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ハーフエルフの父~エルフの里国編~  作者: タマツ 左衛門之介久


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さくらが持つ力の源流 トキヒコの秘密基地

「ドローガ ドルゼワゥ」

 トキヒコは樹木の中へと入り、樹木が持つ流れに乗る。


「このまま、何処へでも、、、」

 実際、樹木による入口と出口、私の体の幅サイズの樹木が在れば、そこまで辿り着ける。


 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは『行ってこい』と仰っしゃられた。

 だから私に与えられた罰『暫くの間、自身の里へ帰るを禁ず』は解消されたのだろう、多分。


「『オレの源流』を探せとか、ユーカナーサリーの注文は難しいんだけど、それはオレが抱えてしまう『(死より)逃げる事』に向かう気持ちを変える為に、」

 何事にも、逃げるなんてまっぴらゴメンだ!

 でも、確かに思ってしまう。ふとした拍子に思ってしまうのは事実だ。

 見透かされてるなぁ〜


「それに、さくらが持つ『未知なる力』に繋がるオレが持つ何かが、そこには有る、、、なんて有るのか?」

 さくらの持つ『未知なる力』かぁ、そんなの有っても無くても、どっちでもいいと思ってる。

 だってさくら、今のさくらを変える必要は無いと思うし。

 ただ、さくら自身が今の自分をどこまで受け入れてるのかは分からないけど、、、。

 だけど『オレの源流』が見つかれば(思い出せば)、それはさくらに繋がる事、、、なのか?



 それとは別に、、、

 『ドローガ ドロゼワゥ』やはり何か引っ掛かる。これは私が本来持つべき“力”などでは無い。

 だからドローガ・ドロゼワゥでの制御が効かなくなったら、それこそ出口に到達出来なかったりしたら、その時はどうなるのだろう、、、何時までも、この『樹木が持つ流れ』の中を彷徨う事になるのだろうか、、、そんな事を考えてしまう。

 トキヒコは疑問や心配心を抱えていた。それでも、行き先を思い浮かべ、一歩踏み出した。

 それは、実家の在る裏山への到着であった。



 トキヒコの実家が有る地。

 山岳地帯ではなく、その手前の小さな山が続く場所。都心部や住宅街から外れた田舎町。

 以前は農業を生業とする者達が多くを占め、専業農家の多くが暮らす地域であった。

 それも今では、跡取りの有無、農業を別の組織へと委託する者、住民の老齢化も進み、過疎地の趣きが現れ出していた。


「あー、やっぱり」

 やはりあの時、私は故郷である実家の裏山に到着していたんだ。

 それは別の世界を渡った事、“理界”を越えてしまっていたんだ。私なんかでは、あり得ない事をやってしまっていたんだ。

 これは、いいのか悪いのか、判断は着かない。

 だけどやっぱり、何かが引っ掛かる気持ちにさせられる。


 トキヒコは何処からともなく湧き上がってくる色々な不安を抱きつつも、樹木を背に一歩踏み出した。

「変わらない、、、木々は成長しているけど、この場所は変わっていない」

 トキヒコは改めて、周囲を見渡した。

「目に入る木々は大きくなったり、増えてはいるが、それぞれの配置、草木の群生位置などは、大きく変わっていない。

 エルフの里国で暮らす事になって、より一層この場所に生息し、形成されている命達の存在を感じる様になった、、、気がする」

 少し抱えた不安。しかし、トキヒコは目に入る光景から同時に安堵感にも満たされていた。



「でもさくら、どうしていて来たの?」

「何よー不満?」

 さくらは、父トキヒコの『源流の探索』に同行した。

「いや、別にいいけど」何でかな〜


「考え方はお父さんと一緒よ。」

 オレと一緒?何だ?


「お父さんのルーツ探しの一環、なんだか面白そうだから。」

 いやさくら、親の源流だかルーツ探しが面白そうだからって、、、あー、オレでもそう言うわ。

 やっぱりさくら、オレのだな。


「それに、お父さんに何かあったら大変でしよ。」

「いやそれ、親とされる者のセリフなんだけど」

 子供に子守されて、どうすんだよ。

(「お父さんを追いかけて、一緒に来たのは私の都合。だって、父トキヒコの起源を辿る、丁度よい機会になるの。」)



 さて、到着したけど、何処に行く?

