第36話 第二章【獣人族編】10 修行のご褒美♪
そして、俺は目の前にある肉まんを両手で掴み自分の口に持って来ようとしたが、中々俺の口まで近づいてこない。
「ん~?何で動かないんだ?」
手に握っている肉まんを強く握ると物凄い柔らかさでグニュっと指が埋まった感触があった。
(ダメ~♪)
「うわ~気持ちの良い感触の肉まんだな~それに凄く弾力がある。」
握っても直ぐ元に戻る肉まんが面白くて何回も揉みしごいてみた。肉まんの頂上辺りにピンク色の突起が現れて徐々に大きくなっていく。
(ハァハァ♪)
「ヤバイ!強く握りすぎて身が出ちゃった・・・・・・う~ん?食べたいのに動かないならしょうがないなぁ~」
動かないなら俺から食べに行けば良いだけの話だ!俺は肉まんに近づき口を開けて食べ始めた。
「頂きま~す♪パック こっちは身の部分を先に食べるとするか!頂きま~す♪ペロ」
(それ以上は~ダメ~♪)
あれ?何か歯応えが何か違うような???味が違うような?何だこれ?徐々に意識が覚醒した時に俺が見た光景は、この世の桃源郷かと思ったほどだった。
「ソロ君!?」・・・そこは・・・アッ♪ そこを触ったりしちゃダメ!そこはダメ~♪ソロ君・・・目を覚まして~ダメ~~♪」
「何かエロい!エロ過ぎる~ってあれ?何でメロがいるんだ?ハハ~ン♪さては、夢だな!成程!だから肉まんが空に浮いていたのか! 」
もう一つの感触を楽しんでいた肉まんを見ると
「ソ・ソロ?な・何を?・・・そこはダメ!目を覚まして・・・ひゃぁぁぁぁぁ~だ・だめ~そこは~♪」
「やっぱり!こっちの肉まんはマロンになった!こんな夢を見るなんて欲求不満なのかな~」
俺は、夢であるなら存分に楽しまないと損だと思ったので、メロ肉まんの方は口で堪能して、マロン肉まんの方は手で堪能して楽しんだ。
「いや~それにしてもリアルな夢だな~これなら最後まで行っちゃうか!・・・・・?あれ?お湯が温かい?・・・冷たい風の感触が妙にリアルだな・・・? も・もしかして・・・現実か? ひぃぃぃ~やっちまった~殺されてしまうかも~どどどどど~しよう!!!!」
寝惚け眼で、お湯を見て外の涼しさを感じ、恐る恐る目線を肉まんに戻すとそこには、全身の力が抜けたようにしな垂れて俺の膝の上でピクピクしているマロンと俺の肩にしな垂れて全身をピクピク痙攣させているメロがいた。
「取り敢えずメロとマロンを温泉の浅い方に寝かせて上げて・・・ヒャ~」
メロとマロンを抱き寄せて水深の浅い部分に寝かせようと引っ張った時に裸が目に入り改めて現実だと認識する事になった。
「ヤバい・・・やっぱり夢じゃない・・・・・・不味い・・・・・・。タ・タオルは、どこだ~あった~取り敢えず二人の身体の上にかけて上げなきゃ!」
二人の身体をタオルで隠して改めて二人を覗き込んだ。ゴクリ
「それにしても・・・この二人は、本当にエロイ体をしてるよな~新世界の14、5歳ってどうなってんだ?いくら何でも色っぽ過ぎるだろうが!」
まだ少しでも二人の体に触れると微かに卑猥な声を上げて身をくねらす二人をどうしたら良いんだろうか・・・?
