

「ユーカナーサリー、わたしに任せろ。異成る魔力が交わりつつも、反する力が現れているぞ。」

 それがこの歪み?

「姉様こそ、大人しくしていて欲しいものだ。我の魔力に重なり過ぎであろう。」

 

「あー、ありがとうございます。だけど、どうしよう、、、」

 確か、違うエルフの魔力が重なると強固になると。波動の違う魔力同士が重なると、強くなるって、、、魔力の持つ波動は、個々によって違っていて、その波動だとか何やらは、同じモノが無いとかだとか。


 さくらは、下を向いている。

 確かにさくらが居る場所のテーブルが、一番広がりつつ、他の部分を引っ張っちゃってるみたいだ。

 この中で、さくらの”力“が一番強いのかなぁ〜。


 まあ、ココはさくらだろう。

「さくら、ザーララさんの『魔力講座』の成果を発揮する時だ。よろしく」


 さくらは、、、長方形の長テーブルを円形にしてしまった、、、木製なのに?!

 この机、エルフ王家の姉妹(ザーララさん、女王ユーカナーサリー)の魔力による干渉が残っているはずなのに、その影響とかは関係無いのか!?

 ひゃあ〜だけど手品マジックを見せられた様な、やっぱ魔法だな。

「さくら〜やるなぁ!」

「造作も無く。」さくらがウィンクして来た。

 ありゃ、さくらまでがザーララさんの影響?

 何とさくらは、イスも同時に作り出していた!(元々4脚)


「さくらぁ、スゴイな、やるなぁ〜」神の如き力!便利そう〜。

(「お父さんに珍しく褒められた?でも、何か余り嬉しくは無いなぁ。」)


 この後、何処に誰が座るかで少し揉めていたみたいだけど、私を除いた4人(3エルフ+1ハーフエルフ)で意識のやり取りがあったみたい。

 結局、私の右に女王ユーカナーサリー、左にはザーララさんが座る形となった。ザーララさん、近い!


「頂きまーす!」

 食べる道具としては、箸とエルフの里国特有の大小のヘラのセットが並べられたけど、皆、箸を手にした。

「あれ?お二人もお箸ですか」

「何、スルガ家の家庭料理成らば、箸を選択すべきが道理であろう。」

「そこはユーカナーサリーと同意となるか。」

 あー、料理を目の前にして、お二人の機嫌が落ち着いた?あー、睨まれた。


「さくらはドレ作ったの?」

「先ずはこの肉団子、食べてみて」

「どれ」早速。何の肉かは聞かないでおこう。


「うん!美味い!さくら、美味しいよ!」ひゃあ〜少したまげた!さくらも立派な料理を作れるんだ、父親として感激!

「うん、良かった〜」

(「お父さんに褒められた!嬉しい〜」)


「あー、どれもコレも美味しいよ、リーザ、さくら、いつもありがとう」私は幸せ者です。


「やはりリーザリーの支度する食は良いな。さくらも加わると成るのか。うむ、さくら、わたしの嫁と成れ。」

 ザーララさん、美味しいモノが食べられれば、誰でもいいんかい!

「少しな、濃い。濃いがコレが良い。尚もトキヒコ殿の嗜好に近くば、我は余計に欲し様ぞ。リーザ、さくら、見事じゃな。」

 女王様は、私の居た世界の味に、慣れ過ぎちゃったかなぁ?

「畏れ多き。我らの食がお二人方の口に迎え入れられました事、私達は幸いと成ります。」


 サラダはこちらの世界で、無理言って作ってもらったマヨネーズ(相当)が備えられている。

 そのマヨネーズに多くの刻み野菜や果実の果肉と炒めた挽肉みたいなのが混ぜ込まれ、たっぷりの量が準備されている。もうコレだけでオカズになる。

 生野菜をバリバリと食べるエルフ達からすると、私の持ち込んだマヨネーズは、、、異質な存在。だけど大層受けている。エルフ式の食に反するとも言われていないから、セーフだと勝手に思ってるけどね。

 ただ『マヨネーズ付け過ぎ』とリーザに咎められちゃうから、そこはバレない様に、、、あっ、エルフの里国であったらチョンバレだ!もう今では『術』に制限なんて掛かっていない、、、。


