第7話 第一章【転生編】1 俺転生した!
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何か音が聞こえる・・・否これは声だ・・・女性の声・・・優しそうな心の安らぐ声・・・
目を開けると薄暗さの中にほんのり色付いているのが見える気がする・・・
あぁ~なるほど・・・ここが、母なる海の中か~暖かくて気持ちが良い・・・眠くなる・・・意識が溶けていく・・・
何日過ぎたのだろう・・・。
・・・また声をかけられたが、やはり言葉は理解できない・・・けど、相変わらず優しい声だ・・・。
耳を澄ますと、もう一人の声が聞こえる・・・。
・・・こっちの声の主はおそらく俺の父親なのだろう・・・ビクビクしている感じが伝わってくる・・・。
・・・1ヶ月は、経ったのだろうか・・・。
おそらく、母親が、自分のお腹を摩っているのだろう・・・俺の頭や体を撫でられた気がした・・・。
安心する・・・。
声も出せない、耳も意識しないと聞こえない。眼も光しか感じない。身体も自由に動かす事が、出来ない状態で、何ヶ月もいると怖く感じる時がある。俺は一人なんじゃないかと・・・。
だから、母親がお腹を撫でてくれると間接的だが俺も撫でられた気持ちになって幸せな気分になる。
人の温もりを感じる。
言葉を掛けられれば、孤独を感じなくて済むから俺は、一人じゃない、と安心する。
・・・さらに、何ヶ月か経ったのだろうか・・・
・・・この様な遣り取りを何度となく繰り返す内に、俺はこの世界の言葉が少しずつ理解出来る様になってきていた・・・。
ある時、俺は気が付いた・・・なる程~本の読み聞かせをしてくれていたのか・・・何度も聞いている内にこの世界の事も少しは分かるようになった・・・。
この頃、一日に何度か自分の身体を何かの力が通り過ぎる感覚がある。
何とも表現しにくい感覚なんだけど、別に嫌ではなかった。
気のせいかなって感じる時もあれば、間違いなく何かが、通り過ぎている事が、ハッキリ分かる時もあった。
・・・それからしばらく経った頃からか、今まで感じていた違和感の正体に気が付いた。
この何とも言えない感覚は、魔法を使った時に使用者の体内を流れる魔力によるものだった。
この頃になると、母親が家事や炊事で魔法を使った時に、母親の体内(胎内)を通して魔力の流れが良く分かるようになっていた・・・
(やっぱり異世界なんだな~。 なるほど~・・・これが魔法を使う感覚なのか~)
この頃には、意識もハッキリしだしていたからか、魔力の流れが良く分かる様になっていた。
(おっ!この感覚は火の魔法を使うのかな?)
とか
(おや?これは・・・分かった!お風呂に水を入れる為に水魔法を使ってるな!)
とか
(これは・・・恐らく・・・洗濯物を乾かすために、風魔法を使っているのかな?)
など、何となくだが感覚的に分かる様になっていた。
逆に分からない時もあった。
(ん~?これは?)
母親の頭の方に魔力が集中している事は分かるけど何をしているかが、分からない。
(これは、何の魔法を使っているんだろう?)
など
この頃には、色々な感覚を楽しめるようになって来ていたので、寂しさや孤独を感じなくなっていた。
そんな毎日を過ごしているとさらに母親が使う魔法を自分でも感じ取れるようになっていた。
そんな事を続けていたら、母の目を通してなのか、この世界の景色が、直接俺の頭の中に情報として流れ込んできた・・・・。
成程・・・父上はこの様な顔をしていたのか・・・中々の美男子じゃないか・・・。
(母上が見えない・・・?って当たり前か・・・鏡でも見ないかな~)
と考えていたら・・・母上が手鏡を持って髪を整えている姿が見える・・・
これが、母上か~母上も中々の美人さんだ~・・・良かった~二人とも本当に優しそうだ・・・。
(ん?お前はだれだ? 声には聞き覚えがある・・・。)
6、7歳位の男の子が、不思議そうな何とも言えない表情を浮かべてお腹を見つめている。
