第38話 第二章【獣人族編】12 俺VSティーグル!
一瞬で俺の間合いに入り込むティーグル。眼前に現れたと思った瞬間に目の前の身体がブレた。
「残念!僕は後ろだよ! ハァ!」
ティーグルの強烈な一撃が俺の背中にヒットした。少し吹飛ばされたが、片手をついて体制を整える。
「カハッ!なんて速度だ!」
「ソロさんも、もっと本気でやってくれないと・・・スグに終わってしまうよ。」
さらなるプレッシャーが俺に向けられた。
「気にするな!俺は尻上がりタイプなんだよ!まだまだこれからだ!」
俺の言葉を聞いたティーグルは満足そうに目を細めて笑い出した。
「クフッ♪クフフフフ♪ 良いですね~良いですよ!ソロさん!その目!その気力!さぁ~もっと!もっと!あなたの本気を僕に向けて下さい!」
「フッ!楽しみにしてなっ!」
今度は俺が、ティーグルの懐に一瞬にして潜り込むと同時にジャブを放つと同時に左に回り込み死角から蹴りを放った。
「早っ! 痛った~!危ない危ない!何なんです?そのパンチと蹴り技・・・初めて見ました!いや~凄い!ガードが間に合いませんでしたよ。」
「嘘つけ!シッカリと躱してるだろうが!」
「いやいや、ほれ!見てください!最初のパンチは左頬を掠めてますし、蹴りは頭を掠ってますからね!」
ティーグルは俺の攻撃が掠った場所を指さし興奮していた。
「ふぅ~お前・・・変わった奴だな・・・。」
「クフフフフ♪はい。良く言われますよ♪ しかしですね~今まで僕に攻撃を当てられる人なんて数える位しかいませんでしたので、クフッ♪僕は幸せ者です!」
う~ん。こいつは、もしかして・・・バトルマニアって奴だな・・・。
「そうかい!じゃー今度はクリティカルヒットを味合わせてやるよ!」
さっきと同じ左ジャブを放ちながら今度は、右ストレートで、ワザとガードさせ死角を作らせてから俺はしゃがみこんで、隙間にアッパーを放った。
「おぉ~・・・・おっと! 危ない、危ない♪ クフッ♪ これも中々素晴らしい攻撃でした♪ それでは、今度は私の攻撃も味わってくださいね♪」
奴は俺と同じ攻撃を真似してきたが、一つ一つが俺より早く、重かった。
「クッ!痛って~何が初めて見ただよ!嘘つきめ、使えるじゃないか!」
ティーグルはニマ~っと笑い
「クフフ♪嘘ではありませんよ~今、ソロさんが放ったのを真似させて頂いただけです♪」
当たり前でしょっとでも言わんばかりに飄々と言ってのけるティーグルは当然ながら未だ実力の半分も出していないのだろう。
「あっそ! フン! だったらこれはどうだ!」
さっきと同じで死角を作り出しティーグルの後方に回り込むと同時にジャンプして後頭部目掛けて回転回し蹴りを打ち込んだ!
