ユーカナーサリーの目覚め
「トキヒコ、、、抱いてくれ、、、」
「えっ?はい、今こうして抱き支えています」
はいはい、今こうして抱っこしてますよ~
ですが身長が急に伸びちゃったので、抱え上げるには、重い、無理。
とにかく驚いたー!
ユーカナーサリーに体の変化が現れた。変化などでも言い足りない程、当てはめる言葉が見付からない!
驚く暇も無く、手足が伸びて、身長も伸びた。体つきが倍になったイメージ、生まれ変わったが適当かも、もう別のエルフだよっ!
それに伴って、ナイスバディ!
幼い(失礼ながら)イメージのフェアルン(女エルフ)がお姉さんエルフになっちゃった、顔つきまで変わっちゃったよ!
エルフがこんな風に身体(肉体)の成長(変化)を迎えるなんて、聞いて無い!
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーに変化が現れた。
それは全身を走る激痛と超高熱ともされる状態に晒される事と成った。
ユーカナーサリーの変化、それは血族の死を目の当たりと成った身体と意識が巻き起こしたモノ。それは、種の保存、種を続かせるモノ。子孫を残し、種を継続させる為の事。
今ユーカナーサリーは『性』に対する『目覚め』を迎えていた。
それは身体の変化と同様に、突如として突然に、急激に。
だが、ユーカナーサリーの意識は、追いつけずにいた。
「ユーカナーサリー、、、」
私の腕の中にいるその姿は、先程までの痛みを訴えていたり、燃える様な体温の上昇は治まったみたいだ。
だけど、息づかいが少し荒いままだ。さっきまでの荒々しさとは違い、深い呼吸を繰り返している感じ。少しぼぉ〜とした感じで意識もままならないのか?
ユーカナーサリーは痛みと高熱からの後遺症もあり、その意識は定まらないまま。
(「我の今の状態、、、意識、思考、体調、、、悪しき事も兆候も感じられず。だが、、、」)
意識が定まらないままではあったが、何かが自身の中から這い上がって来る感覚を得ていた。
それは自身の分析に至らず、戸惑いを持つ事となっていた。
エルフの戸惑いは、一時的だがその活動を停めてしまう程に。
「ユーカナーサリー、体調は?具合はよろしいですか?どこか痛む所は有りません?」
そりゃああんな発熱なんかでは収まらない、体温なんかと比べれば、超高熱体だったもんなぁ。
今のその見た目は、、、火照った身体、少し息の上がった呼吸、潤んだ瞳、厚ぼったく充血した唇、、、あれ?
そう、フェアルンのエルフ、ユーカナーサリーは『時期』を迎えていた。それも突然に、唐突であり急激に。
ユーカナーサリーは定まらぬ意識の中、自身の奥底から込み上げて来る衝動とも取れる、感情が昇って来る。
それは自身の戸惑いを打ち消してしまうかの様に、経験もした事も無い感情の激流が這い上がって来る!
激流は止まらない、何か説明の付かない激流が昇って来る。
(「何であろうか!、、、”魔力”の調整が利かなくなった事でも無き、何んであろう!、、、体が疼く!何かが駆け上がって来るようだ!衝動が治まらぬ!?」)
(「我の中での流れが発しておる!荒い!何だ!何と成る?!」)
ユーカナーサリーは駆け上がって来た感情の激流に対して抗う!
(「何故じゃ!治まらぬ!いや流されよう!我は、我は、留められぬ!火照る!」)
ユーカナーサリーは、抱えられているトキヒコを見上げながら両手をその首へ回す。
「うあっぷ、」う〜
そのまま起き上がる様にトキヒコに唇を重ねた。
無意識が起こした行為。だが、そうせずには居られなかった。
(「我は求めた。こうすれば、何やらの火照りも治まろうかと、、、」)
逆であった。
ユーカナーサリーの求める想いは加速する。どうにも抑えきれない衝動が加速する。
(「呼吸が定まらぬ?荒く、身体が火照る、、、疼く!」)
(「我に、我に何が起こっているのじゃ、、、?」)
ユーカナーサリーは高熱の後遺症の影響に加え、定まらぬ意識の中、その思考は混迷していた。宛の無い場所を走り続ける荒馬の様に。
(「我は、我は何を行いたいと申す、、、我に、我に何が起こっている、、、?」)
(「ここは、何処であろう、、、トキヒコ!、、、トキヒコが居るならば、、、」)
(「あぁ!、、、トキヒコ、我を、我を連れて、行け!、、、」)
ユーカナーサリーは肉体的な成長に伴い、身に着けていた衣服の類は引き裂かれそうに身体に密着し、食い込んでいた。
「く、苦しい、トキヒコ剥がしてくれ、、、」
「えぇ〜!」女性の服を脱がすのは嫌いじゃないけど、何か抵抗あるなぁ。それにユーカナーサリーが着ている服の構造というか、作りが分からないし。
確かにこのままだと、苦しそうだ。それにユーカナーサリーは何かぐったりと疲れ果てた感じだ。いつものハツラツとしたイメージが無い。
これもさっきの発熱と成長(?)したせいなんであろうか。
まぁ確かに、身長や手足が伸びたって、服は変わっていないから、手足も首も胸もお尻もパンパンだ。衣服がキツくて苦しそうだ。
上着の肩口と背中部分は縫い目から裂けていた。少し引き千切る様に真っ赤な上着から腕を抜く、、、が、破れた。
残された形となった両袖を右腕、左腕と続き、ギュウギュウだ!袖を抜き取れば、背中方向から上着を剥がす。
上着を脱がすけど、やっぱこの上着、何か特別な構造をしてそう。
続いて、その下に着る後留めのシャツのボタンは、全て背中側で千切れ落ちてる。
シャツも上着と同じ様に、袖を引き千切る勢いで腕を抜く。
エルフは下着など着けない(リーザは着けてます)。
抜けない!シャツの袖ははち切れそうになり、腕に密着している。肩口も密着してるかの様で、食い込んでる!