(もしかして・・・兄上かな?・・・多分そ~だろう・・・)
会話が聞こえて来た。
「母上、赤ちゃんそろそろ生まれるの?辛くない?痛くない?母上大丈夫?」
「ビリーもあと少しで6歳か~時間が経つのは早いもんだわ~ もうお兄ちゃんだね~♪」
「レイはあまり無理するなよ。聖教会には、俺とビリーで行くから大丈夫だからな! ビリーもお父さんと一緒で良いだろう?」
「うん!僕は、父上と一緒で嬉しいよ!母上は無理しちゃダメだからね!」
「ウフフフフ♪ 大丈夫よ~二人とも心配性なんだから~♪ ママね~この頃体調が、物凄く良いのよ~♪ 魔力なんて全盛期の頃よりも増えてるんじゃないかしら~」
「それは良い事だけど、それでも、あまり無理はしないでくれよ。 特に!重たい物や大きい荷物を運ぶ時は俺が手伝うから必ず声をかけるんだぞ!」
「母上、僕も手伝うから何かあったら何でも言ってね。」
「ママは、ビリーが優しい子に育ってくれて本当に嬉しいわ♪ 二人とも有難う~♪ 本当に辛くなってきたら遠慮なく二人にお願いするわね!・・・でもね、そろそろ安定期だから本当に大丈夫って言うか、逆にもっと歩かなくちゃいけないくらいなの・・・だからお散歩がてら学校には私がビリーを連れて一緒に行くから心配しないでビルド。ビリーもママと一緒の方が嬉しいわよね~♪」
「うん♪母上と一緒の方が、僕、嬉しい♪」
「おいっ!さっきの父さんの時より嬉しそうな声はどういうことだ?」
「う~ん?だって母上の方が優しいもん♪」
「あ~そうですか!だったら父さんは仕事を頑張りますよ~だ!お母さんと一緒に行ける事になって良かったね~だ!」
「も~う、ビルドったら~子供みたいに拗ねないの!」
これが、俺の新しい父になる人か・・・。俺・・・絶対に似ないと誓う。
前世での記憶が残っている俺の気持ちは、不思議な感覚に包まれていた。
(でも・・・何か良いな~こんな家庭も・・・。)そんな風に思っていた。
どうやら家族構成は、
父上が(ビルド・マグワイヤ)
母上が(レイ・マグワイヤ)
兄上が(ビリー・マグワイヤ)と言う名前らしい・・・。
そして俺が、(???・マグワイヤ)な~てね!
俺の名前は【シン】となる様に決まっているから・・・。
俺は、シン・マグワイヤか~
俺を合わせて4人家族だな!
・・・この狭い母なる海の中での俺の生活が続き・・・この世界の事が少しは分かる様になってきた。
どうやらこの世界はひと月に2回も満月があるらしい・・・。
ダブルムーン・・・幻想的な響きがする。
早く自分の目で実物を眺めてみたい。
さらに、一日は24時間で、一年間が360日ある。
一年が12ヶ月で分かれているが、一週間ではなく始週、中週、終週で各10日間とのことだった。
休日や祝日などの休みも確立されているらしい・・・。
神様達・・・地球を意識しすぎなんじゃないだろうか・・・。
学校は、通っても通わなくてもどちらでも良いんだって!
良い事なのか悪い事なのかは考えが分かれるところだな・・・。
通えない子は、自由と引き換えに知識を得る権利を失う上、仲間や友達との縁も失うって事だもんな・・・。
学校の種類は、魔法小等学校、魔法中等学校、魔法高等学校、魔法大学校と年齢によって分かれている事。
それ以外にも専門職の為の教育機関があるらしい。
もう・・・完璧に地球と同じだな・・・。
・・・そして、俺を取り巻く環境に異変が起きていた。
身体の自由が失われてきた・・・。
なんだ? 狭いぞ! 前より狭く感じる・・・
・・・体が動かせない事がメチャクチャ辛い・・・ハッキリ言って疲れる・・・
狭い~!・・・足を延ばす・・・ キツイ~!腕を伸ばす・・・ 辛い~!腰を伸ばす・・・ 首が~頭を動かす・・・そうして俺が動いていると・・・
・・・優しい声で、必ず囁かれる・・・。
「私の大事な命♪・・・元気に生まれてきてね♪・・・ママは早く貴方の顔が見たいわ♪」
なんだろう?凄く嬉しい感情が俺の内側に流れ込んでくる・・・。
でも・・・・せま~い! 俺!・・・足を延ばす!
