音声記録①
「どうかしたティノン? いきなり呼び出して」
「先日の件について、聞きたい事があってな」
「先日の件?」
「アルトリウスの事だ」
「始末書沙汰になった?」
「そんなわけあるか。それじゃなくて、正確にはアルトリウスに搭載されたあの武器についてだ」
「エクスカリバーか。実戦で使ったのは初めてだったけど、特に異常は無かったよ」
「アクトアンバーを使っている以上、全てを把握できている訳じゃないんだ。……あの男から提案された時だって断りたかったんだが」
「僕から頼んだんだから、あまりギーブルさんを怒らないであげてよ」
「そもそもだ。エクスカリバーの芯になっている刃には、ゼロ・アンブロシアの技術が流用されている。EA関連の技術の一切を封印するという条約に触れかねない。それを何故……」
「だから普段は絶対に使わない。あの武器はEAを倒す為の最後の手段。禁止兵器に対する、カウンターウェポンだ」
「地上で結晶化したものは愚か、大気で微粒子となっているアクトニウムすら変換、圧縮して、アクトアンバーを形成。一歩間違えれば、EAを超える兵器になりかねないぞ」
「それはどんな兵器にだって言える事。誰が、どう使うのか。ティノン、そのトリガーに指をかけているのは、大統領と、君だ」
「ビャクヤ、お前はそれでいいのか。暴力に対して暴力で応える。これが、正解だと思うか?」
「言葉で理解し合える世界が来るのは、まだ少し先だと思う。それまで、僕達はこの世界にある種と芽を守らなきゃいけない。僕達の様な人間に踏み潰されない様に」
「…………全ては、本当の平和を紡ぐ為に、か」