そこで、温泉の湯を二人に飲ませれば回復するのではないか?と一つの名案が俺の頭を過った。
二人の口に湯を注ぎこみ飲み込ませた。
「「ゲホゲホゲホ!」」
咳き込みながらやっと二人の目が覚めたようだ。
「良かった~目が覚めて、ごめんなさい。俺、寝ぼけて二人に酷い事をしたみたい。俺に出来る事なら何でもするから許してください!」
全力で謝る俺に二人は一切応じる事はなかった。その後もひたすら謝り続けたものの、余りにも微動だにしない二人に違和感を感じて見上げると妖艶な表情と艶っぽい唇を舌で舐める二人が目に入った。
「あれ?二人ともどうしたの?」
二人の目を見ると肉食獣が獲物を借る様な細長い目に鋭い眼光を滾らせていた。
二人が、微かに動いた瞬間!
「ぎゃ~~~~」
俺・・・記憶を失う。
それからどれ位気を失っていたのだろうか?
「ソロ君ってば~起きて!」
「ソロ大丈夫か?」
なんかデジャヴ肉まんが浮いている・・・・・?ち・違う!またしても、同じ事をしてしまうところだった・・・?あれ?
「「やっと目が覚めたの~寝坊助だね~♪」」
「おわ~な・何で二人とも温泉に入ってるの?」
「何でって・・・ソロ君のお陰で私達もかなり強くなれたからお礼に温泉でソロ君を労ってあげようってマロンと話しあったんだ~」
「嬉しいだろ~ソロ!僕達みたいな綺麗で可愛い子と一緒に温泉に入れるんだから~この~果報者~」
「あれ?夢だったのか?はぁ~良かった~」
「何が~どうしたの?」
「イヤイヤ何でもないよ!温泉で眠っちゃって夢を見てただけだよ。」
はぁ~・・・・・・・セーフ! 夢で良かった~♪
「ん~どんな夢を見たんだい?どうせ僕達の嫌らしい夢でも見たんだろう~♪」
「なななな何言ってるんだよ~そんな訳ないでしょ」
「ウフフフフ♪何でそんなに動揺してるのよ♪ ソロ君のエッチ~」
「違うよ!そんな事ないからね!」
「アハハハハ♪冗談だよ!じゃ~メロ!ソロの事をマッサージしてあげようよ!」
「フフフ♪そうだったね!じゃ~ソロ君リラックスしててね!」
足をマロンが、腕や肩をメロが、それぞれマッサージしてくれた。
二人とも際どい格好でマッサージしてくれるもんだからちょっと興奮した。
俺の胸や肩に二人の胸が当たる度に二人が吐息に似た甘美な声を出すので、ドキドキした。
改めて二人の顔を見ると夢で見た野生の獣の目になっていたけど・・・さっきのは夢だよね・・・。
そして、下山の日がやって来た。
「二人とも見違えるほど強くなったね!」
「うん!自分でも分かる位、力が付いたと思う。ありがとう~ソロ君♪」
「僕もビックリだよ♪足った22日間で、これ程、力が付くとは思っていなかったよ。有難うソロ!」
「うん!お役に立てたなら良かった。温泉の回復効果で通常の10倍以上の成長速度が得られたから短期間でも本当に見違えたよね♪ 二人には助けて貰った恩があるから少しでもお返しする事が、出来たならこんなに嬉しい事は無いよ♪」
俺がそう思いを伝えると何故か二人の目が熱を帯びてポ~とした表情を浮かべた。
「さて!じゃ~下山するとしますか!二人とも自分で降りるから気を付けるんだよ?万が一の時は、俺がフォローするから、安心して!」
俺の不安をよそに二人は颯爽と降りて行く。行きにあれだけ苦しんだルートをいとも簡単に攻略していった。
(俺があれだけ苦労したのに・・・本当にチートな世界で羨ましい限りだな・・・。)
そして、荷物もあったので、一旦別れて明日の朝9時に待ち合わせする事になった。
「ただいまーいや~何か久しぶりの我が家って感じがするね~」
