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第29話 第二章【獣人族編】3 メロにお土産!




「ふぅ~疲れた~♪何か身体が絶好調だからこの特訓が、まだまだなのか、やり過ぎなのか良く分かんないな・・・。取り敢えず、全力で身体が動かなくなるまでやっとけば問題ないだろう~。」

この時は、まだ気のせいだと思っていたんだけど、月に1回、自分の身体が凄まじく軽く感じる時があった。

この時だけは、全身の力が漲る感覚があり普段より酷いダメージを追っても怪我の治りが早かった。

それだけじゃなく、自然回復も普段の何倍も早かったので、温泉効果も合わせると通常の何倍もの修行を行った事で、パワーアップも実感できていた。



最初は、リハビリで始めただけだったんだけど、多分、自分の性格なんだと思う。

出来ない事を出来ないままにしておく事が嫌だった。

この山は、出来ない事が多過ぎたので、今ではスッカリ修行の様になったいた。

この山での修行で、自分でも随分と力が付いた事が分かったけど、未だに行けない場所がある。

現在の目標は、その場所に挑戦出来るだけの力を身に付ける事だった。



そうそう、何で俺が、この60日間も違う山に来て修行していたかと言うと前までリハビリに使っていた山に行く事をいきなりメロに禁止されていたからだった。

「私が大丈夫って言うまでは隣の山(獣山)まで一人で行くのは禁止します!」

って言われたから、ルート的にメチャクチャきつい反対の隣の山(獣霊山)まで、来ていた。



「リハビリするのに他にどこか良い場所無いかな~?」と言ったら

「たまにはゆっくり過ごせばいいのに~はぁ~ソロ君には、無理かな~・・・だったら!厳しいけど獣霊山って呼ばれる山が反対側にあるから、そっちに行けるもんなら行ってみれば?」

って言われ通い始める事3日にしてやっと麓まで来れる様になって、さらに4日かけて少しは慣れて来た。

それでもこの時は、中腹までしか行けなかったけど。



獣山と比べると何倍も何十倍も厳しい環境だった。

最初の頃は、人外魔境とか秘境って言葉がピッタリな場所だと本当に思っていた。

初日なんかは、山に入って30分もしない内に挫折していた。

「いや~最初の頃は、悔しかったな~絶対に攻略してやろうと心に誓ったもん。」



獣霊山の麓辺りでも、泥濘(ぬかるみ)があったり、半分以上の道が岩や木の上を通らないと進めなかった。

その為、何ヶ所もサルみたいに腕だけで進む破目になった。(最初の頃は、何度落ちたか分からない。)

標高1000m付近に渓谷があって、渓谷の幅が一番狭い場所でも20m以上あったから最初の頃は、蔦を木に投げつけて渡っていたが、岩と岩をジャンプする様に飛んで渡っている内に脚力が付いたのか20m程度なら飛び越えられるようになっていた。



しかし、渓谷を超えたら、さらに凄まじいところだった。入山した時は、まだ4月になったばかりだったからかも知れないけど、メチャクチャ過酷で、特に標高が2000mを超えた辺りからは、傾斜が厳しく、極寒の中、雪にも足が捕られ動けなくなるわ、命がいくつあっても足らないって本当に思っていた位だ。

しかし、それでも標高4000mを超えた時から今までの環境が幸せだと思えるような異常な山だった。



ただでさえ空気が薄い上に極寒の地だ。体感温度はマイナス40度以下だと思う。だってバナナが凍ってたし。

風速60m位の突風が吹く時と樹氷の氷柱が突風に吹き飛ばされ恐ろしいスピードで襲ってくるわ、氷柱でなくとも拳大から頭位の大きさの氷が俺目掛けて飛んできた。

ただの雨や雪が当たるだけでもメチャクチャ痛かったし、葉っぱや枝などが何百㎞もの速度で、当たると皮膚のあちこちが、切れたり、刺さったりするので本当に危険だった。



そして、気を付けないと危ないのが、突風が岩や崖の隙間を通り抜けると木々さえもスパッと切れる程の真空の刃となって襲ってくることがあった。これには、目が丸くなったのを覚えている。

さらに、偶に黒い雲が発生すると稲光に打たれて感電するし、色々な場所を探検したくて中腹を横に進んだら雪がない場所があったからラッキーっと思って入ったら近くに溶岩が流れてた。