「さくら何歳だったかなぁ〜、何度か連れて来てるぞ」

 さくらの記憶も蘇る。

 確かに父に連れられて、母と共に何度か来た場所だ。

 父と母、3人で手を繋ぎこの地に立った記憶。


(「あの時は、お父さんに連れて来られたままだったけど。」)

 それは今回も変わらない。今この時、父が探索する何か、その向かう場所、ゴール地点は父からは知らされていない。

 トキヒコ自身も何も決めず、取りあえずこの場所へと来ただけだった。

(「お父さんはこの地を訪れて、何かを見付けるのかしら?」)

 父トキヒコは、周囲を見回すと何処ともなく歩き出した。

「ここら辺は、地元の人達が手入れをしているから、、、」


 歩き並ぶ父からの案内が続いた。

「家のお墓はあの辺りに有る」

 トキヒコは立ち止まると、さくらに指差して説明した。

(ああ、オヤジ、お母さん元気かなぁ)

 トキヒコは帰郷を果たしている状態ではあったが、この訪問で両親に会う気は無かった。

 目的が違う、、、だけどそんなの関係無い。だけど違うんだ、、、。

 トキヒコは少し、葛藤していた。


「いや、考えるなトキヒコ」

 トキヒコは大きくここ、裏山の空気を吸い、周囲をゆっくりと見回すと、実家とは反対向き、傾斜となる方向へと再び歩き出した。

「オレの源流探し。それはオレが抱える逃げる気持ちを解消する為に、」そしてそれは、さくらが持つ力の“何か”に繋がる、、、。


 さくらはトキヒコの背に続いた。

 トキヒコとさくら、二人は交わす言葉少なく、だんだんと、木々や草の生い茂る状態が深くなる、先へと歩みを進めた。


「さくら、久し振りだし、せっかく来たんだから奥まで行こう」

(「奥って、どこまでの事なのかは分からないけど。」)

 

「ここから先は、余り人が行かない場所。別に行ったらダメだとかは言われた事は無いけど。実際にこの先に進んだら、帰りが遅くなるからな」

 山へと分け入れば、日が暮れる前に帰着する事は何かの決まりに感じる。

 『家族に心配を掛けさせない』誰かから伝わったのか、自分が作ったルールかも知れない。


「そうだ!」

「何よお父さん、突然に!」(「まぁ、何時もの事よね」)

「さくら秘密基地だ!」

「秘密基地ってぇ?」

「特別だぞ。オレの源流かも知れない“秘密基地”へ案内するよ」

(「お父さんの源流?!」)


「オレが子供の頃に見付けて、いつも過ごしていた場所であり、秘密基地。あそここそオレの源流、、、かもね?」たぶん。

「リーザも行った事無いぞ」

 『秘密基地』、知ってはいても自分が使った事の無い言葉であり行動。そして父が何だか嬉しそうだ。

(「でも『秘密基地』って、、、お父さん子供みたい。だけど、何か響く!」)

 さくらに今興った感情は、男の子のソレだったかも知れない。いや、トキヒコの児(娘)だからこそ、持ってしまう思考であり感情なのであろうか。


「いやぁ~久し振りだ。前に行った時は何時だったんだろう」

 もしかして、小学校に通っていた時以来かも。

 『秘密基地』それはさくらも父と何かの秘密を共有するかの気持ちになった。



 トキヒコを前に、さくらはその背を追うかの様に、二人は人気ひとけの無い小さな山道を進んだ。

(「ん?なんだろう。」)

 さくらは感じた。気温が二度程下った。

 しかし先を行くトキヒコは、息を荒げ、発汗もあり、この気温差には気付いていないようだ。


(「それに、ルイラー。」)

 ルイラーは“魔力”の源となる、命在る者が興す自然の流れ。

 エルフの里国では溢れているが、地球上で発生される存在は極僅かだ。

 しかしこの山森を進めば、ルイラーは迫り来るかの如く、トキヒコに集まる。

 体や皮膚が感じる体感は無いが、トキヒコは激しい向かい風の中を突き進むが如く、溢れるルイラーの中を進む。


 トキヒコはエルフの里国に移住し、自身の住まいを作った事により、ルイラーが周囲の状況を伝え出して来るに至った。

 ただ、ルイラーは見る事も感じる事さえ適わぬモノ。

 トキヒコがルイラーより語り掛けられる存在となっても、自身が求める事は出来ない。


(「お父さんは、地球上であってもルイラーを集める。だけどこの場所は、エルフの里国と変わらない程のルイラーが溢れている。」)

(「お父さんは、エルフの里国に越え渡る前から、それは私が生まれる以前から、多く集まるルイラーと接する機会を得ていた、、、」)



