表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/42

来客者 ブラゾウィ・カミオンカ

 エルフは『開く』との術を使い、お互いが意識の範囲で意思疎通を行う。

 それは互いに口を開かずに、会話を行うような事。 

 会話が届く範囲(距離感)で、それは行われる。

 

 私はエルフでは無い。

 だから『開く』なんて術は出来ない。そもそも『術』を行う“魔力”を内には秘めていない。

 だけど、ルイラー、、、さくらが言うには、ルイラーに向き合い(見えません)、ルイラーに対して『開く』とすれば、ルイラーは答えてくれる、私へ何やらを伝えてくれると。


「まあいいでしょう。何事も練習は必要だしな。ちょっと、やってみますか」

 さくらは、“ありのままのスルガトキヒコ”で向き合えと、ありのままで無くとも、オレがスルガトキヒコである事には変わらないんだけどな。

 ではでは、

(「ほぉーあぁ〜、ん~~、はっ、ルイラーよ『開け』」)

「ゴマ!」

 あー、最後の“ゴマ”は余分だったか。


「何も無い。シーンともしない。なんだよルイラー、なんなんだよ!」

 そもそも何だよ『開く』って、あれ?エルフの皆さんは何を『開く』んだろう?



 あっ、

「誰かが来る」

 ルイラーは、トキヒコハウスに向かって来るエルフの存在をトキヒコに伝える。

「でも、知らないエルフみたいだ」

 程なくして、その者は現れた。

 ノックも無く、ドアが開かれた。

(エルフの里国に、ドアをノックする習慣は有りません。)

「スルガトキヒコ、問いたいが。」


 何の前触れも無く(ルイラーが教えてくれたけど)現れたのは、(多分)会った事の無いフェアルン(女エルフ)だった。

「私がエルフの皆さんに、教えられる事なんて無いけどなぁ」

 実際無い。私が誰かに話せる事は、人間社会の事しか無い。それも凄く限定された範囲でだ。


 現れたエルフは”シェムニィ・ブラヅ・ブラゾウィ・カミオンカ”と名乗った。(私はエルフでは無いので、相手の意識を読み取れません。尚も日本語でないと分かりません。それに”カミオンカ”って、なんか聞き慣れないなぁ、、、どんな意味を含んでいるのだろう?)

 私は、フェアルンのエルフを招き入れた。

「スルガトキヒコに問おう。スルガトキヒコは児を持とう。」

 なんか唐突だなぁ。

「ええ、私には一人娘がいます」

 スルガさくら、私とリーザとの娘。


「何故だか突然だが、私も自身の児を持ちたいと思う様になったと思う、、、」

 エルフには、子作りする『時期』が来る(らしい。それが何時なのか、何がきっかけなのか、、、基本エルフ達は『植物かよ』と思わされる程、性欲を持たないみたいだ。だけどそれが、無闇な争いの種の一つになっていない、とも思われる様になったけど)。


「私は、、、私は想像してしまう。私が児を持ち、次の世代へと託す事を。」

 このエルフは求めている、、、珍しい。でも、何を託そうとしているのだろう。


「私はセラミカ・ポウィエドジエック『交し陶磁統』の呼称を持つ。」

「へぇ~『交し陶磁統』かぁ、って何?」

「スルガトキヒコ、それだ、その水差し、横成る器だ!」

 『トキヒコハウス』にやって来た、”シェムニィ・ブラヅ・ブラゾウィ・カミオンカ”と名乗ったフェアルンは、少し語気を強くする感じで、私の”作業机“に置かれている、陶器製の水差しとコップ代わりにしている御椀を指した。


 “セラミカ”って、確か陶磁器の事だよなぁ。

 陶磁器、ちょっとだけ知ってる。陶磁器は『陶器』と『磁器』それと『焼き物』とかを合わせての呼び方、総称の事だ。

 にわか知識だけど、陶磁器は『陶器』と『磁器』で大きく分けられる。

 そして『陶器』と『磁器』を分ける違いは原料、材料に違いが有るからだ。


 『土物』と呼ばれる陶器は、主な原材料が土や粘土であり、それは光を通さない。だけど、土ならではの自然さや素朴な風合いが有る。それは陶器から感じる温かみだったりする。何より手作業、手作り感が有る。