「うぅ、、、トキヒコ、苦しい、、、」
「えぇ~い!」
袖の先からシャツを引き裂き、何とか片腕を引き抜く。
同じ様に両腕を抜き、前からシャツを引っ張り脱がせば、、、たわわなバストがそそり上がる様に現れた。
「あー、役得!」
でも、脱がすのはいいんだけど(いいのか?)、その後どうしよう?さすがに裸のままじゃマズイよなぁ。
「トキヒコ、、、苦しい」
「あーはい、今、」
先ずは脱がしましょう。その後で考えましょう。
ユーカナーサリーの独特とも言える、多くの色付きの革で編み上げられた靴を脱がす。
「おっ?」
腰巻きなんてしてたんだ。
これもお腹から食い込んじゃってる!でもグルグルと外して。
「では続きまして」今度はズボンだ。
白いズボンはスパッツの様に密着し、その股間部は、、、大きく湿っていた。
「お洩らし?、、、いや、ユーカナーサリー、体調は大丈夫ですか?どこか悪い所は?!」返事は無い。
そうだ、身体の変化に加えて、あれ程の熱を発する症状が現れたんだ、普通でいられるハズが無い!何かどこかが悪くなってたりして!急げ!
「お、お尻が、」抜けない。バストもそうだけど、ヒップもプリンプリンに成長しちゃってる!
「フンがー!」
私はユーカナーサリーの白いズボンを腰の部分から左右に引き裂いた!
「これで何とかお尻は抜けるか、」
でも、ブラジャーは当然ながら、パンツも履いてない。
腰から抱えて引き裂いたズボンをズラす。プリンと成長した張りの有る上向きのお尻が現れた。
こりゃもう、役得なんかでは済まされないな。
この場面、リーザと初めて出会い、私のアパートで、雨に濡れた彼女の服を脱がせた記憶が蘇る。
「20年とちょい前、あ〜懐かしい、若かった。オレも歳を取ったなぁ〜、、、いや、今のユーカナーサリーは病人みたいなモンだ。」
ブルブルと頭を振り、仕切り直しだ。
ズボンをズラすのは、途中で止めて、、、引っ張ろう、ふうーんがー!
ピチピチに密着している脚を片方づつ引き抜こうと、、、トキヒコが右脚からズボンを引っ張りズラシ出した瞬間!
「アァッ!」
刺激が走った。
新たに起こった刺激に堪らず、ユーカナーサリーはトキヒコに抱きついた。その刹那!
「オッパイが迫って来た!あっ!」
トキヒコの視界から、周囲の景色が消えた。
ユーカナーサリーは魔力を行使し、ひとつの空間を作り出していた。
「コレって、、、ザーララさんみたいな、、、」
広くは無いと解る空間、そこは見えない膜で包まれるように囲まれている。でも手を伸ばしてもその空間の狭間には届かない。
ユーカナーサリーが作り出した空間は『ニエ・ウィドヅクズジェテゴ・プレゼンステラゼン』。
姉であるザーララがトキヒコと過ごす為に作り出すモノと変わらなかった。
その概念は、外からは分からず干渉されず、空間自体を隠すモノ。
「ユーカナーサリー、コレって、、、」
エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは、膨大な魔力をお持ちだと聞く。
里国を取り囲む結界を維持・コントロールして観測も行う。
それとは別に空を飛び、空間を移動し、私が居た世界とこのエルフの里国の在る世界を繋ぎ渡ってしまう。大魔法使いの何者でもない。
だけど、私が神の行いと思ってしまう姉であるザーララの“力”には届かないと思っていた。
ユーカナーサリーは、身体の成長に伴い、その持つ魔力の力や行使も成長したと言うのか?
「紅の瞳、、、」
ユーカナーサリーもザーララさんと同じ力を持ったと言うのか?
だけどこの空間って、この状態を作り出したのは、、、まさか?
「トキヒコ、その”まさか“である。」
声の主、私が見上げた正面には、一糸纏わぬユーカナーサリーが立っている。(浮いている。)
「ユーカナーサリー、、、ですよね?」
見た事の無い(見慣れない)、裸のフェアルンが目の前に居る。
「我に違わず。我は理解に近付こう事、我は求めよう、トキヒコを求めよう。」