「グッ!」
最後の回し蹴りがティーグルの後頭部にクリーンヒットした。ガクッと片膝をついて振り返る。
「見えなかったら真似できまい!ダメージありだな!悪いが余裕がないから一気に行かせてもらうぞ!」
俺は飛び上がると全中しながら回転踵蹴りをティーグルの頭目掛けて打ち下ろす。
「ガシッ!こんなもので、調子に乗られては困りますよ! フン!」
スピードに乗った俺の蹴りを片手で掴まれた上に、俺をそのまま振り回して壁まで投げ飛ばされた。
「グッ! 化け物め! 何て力をしてやがる。」
壁に叩きつけられる前に空中で体を回転させて受け身を取り壁に着地すると同時にティーグルを見る。しかし、奴は先程までいた場所ではなく、俺の眼前まで飛び掛かって来ていた。
「油断はいけませんよ!」
フッっと瞬間移動でもしたかのように現れ、そのままの速度で俺に膝蹴りを叩き込んできた。
投げ飛ばされた事で、体勢が不十分だった事で、回避する事が出来ない上、膝を曲げて壁にいた事で、手でガードしたものの奴の膝蹴りの威力を受け流す事が出来なかった。
ドゴォ~~ンっと言う音と共に壁が大きく凹み俺はかなりのダメージを追ってしまった。
「カハッ!」
「まだまだ!これからですよ!」
奴はそのまま俺の背中に回し蹴りを叩き込んできた。
ドゴォ~~ン!凄まじい勢いで地面に叩き付けられた俺は口から血を吐き、そのまま地面に倒れこんだ。
「はぁはぁはぁ!こんなものですか?ソロさん!僕が感じた貴方の力は、まだまだこんなもんじゃないはずです!立ちなさい!立ち上がって僕と戦いなさい!」
こ・こいつは効いた。
「ガフッ ゲフッ ペッ!」
俺は口の中の血を吐き出しティーグル奴を睨み付けた。
「はぁぁ~良いですよ♪その目!私の本気を出させてみなさい!」
「ふぅ~ そうだな!遊びは終わりにする。」
俺は精神を集中させゾーンを展開させる。さらに深く!やがて俺の身体からオーラのように淡い光が浮き上がってきた。
「行くぞ!ティーグル!・・・・・・・・ハ~ァッ!」
フェイントも何もない。純粋なパワーだけでティーグルを殴り飛ばす。
「早い・・・グゥ!しかも何て重さだ!まさか、ここまでお強いとは♪」
「ホント!良く言うぜ!でも、ここからが俺の本気だ!」
俺は全力だというのに此奴にはまだまだ余裕がある・・・。先手必勝だ!
俺は、さらに速度を上げるとそのままの勢いでティーグルを蹴り上げ、吹き飛んだ奴の背後に回るとオーラを右拳に集中した。
「ブッ!グハッ!(この力は・・・)」
「喰らえ!爆裂気功拳!」
俺の右拳にオーラを集中した威力は通常の4倍の威力さらに接触した瞬間に拳を高速で振動させる事で、内部へのダメージを与える必殺技だ。今俺が持っている最大の攻撃力をティーグルの背中に打ち込んだ。
「グバン!ヒュ~ン ドカン!」
奇妙な打撃音が鳴り響くと同時に凄まじい速度で地面に激突した。闘技場の地面が大きく凹みいくつものヒビが入り、その威力を物語っていた。
「はぁはぁはぁ!ふぅ~どうだ!ティーグル!これが俺の全力だ!」
ティーグルを見つめるがピクリとも動かない。やったのか?っと思い近づいた時だった。
「グフフフフフ♪ 素晴らしい・・・・・・本当に素晴らしいですよ、ソロさん!流石に今の速度とパワーに対抗するには、人型では手を焼きそうですね・・・・・・。僕の実力の一端をお見せしますね・・・誇っていいですよ・・・・・・グルルルル・・・・僕の超獣化を戦いの中で見た人間は、貴方で3人目ですよ♪ 光栄に思うが良い♪ そして・・・・・・死んでくれるなよ! グルルルル・・・グガァ~~!!!」
ティーグルの目の色が赤く染まり獣が獲物を狩る時の攻撃的な目に変わると姿形が変化し始めた。
元から180㎝位のティーグルの身体が1.5倍位大きくなり、全身の筋肉が盛り上がった。
さらに、肌の部分に虎模様が浮かび上がり髪の毛が逆立ち始めた。
「ガルルルル♪ この姿は、手加減していても痛いですからね~ 気を抜いたら・・・・・・死にますよ♪ ソロさん・・・では、行きますよ!」
言い終わるとティーグルは残像を残して消えた。
「早い!否・・・」
早いなんてもんじゃない!左右に移動しながら俺に近づいている事は分かるが・・・目で追う事が出来ない。
「ガルルルル♪どっちを見ているんですか?こっちですよ!」
教えてくれてありがとう・・・って!左右に高速移動して話したらどっちからも声が聞こえるだけだろうが!その時俺の足元の泥濘に足を取られスリップしてしまった。その瞬間俺の頭上を何かが通り過ぎた。
「ヒュン!ドゴォ~~ン!」
俺は慌てて立ち上がり振り向くと闘技場の壁に大きな穴が開いていた。
「う・嘘だろ・・・」
在り得ない破壊力に俺の身体が恐怖と緊張で身が竦んだ。圧倒的な破壊力を目にして体が動かない
「ガルルルル♪お見事!良く今の一撃を躱せましたね~♪」
ティーグルから湧き出るプレッシャーが一段と跳ね上がった。
「クッ!(今のはただの偶然だ)」
足元の泥濘を見つめた・・・こ・これは?