「フフフ♪ ソロ君お帰りなさい♪ 私も久しぶりって感じかな~」
「それにしても・・・メロもかなり強くなったね~特にスピードに至っては、以前の2倍以上は早くなったんじゃないの?」
「うん!自分でも実感してるよ♪確実に強くなった!私は、弱かったから・・・本当に嬉しいよ♪ 私は強くなれないのかと思ってたから・・・でも、ソロ君のお陰で、まだまだ強くなれるって分かったよ♪」
可憐な表情に優しい微笑みを浮かべ俺を見つめる目には何かしらの強い意志を感じた。
「そう言えば、メロに聞きたい事があったんだけど、質問しても良いかな~?」
「ソロ君からの質問は何でも受け付けております!」
「ハハハ♪じゃ~聞くけど・・・メロもマロンも何でそんなに強くなりたいんだい?バトルオリンピアにも出場したいって理由も聞きたかったし・・・俺は、人族だから、やっぱり獣人族の考え方と違うのかもしれないけど・・・あまり、メロやマロンが傷つくところを見たくないんだよね・・・。」
本音で語る俺の気持ちを汲み取ってくれたのか、メロを見ると嬉しそうに目を細めていた。
「フフフ♪ありがとう~♪ソロ君ってやっぱり優しいよね♪でも~そうね、人族とはかなり考え方は違うかもしれないわね。そもそも獣人族って大半の事を力で解決する傾向が強いんだよね・・・。」
「あぁ~そこは、何となく分かってた。でも大半ってどんな感じなの?」
「ん~ ザックリだけど~例えば、何かしらの決め事だったり、地位や権力だったりは戦って勝った者が正しいって感じで、敗者は勝者の言い分を尊重するって感じかな~。後は~恋愛感も若干関係あるかも。」
「恋愛感情~?恋愛も戦って決めるって事?」
どれだけバトルマニアなんだ?って思ってたらニュアンスが少し違っていたらしい。
「まさか~!流石にそこまで、戦闘狂な種族じゃないよ~単純に~獣人族は、男性も女性も強い者に魅かれる事が多いって事だよ~」
「あぁ~そうなんだ・・・って!メロやマロンも当然そう言う傾向があるってことだよね?」
「う~ん・・・。どうかな~でも弱いよりは強い人の方が好きなのは確かかな~。」
な・・・なんてことだ!!!今の今まで考えもしなかった・・・。ヤバイ・・・もっと強くならなければ!
「ソロ君?どうしたの?そんな呆然とした顔して?私、何か変な事を言ったのかな~?」
「だ・大丈夫!問題ナッシング!(要は強くなれば良いって事だ!)」
俺・・・・・・・・・・・最強の男になる!
「ウフフフフ♪なにそれ~♪ 変な顔~♪」
メロに言われて鏡に目を向けるとフンづまった様な俺の顔が見えた。
「そ・そう言えば!バトルオリンピアって結局、何で開催されるんだ?」
「・・・。うん・・・。今話した通り、獣人族は強い者が認められるんだよね・・・だから、住民は強い者に従うって事。要するに最強の獣人が納める事が前提となっている国って事かな。バトルオリンピアは、国で一番強い者を決める戦いの場で、優勝した人と現在の王が戦って、王が負ければ王座交代で、王が勝てばそのまま継続して王政が進められるの。」
「へぇ~そうなんだ。王様を決める為だけの戦いなの?」
「うん・・・。2年半前まではね。その時の戦いで、王座が奪還されて今の獣王になってからは、重税になって弱い獣人族は泣き寝入りよ!バトルオリンピアの本戦に出場する16人には、地位と名誉、さらに1000万Gの賞金が与えられるの・・・。」
「1000万Gも賞金があるのか・・・。」
「そうなの、ありえないでしょう?」
「フム・・・。1000万Gってどれ位の価値なのかサッパリ分からん!」
