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エルフ王家の姉妹の訪問 住処は何処に

 さて、エルフ王家姉妹の突然のご訪問となったのたけど。


「トキヒコが広げよう、我らの里を覆うに向う負の感情は、お前の棲家となる場が定まらぬが故か。」

「どうやらそうみたいですが、」

 オレの持つ負の感情が外に漏れ出すなんて、自覚も無いし、分かんないのですけど。

「しかしこの刻、その拡がりが留まるは、さくらに依るか。」

「はい、明日は父と出掛け、その場所探しの助力になればと思います。」


 リーザが少し、困惑顔だ。

「私は個としての住居の選択を行いし機会無く、トキヒコさんが受けます苦しみに対し理解に及ばぬ事、尚も本日ご一緒したにも関わらず何も成果を上げれず、、、力不足であります。申し訳ございません。」

 わー!リーザ、そんな顔しないで!

「リーザが謝る事では無いよ」今日は場所探しをそんなに考えたり、何処かを探しに行ったりしなかったから。

「しかしながら、私はトキヒコさんの伴侶としまして、些か及ばぬ点、多々有りましょうがお許し下さい。」

 リーザが珍しく“伴侶”だなんて、、、私の奥さん的な立場を何か強調した?


「我も住居としての場探しは行っておらぬからのぉ〜。我は生を享けたる後、常に同じ場での暮らしであるからな。依ってトキヒコ殿の持つ苦しみを共有出来ぬ事は、甚だ癪でもある。」

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、産まれてからずっと王宮暮らしなんであろう。だけど”癪“だなんて、言い方〜。

 ただ、私の住処の場所が決まらない(決められてない。まだ場所探し2日目)程度の事が、苦しみと表現されちゃうなんて、エルフ大袈裟だろう。

 ザーララさんが山岳城を北山に決めた経緯は、たぶんエルフ気の少ない場所だから、だったんだろうなぁ。


「私はちょっと気軽に考え過ぎていたみたいですね(こんなんで負の感情が溢れるなんて、、、知らんわ!)。ですが『何処でもいい』となると、逆に迷いますね」あ、

 あ、そうだ、

「ユーカナーサリー、エルフの里国の王としてお答え頂きたいのですが、私が住処を建ててはいけない場所って在るんですか?」

 丁度いいや。自分勝手に建物を何処でも建てていい訳では無いだろうから、建築基準法とかは無いだろうけど、女王様に申し入れだ。あー『畏れ多く』が抜けてた。


「特には無き。我が民が申すと同様に、我もトキヒコ殿の好きにすれば良いと申そう。ただの、トキヒコ殿を我の近くに置きとう事は、覚えていて欲しいのぉ。」

「ありがとうございます」何か丁度良かった。まあこれで、女王様の許可は得られたので、少しスッキリした。そんでやっぱ、『何処にする』かだな。

「トキヒコの棲家の場探しか、わたしの居城で良かろう。もしくは、お前が望む情景を創り出せぱ良かろうか。」

 うわぁ、ザーララさん本当にやっちゃうからな。ここは『トキヒコハウス』の(イメージ)設計図も場所のイメージも少し奥に落としておこう。


「どうだトキヒコ、わたしを使え。お前の望みを叶えようぞ。」

 望みって、言う程の事でもないんだけどなぁ。

「ありがたいのですが、こうして場所を探す事も住処作りのプロセスの一部ですから、どこかで私は楽しんでます」(そのハズ!何で負の感情が溢れるんだよ!)


