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ハーフエルフの父~エルフの里国編~  作者: タマツ 左衛門之介久


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来客者 風の民クーリャ チョコレート作り

「しかし、何か凄いモノを見たなぁ〜!」

 風童の融合だか合体なんて(どういったプロセスなのかは、眩しくて見えなかったけど)。

「風女学生童が居て、その風童達が合体して、、、それが風大人童になるだなんて!さくら、想像付くか?」

 どうやっても真似なんて出来ない。何だかんだ言っても、エルフ達や風の民達の方が、色々な可能性を持ってるんじゃないの〜、だから無限の世界を見たり、永遠に辿り着くのは、人間なんかじゃ無理だよ。

 まぁ、さくらは別かもな。


 ババァンの達である風童は先に進む為、この世界(嵐の国)を繋ぐ為に、人間なんかより多くの可能性を持つのだろう。

 そんな事を思いながら、私は風大人童に送り出されて来た、抱えているクーリャをのぞき込む。

「クーリャもいつの日か、風大人童になる日が来るのかなぁ〜」

 ほら、可能性を秘めている。

 今は、クッソ生意気坊主だけど。



「ん?そう言えば、何で“嵐の国”に来たんだっけ?」

 、、、?

 うーん、えぇっとぉ〜、、、

 、、、。

 クーリャに突然引っ張られて、、、

 、、、。


 、、、何でだ?ん?

 、、、!


 あー、シゼコラダだっ!


 うっかり、すっかり、しっかり忘れてた!

 本末転倒だけど、風童達の融合だか合体だなんて出来事を目の当たりにしたから、すっかり飛んでたよ。

 あちゃ~。


「あの〜なんとかかんとか、マウ、、、キユウイがグダダさん、お取り込み中かも知れませんが、私が今日ココに来たのはですね、実はシゼコラダの実をもらいに来たからでした」

 ババァンが現れて、忘れてた。

 ついでのつもりで『記憶の石』を見に行ったから、、、余計な事だった。

 ババァン、、、ババァンも風童と一緒で、関わるとロクでも無いのか。

 でも、まぁ珍しい出来事が見れたから、良し。

「お父さん、呼び名が間違ってる。それに彼女達は『マウキュイクダヴァ』さんよ。」

 あ〜。



「よろしいですよ、スルガトキヒコの目的を果たそう事を。」

「ああ、ありがとうございます。で、何処にあるのでしょうか?」

 案内役のクーリャは眠ったままだし。

「先の刻、入られました別へと廻られましょう。」

 裏へ回れって事か。


「しかしながらスルガトキヒコよ、シゼコラダなど如何としよう?」

 あー、クーリャは『誰も食べない』と言っていたからなぁ。

 そんな物が欲しいだなんて、人間は可怪しい、奇妙な生物だと思われちゃったかも。

「ええ、私が元居た世界にはチョコレートというお菓子が、」

「チョカラト!」

 奥に居た、風大人童が声を上げて、前に出て来た。

 その瞳、輝いてる!


「スルガトキヒコよ、チョカラトと申しましたか?!」

「いえ、チョコレートなんですが、」

(「さくら、この人が言う『チョカラト?』と『チョコレート』は同じ物なの?」)

「うんお父さん、どうやら同質の物みたいよ。」

 ええー!エルフの里国の在るこの世界にも、既にチョコレートは有るのか!

 どこで売ってるんだ?!


「スルガトキヒコはチョカラトをお持ちで?」

「いえ、こちらの世界で私の知るチョコレートを再現しようと思いまして、」

 うわぁ~、何処に行けばチョコレートを食べれる国だかがあるんだ?

 この風大人童が、イタズラの為に出入りした事の在る里なんだろうなぁ。

 当然エルフの里国の外の世界だろう。オレも行ってみたい!


「お父さん、」

「おっと、そう、その材料のひとつがシゼコラダになると。」


「ただ、チョコレートを再現、作るのはですね、私の妻であるエルフのフェアルンが行います」

 あっ痛っ!ザーララさんの妬きモチか?