この泥濘はメロとマロンの血が染み込んで出来たものだと理解した。
「フッフフフ♪」
またしても俺は、二人に助けられていたらしい。
「ふぅ~本当に俺は・・・まだまだだな。こんな情けない姿を二人に見せる訳にはいかない!」
不思議と恐怖が薄れていく。さらに深く今よりも深くゾーンを展開し始める。その瞬間。
キィィィンと変な音がなると同時に炎を纏ったティーグルの拳が俺を襲った。
「クッ!」
俺は、全力でダッキングしてギリギリ躱すとティーグルの攻撃の威力で、今度は反対側の壁が吹き飛んだ。
かわしたものの奴の拳から発する真空の刃で体のあちこちが切り裂かれる。
「クッ! ば・化け物め! 無理でも何でも!さらにパワーを・・・・・・スゥー・・・・・・」
今まで以上に深く展開したゾーンにより未だかつて経験した事のない力が俺の体中から漲ってきた。
それでも、対峙しているだけでダメージを追わされていく。
「クフフフフ♪良いですよ♪ソロさん!この状態の僕の攻撃を何度も躱したのはあなた位です!まだまだ楽しめそうですね~♪」
おぞましい威圧を俺に向けるティーグルは愉悦を含んだ表情で俺を睥睨した。
「今度は、こっちの番だ!」
限界を超えた速度で放つ俺の拳で押し出された空気が熱を帯び、炎を纏った拳が奴の身体にめり込み吹き飛んだが、僅か数メートルほど吹き飛ばすに留まってしまった。
「ふぅ~驚きました♪まだスピードもパワーもまだ上がるとは思っていませんでした! 素晴らしい威力です♪しかし、今の僕には、この位の攻撃では倒せませんよ♪ クフフフフ♪」
「化け物め・・・・・・クッ!」
本当に化け物だ・・・。限界を超えたゾーンによる体力の消耗が激しい。
俺は、今まで使う事がなかった・・・・・否、出来れば使いたくなかった最後の攻撃手段に望みを繋いだ。
この方法は、肉体の一部分だけにオーラを集中する事によりその部分だけは、攻防力が高くなるが、それ以外の箇所は、変化がないのだ・・・・・万が一オーラが無い場所に攻撃を喰らえば勝負は一瞬で終わるだろう。
「だったら・・・これならどうだ! はぁぁぁぁ~ 」
先程、放った炎を纏ったパンチをガードさせるとティーグルの後方に回り込みオーラを右足だけに集中した状態で放たれた蹴りは炎を纏った回転回し蹴りとなり奴の背中に突き刺さった。
この攻撃により10数メートルは吹き飛ばしたが、ティーグルは空中で体制を整えると地面に片手をついて何事もなかったかのように着地した。
(嘘だろ?あの威力の攻撃で何ともないのか・・・。)
嫌な汗が頬を伝いポタっと地面に染み込んでいった。
「いや~僕も貴方の事をまだ少し過小評価していたようです。今の蹴り技・・・・・痛かったですよ・・・。」
そう言い放った瞬間!今までとは比較にならない程の殺気を帯びたオーラを俺に向けられた気がした。
「正直・・・・・・予想以上でしたが、でも・・・それが貴方の限界ですか・・・グフフフフ♪それでは、これで終わりです!」
そこからの奴は凄まじかった。
前方から攻撃したと思った瞬間に俺は背中を蹴り上げられ空中に飛ばされていた。
「グハッ!」
「ガルルルル♪楽しかったですね~♪ 死なないでくださいね ハァ~~~・・・・・フン!」
「カハッ・・・」
ティーグルの回し下痢が俺の腹部にクリーンヒットした。地面に激突した俺は、そのまま3mくらいバウンドして全身に凄まじいダメージを追ってしまった。
「クフフフフ♪!さすがの貴方もこれは立てそうもありませんね・・・。息は・・・していますね。ホッ良かったです。では、次はバトルオリンピアでお会いしましょう♪」
倒れて動かない俺にそう言葉を残すと獣人化を解いて出口に向かい始めた。
全身に凄まじい痛みが走る。グワングワンと視界が歪む・・・。情けない・・・。惚れた女の子を守れないなんて・・・。ダメだ、力が入らない。い・意識が飛びそうだ・・・。
その時、何度か聞こえたあの声が聞こえた。
≪マスター!今なら聞こえますか?≫
(だ・誰だ・・・お前は? どこにいる?)