 磁器より密度が低いため強度が弱く、熱伝導率が低いため「熱しにくく冷めにくい」のも陶器の特徴。

 イメージとしては和食器だ。水瓶とか土鍋だな。鍋料理好き。


 『石物』と言われる磁器は、陶石(磁石)を粉砕した石粉が主な原料となる。それは吸水性が0%であり耐久性にも優れた面を持つ。そして陶器とは反対に透明感があり光を通し、その手触りは硬質で陶器に比べると軽くて丈夫。

 また、磁器は熱伝導率が高く『熱しやすく冷めやすい』特徴を持つ。だからエルフの大鍋は食材を早く温めたいから磁器製の物だ。

 こちらを食器でイメージしたら、洋食器、かな。


「って事は、カミオンカは陶芸家?」


「『陶芸家』聞き慣れぬな。スルガトキヒコの持とう意識として成らば、その様な存在の者は我が里に居らず。尚も器成れが暮らしの用と成らぬとあらば、如何とする?」

「ええ〜、鑑賞用とか」


「鑑賞すべき器に価値など有ろうのか?我らが持とう価値ならば、用を足さねばその価値は発生せず。」


 そう、エルフは物、物質に対して価値を見出そうとしない。物に対しては無頓着な程に。

 だからと言って、何であっても無駄な使い方はしない。物であれ道具であれ、それは自分で無い誰かが集めてくれたから、誰かが作ってくれたから。だから大切に丁寧に取り扱う。

 そして、物なり物質、資源が無限では無い事を知っている。

 だから『無駄な使い方』『乱暴な取り扱い』なんてしない。物に対して無頓着であっても常に無駄な事はしない。『無駄』という行為を知らないかぐらいに。だから『もったいない』なんて言葉も概念も持ち合わしてはいない、必要がない。


 でも、エルフがもうひとつ進んだ文化を持つ事になって、陶器を愛でる時が来たならば、、、こりぁカミオンカと仲良くしておこう。そうして“究極の逸品”なんかの陶磁器製品を作ってもらっておこう。


 へぇ~、だけど陶磁器の製作者か。でも確かに誰かが作っていないと、エルフ達の食卓に並ぶ食器は木製ばかりになっちゃうから、そして陶器製の食器類も有る。

 木製だと染み込んじゃう調味料も有るし、それに磁器製の大鍋が無いと料理は作れないかも。

 陶磁器の製作者、その役割を持つ者は必要だな、なんで今までお会い出来なかったのだろう。


「我らが出会わなんだ理由か。陶器、磁器、その作りには良質な土や石、粘土を必要とする。其を探し歩き回ると表現しても良いだろう。」

 ブラゾウィ・カミオンカの材料探しはエルフの里国の内にて行われるばかりではなく、その行動範囲は留まらずに里国の外へと及ぶ事もあるそうだ。

 尚も焼き物の窯は約1,000度を発生させる必要があり、里国の外れに位置する事となる。

「我らの王宮や城下の者達への納品?と表そう事か、その行為成れ行のお刻以外には、離れて暮らそう事。」

 ふぅ~ん。


「とすると、カミオンカは”旅するエルフ”って事?」

 エルフの里国の民達は、積極的には里国の外には行かないって。それは『旅行』の概念を持ち合わしていないからだとも。

 実際に、リーザもエルフの里国の外へと出た事は(私と会う以前では)無いそうだし。


「『旅』と申そうが、スルガトキヒコよ、旅とは如何なる?」

「ええ?うーん。旅はですね、何時もと違う場所に行って、何時もと違う景色を見て、何時もと違った物を食べに、わざわざ出掛けるって事」かな。

「其は必要か?」

「リフレッシュ、気分転換ですよ」やれ売り上げが、やれ締め切りが、あーだ、こーだと、皆んな疲れてんですよ、鬱憤晴らしとか気分転換がしたいんですよ。

「成らば、其は不要成るな。」

 ええ〜、エルフの皆さんは疲れを溜めたり悩みなんて無いのぉ〜。



「すまぬ、私が来た目的が外れたな。スルガトキヒコよ、私には何時『時期』が来るのであろうか。それは待つべきモノであるのか、向うべき事柄なのか、私では答えを見出せずにいる。」

 ええー!そんなのオレに聞かれても知らないよー!