「痛たたたた!この子は本当に元気だわ!!・・・絶対!貴方に似て活発な子に育つわ・・・ビルド・・・」
「大丈夫か?レイ・・・もう臨月だろ?安静にしておいてくれよ・・・」
優しく労わっている気持が伝わってくる。
ある時、ウトウトしている俺の傍で、誰かと誰かが話す声が聞こえた。
眼を開けると兄上と父上が何かを離している様だ・・・
「そうした? ビリー何をそんなに落ち込んでいるんだ?」
「・・・父上! 僕は6歳になって、これから魔法小等学校に入学するのに・・・レベルの表示が【0】のままなのは、なぜですか?僕って才能がないの?」
「ん~ あぁ~そんなことか? それより悪かったなビリー、お父さんが忙しいから中々一緒に協会に行ってあげれなくて、そういえば、先月お母さんと一緒に教会に行ったんだったけな!それで、その時は、神父さんに何て言われたんだ?」
微笑みながら優しく語り掛けている。
「う~んと~・・・大器早成型って言われました・・・・・。」
何故か恥ずかしそうに呟いている。
「おぉ~それなら何の問題もないじゃないか! 神父様から他にも何か言われなかったか? それに、お母さんは何か言ってなかったか?」
「他には特になにも言われませんでした。 母上からは、後で父上から教わりなさいって・・・。」
よく見ると今にも泣きそうな顔をしていた。
「あ~、なるほど・・・・そう言うことな~!なら、早成型で何も不自由なんかないし問題もないじゃないか。」
「そんな事ないよ!だって6歳になって聖協会で神託を授【付与】かったら、レベルの表示が【0】から【1】になるって僕、聞いたもん!」
なに~そんな仕組みになっていたのか~!
「あ~スマン、スマン。 レベルの話だったか! それは【大器成長速度】によるものだから仕方がないんだよ。」
「なんですか?その~た・大器~せい~成長~そくど?って?」
俺も聞きたい!教えて下さい。
「誰でも成長するのは当たり前だけど、人によって急成長する時期が異なるんだよ。 成長するのに個人差があるのは当たり前だろ!?」
ほ~そうなのか~・・個人差、そりゃ~そうだよな~それが、この世界だと最初から分かるって事なのか~と俺が納得していたら・・・。
「父上それは、どういう意味ですか?」
兄のビリーが分からなかったらしい・・・6才だもの・・・当たり前か!
「簡単に言うとな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ビルドの話はこうだった
この世界では6歳・8歳・10歳。最後に13歳になってから聖教会で、祈りを捧げる事で、神様より各々にあった【大器成長速度】というものを与えられる。
子供のうちに魔力を使い過ぎると危険があるらしく、この世界を造られた神様の仕組みで、子供の命を守る為の仕組みなんだとか・・・。
レベルが上がれば、ステータスが上がり始める為、魔法のレベルも上がり使い易くなる。
ただし、その人の個性によって、魔法を使うと命の危険があると神に判断された場合には、大器成長速度が遅くなっていくらしい。
なので、例外もあるが、魔法は大器成長速度のタイプによって使える時期が変わってくる。
その人間の才能や性格、気質などにより、個人によって最も成長する事が出来る時期が分かれる。
なので、だから同じタイプの成長速度でも人によっては能力が、顕現する時間に、違いがあとの事だった。
大器成長速度のイメージとしては・・・・
●レベルが上がった時の成長補正がタイプによって大きく異なる事。
・大器早熟型(6歳~15歳でほぼ90%は成長しきってしまう。その後は、微量の数値しか上がらなくなる)
・大器早成型(8歳頃~17歳までに成長上限の80%程度は成長し18歳からは、ゆっくり成長する)
・大器中熟型(10歳頃~25歳までに成長上限の80%程度は成長し25歳以降は、ゆっくり成長する)
・大器晩成型(13歳~30歳成長率が通常の何倍もあるが、12才までは、微量の成長しかない)
この4種類の大器成長速度に分類されるとの事だった。
他にも、
・環境や努力によって成長のタイプが変化する場合がある。
・努力と才能によって成長速度が大きく違ってくる。
努力の仕方が自分に合っていれば合っている程、成長速度に補正がかかる。
・成長時期のタイプによって使える魔法のレベルが違う。
才能にもよるが、タイプが早ければ強力な魔法を覚える年齢が早い。
・スキルは、自分自身が元々持っている能力なので、時が来れば自然と使える様になる。
ただし、祈りを捧げる事で、神々からの加護が与えられ使える様になる事が多い。
・最初から強力なスキルもあるが、弱いスキルでもレベルが上がれば強力になるスキルがある。
・成長タイプごとの年齢になるとレベルの表示が0 ⇒ 1 に変化する。
(言葉は悪いが、何かしらの障害を持っているなどの例外もありその場合は【0】らしい)
・レベルが上がらないとスキルが使えなかったり、魔法を使うのが難しくなったり、ステータスの成長速度が遅かったりする
・・・・・などなど
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成長速度の個人差と聞き、俺は当たり前だろうと、思っていたが・・・流石!異世界!そんな単純な話ではなかったようだ。
「では!僕のレベル表示が【0】って事も・・・僕が【大器早成型】だからって事で、別に僕が才能がないって訳じゃないんだね!」
「ハハハ♪ 今、教えてやっただろ!な~んにも問題ないぞ!」
「そっか~、良かった~僕!才能がないのかと思ってた!」
先程までの落ち込んだ表情が、打って変わって本当に嬉しそうにしている。
「ハッハッハッ~!だから言っただろ。そんな事かって!」
「あ~良かった~!僕、安心しました!」
満面の笑みで、そう答えている。
「そもそも!子供の性格や成長速度は親に似る事が多いから、問題ないんだよ。
ビリーは、性格がお母さんに似ているから大器成長速度もお母さんに似ているのかもな!」
何!成長速度って親に似るものなのか?