「ヨギニィもチョカラトを作れると。」

「ええ、」まぁ、多分。

(「さくら、『ヨギニィ』って何?」)

「どうやらこの地の者が表す『エルフ』の事ね。」

 へぇ~。

 でも、『も』って言った。エルフの里国の外の世界では、お菓子を食べる文化を持つ者達が居るんだぁ〜。あー話しが聞きたい!


「しかし、信じられぬ。シゼコラダなど何者も食さぬ物。」

 あー、やっぱりそうなんだ。

 だけどシゼコラダがチョコレート作りの一方の材料になるとリーザが言った事だ、信じる信じない以前の問題。

 リーザが言う事に何を疑おう。

 リーザは常に正しく、、、美しい。痛っ!



 寝ているクーリャを抱えつつ、ババァンシミの家では無かったそうな、この建物、、、確か、シュルルル、、、ああ、『シュールなアートが馬鹿げてる』だったっけ?の外へ出ると、

「風が、、、止んでる、、、?!」



 繰り返し、繰り返し、強い風が休む事なく流れていたのに。

 ババァンが旅立ったからか、、、ババァンは嵐(常に行き来する強い風)を引き連れて、どこかに行ったのだろう。

「トキヒコ、この場を留める者が変わりし。その持つ性質成れが変わったな。」

 地域の性質が変わる〜?

 ババァンシミが居なくなって、この場所の気候が変わったって事か?はぁ~、なんて感想を漏らせばいいのだろう?


 ああそうだ、変わったんだ。

 風が止み、この場所の性質が変わった。それは、改められた。

 ババァンは以前、『記憶の石』はトファノキブーミを定める物だと言っていた(気がする)。

 それが風大人童達に渡され、力だか権能も移り替わったのだろう。改で新た、それはコンニャクだとかから回避された事になるのだろう。

 嵐の国は続くんだ。

 やるなぁ、ババァン!

「コニエック、お父さん間違ってる。」


 だけど実際は、嵐の国(トファノキブーミ)って、どれぐらいの広さなのだろう、、、クーリャの身体サイズだったけど、洞窟を抜け、多くの居住地みたいなのもあった。そして風女学生童や風大人童達も、この世界の何処かに住んでいる、、、。

「トキヒコが想う程、この地は広く無き。」

 ザーララさんの基準だとそうかも知れませんが、

「いえ、空間を作り出して、その場所に色々と配置して、、、見た事も聞いた事も無い、私なんかでは真似で出来ない(スゲービッグなジオラマ!製作技術うんぬんより、物理的に無理!)、凄い事だなぁ、と」

「そうか、造作も無き事。トキヒコは“魔力”を持たぬからな。」

 “魔力”を秘めていれば、可能な事なのか?!

 だけど私にはその可能性が無い。可能性以前に魔力を持てない事は結果として出ているらしいからなぁ〜ちぇっ。


「トキヒコ〜、だからわたしが居よう。トキヒコが望むがままに、わたしを使えば良い。」

 あっザーララさん、さくらの前なんですが。そんな後ろから今、抱きしめられちゃうと、ちょっと。


 ババァン、旅立ったらしいけど、何処に行った?

 いつの日が再び会える日は来るのかな。

 そしたら今度は、どんなジオラマを見せてくれる?

 ババァン、楽しみにしてるぞ!

「お父さん、言い間違え。」



 この建物を回り込めば、、、何か低木が並んでいる。

 それは目が届く先の先まで!

「コレが、シゼコラダ?」

 確かに枝々には、赤く小さな実が多く実ってるけど?

 そもそも私はシゼコラダであれ“シゼコラダの実”が、どんな物か知りません。色も形も、想像すらしていなかった。

 案内役のクーリャは眠っているみたいだし。

 ほっぺ、つねったる。ほれぇ〜ほれほーれ!ほっぺプニプニだ、、、起きない。

 目がパチッと開いて『アハハー、ウソ寝だよー』とか言って来そうなのに、起きない。


「お父さん、どうやらこれが“シゼコラダ”ね。」

「さくら判るの?」

 何で?

