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ツンデレ妹

作者: 梅はね


 私は兄が嫌いである。


 兄とは妹に尽くすべき者。

 その宿命を背負って生まれてきた以上は、兄は私のために生きるべきなのだ。

 にもかかわらず、現実にはそうではない。

 兄は私のためではなく自分のために生きている。すっごく自分のために生きている。


 まあ、それはいい。

 生まれながらにして誰かのために生きることを強要されるなんておかしいし、せっかく生まれてきたのだ。兄は兄の幸せのために生きるべきだ。

 とは言え、である。

 私たちはせっかく兄妹として生まれてきたわけで、もう少しその関係性を大切にしても良いと思うのだ。


 具体的には、家族でも何でもない女に現を抜かしてないで、もっと妹に構うべきだ。


 言っておくが、別に私は兄が嫌いとか言ってる癖に兄に構ってほしいツンデレ妹という訳ではない。断じて違う。

 ただ、もっと家族を大切にしようね、という話をしているだけだ。

 兄は自分が幸せであることに気が付くべきなのだ。

 私のような美少女系妹がいて、そして兄のことが嫌いとは言え、兄のことをちゃんと大切に思っているわけなのだから。


 物語の主人公のように幸せ者であるはずの兄であるが、最近、私への関心がどんどん薄くなっていっている気がする。

 昔は私一筋の優しいお兄ちゃんだったのだが、今では妹より女の方が大切らしい。

 お兄ちゃんも所詮男。大人の身体を手にして股間に正直になったということだろう。

 何という性欲モンスター! なんて不潔なのだろう。

 私に一途だった無垢のお兄ちゃんを誰でもいいから返してほしい。


 というか、疑問なのだが、本命は誰なのだろう?

 兄は複数の女性と仲良くしているようだが、いまだ彼女はいないはずだから誰かを狙っているはずだが。

 まさか誰でもいい? まさか全員?

 仮にそうだとしたら、流石に幻滅する。


 まあ、お兄ちゃんが性欲モンスターになってしまったとは言え、お兄ちゃんには変わりはない。

 誰でもいいだとか、全員だとかいうことはないだろうけど、ここは物語ではなく現実。

 夢や希望だけ見せて付き合わないとかいうことは止めてあげてほしい。

 最終的には当人たちがそれでよければ何でもいいけども。


 話が逸れたな。

 お兄ちゃんが彼女を求めているとか、誰を彼女にしたいだとか、その彼女との関係とかはどうでもいい。

 重要なのは妹である私を構うこと。

 中学二年生、十三歳の妹だぞ。実は素直になれないだけで兄に甘えたいと思っている、とか考えて自分から甘やかしに来るとかできないのだろうか?

 いや、私は甘えたいとも甘やかしてほしいとも思ってないけどね!

 私が大切だと思っているのは、あくまでも家族内での、そう! 家族内でのコミュニケーションだから。


 別にね、私は家族だから仲良くしなきゃいけないとか、家族だから分かり合えるとか言うつもりはないよ。

 ただ、せっかく同じ家族になったのだ。

 私とお兄ちゃんは兄妹で、お父さんやお母さんのように自分たちで選んで家族になったわけではないけども、だからこそ運命を感じてほしい。

 互いに兄や妹という立場を背負って生まれてきた。

 兄妹であることは止められないし、その事実は消えてなくならない。

 だからこそ仲良くあるために少しぐらい互いに努力し合ってもいいはずで、つまり色々言ったけども、お兄ちゃんは私にもう少し構ってくれてもいいじゃん、という話。


 昔は自分のためにたくさん時間を使ってくれていた兄が、多くの時間を共有していた兄が、突然自分から離れていったら、そりゃあ私だって戸惑うし、つんつんしたくだってなってしまう。

 妹である私よりも家族でもない共に過ごした時間も短い女の方が大切なのかって、寂しくもなるし、嫉妬だってしてしまう。

 だってついこないだまでは私だけのお兄ちゃんだったのだから。


 再度言おう。

 私は兄のことが嫌いである。

 そして、お兄ちゃんはもう少し私に構うべきだと思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] ものすごいツンデレっぷり……! ラストの二文の温度差がかわいらしいです(´ω`*) 本当は「お兄ちゃん」って呼びたいのに、背伸びして「兄」と呼んでる感……! くすりとさせられました。 梅はね…
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