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ザーララ エルフの本質 トキヒコは普通

 ザーララさんに、さくらの魔力に関する事を伺ってみた。

 さくらの『魔力講座』の進捗具合はどうなのかな?

「さくらは、育つ。」

 まだ背が伸びるの?


「人間は、そうであろう。」


「知識を得れば、その脳は活性化され

 体を鍛えれば、筋肉は発達する。


 さくらが魔力を使えば、それは育つ。

 魔力を何か知れば、その力は広がる。

 その力、底が知れぬ。無限成る事表せ様か。」

 ふぅ~ん、何となく。


「だがな、魔力など、どうでも良い。」

 はぁ〜?魔力について伺っているんですけど。

「エルフはな、トキヒコにがれる。」

 こげげる〜?火傷?

「エルフはお前に憧れる。」

 いえ、私ではなくて、さくらの事を


「トキヒコ、お前は能動者だ。」

 能動ってぇ〜、自分から何でも行える者?だとしたら私なんかは全然当てはまらない。

「トキヒコ、お前は何かを始めよう。誰にも何にもお前は待たず、自らの意思で示そう。」

 いやぁ『待ちの営業すんなっ!』って言われて来ましたけど。

 だけどそれだと、エルフの皆さんの方が自立的で能動的でしょう。

 『エルフは自身の道を自身が決める』と思っていますし、周囲の環境や社会の影響に流される、人間なんかとは違いますよ。人間は、どちらかと言うと受け身ですよ。


「トキヒコの我らに対するその持つ思考、確かに我らは自身の歩みを自身が決めよう。だがな、何事を進もうとも費やされる刻を要する。その刻はな、迷いを消す為に費やされよう。」

 迷いを消すって、、、エルフの皆からは、迷いなど感じた事は無いけどなぁ。エルフの『戸惑い』とは違うのだろう。

「だからな、我らが行いし事など知れている。迷いを消しても危うさは変わらず。我らエルフはな、トキヒコが想う程優れた面など持ち合わしてはいない。」


「お前は、我らの里にて湯場を作った、麺を作った、野球を行いサッカーを行おう。魔癌塊体を鎮めるに至った。」

 『エルフ湯』と麺作りはユーカナーサリーのご指示でしたが。

「それでもお前は行った。誰に尋ねた、何者に問うた、何者に断りを申した。否だ、お前はお前の意思で常に歩み進めん。」



「トキヒコはよく『エルフは生真面目な働き者』だと表す事も有ろう。」

 ええ、常に思ってます。

「我らが求むるは、生を永きに続かせよう事。それだけだ。」

 ええ、長生きみたいで。

「だからな、それ以外の事など求めず、知らず。」

 エルフ、真面目過ぎでしょ、人生の楽しみとかは?

「トキヒコ、我らエルフは真面目などでは無い、知らぬだけだ。それは我らが持とう、本質為ればこそ。」

 エルフが持つ、本質って?


「例へお前よりギャラック(遊び)を教えられようと、本質は変えれぬ。故にギャラックの刻は限られる。

 ある程度で切り上げ、明日へと備える。そこがお前がエルフは真面目だと捉える点やも知れぬが、本質は変えれぬ。」

 人間でしたら、何時までも遊んでいたいし、遊びの延長で生計を立てちゃっている者も居ます。


 『本質』は、それがヒトで在ろうとエルフで在ろうと、犬や猫、リンゴに書籍にテレビ、、、なんであってもそれぞれが持つ”基”であり欠かす事が出来ない根本の要素だ。それぞれが物つ、最も大事な部分だろう。

 では、エルフの本質って、、、?


「本質とは変えれぬモノ。其を変えてしまえば、元成る形は成さぬであろう。ウォッダ(水)は決してオッジェン(火)とは成らず。」

 ええ確かに。水が火に変わったら、それはどちらでも無い、何になるのか分からない。多分、どっちつかずのまま消えてしまうのだろう。

「我らの“其処”には本質が有ろう。本質は変えれぬ、根本の要素である。本質は概念拠り性質。故にそれは曲げれぬ。」

「ギュラックを続ける事が好き、嫌い、、、のレベルでは無いのですね」

 

「トキヒコ、重力下にて雫が真っ直ぐに落ちよう。外的要因が及ばさぬ限り、その動きは変わらぬ、変えられぬ。

 例へ何やらの影響下にあったとせよ、其が消えれば雫の動きはまた戻る。本質為れは、それと同意である。」


「我らの本質はな、繰り返すが生を永きに続けよう事。それだけだ、、、。だからか、変化を望んで得ようとはせず。」

 本質は変えられない、、、一時的な変化を持ったとしても、その根本は消えない、また戻る、、、私の本質って、何だ?