「クーリャがママにシゼコラダを伝えた時に、私にも流れて来たから。」

 ふぅ~ん、エルフの持つ“魔力”であり『術』、便利だ。

 私だったら、写真を見せられるとか、イラストとかの絵を渡されなかったら、分からなかったよ。



「よし、、、で、どれだけ貰えばいいんだろう。さくら、どう思う?」

 それに、せっかく摘み取っても、それを入れる袋なりカゴか無い。

 クーリャは、私が何かを準備する間を与えてくれずに飛び出しちゃったから。

「トキヒコ、使うが良い。」

 ザーララさんがそう言うと、私がちょっと想像したカゴが現れた。それは茶摘みで背負うような(個人的なイメージ)円柱状に編まれた、少し大きな物。

 さくらも同様に既に、同じ様なカゴを手にしている。

「何でー?!」

「造作も無き事。」

 あー、ザーララさんはそう言うよなぁ。でもさくらは?

「お父さんのイメージをちょっと再現してみたの。この周辺に集まる枝々とかから成分を借りて。」

 何だよ、『成分を借りて』って?でも“魔力”、便利だなぁ〜。


 先ずはクーリャをゴロンと置いて、、、あっ、雑だった!

 少し傾斜があったのか?2回、3回と転がった、、、

 でも起きないなぁ。まぁ、放っておこう。

「それでは、シゼコラダの実を取りましょう!」


 シゼコラダの実は、手を伸ばせは簡単に採れる。

「おぉ~、楽チン。」

 たわわに生える赤い実は、面白い様に簡単に収穫出来る。

 でも、果肉の部分が硬い物、やや柔らかく感じる物も有る。

「さくら、どちらを収穫すべきだと思う?」

 柔らかく感じる方は、その実が熟しているからだと思うけど。


「お父さん、柔らかく熟している方ね。どうやらシゼコラダは果肉を持つモノだから、果肉は熟している方が含まれる糖分から発酵が促されて芳香を生むでしょう。」

 ふぅ~ん、そうなのか、そんなものかぁ。


 それでも、こんなに簡単に摘めちゃうのに、良くぞあの強い風の中で落ちる事無く、実っていたよなぁ。

 

「トキヒコ、ひとつ口にしてみよ。」

 クーリャはシゼコラダを誰も食べないって言っていたけど、実際はどうなんだろう?

 手の平に乗せたシゼコラダの実。赤くて、硬かっただろう果肉は、少し“ふにゅっ”と感じる。

 見た目、、、美味しいのか不味いのか分からない。チョコレートの原材料の片一方になるそうだから、甘くて美味しい?

「ええ、既にチョコレートの味がしたりして」

 では、一粒。

 赤い実をひとつ、口の中に放り込み、ふにゅっカリッと噛じる。


「グッへぇぇぇ〜」不味い。

 クーリャが『誰も食べない』の意味が分かった気持ち。

 スゲー苦くて酸っぱい!

 ザーララさん、笑ってるじゃんか〜!もしかしてザーララさん、知ってた?

 それでコレがどうなったら、チョコレートになるの?