不味いと思った時にはガスを吸い込んでしまったみたいで、フラフラしてしまい大火傷した時もあった。

温泉が無かったら何回死んでいたのか分からない。



でも、そのお陰で、過酷な環境下の耐性が随分と付いたと思う。

まだ寒いとは思うけど、この極寒の寒さにも耐えられるようになったし、氷の塊がぶつかっても痣程度で済むようになった。さらに、氷柱は拳で叩き折れるようになった。



真空の刃は、まだ痛いけどスパッと体のどこかを切り落とされることはないし、雷に打たれてもビリビリ痺れる程度で、感電して動けなくなるような事もなくなった。

マグマ地帯は、他にも温泉があるかもって何度か探検する内にガス毒の体制が付いたみたいで痺れはするけど、意識を失うような事はなくなった。



もう少し詳しく話すと、家から獣霊山の頂上までは、距離にして往復80㎞ちょっとかな?

標高が5000m級の山で、一面に雪が積もっていた。岩肌が剥き出しになっている場所や足を取られたら崖迄一直線の危険地帯もあるし、昔に噴火したのか巨大な火山岩が、沢山落ちていて、見通しが悪い場所が多い。

最初の頃は、イキナリ魔物と遭遇する事が多くて、かなりビビった。



標高が3000mを超えるとさら安定した優しい場所もあるけど傾斜角50度以上と厳しい傾斜になっていて、4000mを超える場所だと70度以上ありそうな場所もあった。

さらに頂上まで行くには、垂直に切り立った岩肌を登らないと辿り着けないし、場所によってはオーバーハングしている場所も登る必要があった。(今は、ロッククライミングしなくても頂上に行ける様になったけど)



今では、剥き出しになった山肌の出っ張りが1㎝もあれば片手で1時間位ぶら下がっていられる様になったし、

山頂まで1時間位で、登頂出来るようになっていた。

2~3日前にヤシの実を小さくした様な果実があったので、試しに絞って飲んだら美味しかったから、メロにお土産っと言って、持って帰ったら物凄く驚かれた。



「ヤ・ヤロンじゃない!どうしたの~これ? 物凄く美味しいけど、この実は、メチャクチャ硬い外皮に覆われていて専用の道具が無いと絞れないから飲めないよ~・・・折角持って帰ってくれたのにゴメンね・・・専門店じゃないと道具がないんだよね~」

っと言ってきたので、メロの目の前で絞って飲ませて上げようと思って握ったら・・・



「はぁ~?な、な、な、な、何やっているの?」

「え?メロが飲みたいんだろうな~って思ったから絞ろうとしているだけだよ?」

「だ・だから!この実は、硬すぎるから300㎏以上の圧力をかけないと絞れないんだよ!だから・・・・へぇ?」

俺が、メロの目の前でヤロンと呼ばれた果実を絞り始めたらメロが素っ頓狂な声を上げた。



「ミシィ!ミシミシ、ブシュ~・・・・」

俺が片手で握りつぶしたのをビックリして見ていた。

コップに氷をいれて搾りたてのヤロンジュースをメロに上げると

「はぁ~ ゴクゴク・・・滅多にお目にかかれない高級ジュースが飲めるなんて・・・あ~美味しい~ありがとう~」

「いやいや・・・どういたしまして!メロが喜んでくれたなら幸いです!」って言ったら



「って!どう考えてもおかしいでしょう~!!!」って言うから

「何が?おかしい味なんかしないでしょ?」って言ってやった。

「そうじゃなくて!今!私言ったよね!凄まじい圧力をかけないと絞れないって!実際ジュースにするなら350㎏以上の圧力が必要なんだよ?意味わかる?350㎏以上だよ?有り得ないでしょ~が~!!!」って言うから



「有り得ないって、目の前にあるでしょうが~」って言い返したら

「あぁ~そうでした・・・。ってそうじゃな~い!」

テヘッて笑っての、ノリ突っ込み中々のものだ!