 トキヒコは黙々と進んでいた。

 さくらの目に入るその背からは疲労など感じられず、悦びの気持ち、それは高まる感情に満たされている。

 さくらは、一時的であれ“魔力”を抑えていた。

 今は父と二人っきりだが、人間社会に居る間は、魔力を興さない事は何かのルールだと自分に言い聞かせていた。

 そんな状態のさくらであっても、父の高揚している気持ちは届いていた。


(「でもお父さんは、何処まで行こうとしているのだろう?」)

「お父さん、何処まで行くの?本当に帰り道で陽が暮れちゃうかもよ。」

「ああ、もうすぐだよ。でもしまったなぁ、オヤツか水筒ぐらい持ってくれば良かったよ」

 何も準備もせずにそれこそ手ブラで、何処かへ向かっちゃうのは何時もの事だけど、コレってオレの習性だったりして?オレの源流のひとつ?悪いクセだなぁ。


「?」

 さくらは新たに感じた。

(「変わる、空気が変わった。」)

(「ここからは、先程まで進んでいた場所とは違う。見た目は変わらず共、流れが違う。

 木々の枝、草木の幹、何も制約が掛かる事無く、それこそ自由にそれぞれが伸び、育っている。

 この場に集まる生物達の息遣いも、何者にも恐れる事無く過ごしている事が分かる。」)

(「何故?何がそうさせるの?」)

 さくらは何とも言えぬ、不思議さを感じる疑問を抱いた。

 ただ、場所も空気も目に入る光景も全く違うのに、エルフの里国の森の中にいる状態と似た感覚を受けていた。


「この先は、流石に人が来ないから、草がぼうぼうだな」

 先を行くトキヒコは、道無き道を踏み進んでいた。

(「お父さんは、この場所の何処まで進む気なんだろう?」)

 さくらはトキヒコが向う先も、秘密基地がどんな形状をしているのかも、想像が着かなかった。



 父トキヒコに連なり進むさくらは、再び別の感覚を受けた。

「刻が、」


(「刻、、、時間が遅い?おかしい、時の流れが違う。時間の進み具合が、遅くなった?」)

 トキヒコは腕時計を余り身に着けなかった。

 尚も今は二人共、時間を確認する為の時計も電子機器も持っていない。

 何よりエルフの里国に向かうにあたって、金属類も電子機器類も元の家、自宅に置いてある。


(「ここは時間の流れが遅い。通常よりも3倍は遅い。何故?何がそうさせるの?」)

(「父の背を追い、特別変わった場所を進んでいるのでもないのに、、、?」)

 さくらは次から次へと多くの疑問を持たせられる感覚に、戸惑いさえ感じられる程の意識に満たされていた。


 そんなさくらの意識など知る由もない、獣道すら無い場所をトキヒコは分け進んだ。

 自分の背よりも高い草をかき分け、地面を走る木の根を跨ぎ越え。

 上下の勾配地や斜面を伝え歩きするかの様に進んだり、険しさよりも進み辛さの印象を受ける道筋であった。


「うわぁ~種がいっぱい付いちゃったよ」

 トキヒコの衣服はこの地に生息する草の種まみれであった。

「さくら、後で頼むな」

 エルフは『術』を使い、身体の汚れを落とす事が出来る。

「ええお父さん、造作もなく。」

 何だよ、ザーララさん流だなぁ。

 エルフが持つ“魔力”について、さくらはザーララと過ごす時間を持ち、魔力が持つ『流れ』について学んでいる。


(「あっ!今度は何?」)

「お父さん!」

「ん、何さくら?」

 後に続くさくらに声を掛けられトキヒコは振り返る。

 さくらはトキヒコと同じくして振り返る、多くの者の眼に晒される。


「お父さん!見えないの?」

「何が?」


(「いつの間にか父が一歩、また一歩と歩みを進める度に、、、」)

 トキヒコの周囲には多くの者達が溢れていた。


 ユラリと歩き並ぶ者、手足を持たずに漂う者、獣としか見えず共その四肢の数が異なる者、翼を持つ者、揺らめく塊、纏わり付く煙の様な者、、、人型ひとがたを持つ者も居るが、どれもヒトと呼べる姿では無い。

 それらの姿は見るからに異質な者達であった。

 しかし、嫌悪感や恐怖心は起こらない、悪意なども感じられない。むしろ前を行く父トキヒコは、穏やかさと温かさに包まれているかの様であった。


(「この者達は、、、精霊?の一種なのかしら?」)