≪あぁ~マスター♪私の声が聞こえるんですね!時間がありませんので、短めにお伝えします。≫
(?何が言いたい・・・お前は誰だ?)
≪私は、あなたの忠実なる僕、シリウス!マスターの右腕となる存在です。≫
(シリウス?・・・シリウス・・・・・!グッ!)
≪普段ならば心配するところですが、そのままお聞きください!マスターが12歳の時に使われた極大呪文や超極大合成魔法により次元に亀裂が起こりマスターは時空間に飛ばされてしまったのです!≫
(うぅ~ じ・時空間?)
≪はい!そこで、時の女神との約束が・・・・じ・時間がありません!マスター今から私が言う二つの事を覚えていて下さい。一つ目は、この世界のダブルムーンの時が私と会話出来る唯一のタイミングである事。制限時間はダブルムーンの前後24時間以内しか会話が出来ない状況です。しかもマスターの意識が低下している必要があります。もしくはゾーン状態を深めれば可能性があります。 二つ目は、マスターが魔力を使えなくなっている理由がジンの存在とモフメロによる事です。≫
(ダブルムーンの前後24時間だけ・・・最深のゾーン? ジンとモフメロ?)
「そうです!取り合えず魔法の使用は兎も角として魔力回路の復活をする為にモフメロを顕現させて下さい。魔力回路が回復すれば、徐々に私の声が聞こえる回数も増えるはずです。≫
《グッ・・・痛みが…》
≪マスター忘れないで下さい。私はシリウス、モフ・・・・・・・モフメロの名前を呼びけ・・・・・・・・・顕現させてください・・・忘れないで・・・・必ず・・・・・・マスターなら・・・・・・・・・。≫
激しい痛みと共に俺は目が覚めた
闘技場の地面が目に映る。俺はまだ、夢を見ているのだろうか・・・。
実際には数秒足らずの時間だったのだろう。目の前には俺に背を向けて歩みだすティーグルの姿があった。
「グハッ・・・はぁはぁはぁ・・・」
俺はフラフラする身体を意志の強さで奮い立たせるように立ち上がった。
素早く振り返り驚愕の眼を見開くティーグル。
「ま・まさか・・・。先程の一撃を受けて・・・意識があるだけでなく・・・立ち上がっただと・・・?素晴らしい・・・本当に貴方は最高です♪」
恍惚とした表情を浮かべ目を細めて俺を射るように見つめる目は好奇心によるものだろう。
「ペッ!はぁはぁ・・・さ・さすがに・・・と・とんでもない強さだ・・・まだまだって言いたいところだが・・・今回は(・)!俺の負けだ・・・。バトルオリンピアには必ず出場してやる。俺は二度と負けない!」
「クフッ♪クフフフフ♪ 素晴らしい・・・【今回は】ですか・・・クフフフフ♪ 本当に貴方は最高だ♪ 私の超獣化の一撃を受け、怯えるどころか・・・。クフッ♪ その目!良いですよ♪ その野生の宿る目の力! 憎しみでもなく、恨みでもない・・・純粋な闘争本能の目の輝き♪ 良いでしょう。私もバトルオリンピアで貴方と再戦出来る事を楽しみにしておきますよ♪ 次は、私に本気を出させて下さいね♪ では失礼。」
ティーグルは、満足した表情で闘技場を後にした。俺に一つのポーションを置いて・・・。
「ゼーゼー はぁ~強すぎだろう!ククククク♪」
ティーグルが立ち去って最後の気力で立ち上がっていたが、それも限界に来ていた。闘技場にバタンと大の字で倒れこむと笑いが込み上げてきた。
「いや~さすが!新世界だ・・・。あれ程鍛えたのに・・・ダ~ハッハッハッハッハ~♪全然かなわないや♪凄い!凄いや! 面白い!最高だ!」
前世の地球においても俺を完膚なきまで叩きのめした奴などいなかった。ましてやこの世界での俺の戦闘力は地球上での10倍以上と言っても過言ではない。それ程の力でもこの有様だ!
