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トゥクルトッドドゥーの守護王 虹男、何者?

 初めて目にしたトゥクルトッドドゥー。

 その姿は、多くの色が重なり合うような、まるで虹を連想させられるかの多色と色鮮やかを持ち、その毛並みが持つ艶は、透けてしまうかの様な輝きを放っていた。


 それが実際に透けていた。

 尚も体を空中に漂わせさせた、、、それは“魔力“を行使している他ならない。

 何故、トゥクルトッドドゥーが“魔力“を行使出来る?!

 『虹男』、君は一体何者なんだ?!

 トキヒコは唖然とし、この場に集まるトゥクルトッドドゥー達と共に、宙を見上げていた。



「ズルいっ!」

 オレは“魔力“を内には秘めれないのに(何時の日か“魔力“を纏ってみせますが!、、、希望。)、何でトゥクルトッドドゥーが魔力を行使出来るんだよっ!

 トゥクルトッドドゥーが“魔力“を内に秘めてるなんて、聞いてない!

「あっ!痛たたた!」

 この感覚って!


「トキヒコ」

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーが現れた。

「ああ、“ニュー“ユーカナーサリー!」やっぱり。

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーが、”魔力”による『繋ぎ』で、突如として現れた。

 もぉ~、エルフの王宮はすぐお隣なんですから、歩いて来て下さい。

 その”魔力”が向けられると、頭痛が、痛いんです。


「なんじゃぁ、其成る呼称は?」

 だって進化されましたから。

 リーザも揃っての登場となった。


「ええ〜と、女王様、どうされました?」

 『トゥクルトッドドゥーの居る場』への出入りは、自由だったと思ったけど、私が知らないだけで規則が改定されてた?

「なに、憶え無き魔力に近き波動を感じ様事。」

 ああ、この新種のトゥクルトッドドゥーだな。


「たぶん彼、『虹男』が翔んだからですね」

「虹男〜じゃと?」

「はい、新種のトゥクルトッドドゥーです!」

 私が第一発見者です。エヘン!


 女王ユーカナーサリーが見上げた先には、確かに宙を舞うトゥクルトッドドゥーの姿がある。

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーの紅赤と漆黒のオッドアイが、トキヒコに名付けられたとされるトゥクルトッドドゥーの『虹男』に向けられる。

 その瞳が彼の者をさらす。

(「来る異とのみ表せ様、定まらぬ、淡き波動。」)


「トキヒコ、彼の者は生者として在らず、死者と決め呼ぶには、些か異と成ろうか。」

 えっ、生きて無いって、、、?

「ですがあそこに(空中ですけど)居るじゃないですか」

 少し透けちゃってはいますが、しっかりと見えますし、ココに居るとしか考えられません。


「彼の者、この場に確かに居る。だが、生物としての“存在“と定義しよう成らば異と申そう。尚も其に生死に関わり無く。」

 虹男が生きてない?

 いやいやいや、死んじゃってたら、彷徨う死体じゃんか。

 それに死体だったら透けたりしないし、実体でしょ?

「彼の者は、死する刻を持つ。」

「ええー?」良く分かりません。


『「吾が迎えし死の刻か。だが何をもち、生者と死者とを分け隔てよう。」』

 死は、確かに無となる事なのか。

 そうだとしたら、、、『虹男』はココに居る。それは『無』とは言えないのか、、、



「そうか!」

 トキヒコの根拠が曖昧な閃き。

「虹男はトゥクルトッドドゥーの幽霊なのか!」お化けや幽霊を見たり出逢った事、ありません。


「はははっ、トキヒコ幽霊か、云わずまとを得ているやも知れぬな。」

「いやですがユーカナーサリー、幽霊って、」ちょっと言ってみただけですよ。


「幽霊成る存在ならば、トキヒコは出逢うておろうぞ。」

 ええ〜、幽霊なんて、、、はっ、もしや!


「怨嗟の者、魔癌塊体、、、」

 エルフの里国に現れた残留思念であり怨念。

 だけどアレは、恨み、辛み、苦しみ、哀しみ、、、多くの怨み、負の感情を抱えながら死へと向かわさせられた者達の怨念。

 でもアレは、モヤモヤっとした物が、黒い雲みたいな塊になって、、、固体としての肉体を持たないだけの、気体みたいな生命体だとも思ったんだけど。


 じゃあ彼も、虹男も恨みや哀しみを抱えながら死んでしまったトゥクルトッドドゥーの怨念なのか。


 今現在のエルフの里国には無いであろう『負の感情』をオレは知っているから、持っているから、このトゥクルトッドドゥーは現れてしまったのか、、、オレの所為せいで。


「トキヒコ、此度の彼の者の現出、そこにトキヒコの所為しょいは無き。またの彼の者、怨みも苦しみも持たず、後悔の念すら持ち合わさず。」

 確かに、虹男からは何の『負の感情』をぶつけられて無いし、感じもしなかった。

 オレなりに、他のトゥクルトッドドゥー達と変わらずに、普通に接していただけだ。


(『「『幽霊』、知らぬ概念である。人間スルガトキヒコは、吾に対し何を充てし、適そうと表し、」』)


『「幽霊、其は人間スルガトキヒコの持とう概念で有るか。吾は持たぬ。」』

『「但し、その伝わりし概念、吾には適さず。」』

 幽霊は、『オレ幽霊じゃ無いもん』とか言うか?いや、分かんない。


 でも虹男、何で死んでしまった経験があって、姿を持たない(目には見えるけど、透けてる)んだよ。

 でも、彼がこの場に居る理由が、恨み辛みの怨念じゃなかったら、どんな理由で現れたんだ?