 だけど、求めて、悩みを持つエルフ。珍しいな。

「スルガトキヒコ、我らとて生命を持つ者。悩みなど皆が多く持とうぞ。」

 えっ!そうなの?!エルフはお互いに意識を読み取る。それは私達人間が会話を行うのと同じに。

 しかし、会話を越してしまうであろう、自分の考えや意志や意識まで伝わっちゃう事も有るのだから、嘘や隠し事は通用しない。だから悩みなんて持っていても、相手が知る事になるものだと。


「相手に対して『開く』にも、個により差異はあろうぞ。」

 そうなんだ。だけどエルフが悩みを持つだなんて、こりゃ考え方を改めなくっちゃなぁ。

 だけど『開く』って、どうやるの?


「本題に戻ろう。スルガトキヒコは児を持つ。何故だ?」

 えー、子供が居る事に対して、何故だって聞かれてもなぁ。

 性行為したから。身も蓋もないけど、根本の理由のひとつには違い無い。

「何故でしょう。改めて問われるとその答えは有りません。私が以前居た世界は、男と女が夫婦、『つがい』ですね、その立場を取ったなら行く行くは子を持つ、子供が産まれる事は自然の流れというか、慣習でしたので。また、夫婦として共に時間を過ごす先に『自分達の子供が欲しい』となるのかな。」

 私も、リーザとの間に自分達の子供が欲しいと思った。

 だけど私達の間には“異なる生命体”の壁があった。だから子供を持つ事は可能なのか、そもそも子供を作っても良いのか?(行為はしちゃってたけど)実際にリーザの懐妊が分かった時、喜ぶべき場面に関わらず、私はその重圧に押し潰された。

「『夫婦』、つがいとなる立場同士の者。今の私にその存在は無く、求めてもいない。」


 ブラゾウィ・カミオンカが、子を持ちたい理由は託す、伝承したいから。

 では何故、自分でも突然と言っていたけど、そう思ったのだろう。

 自分が気付かないだけで、その『時期』は迎えているのではないか?もしくは、自身の”死“を意識する場面でもあったのか?


「でも何で、私の所に来られたんですか?」同じエルフに聞いた方が早いじゃん。それに正しい解答を得られるだろうし。

「聞けぬ。」

 えっ?

「聞けぬのだ、スルガトキヒコよ。」

 えぇ~何でぇ〜?

「何かな、何故だか我らに問うにははばかれられよう。何かが私をそうさせる意識と成る。」

 ふぅ~ん、エッチな話しになるかも知れないから、恥ずかしい?でも人間である私が相手であったらいいのか?


 だとすると、コレ、ある意味『時期』を迎えているんじゃないのかなぁ。ちょっと試してみるか。

「ちょっと試してみたい事があるのですが、いいですか?」


 彼女をこちら側招き、私達は作業机の長椅子に並んで座った。

「目を閉じて下さい」

「今、貴方の隣に居るのは私です。シズロック(男エルフ)では無く、人間です。(エルフではありません。)ですが、エルフも人間も関係無くシズロックが居ると思って下さい」

(私の持つ意識が伝わってしまうのは、どうしょもないけど。)

「分かった、お前の申す通りで良いぞ。」

 では、


 私は彼女と横に並んで座り、その手を取った。

 スベスベの美しい手。粘土とかをこねるからかなぁ?