ズルッ。コントの様にズッコケたメロがいた。
「ハハハ・・・ソロ君?記憶喪失ってお金の事も忘れちゃったんだ・・・。以前白鋼鉄の時にも教えたけど・・・ギル・・・この世界の貨幣についてもう一度教えるね」
乾いた笑いをありがとう。メロがこの世界の貨幣の事を色々教えてくれた。
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■貨幣(日本円に換算すると)
小銅貨・・・1ギル(1円)
銅 貨・・・10ギル(10円)
小銀貨・・・100ギル(100円)
銀 貨・・・1,000ギル(1,000円)
小金貨・・・10,000ギル(10,000円)(一般的に流通している貨幣)
金 貨・・・100,000ギル(100,000円)(3~4人家族で金貨2枚で1ヶ月間暮らせる)
白金貨・・・1,000,000ギル(1,000,000円)(普段使われない国家や大商人クラス)
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「だから本戦に出場したら1,000万ギルって凄い賞金でしょう?それと~ついでに言いますと~ソロ君が持って帰ってきた白鋼鉄は、22㎝四方の大きさだったから重さが、鉄の4.5倍の重量だとして370㎏以上だから~確か以前武器屋のおじさんが100gで3,000ギル以上って言ってたから~1,100万ギル以上で売れるって・・・はぁ~ソロ君が来てから家の財政が潤うばかりだよ・・・。」
お金が稼げるのに何でそんなに呆れられたのか?俺・・・納得いかない!
「お金があれば、メロの生活も少しでも楽になるんだろう?シカや豚の魔物の肉を売るだけじゃ全然生活費の足しにもなんないんだからさ!これで、メロも好きなものを買ってもらえると嬉しいんだけどなぁ~♪」
メロを見ると頭を押さえて立ち眩みを起こしていた。
「あれ?メロどうしたの? 頭抑えて・・・体調でも悪いのか?」
「あ~え~・・・どこから突っ込んだら良いのか・・・。」
メロがハァ~と溜息をついていた。
「あのね~ソロ君!ちょっとは自分の凄さを理解して頂戴! 今まで、ソロ君ってば、ピグを20頭以上とビッグハートに至っては40頭も持って来てくれたんだけどね。ピグから取れるお肉が50㎏以上ビッグハートに至ってはお肉だけでも150㎏以上だし角や蹄も買い取って貰える事は知ってるよね?」
「あ~そう言えば以前そんな事を教えてもらった記憶があるね。」
「ピグのお肉が1㎏で800ギルだから今まで1,000㎏以上で80万ギルでしょう。それとビッグハートのお肉だと1㎏で1,000ギルだから6,000㎏以上で600万ギルってとこかな。後ビッグハートの角が確か一頭で10万ギルだから40頭分で400万ギル。蹄が一つで1万ギル以上だったから160個で、160万ギル・・・。さぁ~合計何ギルでしょうか?」
「えぇ~っと80の600の400の160だから~1,240万ギルかな?」
「はい♪せいか~い♪じゃ~3~4人の家族の一月に掛かるお金はいくらだったでしょうか?」
「それは、さっき教えてもらったからな!20万ギルだろう!」
「せいか~い♪じゃ~ソロ君の稼いだお金で何か月、生活できるでしょうか?」
「えぇ~っと1,240万÷20万だから~62ヶ月ってとこかな?・・・あれ?」
「やっと・・・気が付いたの?ほぼ毎日、生活費の足しにって持って来てくれたけど・・・。しかも、お肉の捌き方が達人級らしいよ・・・お肉屋のおばさんが本当に喜んでたわね・・・。」
そんなに稼いでいたのか・・・?