「そこはお父さん、加工の過程が有るから。」

 うん、リーザは焙煎だか乾燥させて、粉にしてもう一方と混ぜるって言ってたなぁ。

 でも、加工の過程を経れば、美味しくなるのぉ?イマイチ想像が出来ません。


「お父さん、加工の過程を持つ食材は沢山あるでしょ。」

 確かに。時間を掛けたり、混ぜ合わせたりして、本来持つで有ろう味や風味を引き立てたり、変える食品や食材は幾らでも有る。

 ハムやソーセージもそうかも。

 魚肉の練り物やうどんに蕎麦、パスタにマカロニもそうだったりして。

 味噌に醤油に酢に酒、梅干しだとか漬け物だって、、、材料となる一方だけを食べても美味しいとは限らない。

「ソースもマヨネーズもそうでしょ。」

 そう、その2品は忘れちゃならないが、材料となるそれぞれを食べても問題はない。

 パンやお菓子、和菓子、、、考え方は色々あるけど、サラダや刺身なんかの生食以外の食べ物は、全て調理品だし、加工品と呼べるのかも。

 そんな中で材料の片方が不味い、、、リーザの持つ知識や、やる事に間違いは無いから、そこは安心して収穫を続けましょう。


 程なくして、赤いシゼコラダの実が、ふたつのカゴいっぱいになった。重い。

「さて、どうやって持って帰ろう?」

 こんなに摘んだから、持てない。重くて背負う事すらままならない、それが少し大きな背負いカゴふたつ分も。

 そもそも帰り道、分かりません。嵐の国からエルフの里国までの道順も距離も方向すら分かりません。

「トキヒコ〜わたしを使え。尚もさくらも居ろう。トキヒコが配する事など何も無い。」

 ザーララさんは何でも無敵だなぁ〜素敵!あっ、なんか来た!

「さくら、帰り道分かる?」

「ええ、こうして一度嵐の国に来てしまえば。」

 一度来てしまえば、どうするんだろう?まぁいいや。



「おかげさまで、シゼコラダの実が沢山採れました。ありがたく頂いて行きます」

「スルガトキヒコの目的が果たせますれば、良き事成れ。」

 『シゼコラダ摘み』の費用とかは請求されなさそう。

「でも何で、私の名前をご存知なんです?」

 何か不思議。

「私達はハヴァバンドゥーンズローシミィより継承されし者。彼の者が持つモノは継がれし事。」

 なるへそ。

「やはり、信じられなし事。シゼコラダなど。」

 うん、そのまま食べれば不味かった。



「スルガトキヒコ!」

 あっ、さっきのマウマウキユウイグダさんか。

「チョカラト、チョコレートですか、私にも分け与えて頂けます刻は適いましょうか?」

 

「ええ、リーザ、、、ヨモギィ(「お父さん“ヨギニィ”よっ」)の我妻(痛っ!)に多目に作ってもらっておきますね」

 これだけのシゼコラダを持ち帰って、どれだけのチョコレートが出来るのかは、分かりませんが。

「エルフの里国へ来て下さい、そしたらえぇ~っと、、、、」

「私はラクシャカラナ・バクチャ・ブフォミ・マウキュイクダヴァです。」

 あっ無理、一発で覚えられない。


「宜しくて?」

 お名前を憶える事は宜しくはありませんが。

「そりゃ、基本『来る者拒まず』ですから」

 もしも来てくらたなら、エルフの里国の外の世界に在るだろう、お菓子の文化を持つ国だか里の話しをお聞きしたい。

 だから、

「お待ちしてますよ」




 さあ、リーザの元へ、エルフの里国に帰ろう。

「トキヒコは、わたしが連れ行こう。」

 私は眠ったままのクーリャを抱え、ザーララさんに抱えられる。

「お願いします」


 ふたつのカゴに満載となったシゼコラダの実は、さくらが軽々と左右の腕に下げる。

 さくら、馬鹿力!

「お父さん、失礼ねっ!」


「さてトキヒコ、如何とする。風成りの流れに再び乗ろうのか?」

 プルーゼプリィーウ、万物が持つ流れ。風が持つ流れ。

 ザーララさんも使えるのか?!スゲーなぁ!でも、

「いえザーララさん、風が持つ流れは、今回風の民(クーリャ)が行って私は初めて知りました」


「新しく知った事より、経験が有る方を優先させたい(安全の確保というよりは、気持ちの落ち着き何処どこ)。だからザーララさんの『技』でお願いします」

「そうだトキヒコ、わたしに頼め!何でも良いぞ、お前が求めるがままに。」

 ザーララさん、でも何でこんなにも欠点だらけの私に対して寛容なんだろう、、、ザーララさんの基軸が分からない。



「トキヒコ、」

 ザーララの魔力行使による移動のひとつ『ラタッカー』は、時間も空間をも超越してしまう。

 瞬きしてる間に、目的地に到着してしまう程の凄まじい魔力である。

「あっ」着いた。

(「トキヒコ、わたしはお前のエルフだ。其のみ他に無き。」)

 ザーララさん、いつもスゲーなぁ!