 “死“を超越した存在だと言うのか?



 女王ユーカナーサリーは、この場に現れた未知成るトゥクルトッドドゥーに問う。

「お主は、何を用、何を行う、して何者で在ろうぞ。」

『「吾は我らを護りし者に他成らぬ。」』


「護りし者とな。ならば我と変わらぬな。」

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、エルフの里国の民達を護る存在。


「して、何故に現れした。」

『「吾は我らを護りし者。成らば測ればならぬ。人間スルガトキヒコ成る存在を測ればならぬ。」』


「トキヒコを測ると申すが、トキヒコとお主を繋ぐ線が無き。関わるべき縁も無し。」

『「我らへの先と続く事ならば、未知成るは知らねばならぬ。ただ其れだけの事、ただ、其の成れである。」』


(「彼の者の言い分は、何が当て填めよう事。」)

「トキヒコを“未知“と申すが、お主の存在も変わらず。だが、我が解するのは後置きじゃ。しかし何故じゃ、トゥクルトッドドゥーを護りし者が未知で或るのみにて、トキヒコを測る必要が生じよう。」


『「人間スルガトキヒコ、我らに好意を示し者。だが、理解に及んでいる訳には達せず、先に表そう意識も未知である。其が我らの脅威に至るか否か、知らねば成らぬ。測らねばならぬ。」』

 オレがトゥクルトッドドゥー達の脅威になる!かも?

 って、どちらかと言うと、何時もオレがやられちゃってる側なんだけど。



「トキヒコを測るが為とし現れたと申すが、我とすればお主を測なれば成らぬ。」

(「トキヒコを他の何者も勝手にはさせぬ!」)

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーが持つ、何者にも敵わぬ強き意思。

 だが今は、『トキヒコのエルフ』と自身を位置付けるユーカナーサリーの気概である。


 リーザも無言のまま、トキヒコとこのトゥクルトッドドゥーとの間に立つ。

「リーザ、何も危険は無いと思うけど」

「トキヒコさん、今成れは彼の者、不明でありましょう。ですが我が王、ユーカナーサリーにこの場を預けても良いかと。」

 未知、不明に対し、導き出す答えに辿り着き難い、、、そんな時、エルフは戸惑ってしまうやも知れないが、トキヒコが関わる事象なり事案と成れば、エルフの本質は超越される。

 自身の死への恐怖の順位すら下げてしまう「トキヒコのエルフ」が持つ気概の前では、その本質すら置き去りにされる。


「お主は、反しておる。」

『「吾が反するなどと。何に対し」』

「“理“じゃよ。お主の存在は理に反しようぞ。」


「我ら摂理の中にて生を営もう。じゃがお主はその理に反しておる。」


「お主の存在には、理由も無ければ定理も無き、道理も持たぬ。成れば我は“何故“と問おう。」

 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーの持つ“魔力“であり、『紅赤の瞳』にて見透かされた未知成るトゥクルトッドドゥーの『虹男』。

 『死の刻を持つ』(生命体としての死を迎えた時間が有る)との判明は、今この場での存在が物事の筋道からズレている、存在自体が間違いであるとの判断に至る。


「ああ、虹男、、、」

 女王ユーカナーサリーは、死について理解をされている、、、と思う。

 だからご自身が虹男を観察され、彼には死の刻を持つと。それは死んでしまった瞬間なり時間が有るって事だ。

 ユーカナサリーにしてみれば、そんな『虹男』がこの場所に居る事自体、おかしな事、理解出来ないって事なんだ。

 そう、死を迎えた者が何故この場に留まれる?

 死は死だ、、、“死“って、やはり無となる事なのだろうか、、、って、私は死んだ事が無いから、理解してませんけど。


 ああ、あの時の『怨嗟の者』が幽霊だったとして、オレは彼らと多くの事を語った。でもそれはお互いが持つ『負の感情』が繋げた『特別な』意識ではなかったのではないのか。

 『虹男』からは、別に『負の感情』なんて伝わってこなかった、、、たぶん。

 では『虹男』、彼とオレが持つ特別な関係性とか共通点だとか、意識が繋がる理由が有るのだろうか?有るならそれは何なんだ?

 いやいや、今日初めて出逢ったばかりだしなぁ。


 そして『虹男』、お前がエルフの里国にとって何かの“脅威“となるのであれぱ、オレは見過ごせない。

 だけど、オレに何が出来るのだろう?