「じゃ~メロも少しは生活が楽になったって事だよね♪はぁ~良かった~最初の頃は、メロに迷惑ばっかりかけていたから・・・。(これで、少しは恩返しが出来たのかなぁ~)」
「エッ!なんでソロ君・・・泣いてるの?」
「あれ?本当だ・・・・・。なんか・・・メロに助けられてから・・・俺が動けない間、メロが物凄く苦労してたのをマロンから聞いていたから、生活費が厳しくて無理してたんだろう・・・?だから、少しでも恩返しが出来たのかなぁ~って思ったら嬉しくって・・・。」
メロは慌てた顔を一瞬したけど、微笑みを浮かべて俺の目を見つめた。
「馬鹿ね~そんな事ないよ♪私だってソロ君がいたから頑張れたところもあるんだから!それに!恩返し何て考えないで!私は好きでソロ君と一緒にいるんだからね♪」
記憶を失いどうなっていたか分からない。それこそ死んでいてもおかしくない状況だったはず。俺は、この子の為に今以上に必死になって頑張らなければならない・・・。そう強く心に刻み込んだ。
「そうそう♪そう言えば、ソロ君からの質問にまだ答えていない事があったよね?」
「あれ?そうだっけ・・・アッ!そうだったねハハハ♪そう言えばバトルオリンピアの事を聞いていたんだったっけ。本戦に出場したらって話で・・・。」
「そうそう、それと、本戦に出場出来る者を決める予選には、12歳以上の人なら誰でも出場出来るの・・・。」
「12歳って・・・まだ、子供じゃないか?」
「うん・・・。獣人族は、成長が早いから12歳から大人として見られるの。バトルオリンピアに出場する事を夢見ている子供は、後を絶たないわ・・・。」
「やっぱり、戦闘が好きな種族って事なのかな?」
「ううん・・・。そんな事はないよ。確かに出場する人は、出世や利権を求める者も多いけど、自分が統治して皆の為に、生活環境を変えたいって思いを持って出場する獣人も沢山いるよ。」
「ん?って事は、統治してる王様に不満を持っている住人も沢山いるって事になるけど・・・。」
「うん。その考え方であってるよ。だから・・・。私やマロンがバトルオリンピアに出場する理由も今の国の体制を変えたいって思いからだし・・・・・・・だから!勝ち上がるためにも強くならなければいけないの!傷つく事なんて何とも思わない!」
いつもの可愛い顔ではなく、何かを思い出したのか・・・眉間に皺を寄せて唇を噛んでいた。
「分かったよメロ・・・。だから落ち着いて!俺に出来る事は何でもするよ。メロとマロンを今よりも必ず強くさせて見せるから。だから・・・そんな、悲しい顔をしないで・・・。」
俺の言葉に反応したメロは、ハッとした表情を浮かべて
「ご・ごめんソロ君・・・・・・・私・・・。」
「いいって!誰だって人に言えない事が一つや二つはあるもんだし、メロが俺に話したくなったら、その時に教えてくれれば良いよ♪ 今は、今日の手続きの事と今後の修行の準備もあるんだから!」
「ありがとう~ソロ君・・・。」
そして、マロンが来るまでの間、別々に片付けや準備を行った。
俺は、持ち帰った白鋼鉄を加工したり温泉のお湯を丸薬に加工したりと、思いつく限り必要になりそうな次の修行の準備を終わらせる事にした。
翌日、マロンとの合流場所に向かい一緒にバトルオリンピアの受付に三人で向かった。
「いや~俺は獣人族じゃないからな~、さすがにバレるんじゃないのか?」
バトルオリンピアの会場となるコロシアムまで歩いているとメロとマロンが、俺にも参加を進めて来ていた。
メロは、俺の自由だと言ってはいるものの、参加して欲しそうだった。
「大丈夫だよ!メロから貰った道具があれば、ソロなら決勝に進める事は、間違いないよ!」
他種族でも参加出来るなら話は別だが、獣人族は人族に対して友好的ではない事を考えると出場する事に躊躇いがあった。
二人を宥めて、俺は、受付の列から外れ二人の手続きが終わるまで一人で時間を潰すことにした。
メロとマロンは、受付に並びバトルオリンピアの出場申込用紙に記入した後に参加量の銀貨一枚を支払い、ここれで二人は無事に参加する事となった。
会場となるコロシアムを見に行きたいとの事で、高さと幅が共に5mはあろうかと言う、大きい通路を渡っていくとその先にたくさんの椅子が見え始めた。
コロシアムの中に入った事で、俺の止まっていた運命の歯車が再び回り始めていくのだった。
今、俺たちが、いる場所は観客席の2段目に当たるらしい。眼前には150m位はあるであろう砂地に覆われた広場が映っていた。天井も1観客席の上に天井があるだけで闘技場の中心からは空が見えている。
目に映る、闘技場を見て、メロとマロンがゴクリ息を飲む音が聞こえた。その時
「よう!会いたかったぜ、テメーによう!先日は世話になったな!チョット俺らに付いて来な!」
そう言いって掌をプラプラと振りながら現れたのは、頭に角を生やしたサイの獣人・・・たしかライノスって呼ばれてた奴だ。
「あ~ゴメンね。用事があるからノーサンキュウです。」
「あぁ!?なんだそのノーサン何とかって?どうでも良いけど俺らが優しくしている内に大人しく付いてきた方が、賢いってもんだぜ。」
はぁ~・・・相変わらず頭が悪そうな奴だ!こんな馬鹿との話し合いになんか付き合っていられるか!