じゃ~何だって言うのだろう・・・。

「ソロ君・・・この頃の筋力トレーニングってどこまで行っているの?」

「どこってメロから聞いた獣霊山って場所だよ!俺は約束を護る男なのだ!」

ドヤ顔でそう答えるとメロは目を見開き、驚きの表情を俺に向けた。



「じょ・・・冗談でしょ・・・。獣霊山でトレーニングって本気で言っているの? 否、あそこはそんな簡単に行ける場所ではないって言うし・・・でもヤロンが・・・・でもでも・・・誰もが行ける場所ではないはずだし・・・でもソロ君だし・・・・・あぁ~!!だ・だから・・・ほぼ毎日、魔物を持って帰ってたの?」

「冗談ではないし、本気って・・・どう言う意味?メロが教えてくれたんじゃないか!それと・・・ソロ君だしって何だ?」



「だ・だってソロ君ジッとしてないから獣霊山に行けば諦めると思っていたから・・・まさか!あれからずっと獣霊山に行っていたの?」

「ヘッ? 何を言ってんだよ! そんな、当たり前の事聞いてどうするんだ?」

何で当たり前の事をワザワザ確認するんだろう?

そんなの毎日行くに決まってるって意味で、当たり前だろうって言ったら口を挟まれた。



「はぁ~ビックリした! そ・そりゃ~そうよね!誰でも普通は諦めるよね・・・」

メロは両腕を胸に当てて安堵の表情を浮かべているが・・・何で、そんなに安心したような顔をしてるんだ?

「いやいや・・・普通諦めるって、別に諦めてないし、あれから獣霊山に通い続けているけど?・・・・・・もしかしたら・・・・・何かマズかったの?」

余りにも信じられないと言う表情で言われ続けたので少し心配になってきた。



「はぁ~・・・そうだよね~ソロ君だもんな~まさか・・・普通に獣霊山に行ける様になったって事?」

オデコに手を当ててあちゃ~って顔をしている。

「普通にじゃないぞ!最初の頃は、切り裂かれるは、火傷するは、突き刺さるは、落下するは、感電するは、で挫折しまくったからな! まぁ~今なら楽勝になってきたけどね!」



ドヤ顔の俺を見て、メロがどこか遠い目をしている。

「はぁ~通りで・・・少し前からおかしいなぁ~とは思っていたんだよね~。そりゃ~そうよね~自生しているヤロンがあるのって、獣霊山にしかないって・・・誰かに聞いた記憶があるもの。身体は無事・・・・・無事だよね・・・。」

どこか投げやりになって呟いていた。



「うん、元気、元気!獣霊山のおかげで、身体能力も戦闘力もメチャクチャ上がったし、今なら、獣霊山の上まで行っても・・・・・・」

またしても、途中で口を挟まれた。

「獣霊山の上までって・・・まさか・・・ソロ君!?頂上の近くまで行ったことあるの?」

「いやいや・・・頂上の近くって言うか頂上までなら・・・今なら普通に行けますが?」

メロを見ると今まで以上に目を見開いて驚愕していた。何がそんなに驚く事があったのか?



「今の俺だったら、家から山頂まで行って帰って来るだけなら4時間もかからないよ?」って教えたら、それ以上大きくしたら目が飛び出ちゃうんじゃないかって位、目を見開いて驚いていた。

「ソロ君!明日は、私と一緒に付いてきて欲しい場所があるんだけど?いいかな~」

(どう考えておかしい。そこまで出来る可能性を持った強者なんて、いくら身体能力に優れた獣人族でも、数える程度しかいないと思うんだけど・・・・・・。まして、ソロ君は人族だ!・・・・・・・人族?・・・・・・だよね? 気を悪くするかも知れないけど、明日は中央迄行って測定させてもらおう。)



何故かメロが不思議な表情で俺を見ている。

「別にメロの為なら喜んで付いていくぞ!で、その中央って俺は行っても平気なのか?以前マロンが、言っていたじゃないか」



以前、マロンが遊びに来た時に、

「人族が嫌いな獣人族も多いんだ。だから一人で、獣人の街テンペスタの中にある中央区と呼ばれる場所には近づかない事!これは、メロの為でもあるのだから絶対に近寄らない様に約束してくれ!」