 トキヒコに幽霊扱いされている、不明な点を持つトゥクルトッドドゥー。その意識と瞳は、トキヒコを注視する。だが、

(『「スルガトキヒコ、見えざるな。その持つ表層部すら、届かぬ。」』)

 不明なトゥクルトッドドゥーの持つ眼は“魔力“を携えている。

 しかし、その眼を以ってしても、トキヒコを見透かす事は出来なかった。

(『「人間スルガトキヒコの持つ未知に届かず。尚もこの場成る、ひとつの性質と成ろうか。」』)


 今留まっているこの場所『トゥクルトッドドゥーの居る場』は、エルフの王宮の敷地内であり、女王ユーカナーサリーの“力“が強く影響されている場所。

(『「この場、何故だか分が悪く、、、」』)

 それは意識を持つ者の感覚。

(『「場が持とう影響など、在るのだろうか、」』)


 そしてトキヒコは、多くの者に護られている。

 リーザを筆頭に、ユーカナーサリー、ザーララ、彼らが興す結界による護り、、、それに加え『トキヒコは、多く怪我をする』あきれられつつも、その場に居合わせたエルフ達の想い。

 それらはトキヒコに重なり、絡み合い、トキヒコの護りの鎧とも言える形を作っていた。

 魔力を持たぬトキヒコは、見る事も感じる事も出来ない。

 だが、向けられる多くの『想い』をトキヒコは纏っていた。


『「人間スルガトキヒコ、場を変えようぞ。」』

「場を変えるってぇ〜?」

 不明なるトゥクルトッドドゥーは音も無く、宙より地面へと降りて来る。

 そして一歩、二歩、トキヒコに向かい歩み寄る。


『「乗るが、良い。」』

「いやだって、乗るも何も、虹男って透けてるじゃん」

 突然何を言い出すんだよ。


『「吾に触れてみよ。」』

 はぁ~ん?あれ?

「触れられる、、、」

 恐る恐る差し出されたトキヒコの手は、確かに未知なるトゥクルトッドドゥーの体に触れていた。

「あれ?何で!さっきまで透けていたじゃんか?!」


『「吾らは意識を通じた。ならば体躯に関しても同様にすれば、良い。」』

「はぁ~?」何言ってるのか、何で虹男に触れれる様になったのか、サッパリだよ。


『「スルガトキヒコは、吾を存在する者との認識に至る。成らば後は意識の段である。」』


 何、気の持ち様って事?

 あると思えばそこに在って、触れると思えば触れられる、、、禅問答かよ?

「気持ち次第で、さっきまで透明だったモノに触れられるようになるのかよ。まぁいいか。でも、」

 未知であるトゥクルトッドドゥー『虹男』の美しい体にに触れられた。

 、、、でも、生在る者の肉体が持つ『温かさ』が伝わって来なかった。



「よし、この透けるトゥクルトッドドゥーに、乗ってみるか!」

 リーザとユーカナーサリーが、未知なるトゥクルトッドドゥーに対して、トキヒコを護るべき態勢を取っていたにも関わらず、、、トキヒコは『初めて会った』『意識の疎通が行える』『自分が第一発見者』『透明なトゥクルトッドドゥー』そんなワードが溢れているトキヒコの意識は、好奇心(子供心)しか持ってなかった。


「トキヒコさん?!」

「ああリーザ、大丈夫だよ。虹男からは『負の感情』も来ないし、攻撃的でもないし」

 ありゃ、虹男の何とか『し』が感染った?


 それよりも、さっきまで透明だったトゥクルトッドドゥーにの乗れるのか?

 いやいやいや、これはこれは、楽しみ!


「では、乗せて下さい」



「トキヒコは、勝手が過ぎる!」

 怒りなど表さないエルフであれど、「トキヒコのエルフ」はエルフの本質を越える。

 そして、トキヒコの意思、意識を最優先させる。

 だが、何があっても、、、自身の存在と置き換える事だとしても、トキヒコを護り切る自信と自負とを持ち合わす。


 透けてしまう身体を持つ、未知成る存在のトゥクルトッドドゥー『虹男』は、その背にトキヒコを乗せるが為に四つ脚を折り、その場にしゃがみ込む。


 よぉ〜しっ!

「うりゃ!」

 トキヒコがしゃがむトゥクルトッドドゥーの背に手を掛け飛び乗るも、跨ぎ上がるには届かない。何時もの事。


「ああサーシャイン!ヅリュース!皆んなも!」

 トキヒコは周囲に集まっていたトゥクルトッドドゥー達の伸ばされたクチバシにより、『虹男』の背に到達となった。

「ふぅ~、ありがとう」

 皆もオレに、コイツと行ってこいと思っているのか?

 周囲に集まってるいるトゥクルトッドドゥー達の顔を見回しても、、、こいつら何考えてるのか、分からん。


『「良いか。」』

「ええ、何とか」

 うわっ!

 翔んだ!トゥクルトッドドゥーが翔んだ!

 オレは今、それに乗ってるんだ!スゲー!



「それで虹男、何処へ行くの?」

『「吾の郷となろうか。」』

 それは何処だし?




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