「何か感じますか?」

「別段。」

 私は彼女に触れる箇所を移動して行く。

 手の甲から腕へと伸ばす。

 首筋に触れればピクリとの反応が現れる。

 髪を撫ぜた後、耳に触れる。

「あっ、、、」

 彼女が吐息を洩らす。彼女の呼吸が少しだけ、上がったように感じる。


「ここまでで、何か感じましたか?気持ちに変化とか有りましたか」

 、、、役得。

「気持ちが良い、というのか、、、もっと、もっとそうして欲しい。だが、もっと別の強き刺激を求めるというか、この感情を言葉とするのに窮してしまっている、、、スルガトキヒコ、続けてくれ。」


 私は一歩、大胆になる。

 再び首筋に触れる手を肩方向に移動させ、肩甲骨辺りからその手を降ろす。

 カミオンカは瞳を閉じたまま、顎が上り、穏やかに頭上の空間を見ているかの様だ。


 形の良い彼女の胸に触れた。

 エルフは下着なんて着けないから、直にその胸に触れたのと変わらない。

 優しく下から揉み上げる。


「あぁっ、、、」

 再び彼女は吐息を漏らすと、目を見開いた。

(あー、ちょっと、やり過ぎか。)

 ブルーとブラウンが交互となった、潤んだ瞳に見つめられる。


「あー!たまらぬ!如何なスルガトキヒコ!込み上がろう!」

 私は抱きつかれ、押し倒された。

「あわわっ!どうどうどうー!ち、ちょっと落ち着いて!」

 性的に迫るエルフを乗り慣れた馬の様には留められません!


 何だかバタバタ、ジタバタとした取っ組み合いが始まっちゃった。フェアルンであってもエルフ馬鹿力!敵いません!

「あっ、いゃっ、いやいやいや、ちょっと待ったぁー!」

 私は『今』は、その気は有りません!

 ドタバタ!ジタバタ!

 バタバタッ!

「あー、もうっ!」

 ふぅ~何とか引き剥がせられたよ。 


「はあ、はぁ、、、カ、カミオンカ、あ、あなたは、性的な行為に反応した。気持ちも身体も」ハァハァ

「あなたには、その『時期』が来ているのか、凄く近付いているのでしょう」

 つ、疲れる!

 ちょっと反則的で役得な行為だったけど。


 エルフだって恋をする。

 リーザからは恋愛感情が伝わって来たし、以前恋患いが暴走して、ダークエルフになっちゃった者も居た。

 でも、エルフの“恋”って、どんなのだろう?


「貴方の身体に限らず、感情の中にも恋愛を行う準備は整っているんでしょうね」

「恋愛、、、準備か、、、整ったならば、次に私は何を行おう。」

 うーん、

「シズロックと出会う事、その瞳を見る。『開く』(意識の疎通)とは別の所で感情の動きが働けば、そして相手も時期を迎えていたら、出会った時にお互いが何かを感じるでしょう。ビビッと」

 リーザと出会った時はドッカーンだったけどね。

「『ビビッ』か。」


「ただし、その者と、お互いが合う合わないは有るでしょうから、見極めは必要でしょうね」


「スルガトキヒコ、お前が良い。今より我らはつがいと成らぬか。」

「あーダメダメ。私には既につがい居ますので」

 私は既婚者ですので。

「越える者か。」

「そうですよ、知っているじゃないですか」

「私は良いぞ。」

「それもダメ。私のいた社会文化では、夫婦は1対という決りがあるのです、」

 エルフの里国に、そんな決りは無いけどね。それにエルフは一夫多妻制が許されてるかも知れませんけど、そんな事をしたらリーザに殺されます。


「取り敢えずカミオンカ、貴方の相手は私では無いです」

 私は、エルフと歩みを共にするのには、短か過ぎる、、、。

 ふと、カミオンカが悲しそうな顔をした。

 それは、私の今持った思いが伝わってしまったのか、『つがい』の申し入れに対して私が断ったからなのか、相手の意識を読み取れない、私では分からない。


 理解してくれたのか、納得がいったのかは分からないけど『時期』を迎えたであろうフェアルン、ブラゾウィ・カミオンカは『トキヒコハウス』を後にした。

「今度は私があなたの所へ訪問させて下さい。そしたら、私に食器セットを作って下さいよ」

 先行投資、、、いや、そんなの無いわ。

 だけど出来たら、材料探しの旅にも連れて行って欲しい。

 エルフの里国の外、まだまだ見た事の無い景色も見てみたい。



「トキヒコさん、お客さまはお帰りで?」

「リーザ、」何時から居たんだろう。

 ふぅ~、何かヤバかったのか?良くぞあの状況で留まったな。エライぞ、オレ!