俺が大笑いした声を聴いていたのか、闘技場の観客席を見るとメロとマロンが心配そうに顔を向けていた。
「ごめんな!メロ、マロン・・・。プップハハハハハ♪ 負けちゃった♪ 俺の完敗! ちょっと待っててね♪直ぐには身体を動かせそうにないや痛てててて・・・(転生してよかった・・・こんな気分が良いのは、あの時以来だ・・・あっ!・・・・・・そうだった・・・・・・これは・・・・・・思い出したくない記憶も思い出しちまったな・・・。)
少ししたら俺の作った回復薬が効いたようでメロとマロンが俺の元に駆け寄って来てくれた。俺は思い出したくない記憶を思い出してしまい・・・物思いにふけっていた。」
「ソロ君・・・死んでないよね・・・。」
「ソロ!大丈夫か?」
自分たちの怪我だって決して軽くはない二人なのに顔を歪ませ涙さえ浮かべて心配している。
「あぁ・・・心配かけたね・・・大丈夫。痛たたたた、死んではいないけど大丈夫ではないかな?」
強がってみたけど、まだ身体がギシギシいって限界を超えた反動と痛みで動かす事が出来そうもなかった。
「馬鹿ね~当たり前でしょう~あんな攻撃食らって大丈夫な訳ないでしょう?・・・死んだと思って心配したでしょうが~もう、心配したんだから~」
みるみるうちにメロの目に涙が溢れて零れだした。
「僕も心配したんだぞ・・・。最強の戦士ティーグルの一撃をまともに食らった時は心臓が痛くなる程、しんぱいしたからね・・・。」
いつも元気なマロンの声が、か細く・・・か弱い少女のような声になり涙が溢れていた。
「二人とも心配させてごめんね・・・だけど、次は絶対に勝って見せる!約束するよ!」
「「はぁ・・・やっぱりソロ(君)は、ソロ(君)だね~♪」」
だから、何だその俺に対しての言い方は・・・。
「クスクス♪絶対だよ!次、負けたら私とず~っと一緒にいるって約束してもらうからね♪」
「約束だぞ!じゃ~次も負けたら僕の事をお嫁・・・およ・・・僕ともず~っと一緒にいる事!絶対だよ!」
「あれ?そんな良い条件なら俺負けた方が良いかもね!」
「「ソロ(君)~!!」」
「ウッ・・・冗談です。もう負けません。約束します。ごめんなさい。」
シュンとなった俺を見て二人とも最高の笑顔を俺に向け俺の事を抱きしめてくれた。
「それにしても何でティーグルの奴ポーションをソロ君に置いて行ったんだろう?」
「ん?あ~多分俺なら同じ事をするから何となく分かる気がする。」
「何が分かるんだい?」
「いや・・・簡単な話で、次に戦う時に怪我を理由にされたくなかっただけ・・・かな?」
「ふ~ん・・・敵に塩を送るって前にソロ君が言っていた奴だね。」
「よく覚えてたね~そんな言葉・・・。」
これも以前、メロとマロンに教えた事のある言葉の一つだったけど、本当にメロは頭が良いな。
「ソロ、取り合えずポーションを飲んでくれないか?」
「おっと、そうだった。ゴクゴクゴク・・・苦~い、もう一本!」
「うん・・・これも前に言ってたね・・・。」
何故そんな冷ややかな視線を向けられるのか・・・俺・・・納得いかない。
暫くして歩ける位には回復した俺たちは、今後の修行の方針を決めるべく行動を共にする事となった。