「ただいまリーザ。ゴメンね、急な事とは言え、ひとりで留守番させちゃった」

 リーザは風童達の融合の場面を見たら、どういった感想を持ったのだろう。

「トキヒコさん、お帰りなさい。トキヒコさんが無事に戻られますなら、私は何も望みません。」

 リーザにギューと、手を握られる。

 わぁ〜ゴメン。次の機会は必ず一緒に出掛けよう。

 だけど、リーザ加減が、ちょっと痛い。


「尚も此度はさくらとザーララも連れ行く事と成り、私が心配する事は何もございません。」

 うん、私が知る限り無敵のペアーだ。

(「お父さん、」)

(「何、さくら?」)

(「ママはそう言うけど、何だかソワソワしていた事は、隠せないわ。」)

(「ええ〜?まあ、ひとりだけ留守番させちゃったからなぁ。今後気を付けます」)

 うん、クーリャが悪い。


「リーザ、『シゼコラダの実』、無事に持って帰れました。チョコレート作りをお願いしていい?」

「はい!」

 さてさて、果たして実際に、チョコレートは家庭レベルで作れるのだろうか?

 リーザのチョコレート作りが始まる。



「トキヒコさんが持ち帰って頂きましたシゼコラダ。先ずはこちらを発酵させまする。」

 発酵って、発酵?

「はい、この果肉のままですね。カカオでありますれば、幾日かの発酵期間を要しますが、この刻、少し端折りましょう。」

 リーザが“端折る”だなんて、意外〜。

「お父さんがすぐに食べたがってるからよ。」

 そっか。


 リーザの指示で、一部のシゼコラダの実だけを残し、他の物は通常の発酵に向け、外に造られた備蓄庫へと運ぶ。重い。

 リーザはこの場に残ったシゼコラダの実に、何やら葉っぱで包み出した。


「チョコレートを作りますに大きく3つの技法がございますが、此度はビーンズロースト法に近き事と成ります。」

「ビーンズロースト法って?」豆を煎る?

「はいトキヒコさん、シゼコラダの実に対し直接に熱を向けます焙煎を行う事と成ります。」


「ではザーララ、頼み申す。」

 えっ?端折るって、ザーララさんを使う事なのぉ~?ザーララさんチョコレート作りを手伝うのぉ?こっちの方が意外だ!

 ザーララさんは嫌な顔を見せずに、リーザの指示に従う。

 ザーララさんも、チョコレートを早く口にしたいからかも。でも、何すんの?


 リーザに葉で包まれた、シゼコラダから湯気が立ち昇り出す。

 ザーララさんが魔力を行使しているのか、ザーララ魔力蒸し器?!

 リーザ、さくら、ザーララの3者は、チョコレート作りの工程についてリーザより伝えられ、共有となる。

 それはチョコレート作りへと繋がる。

 リーザ、ザーララはトキヒコにチョコレートを食べさせたいが為。

 さくらは、単に自身が食べたいが故。

 クーリャの分は?


「ドギビゴ〜、チョコだ、チヨコレイトを出せ〜」

「おっ、クーリャやっと」寝てるじゃん。

 寝言かよ。寝ていても、うるさい。

 でも、いつになったら起きるのだろう、、、やっぱ風の民に関わると、ロクでも無い。それで単に迷惑。


 あれ?クーリャって、別に連れて帰って来なくても良かったんじゃないの?

 まあ、クーリャを連れて帰る流れは有ったけど。


『この者を連れ行って欲しい。』

 あの風大人童に、クーリャから『ヴィラーサット』が名前から外れるまで、託されたって事か?

 いや待て。そんな事は一言も言われて無い。


 ああ、あれだ、風童達の融合だか合体の時に、『ヴィラーサット』を名前に持つ者は部外者だったから、邪魔なんで何処かに連れて行けと、そんなトコだろう。


 それでだ、風童達の融合だか合体が終わって、嵐の国は続く事になったのだから、、、そう、チョコが出来たらクーリャには帰ってもらおう。

 良し、OK!