「リーザ、エルフが悩みを持つなんて、、、エルフ達はお互いに意識のレベルで意思疎通が行えるから、、、」

 私の意識は筒抜けです。

「だから、隠し事なんて出来ないと思ってた。だから、例え悩みを持っていたらそれは相手に伝わり、解決の道を探すモノだと」エルフが人間の様に、人知れず悩みを抱えているなんて、、、。

 知らなかった、、、と言うか、エルフは悩みを持たない、持てないモノだと、、、勝手な先入観を持ってしまっていたんだ。

 エルフは私に比べ肉体も頭脳も意識も、全てにおいてスーパーマン的な存在。だから悩みなんて無いモノだと。

「リーザも悩みを持ってるの?有るとしたらそれは何?」


「我らエルフも叶わぬ事は多ございます。自身の未熟さ、知識の足らず知らず、釣果や成果の不十分。」

 う〜ん、人間の持つ悩みと何か違う。

 何かの成績に関しては似てるけど、人間の持つ悩みって、自分の持つ容姿とか、お金とか技能とか(誰かと比べるから)個人的な要因が多く、それで人のせいとか、回りを原因にしたがる。人間関係とか仕事内容、個人が社会から受ける影響や状況を顧みる事も有るけど、決まって自分は不幸だと嘆く。

 何かエルフが持つ悩みとは違う気がする。


「トキヒコさん、我らも変わりませんよ。個として持つならば同じ生有る者同士、人間とは社会背景が異なるのみです。」 

 そうなのかなぁ。

「私の持つ悩みですか、、、言えません。例えトキヒコさんに求められましても言えません。それもひとつの悩みやも知れませんね。ですがお許し下さい。」そう言うと、リーザは微笑んだ。

 リーザが悩みを持っているなんて、、、私がリーザの事を知らな過ぎる。だけど、、、

「リーザも悩みを持つ。それってリーザも人並みのエルフって事か。いや、エルフ並みか」

 リーザがエルフであり続ける為に、、、それが私がエルフの里国へと移住を決めたひとつの要因だ。

 だから、いい傾向だな。



 リーザが持つ悩み。

 エルフと人間とは過ごす時間に差異が有る。

 その差異は生を続ける互いが持つ、異なる摂理であり理。

 トキヒコはリーザより先に死を迎えるであろう。

 それが何時になるのかは誰にも分からない。

 だが、自身より先にトキヒコに死が訪れる事は、逃げれぬ、避けられぬ事である、、、リーザは理解している。

 人間は、エルフと同じ刻を歩めぬ。

(「ならば尽きるまで、果てるまで、私は歩を共にするのみ。」)

 リーザが持つ自覚であり覚悟、そして悩みでもあった。

 それは、人間が感じ持つモノとたがわなかった。



「でもですねトキヒコさん!」

 あっ、何か厳しい!

「トキヒコさんの行いました行為はセクハラです!」

 あわわぁー!やっぱバレてる!

 だけどオッパイポロリも普通なエルフの里国で、セクハラってぇ〜

「ですが今成るあの状況、致し方なさも理解しましょう。」

 ふぅ~

「ですが!」

「は、はい!」

「トキヒコさんが触れて良いのは私の胸!私の胸へと触れまする事は、セクハラとは成りません。」

 リーザの毅然とした態度。でも、言ってる事は大胆でエロいんですけど?

 リーザ、分かって言ったのかな?混乱してた?


 リーザはトキヒコのフェアルンに対する行為に混乱する意識を持った。それは嫉妬。

 嫉妬、妬きもち、、、エルフが持たない意識であり、感情である。しかし、リーザは人間社会で暮らし、知った。

 トキヒコに近づく女性、フェアルンに対して妬きもちを感じるようになっていた。

 それは、リーザが持ってしまった、人間的な側面のひとつであった。



 だけどやっぱりリーザにはバレていた。たぶん最初から。

 下心あっての行為だったとは、、、スイマセン、100%無かったとは言い切れません。ほとんど興味本位でしたー!


 でもリーザ何時から居たのぉ、ル、ルイラー!何でこんな時は教えてくれないんだよっ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