後ろを振り返り入って来た通路に目を向けるとスポルコと呼ばれていたハイエナの顔をした獣人と、マントヒヒの獣人グノンって奴が道を塞いでいた。
「ライノスが丁寧に話をしてるってのに、何処に行こうってか?」
「この前は、本当にお世話になったッスね! ここから先は通らせないッスよ。」
「うわちゃ~てかてか煩い臭いヤツと~ッスと耳障りな五月蠅いサルまでいやがる。
はぁ~・・・面倒くさいなぁ~メロ、マロン!逃げるか?」
「ソロ君ゴメンね。私が コロシアム見たいって言ったせいで・・・」
「全然メロのせいじゃないし!あの馬鹿共が悪いだけなんだから一々気にするなよ」
「だけど、素直に通してくれそうもなさそうだね。どうするつもりだいソロ。」
「何をペチャクチャ喋っていやがる!あぁ!?逃げ出そうとしてるのか?
僕ちゃんよ~ ビビッて怖いから逃げようったって、逃がさないがな!」
「ギャハハハハハ~♪なんだ、僕ちゃんビビッてたってか?だったら女を連れてこんな所をフラついてんじゃね~よ!」
「ブヒャヒャヒャヒャヒャ~この前は、世話になったッスね!あれが、俺らの本気だって勘違いしてるんじゃないっスよね。俺らエリートの実力を勘違いさせたままじゃ~帰らせる事は出来ないっスよ!」
はぁ~・・・面倒くさい奴らだ。
「そりゃそうですよね~エリートの皆さんの実力が、アレっぽっちだ何て思ってる訳ないじゃないですか~。いや~本当に皆さんが、前回、手を抜いてくれたんで、助かりましたよ!そんなに強んだから俺なんか相手にしたら馬鹿にされちゃいますよ!? って事で、俺たちは帰らせて貰いますね!」
相手に伝えながら、通路に戻って、通り抜けようとしたら俺の両肩に手を置かれて
「本当にフザケタ野郎だな!ちょっとコッチにこいや!」
「このクソガキ!本当に口の減らね~奴っスね!」
「離しなよ!僕達が何をしたって言うんだ!」
「おう!お前達、かまわね~から、ソイツを闘技場に落としちまえ!」
そして、俺は両端のハイエナとマントヒヒに抑え込まれ、担がれると闘技場に投げ飛ばされた。
「痛てててて、何すんだよ!こんな高さから落とされたら危ないだろうが!チョットは足りない頭を使って考えろよな!」
俺がジャンプして元の場所に戻ろうとした時、メロも闘技場に投げ落とされた。
それを見た俺は、メロを受け止める為ジャンプして空中でメロを抱きかかえた。
着地すると同時に今度はマロンまで投げ飛ばされたので、もう一度ジャンプして空中でマロンを抱きしめた。
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