 『トキヒコのエルフ』と『トキヒコの娘』が行う、チョコレート作りは進む。 

 少し硬く感じた、あのシゼコラダの赤い実が、何だか柔らかくなったみたい。

 でもあの『ぐへっ』とした味は変わっていないだろう。

「おお、コレで次の工程へ。チョコレートドゥにするの?」

 何かと混ぜちゃえば、味は変わる?

「まだですトキヒコさん。発酵の次には焙煎であり乾燥です。」

 チョコレート作りの工程が、分からない。

「トキヒコ、待とう事も工程と成ろう。」

 えっザーララさん、チョコレート作りを知ってるの?いつの間に。

「お父さん、任せておいて。」

 あれ、さくらまで。

 チョコレート作り、オレだけチンプンカンプン?

 待つのも工程、、、今の私が出来る事『ボク、食べる人』で待つのも工程のひとつ、、、って事にしておこう、うん。


「こちらも本来であらば、天日を用いた乾燥が望ましいのですが、」

 再びザーララさんの登場だ。

 今日のザーララさんは、その持つ悪魔の様な“魔力”が有効活用されている!こんな事も、痛っ!

「トキヒコ〜、わたしは常に善良な者ぞ。」

 善良って、、、見えない攻撃して来るし、そのデコピンみたいなの、ソコソコ痛い。


「でも、どうされたんですか?」

 何時もはお菓子に手を伸ばすばかりなのに。

 もしかして、ここでチョコレート作りの知識を得て、後で“魔力”で以ってパパッと量産する積り?


「トキヒコ〜、お前が申すではないか『働かざる者食うべからず』とな。」

「ええ、」言った事あるでしょう。

 今の私は、チョコレートの出来上がりを待つ人。その上実生活での私、無職。


「トキヒコは今の刻、任に就かねばその行動足るも興しておらず。故にトキヒコはチョコレートを食すに値せず。」

 ええー!そんなぁ〜!ヤバい!

「リーザ、何か手伝う事は?」

「はいトキヒコさん、工程としましては、少し独自に組み替えてはおりまするが、今の刻トキヒコさんが手出し行のう事はございません。」

 あちゃ~。

 さくらは木の材質で、チョコレートを流し込む型を作ったそうだ。(“魔力”で。それ、ズルくない?)


 シゼコラダは焙煎され、乾燥となり、粉状に挽かれた。

 そしてもう一方の材料となるカカラダの実は、既に粒状にされている。(嵐の国に行ってる間に、リーザが先に準備してくれていた。流石リーザ!)この両者は混ぜ合わされる。


「リーザが準備してくれていたカカラダの方は、粉末と言うより、細かく砕いた感じなんだけど」それで何となく、半生?

「ええトキヒコさん、カカラダ成れはシゼコラダより強い油脂性であります。両者が混ざります事にてペースト状を作りだし、チョコレートへと向います事を得ます。」


「この場での配分は5:5、等分の割合での配合にて混ぜまする。試作の意向の加わります事は、ご了承願いまする。」

 リーザもチョコレート作りは初めてなんだ。

 このタイミングでメレシュシィニィ(何か乳性の物)と黒砂糖の様なブラウザベクキアー(どちらも、私のコーヒー(リーザが再現してくれている飲み物)に入れます。)は混ぜ込まれ、甘さとまろやかさは決まる。

 尚も、シゼコラダとカカラダの配分で、出来上がるチョコレートの濃さ(風味、固さ、色合い)が変わる、、、そうだ。


 大きな木製ボールの中で、混ぜ合わされた材料がゆっくりと渦を作る。

 グルグル、グルグルと続く回転の中で、だんだんとあのチョコレート色となり、ペースト状に変わって行く。

 出来上がったチョコレートのペーストは、さくらの作った型に流し込み、チョコレートドゥとなったモノが固まれば、、、ここでも“魔力”?

「チョコレートドゥは熱には弱いの。だからこうして、」

 さくらの“魔力”で冷やしているのか?