「母上も僕と同じ【大器早成型】だったの?」
その時、台所から母のレイが、食事を持ってやって来た。
「レ・レイ! 何をしてるんだ! ダメじゃないか! 食事を運ぶなら俺が運ぶから!」
椅子から立ち上がり慌ててレイの傍へ駆け寄るビルド。
「ウフフフフ♪ ビルドは心配性ね!これ位の物なら大丈夫よ~♪」
食事をテーブルに置きながらビリーを見つめる。
「お父さんとの話が聞こえたけど、ママもビリーと同じ【大器早成型】だったわよ♪」
「えぇ~じゃ~何であの時に教えてくれなかったの?」
「ウフフ♪だって~ビリーってば、神父さんに話を聞いてから悩んだ顔をしてるから可愛いくて~♪」
「だって!あの時は、本当にショックだったんだもん!」
プゥ~と頬を膨らませ恥ずかしそうにしている。
「ガ~ハッハッハッハ~♪お前は、パパとママの子供なんだから、才能が無いなんて事がある訳がない! これでもパパもママも魔法は3属性持ちなんだから大丈夫に決まってるだろ。」
フムフム!だったら俺も大丈~夫ってことだな!3属性って気になるけど・・・生まれてから聞くしかないな。
それから・・・・しばらく経った・・・・ある日の事・・・・・
・・・俺!もぉ~~限界!!!
「痛たたたた~ビルド!!ビルドってばお産婆さんを急いで呼んできて・・・」
「うぉ~待ってろ!!直ぐに呼んでくるからな!!」凄い勢いで家を出ていく父・・・。
そうしていると、顔から滝のような汗をかきながら父ビルドが戻ってきた。
「お産婆さんを連れて来たぞ~!!! 大丈夫か~レイ!!! まさか!もう生まれたか!大丈夫か~?」
「馬鹿ね~そんなにスグ生まれる訳ないでしょ・・・痛たたたた~」
うん!多分・・・バカ親父だな! そして・・・うるさい!
(いダダダダ~!!! い・痛い~!・・く・・苦しい~・・・キツイ~・・・圧し潰される~・・・)
赤ちゃんって生まれる時はこんな思いをしていたのか~
母上がお産婆さんに「もっと息んで!」って言われる度に息まれると、ギュウ~ってなるんだ・・・そうすると俺は絞り出されるような、無理やり押し出されるような苦しさに悶えていた・・・
また、お産婆さんが、もっと息んで!と励ましている声が聞こえて来た・・・
(俺も応援しよう! 苦しいのは俺も同じだ! 母上~! もっと息んで! ウニュ~ウ俺もキツイ~ィ~ しかし!応援するのだ~ それ♪ 頑張れ、頑張れ、は・は・う・え~♪ フレーフレーは・は・う・え~♪)
ん?頭が何かにスポッとハマっている感じがする!? これは・・・もう一息じゃないのか?
(いダダダダ~ぐ・ぐるし~・・・・・後少し~・・・あ・と・す・こ・し~だ~ もっと頑張って~)
またイキまれた・・・頭がなんかスースーして来た!こ・この感覚は・・・もしかして・・・・・空気か?