「トキヒコさん、お気になさらず。塩分は控え気味としておりますし、栄養化の高き食は採って頂きたく思います。」

 こちらで再現してもらったマヨネーズも、基本(何かの)卵を材料としているから、栄養化は高いのかな。

 うん、栄養摂取満たんで元気にエルフの里国を駆け回りたいからなっ!もうオッサンだけど。


「このスープは?」

 何だろう、何か不思議な感覚、初めて口にしたと思うけど、不思議な美味しさ。初めての感覚。

「はい、王宮にて出されますスープを少し真似てみました。

流石にガガーザン為れの種の入手とは成りません。依ってアレンジはしております。皆様のお口に合いますか、幾場かの挑戦?の側、成れがございましょう事。」

 珍しい、エルフがリーザが『挑戦』だなんて。いや、リーザならではだな。

「私が作りました。如何でしょうか。」

 こりゃ挑戦だな。

「へぇ~さくらが作ったんだ。美味しいよ。何か不思議な美味しさ、、、と言うのは初めて受ける感覚の味。まるで五味とは違う味覚に触れたというか、新たな味覚が生まれた?」

 リーザとさくらの挑戦は、大成功だよ!

「お父さん大袈裟ね。だけどそう言ってくれて嬉しいわぁ。」

「じゃあさ、また作ってよ」

「うん、あっ、はい。任せて。」

 美味しいものを前にすると、会話が弾むな。それか食べる事に夢中になって、話す事も忘れちゃったりのどちらかだな。



「ですがこうやって、皆さんとお箸を使って夕飯を囲んでいると、ドコに居るのか分からなくなっちゃいますね」

 日本の家族の食卓の団欒と変わらないなぁ。そうだな、家族が揃っていれば何処でだって暮らして行けるのかも?

 女王様は、お箸を既にお知りである。あれ?ザーララさんって、

「何だトキヒコ、箸使いか。其れ成ればお前の動作を見るに解ろう。」

 流石エルフ、天才!


「家族か、、、家族で食を囲む、、、団欒、と言うか、、、。」

 ザーララさんが家族だなんて、珍しい物言いかも。

「団欒と申すか、我らも持つ刻では在る。在るがな。」

 ん、お二人は思いも寄らず大人しく食事をされていましたけど、ウチの二人が作った料理が美味しいから、、、だけじゃ無さそう。

(「ザーララさんと女王様、、、エルフの里国の民達も家族の団欒を過ごす時間を持つ。だけどお二人は殆んどその体験をされてはいない。」)

(「それはエルフの王家であった為に、、、加えて、ザーララさんの力を抑える為に、家族が分断されたから。」)


「ねぇお父さん、こうして皆さんで食事をするのは楽しいわぁ。だからね、もっと頻繁にあってもいいと思うの。どお?」

「そりゃあオレは基本、来る者拒まずだから」

「いいのね」

「もちろん。だけどそうなると、リーザの了解は要る。だってリーザがご飯作ってくれるんだし。どお、リーザ?」

 リーザの負担が増えちゃうよ。

「はい、私はトキヒコさんが望みますなら何なりと。」

「リーザありがとう。そうなるとさくら、さくらも腕を振るってもらわなくちゃな」

「もちろんよ、任せて!」


「あー、お二方、畏れ多いのですが、こんな庶民の家庭ですが、またいらして下さりますでしょうか?」

 この住居はリーザが住んで、王家所有の物となるのだろうけど。

「来よう!」

「トキヒコ、毎夜でも良いのか!?」

 うわっ、そんな左右から、即答だな。ザーララさん本当に毎晩来るぞ。

「ええ、そこはリーザ次第でもありますが、、、そうだ、ロウも呼びましょう!」

 あ、そうなるとテーブルが、食材の量が、、、。


「トキヒコ殿、案ずるな。食材の調達など我が行おう。尚も姉様もロウに至っても手空きでは来させぬ。」

 何時でも手ぶらな私は耳が痛い。あれ、お二人の表情が、何か変わった?

「だがな、トキヒコ殿が側に居るならば、我らの食はトキヒコ殿が想い描く程の量とは成らずやもな。」

 え〜何でぇ〜、私の顔や姿を見て頂いても、お腹は膨れませんよ?