 チョコレートドゥは固まって行く。


 やった、チョコレート、出来た!スゲー、出来ちゃったよ!

 一般家庭で、、、ちょっと違うか。でも、チョコレートが出来ちゃった!

「ドギビゴ〜」

 クーリャ、、、寝言だな。ちっ起きたのか。

 チョコレートが出来たタイミングで、出来過ぎだろっ!



「クーリャ、チョコ出来たぞ」

 起きて来るタイミング良過ぎだろう。

「フゥキー!やったぁー!食べさせろドギビゴー、チヨコレイトをくれー!」

 あー、うるさい!

「いやクーリャ、働かざる者食うべからずだ」

「なんだそれー?!」

「ね、ザーララさん」

 オレだけ食べちゃダメだなんて、納得行かない!


「トキヒコ、この者はチョコレートの材料の提供者と成ろう。成らば何も問う事は無かろう。」

 えっ?もしかしてチョコレートが食べられないのはオレだけ?!


 さくらが用意した木枠の型から、チョコレートが外れて行く。

 次から次に、黒茶の何がが産まれて来るみたいに!

「目の前に、せっかく完成したチョコが並ぶのにぃ〜」

「トキヒコ、残念だな。」

 オレだけ、お預け〜


「それは成りません。先ずは最初の試食も兼ねましたモノは、トキヒコさんが第一と成ります。」

 リ、リーザぁ〜

 でも、ザーララさんの目が、、、優しい目、エルフらしく無く、意地悪言ってたな〜。

 だけどザーララ大活躍!あっ、何か来た。



 完成となったチョコレートは、木製のお皿に取り分けられて、皆の前に並んだ。

「ではトキヒコさん、先に願います。」

「うん!リーザありがとう。ザーララさんも、さくらも、、、まぁクーリャもな」

「ドギビゴー!早く食しろー!」

 あー、うるさい!


 目の前にはチョコレートが。

 エルフの里国でチョコレートが再現された!

 リーザの『お菓子力』の賜物だけど、皆の協力があってからこそ、ありがたい、感謝!


「ドギビゴ〜早くしろー、あたいも食すぞー!」

「クーリャ、成りません。トキヒコさんの次成れば許されます事。」

 ありゃリーザ。

「はぁ~い。」

 何故だかクーリャは、リーザの言う事に素直に従う。



 ではでは、

「頂きまーす」

 パクっと!

「うん!流石リーザ判ってる〜、そう、こんなチョコ好き」

 そう!この濃くって、だけど甘味が強いの、こんなチョコレートが好き!流石リーザ!好き!痛っ!


「リーザリー〜フェアル〜ン、あたいもチヨコレイト食べてもいい?」

「ええクーリャ、宜しいです。」

「フィキー!やったぁー」

 クーリャも準備されていたチョコレートを両手で掴みくわえ込む。

 クーリャ、いい顔するなぁ。美味しい顔って、こんな顔かも。でも、

「あーリーザ、さくら、クーリャを監視していてね。クーリャってチョコレートを食べると酔っぱらうから」


 ザーララさんは、、、既に手を伸ばしている。

 それで、ザーララさんも美味しい顔してる!可愛い!あっ、何か来た。


「トキヒコさん、合わせまして此方も如何でしょう。」

 ちょっとさっきより色が濃い。味も濃い目?

「ああリーザ、ありがとう。ではでは」

 ん?甘さを抑えた苦味感、でもしっかりと来る甘味感。そして、濃い! 

 ブラックチョコも悪くはないけど、オレは甘いの好きなんだよ。だからこの残されているかの様な甘味を感じるのも好き!

「リーザ、こっちもいい!判ってる〜!」



「お父さん、クーリャがチョコレートで酔うってどう言う事?」

 ああ、さくらが生まれる前の出来事。

「うん、クーリャはチョコを食べると酔っぱらう。そして判断が付かないままに、寝る。そこで起きたら、、、何をし出すが分からない、危険だ」

 そう、風が持つ流れに乗せられるかも、まだ知らない何かの『技』を持っているかも知れないし。


 ん?待てよ、

「リーザ、この作ってくれたチョコレート、確かにチョコレートなんだけど、向こうで食べていたチョコレートと同じ(成分)なの?」

 味も食感も、確かにチョコレート以外には考えられない。

 だけど、チョコレートの原材料である“カカオ”は使われていない。

 確かカカオだかにはポリフェノールが含まれていて、それを摂る事は、身体にいいんだったか?血圧を抑えるだっけ?