「まあ、それこそトキヒの求める『自由』に繋がるか。成らば『好きにすれば』だな。トキヒコの求むる其に反するは、わたしが望むべきモノでも無い。」


「だがトキヒコ、わたしはお前のエルフだ。其はお前の判断基準として是非に問え。」

 あー、私の道理を決めるのに、ザーララさんを組み込めってコトね。頼りたい事は今後もいっぱい出て来そうだけどね。今は遠慮して、そこは程々にしておきましょう。


 よし、では、

「あー、リーザ、お願いしていい?」

「なんなりと。」

「あのさ、お腹減った」

 リーザ食材抱えたままじゃん。ゴメン、少し話しに流されていた。

 私は立ち上がり、リーザの抱える食材を半分受け取った。

 さくらも私達に続き、キッチンへ向かった。

 私達三人がキッチンに並んで向う事は、何時の日かの休日の買い物帰りの気分。

 この、時の流れと、この気持ち、このままでもいいんだけどね。


「リーザ、これはドコに置けばいい?」

 私がリーザから受け取ったのは、泥の付いたままの野菜類の多く。

「はい、それらはこちらにお願いします、まとまったままで宜しいですので。」

 リーザの指示に従い、シンクとしてあつらえられた石瓶いしがめにそっと置いた。

「お父さん、夕飯はママと二人で作るから、お父さんは居間に戻って待っていてね。」

「ほう、さくら料理出来たのか?何が作れる?」

「色々と出来るわよ。でもね、まだまだママから教わっている最中だけどね。」

 『お袋の味』や『家庭料理』は人間社会に於いて、一種の伝承事であろう。リーザは人間社会で得た料理の知識をエルフ風に落とし込んで、さくらに伝えるのだろうか、、、食材が違うからな、、、『食の伝承』エルフだったらどうするのだろう?

 親子のエルフが並んでキッチンに立つ事は有るのだろうか、それとも、やっぱり意識の伝達で伝承するのであろうか?


 居間へと戻ると、エルフの姉妹が無言で向き合う形で座っている。顔や視線は別々の方向だけど。

 何だぁ~、お2エルフ共機嫌が悪い?いや、意識での会話を行っていたりして。私は分かりません。

 確実に気不味きまずくさせる雰囲気は漂わさせている。なんだかなぁ。気不味い。


「え〜、、、何か私がお二人を呼びつけるような事になってしまい、申し訳ございません。皆さんに届いてしまったという私の”負のオーラ“(知らんけど)も治まったみたいですので、どうぞお引き取り下さい」ね、お二人を留める理由も無くなった様だし。


「トキヒコ!わたしの来訪を拒否すると申すのかっ!」

 わっ!ザーララさんが声を荒げちゃった!ザーララさんの周囲に青い電気がパリパリと走ってる〜!

「いえいえ、拒否だなんてそんな、、、って、私の意識も思考も読み取っているはず、だからソレ何かズルい!」

 そうだよそうだよ、私の気持ちなり思いは、口を開いて出さなくても届いているでしょっ!筒抜けでしょっ!

「あ〜、バレたか。だがトキヒコ、わたしはリーザリーの食を採りたい。」

 ザーララさん、リーザの食事もお菓子も気に入ってるみたいだから。しかし『バレた』とか、エルフっぽく無いよなぁ〜

 

「姉様は卑怯だ。」

 ありゃ、妹さんのご機嫌が?

「我はリーザの作る食を採る機会は少なく。なのに姉様は極自然に極当たり前に其成る機会を得よう。不公平では無かろうぞ!」

 わー、女王様がお姉さんに言い寄った〜!


「そう申すか、成らばさくらに対する対価とし、わたしはリーザリーの食を得よう。」

 ザーララさんの『魔力講座』の受講料か。

「“対価”を特定し求むるなど、我らの意に反し様ぞ!」

 あわわ、ユーカナーサリーまで声を荒げちゃった。


「わたしはお前の知るエルフとは、別の存在やも知れぬな。成らば、わたしとお前は別成る種とする生命体であろう。」

 いや、お二人は姉妹でしょ、お母さん一緒だし。

 あー!ユーカナーサリーの頭上で、赤い炎みたいなのが渦を巻き出した!


 何だか落ち着けない、ただならない、空気と言うか雰囲気が充満してる。

 今はこの二人に触れちゃダメだ。この場から退散したい!

「埓が開かぬな。」

「成ろう!」

 わわっ、お二人立ち上がっちゃったよ!


「皆様方の食もご用意と成りましょう、刻の許される限り。ですが暫しのお時間を頂きたく、今仕方、母が食材を調達に向かいました故。」

 おお〜、さくら!さくらが現れたけど、冷静だ。何なに、大人になったのぉ〜?


 エルフの姉妹は顔を合わす事無く、それぞれがソッポを向いたまま、その場に着席となった。

 でも、ザーララさんの青い稲妻のような電気パリパリは出たままだし、ユーカナーサリーの頭上にも、赤い炎みたいなのが渦巻いてる、、、何か怖いなぁ。


 エルフの里国って、争いの無い世界と思ってるけど、、、でも実際は口には出さず、考えや思考を相手と伝え合う『意識の口論』ぐらいは行われていたりして?

 だけど、ここまで激しい口喧嘩?なんて初めて見たかも。

 まあ、このお二人の何だかんだと張り合う様な姿は、今までも有ったからなぁ〜姉妹だからか?

 でも、ホントこの二人、エルフっぽく無いよなぁ〜。

 あっ、揃って睨まれた。




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