(「でも何処から、何の目的を持って、、、」)

 さくらの示した精霊は溢れてしまうかの様に、自分の前を行くトキヒコと並び進んでいる。

(「これだけの者達が溢れているのに、お父さんは気付かないの?そして私には一切関与して来ない。むしろお父さんと共に進む事を望んでいるかのよう、、、」)

 さくらの瞳は紅の赤い眼を現していた。

 その目と精霊の持つ目線が交差する。しかし、何かが起こる事は無かった。

(「彼らは私の事を認識している筈なのに、私に見られている事を知っているのに、、、意に介されていない。」)



「あっさくら、あそこだ!あの木だ!」

 トキヒコは道無き道を駆け出した。


「よし到着!」

「さくら見てみろ、変な木だろ。ん、さくら目が赤いぞ」さくら何か見付けたのかなぁ。

 トキヒコは、さくらの紅赤の瞳色の変化を気にしていなかった。それはさくらが本来持つモノであったから。


 トキヒコにそう言われ、さくらが目にした樹木は、まるで横向きに伸びている様であった。

 一本の大木が、地面から1m程の先で左右に分かれている。

 折れたり割れてしまった結果では無かろう、左右に分かれた樹木の幹は同じ太さを保ち、横方向、地面と平行する形で左右に伸び育っていた。

「不思議だろさくら、この木は左右横向きに育っているんだぜ。こんなの他で見た事が無い!」

 父は少し自慢気であった。

『この世の中で自分しか知らない事』そんな感じだ。


 この樹木が、どうやら父トキヒコの言う『秘密基地』なのだろう。

 なんとか無事に到着した様だ。だが、

「刻が、、、」(「時間の流れが、、、遅い?」)

 さくらは立ち竦んだ。



「もっと奥深くて遠いと思ってたけど、子供の足と大人の足とでは違うなぁ〜、でもさくら、ココは意外と家からは遠いんだぞ」

(「確かに、子供ひとりで分け入るには遠く奥深い。子供一人で、、、何かあったらどうしたんだろう?」)

(「お父さんの無茶っ振りは、子供の頃からかぁ。」)


「だけどさ、奥深いんだけど、帰り道を迷った事が無い。冬場なんて早く陽が落ちちゃっても、そのギリギリ前ぐらいに、不思議とちゃんと帰れたんだ」


(「陽が落ちる前に帰れた、、、それはこの場の刻の流れと関係するのかしら。もしかして迷わなかったのは、今お父さんを取り巻いている者達が導いてくれたからなのかしら、、、。」)

 トキヒコの周囲に集まり、漂い、取り巻いている者達。所謂この山であり森に集う名も無き精霊達。



「よしさくら、登るぞ」

「えっお父さん、登るって?」

 この左右に分かれた樹木に?

「そうだよ、この上のこの木の別れている場所がオレの秘密基地だよ」

 そう言うと、トキヒコは樹木に手を掛け登り出した。


『バキッ!』

「あー、昔付けた足掛けの木が折れちゃったよ。まぁ、年月経ってるからなぁ」

「それと、もう1箇所の足を掛ける為に削ったヘコみも、何だか浅い。内から育って塞がったのかなぁ」

 トキヒコが足場としていた無理やり差し込んでいた木が折れてしまった。

 しかしそれは、当時トキヒコが取り付けた物からは何も変わっていない。

 年月から来る経年による変化では無く、単にトキヒコが大きくなったから、その体重の負荷により折れてしまっただけであった。


「だけどなんだよ、こんな高さだったのか、胸の高さもない。跨ぎ乗れそうだ」

「よし、とうっ!」

 トキヒコは少し勢いを付け、樹木へと飛び付き、その勢いのまま足を掛け、樹木の左右の別れ目と呼べる場所へと登り上がった。


「へへっ、楽勝だ。トゥクルトッドドゥーよりも簡単に乗れた。オレも大きく成ったんだなぁ。毎回苦労して登ったのになぁ」


「さくらも来いよ」

「うん!」

 さくらはジャンプ一番で、トキヒコの座る隣へ並び立った。

「スゲーなさくら!でもその身体能力、ちょっとズルい」

 さくらは魔力を行使していない。しかし、ヒトを越える程の力を持つ。


 さくらがトキヒコが秘密基地と表している場所に立ち、そこから見た光景、、、

「なによお父さん、別段眺めがいいとか、なにか特別な物が見えるとかとは違うのね。」

「ここはさ、」

 トキヒコはそう言うと、ゴロンと横になった。

「ここはこうやって、ゴロゴロする場所さ」

 父トキヒコは得意げで嬉しそうであった。

 さくらは少年トキヒコの姿を見ているかの様であった。そして、、、


 トキヒコの周囲には、先程まで歩き並んでいた者達が取り巻いている。

(「彼らとお父さんとの関係性って、何なのだろう。距離が凄く近い、、、いや、重なる様に触れ合っている。」)