「トキヒコの本質か。」

「ええ、種としての(人間ではなく)私自身の本質ってなんなのでしよう?


「トキヒコ、目的も定まらぬ中、先行く情報を持たぬまま、歩き進むとせよ。

 先に二手に分かれよう道が現れる。どちらを選ぼう、如何とする?」

「まあ、その時の気分で決めちゃいますね。右なり左へ、取り敢えず進みますね。」

 間違っていたら、戻ればいいんだし。

「我らでは選べぬ、先へとは進ぬ事は適わず。」

 えぇ~なんでぇ?

「其は、わたしも同じだ。」

 何でぇ〜?

「新たな行い、新たな場、新たな道を見付けし者も居ろう。だがな、飽くまでも周囲や自身が持つ経験と知識に裏付けされた知覚に依る延長線に過ぎず、無からの発見や発展では無き。」

 知らぬ事案は恐ろしいって事?人間も一緒です。


「またな、同様に暗闇の中を進めぬ。先が不明で何が有ろうか知らぬからな、動けぬ。故に光を灯す。」

 そう、ザーララさんはそんな時、環境すら変えちゃうから。

「その場でエルフが光を灯すは、暗闇では先が分からぬからだ、知らぬからだ。」

 いえ、それは私も一緒ですが。

「しかしお前は、お前のその足で、暗闇であろうと走ってしまおう。その行為、我らでは行えぬ。お前は状況が分からぬ、知らぬ場であっても、歩を進めるであろう。」

「まあ必要とあらば、行っちゃう時も有るかも知れませんけど『無茶するな』『無茶苦茶』だとかと、怒られます」

「無茶か、、、我らエルフには無き概念だ。」


「トキヒコの本質、それらに表そう。」

 えっ、私の本質は『無茶苦茶』って事ぉ〜

「勇気と言うか冒険心と言うか、恐れず迷いなく歩を進めよう。それがお前の本質やもな。」

 私の本質が、そんなカツコイイ筈が無い。


「お前はエルフの頭脳がどうとかとも言うが、知っている事であれば、それを答えるのは容易い。」

 エルフの皆さんが、多くの知識を求める事は、性格?性質?

「性質か、我らに生まれつき備る固有の着目たる特徴では有るが、我らが得よう知識も同じく。」

 ええ、エルフは勤勉です。

「勤勉さと感じるは、我らが知らぬからだ。先を知るのであらば、迷いも生じぬ。知らぬ事を埋めようとするだけである。」

 それは人間も同じです。だから、迷いや失敗を起こさない為に、人間は学びます。はず。人間は過去から学んでいる筈なのに、忘れた振りをしちゃうからなぁ。


「発想も想像も、その素としての知識を持つからであり、かといい、結果を見出せぬ想像は取り組む事も出来ぬ。」

 エルフは『取り敢えずやってみる』が出来ない。それはリーザも戸惑ってしまう。曖昧な考えを持たない(持てない)から、一歩を踏み出すのに躊躇しちゃう場面もある。だけどその躊躇する『時間』が数えられない程、短いんだけどね。

「故に、知らぬ事には太刀打ち出来ぬ。答えを見出せなくば、動く事もままならぬ。」

 エルフは、失敗を恐れて行動が出来ないのではなく、答えが見出だせない事に対して動きすら止まってしまうというのか、、、。


「だから我らは知識を求める。知るを求める。」

「そして知識の共有を図る。それは自己防衛の他でも無き。」

 エルフの勤勉さが、自己防衛だなんて、、、それは人間も一緒でしょ。ただ、人間は得た知識を忘れる、得た知識を活用出来ない。尚も特化した知識になればなる程、相手に伝える事は困難な場合が多い。


「トキヒコ、我らの在り方だ。知らぬ事に対し、動けぬ。それがエルフ成れである。」

 知らない事に戸惑ったり、困惑するのは普通の事。人間だって同じです。


「普通の事。そう、お前は良く言う。しかし、個が異なればその普通の範疇も異なろう。」

「うーん、そうですね、普通って人それぞれに違ってるかなぁ」


「お前の普通は、我らでは届きもせぬ事象と成ろう。」

 普通、、、ただ、多くの者が同意する事や同意する声が多ければ、それが普通って言われるのかなぁ。

 ですので私の持つ普通は、、、いや、やっぱ何も面白味の無い、ただの普通。


「ああトキヒコ、お前は希有成る存在だ。お前に焦がれる憧れる、お前が愛おしい。」

 ザーララさんのラブコールが熱烈過ぎる!


 こんな普通(人間社会では下位か?)のオレ程度でこの反応!これじゃあ、エルフの里国に他の誰でも(人間)が来たら、皆んなモテモテじゃん!

 だから尚更、エルフの里国に他の人間は来ません様に!




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