「もっと、もっと・・・・・強くなりたいな・・・・・早速、獣霊山に行って修行したいところだけど、やっぱり・・・・・準備揃えての方が効果的だよな~」
俺が次の修行に備えて悩んでいるとメロが口を開いた。
「先ずは、私達の傷と体力を完全回復する事が最優先でしょう?取り敢えず!今から獣霊山までひとっ走りして温泉に入って~♪完全回復するのが先かな♪」
「うん!僕もそれに賛成だな♪正直かなり回復したとは言っても体中傷だらけだしね~♪」
「それも・・・・・そうだな!じゃ~獣霊山まで競争と行きますか!」
「「良いね~! じゃ~今度はなに懸ける?」」
「クスクスクス♪ 二人とも本当に勝負ごと好きだよな~ じゃ~負けたら~ 勝った人の言う事を何でも聞く事!」
「あぁ~! そう言えば、前回の勝負の事、忘れてたね~♪ じゃ~ソロ君の言う事を何でも聞くとしますか~♪」
「(ゴクリ!)ほ・本当に・・・・・何でも良いのかな~♪」
「ソロの頭の中にイヤらしい思考が満載!」
「そ・そんな事はないぞ!」
「ホントかな~? じゃ~何をして欲しいのか言ってみて!」
「う~ん・・・・・メロとマロンのモフモフ・・・・・じゃなかった。耳とか尻尾を触らせて欲しいんだけど・・・・・ダメかな~?」
「尻尾~?尻尾か~・・・・・う~ん・・・・・先っちょだけなら・・・・・良いよ・・・・・でも、本当に先っぽだけだからね! それ以上はダメだからね! 根元の方とか迄は、絶対にダメだよ! 約束できるんだったら・・・・・良いよ・・・・・でも・・・・・優しくしてね♪」
何か・・・・・卑猥な会話に聞こえるのは、俺だけだろうか・・・・・メロさん?あくまでも尻尾の話なんですよね?俺・・・・・勘違いしそう!
「何か・・・・・メロの言い方だとエッチに聞こえるね!ソロ!勘違いしちゃダメだからね!」
「何が?べ・別にエッチな事なんて言ってないでしょう?」
「メロ~! ソロの顔を見てみなよ!」
デヘデヘ♪ そこには、鼻の下を伸ばした俺がいた。 俺・・・・・反省!
「勘違いなんかしていません!本当です!先っぽだけ優しく撫でます!約束します!だから!お願いします!後、耳もモフモフさせて下さい!お願いします!」
「耳か~僕・・・・・耳ってくすぐったいんだよね~ どうしても触りたいの?」
「メロの耳もマロンの耳も両方触りたいです!」
「私も弱いんだよね~ 勝負は勝負か~仕方がない! 優しく触ってよ♪」
そして、一旦メロの家に帰ってから俺は、メロとマロンの耳と尻尾を徹底的にモフモフさせてもらったのだった。
メロとマロンは、我慢できなかったのか、身をクネクネさせながらもくすぐったいのを我慢していたのだろうが、時たま聞こえる声が妙にエロかった。
俺・・・・・・興奮!
それと、俺はこの時まで知らなかったのだが、獣人族の頭の上にある耳の様なものは、一種の角と同じようなものらしく、実際に耳として機能している訳ではないとの事だった。
それを聞いた俺は、普通に二人の耳もムニムニさせてもらったのだが、両方の耳を同時に触られた事が無いらしく二人とも見悶えて吐息を漏らしていた。
何か・・・・・2人の目が肉食獣と化してきたから・・・・・そ~っと俺はフェイドアウトしたのだった。
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