 元となる材料が違う中で、味や風味を真似たり、近付けたりする食べ物は有る。言われなければ騙されてしまう程に。

 材料となるモノが違えば、それに含まれ構成される養分だか成分は違う。

 

 クーリャが酔った原因とされるモノがカカオに含まれていたら、カカオを使っていない(エルフの里国には無い)このリーザ特製のチョコレートでは酔っぱらわないのでは?


「トキヒコ、変わらずだ。同等、同質と成ろう。」

 えぇ~、カカオ使ってないじゃん。

「お父さんの知っている通り、カカオにはポリフェノールが含まれているわ。カカオの持つポリフェノールは、抗酸化作用で老化の要因とされる活性酸素から体を守る働きに繋がるの。」

 あー、ポリフェノールとかの効果、知らない。


「シゼコラダとカカラダが合わさる事によって化学変化が起きる、それば実際のカカオに含まれる『テオブロミン』相当の成分になるの」

「それは、このチョコレートが構成される成分の場合、塩基性を示す天然由来の有機化合物が、強い生理活性を持つ事になるの。それがクーリャに起こる作用としては“酔い”となっているみたいね。」

 ふぅ~ん、良く分からん。

 いずれにせよ、クーリャはやっぱり酔っぱらうって事か。


「クーリャのチョコレートに依る酔いですか、確かに監視成り、都度の確認は必要でしょう。」

 そう、以前酔ったクーリャに引っ張られたから、嵐の国へ行く事になった。

「でもですね、トキヒコさんにもお願いがございます。」

 何だろう?


「トキヒコさんは、チョコレートを食しました後、歯磨きを怠る事無く。」

 虫歯かぁ。


「噛歯の欠損は、後々の生活に影響を及ばさせましょう。ですので予防成れ対処を怠る事無く。」

「はぁ~い」

 虫歯の痛みは我慢出来ない。実体験が嫌と言う程ありますけど。


「ですがザーララ成れでは、トキヒコさんの噛歯を治療、修正します事は適いましょう。」

 ほぇ~、ザーララさんは魔力で以って、虫歯も治してくれるのか。流石、無敵の悪魔!


「でもですね、」

「何、リーザ?」

「はい、歯神経への刺激は避けれません事。」

 うわわぁ〜、ゾゾゾゾゾ〜“魔力”でもって歯の治療を行ってもらっても、歯の神経が刺激されるなら歯医者さんに行くのと同じじゃん!歯医者さん大の苦手!

「トキヒコ、何時でもわたしを使え。」

 いえこればっかりは、遠慮します。


 リーザもさくらも、ああ、美味しい顔だ。リーザから喜びかな?何か届いた。

 だけどチョコレートを嫌いな人って居るのかなぁ。

「こうやって、皆んなでなにかを食べる事は、美味しさが増すなぁ」

 こうやって皆んなで、、、


「あー!」

「お父さん?」

「女王様、ユーカナーサリーにもお届けしなくっちゃっ!」

 それとついでに母王ジールにも。


 エルフ達は、分け与える。

 ここではそれが普通の事なんだ。

 自分の持つ『普通』をこの世界で当てはめちゃいけない。


 でも実は、ちょっとエルフの里国の王、女王ユーカナーサリーにお会いするのは、気が引ける。

 『暫しの間、自身の里へと還るを禁ず。』

 私が与えられた罰だ(期間不明)。

 それでどうやら、罰を破ってしまったらしい。

 プルーゼプリィーウ、、、樹木の持つ流れに乗って、、、ちょっと試しで、本気で故郷の山に行ったんじゃなかったけどなぁ。


 でももう、とっくに知られちゃってるんだろうなぁ〜。




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