 さくらは再び強く感じた。

(「刻が、、、止まった。」)


(「この二股に育った樹木の上では、時間の流れが感じられない、、、どうして?」)

 さくらの思考は一瞬であれど、止まる。


(「それに、お父さんを取り巻く様に集まっている精霊達、、、」)

(「お父さんは精霊達の存在を感じていない。精霊達がお父さんに向かう、、、それは添うかの様に集まっている、、、」)


(「もしかして、だからお父さんは家に有る桜の木の精霊を感じたのか、見えたのかしら。精霊側から、、、。」)


 この場に留まる流れ。

 父が何かを興しているのでは無い。

 さくら自身も何かを感じる、それは魔力に似た力。それらは集まる精霊達から届いて来る波動。

(「この場所が、そうさせる、、、いえ、其れは定まらない。では何故、何がこの場の流れを興している?」)

 

 そして同時に、自分が同じ波動(“力”)を宿している事をさくらは理解した。


(「これが私が秘めたると言われる力の源なの?だとしたら、だけど、だけどどうして、どうして私に渡る事になったの?」)

 さくらは迷いと混乱に襲われる。

(「父は特別な力など秘めてもいないし、宿してもいない。なのに何故、彼らの波動を私の中に感じるの?何故、私に届いたの?」)

 さくらは初めてこの地を訪れ、精霊達を目にしたのも初めての事であった。


(「彼らの持つ“波動”を私が持つに至った因が判らない。」)

 さくらは今持った迷いを引きずる気は無かった。

(「私は知りたい、私は聞きたい。」)

(「今この場に集まる者達は、その答えを知っているの?」)




「あ〜、ココがオレの“源流”になるのかなぁ〜」

 トキヒコは横になると、空を見上げた。

 先日『トキヒコハウス』にて、空を見上げた時と同様に。

 ただ、ここから見る空は違っていた。

 多くの樹木に囲まれており、その枝々の隙間から見える空は狭かった。

 だが、空に変わりはなかった。


「オレはココで、何を考えていたんだろう、、、」

 空を飛びたいと思ったのかも知れない。

 自分にこの先、何が有るだろうかと考えたかも知れない。

 どんな大人になりたいかと思ったのかも知れない。

 何を考えていたんだろう、、、


 さくらはトキヒコに対し、魔力を行使して眠りに誘う。

(「お父さんは、この場に集まった者達を感じてもいなければ見えてもいない。お父さんに変な気を起こさせない為にも、」)

 しかしトキヒコに内成る魔力は何故だか効き難い。

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーがトキヒコを眠りへと誘った事は有れど、それにはある程度の長き刻が費やされてであった。

 さくらの持つ力を持ってしても、トキヒコには効き難い。



「命って、、、何処から来たんだろう。」


 あの日も確か、そんな事を考えていた。

「小さな細胞が生まれて、光を受けて、、、」

 やがて別れて、増えて、

 そしていつの日にか、別の形に成った。それは、生きる為に。そう、強くなる為に。


 そして地上にあがった。

 地上に上がればまた、形を変えて、、、強くならなくちゃ。

 強くなりたい、、、それはオレも同じだ。


 、、、ありゃ、これじゃあダーウィンの進化論だな。こんな事は子供だった頃のオレが持つ知識の想像外だよ、、、でも、この地球上で一番最初に産まれた何かは在ったんだ。

 それは当時のオレも想ったんだろう。

 それは何処から、、、海から、大地から、地球の中で、、、




「あ〜さくら、30分ぐらいしたら起こして。ちょっと眠くなった、、、」

(「父が寝る?魔力が届いたの?いえ、違うわね。」)

 そう、この場に集まる者達はさくらの波動に同調している。

 さくらの興した波動に連なる形で、トキヒコに何やら“力”を協力的に向けている形になっている。


「お父さん?」さくらは小声でトキヒコに声を掛けた。

「お父さんが、寝た。ナイス!」

 トキヒコは、一度眠るとなかなか起きない。それはさくらも知っていた。


 さくらはすくっと、その場で立ち上がった。



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