音声記録②
「うっふふへへへ、これならアルトリウスの性能もまた一段……」
「ギーブル」
「ん〜? ……ハストさん、ですか。何か? 私はアルトリウスのアップデートで忙しい…………」
「アクトアンバーについての報告書を出して欲しい」
「…………ぁ、忘れてたわ。いやぁごめんなさいねーついつい!」
「…………」
「いや、ほんとすいませんでした。貴女に冗談は通じないの忘れてましたわ」
「出せ」
「…………出せません。正確には、まだ、出せない」
「何だと?」
「アクトアンバーについて分かっているのは、アクトニウムの組成が変化した物質である事、生物に対して無害である事、むしろアクトニウムを無害化する事。ですが、その理論についてはまるで理解出来ていません」
「解明していないのに、武器として転用したのか!?」
「私には彼の要求を拒む権利はありません」
「だが止める権利はあるだろう!」
「貴女は彼の為に、アクトアンバーが何なのかを知りたいんでしょう。ですが分からないものは分からない。いつかの未来で解き明かせる様に、研究は続けますけど」
「…………お前の本質は何も変わってないな」
「お互い様でしょう。無論、彼も」
「なら精々、お前のその力と技術を死ぬまで利用させて貰う」
「どーぞどーぞ。それが私の償いです。死ぬまでこの地下からは出ませんし、私の事は便利な道具として扱って下さい」
「どれだけ償おうが、私も、ビャクヤも、お前達に関わった全ての人間は、絶対にお前達を許さない」
「今更ですよ。ただ憂さ晴らしで殺されるんじゃなく、役に立ってから死ぬつもりなので」
「あぁ。お前を殺すのは、地獄に堕ちた後の楽しみにしておくよ」