「トキヒコが近くに居よう成らば、お前が想像しよう過度なる量の食は摂らずとも済むぞ。」

 はぁ~?

「それはお父さんが纏うルイラーが、私達の魔力を廻す糧になるの。」

 魔力の素、ルイラーでお腹が膨れる?

「魔力の充填や体内での循環にルイラー以上の存在は無いの。エルフは従来、それを食事で補う側面が大きい。だってルイラーは欲しいだけ集めたり、取り込んだり、自身で求める事は適わないの。それにもしもルイラーが溜まる場所が有ったとしても、その場所を特定する事は出来無いでしょう。」

 ルイラー、目で見えないからな。


「だから、ルイラーを多く纏うお父さんが近くに居れば、食事により魔力を補っていた部分は省かれる、それは食事の量に表されるわ。」

 そんじゃあオレは、ルイラーの過剰摂取?

「お父さん、ルイラーは望むだけの量を得る事は出来ない。う〜ん、ルイラーは体積や質量とかで表す量と言う概念は無いんだけど、お父さんに解り易く。」

 もしもそうだとしても、やっぱエルフ、良く食うぞ!


 それとザーララさん、

「ザーララさん、家族って、私はお二人との付き合いがそこそこ長くエルフの里国においては、一番長く続いていると思います。ユーカナーサリーに至りましては、実質さくらの第二の母との位置付け(勝手に)させて頂いてますし、ザーララさんは私達の姉との存在、何でも頼れます」

 何かが起これば、今までだって、何かと頼りっ放しですぅ〜。

「だから私はお二人の事をリーザとさくらに変わらぬ”家族“の一員だと勝手に考えてます。ただ私はエルフではない。だからこそ失礼は承知の上、あくまでも私の都合で、そう思ってます」

 私の勝手です。あれ?私だけ血の繋がりが無い!


「家族、血、血族か、、、」

「血の繋がりは重く強い。だが、それ成るが全てでは無かろう。両者が絆を結べば、何者も越え様事は有り得ようぞ。」


「トキヒコ、わたしは姉成るか、、、」

 何かご不満を持たせちゃったかな?

「いや、佳き日だ。今宵はなんという、、、」ザーララは言葉が繋げられなかった。




 ザーララは、、、ひとつ、認められた。トキヒコに位置付けられた。

(「何か、、、落ち着かぬ。」)

 それはザーララの内から産まれしか弱き光、、、悦びなのであろうか。くすぐったくもあり、少し恥ずかしい、、、何とも言えぬ、経験をした事の無い感覚。だが、何かを得るに繋がった。

 しかしこの光、喜びと表すには淡く、霧の中で生まれた小さな光の如く。それが何であるのか自身でも測れ無い。分からない。

 しかし確実にそこにある形。

 来る日には、この光は輝きを増し、この霧を晴らすだけの大きな光と成る事も分かる。いつの日にか。

 だがこの感情が何であるのか、今のザーララでは定められなかった。

「、、、まあ良い。」今のザーララが答えられる、精一杯の返事であった。


 ザーララから今産まれた思い。この場の他のエルフ達にも、はっきりとした感情の一部としては伝わらなかった。

 だがザーララの中で、それが淡く小さくとも産み出された何かを得た事、それはザーララの悦びとして今後このごに繋がるに至る、、、それは、この場のエルフ達に伝わった。

 、、、トキヒコには伝わらない。


「さあ頂きましょう!せっかくリーザとさくらが作ってくれた食事が冷めてしまう前に!」


 テーブルに乗った多くの大皿の料理は、あれよあれよと減って行った。

 全く、ドコに入るんだ?ドコに消えて行った?エルフ、良く食べる!オレが多くのルイラーを纏っていようが関係無いじゃんか!

 でもいいんです、沢山食べる女性好きです。

 あっ、さくら以外の皆に見つめられた、、、


 それに、エルフの姉妹お二人は、競う様には食べたりしない。

 お行儀良く、それこそ分け合う様に。やっぱりお二人共、本質はエルフなんだなぁ。

 あっ、今度はまた睨まれた、、、エルフと食事、食べ難い~。


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