(ムギィギギギ~あ~と~す~こ~し~~~)
ヌルっと一気に抜け出せた感覚があったが・・・
(き~つ~い~~、いダダダダ~ぐ・ぐるし~・く~び~が~~し~ま~る~)
俺!・・・・・頭が出た!・・・・多分。
そう思った、次の瞬間!俺の目の前に閃光が迸る・・・
(ウッ!眩しい!! 目が~目が~)
とてもじゃないが目を開けていられなかった。
身体が寒い。スースーする。と思ったら身体に何かで包まれた。
(ふ~寒かった~・・・温か~い ・・・あれ?・・・へその緒を切られたら・・・気のせいか・・・苦しい気が・・・苦しい気が・・・く・苦しい~ 呼吸しないと~~~ ん? あれ? く・空気が!上手く吸えない!!(汗) ヤバイ!・・・く・苦しい・・・死ぬのか・・・)
そう思った瞬間、何でか・・・涙が出てきた・・・
やっと生まれたと思ったのに・・・口惜しさといたたまれなさとが交じり合い・・・
生への執着か?諦めたくない思いが胸につまり口から想いと共に溢れ出した・・・
「ウギャ~ウギャ~ウギャ~(おれ、まだ~しにたく~ないよ~)」
オレ・・・誕生!
なる程・・・発声器官が未発達だから・・・発声できないから泣くしかないのか・・・
はぁ~ビックリした~。
「良かった~赤ちゃんが泣いたわ~!うん!とっても健康そうね!・・・奥様よく頑張りましたね~・・・おめでとうございます・・・旦那様!!良かったですね!・・・立派な坊ちゃんですよ!」
「う・生まれたのか~坊ちゃんって事は男の子だよな~ よ・良くやった!・・・良く頑張ったぞレイ!!」
喜色満面の笑顔で喜ぶビルド・・・
「うん!わたし・・・頑張った・・・」
レイは憔悴しきっているようだが、目を細めて微笑んでいる事が分かる。
「俺にそっくりだ~・・・・ウッゥ!」
何か感極まっているっポイ・・・
「そう言えば・・・ビルド・・・名前は決まったの?」
心配そうに見つめるレイ
「グスン・・・あぁ~その事なんだが~」
鼻をポリポリ掻きながら・・・
「さっき迄、忘れていたんだけど~・・・笑うなよ! 少し前の事なんだけど・・・夢に女神さまが顕れて【シン】となのると優しく才能豊かな子供が生まれるって言われてな・・・さらに成人したら世界を変える子になるらしい・・・そんな夢だったんだが・・・生まれて・・・我が子を見たら・・あ~【シン】だなって思った・・・」
「まぁ~ビルドったら!!・・・でも素敵な名前ね・・・【シン】私の子供・・・私の命・・・この世に生まれて来てくれて本当にありがとう・・・私を選んでくれて本当にありがとう~♪」
数日後・・・
生まれたからなのか・・・赤ちゃんだからなのか・・・意識が少し薄れていく・・・。
俺の意識の大半が、眠い、お腹が減った、気持ちが悪い、だった・・・。
「う~ん・・・ダメだ・・・とにかく眠い・・・。」
さらに2ヶ月程過ぎた頃・・・・・
俺の意識は、徐々にハッキリとし始めていた。だからこそ・・・・・
「恥ずかしい・・・」
俺は何で転生する時に全ての記憶がなくなるのかを痛感していた・・・
「ハッキリ言って恥ずかしい・・・いくら赤ちゃんだと言っても精神年齢は立派な大人だ!」
…それなのに・・
母親のオッパイを飲む俺・・・これは・・・ある意味仕方がない。
オムツ交換される俺・・・。
毎回抱き上げられてはあやされる俺・・・。
全身を隈なく洗われる俺・・・。
こんな事ならば前世の記憶を持ち越すんじゃなかった~~~~。
「俺------もう・・・お婿に行けない・・・」
恥ずかし死にしてしまう・・・・だが、幼児だからこそ分かった事もある。
発声器官が未発達だから意識では理解していても【声】が出せない。否・・・
出しても「あぁ~、うぅ~」とか「ブゥ~やキャァ~」となってしまうのだ・・・
重力の少ない羊水の中から出た時から、今までの何倍もの重力かかるので、全身に負担がかかり、筋肉がない俺は動くことも出来ないし・・・
(くそ~これは何プレイだ~リアル赤ちゃんプレイって・・・死ねる・・・)
「ブゥ~バァブ~!!(もう~無理!!)」
そう思った瞬間!!
「あぁ~ら♪ごきげんななめでしゅね~♪」
母のレイが話しかけてきた・・・嫌な予感がする・・・
「お腹が空いたんでしゅか~じゃ~オッパイにしましょうね~」
(イカン!!この表情をだすと直ぐこれだ・・・お腹が空いてるから飲むよ・・・飲むけどね・・・ツライ・・〈涙〉)
これが!俺のあこがれた・・・・夢にまで見た・・・・・ファンタジーの世界か!・・・・・・・何で・・・こ~なった?
■小さな小さな 大冒険!!もアップしましたので宜しければご一読くださいhttps://ncode.syosetu.com/n6880gm/
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