と言われたことがあった。



メロが何やら袋の中をガサゴソと探している。

「そ・それは、そうなんだけど~。ソロ君ちょっとこの魔石を持って頭の中で自分が獣人になったイメージしてくれるかな~」

メロがそう言って俺に渡してきたのは、直径3cm位の楕円形の綺麗な魔石だった。

よく見ると漆黒のツルツルした表面に何か文字が刻まれている。

俺は言われるが儘、左手に持って頭の中でイメージを膨らませた。



「イメージしているけど、それがどうしたって言うんだい?」

別に何か変化が起こった様子はなかった。

「エヘヘヘヘ♪ 良いよソロ君! 似合ってる~♪」

何が?と思っているとメロが、俺の手を引いて鏡の前に連れて行った。

「ほら~見てみて~似合っているでしょ!?」

鏡を見て俺は驚いた。数秒間固まっていたのではないだろうか・・・。



「ソロ君のイメージしたのは豹かな~獅子かな~?」

鏡に映っていた俺の頭には、少しとがった耳があり、身体を捻ったらお尻に短い毛に蔽われた尻尾が生えていた。俺がイメージしたのは、メロやマロンと同じ姿だった。ちょっと違ったけど・・・

「凄いな・・・。どこからどう見ても獣人族にしか見えない・・・。幻影・・・じゃなくて、本当に生えてる!?」

手で耳を触ったり、尻尾を触ったりしたが、実際に触れる事が出来た。



「ウフフフフ♪ 驚いた~? 本当は違う用途に使う魔道具なんだけど、同じ様に作用してくれて良かった~」

メロに確認したら、この魔道具は認識阻害や幻影の魔道具ではなくて、魔道具を通して周囲に存在する魔素をイメージした状態に形作る事が出来るものだった。

本来は、人族の世界に行く時などに問題を起こさない為に開発されたもので、分かり易く言えば、獣人が人族に変身する為の魔道具だった。



「ああ・・・驚いた。凄い技術だな~ ・・・」

こんな技術があるなんて本当にビックリした。さすがは、異世界だな~って本当に思えた。

「エヘヘヘヘ♪ やった~♪ いつも私ばっかりビックリさせられていたから、チョット嬉しいかも~♪それに、これなら中央区に行っても大丈夫でしょ?」

タダでさえ愛くるしい顔に満面の微笑みを添えて嬉しそうにしている。



「なるほど・・・、これさえあれば、テンペストの中央区ってところに行けるって事か?」

「そう言う事!だけどイメージして返信しても。この魔道具が自分の身体から5m位、離れちゃうと効果が切れちゃうから発動させたらポケットにしまって落とさない様にしてね!」

この後に、どれ位離れると効果が切れるのかを実験したところ自分の身体と魔道具の一番近い場所が6m位離れてしまうと効果が切れてしまう事が分かった。



「分かった!気を付けるよ。肌身離さず大事にしまっておく。明日が楽しみだな~♪」

俺は、初めて見る事の出来る獣人の街に行ける事にワクワクを隠す事はしなかった。

「ウフフ♪ソロ君嬉しそう~ 何だか私まで嬉しくなってきちゃった♪」

「あぁ!本当に嬉しい!ありがとう~メロ!」



俺は嬉しさのあまりメロを引き寄せギューと抱き着いてしまった。

「ハワワワワ~ そ・そ・それは良かったです・・・。(何でか今日のソロ君・・・大きく感じる)」

体中の皮膚が全て真っ赤に染まっている。頭からは煙がモクモクと立っている。

メロの目がグルグルと回っていて、起こっている現実を認識できないでいる様だった。



その時、大きな荷物を抱えたマロンがやってきた。

「トントン! ガチャ、ガチャ!お邪魔しま~す!メロいる~? これ食糧ね!それで、明日の事なんだけどさぁぁぁ・・・・・あっ!コホン!失礼しましたー・・・。ガチャ」

何を勘違いしたのかマロンが俺たちを見るとアワアワしながら入って来た扉を閉め出て行ってしまった。



「か・勘違いしないで~マ・マロン!だ・だ・だ・だ・大丈夫だから!何にもないから!」

慌てたメロは、抱きしめていた俺を振り切って扉を開けると、出口で固まっていたマロンに声を掛けていた。

「いや・・・思えば健全な男女がひとつ屋根の下で暮らしているんだから、何も不思議な事は無いな! 僕もコレからは気を付けて中に入るとするよ。邪魔して悪かったね・・・メロ・・・。」



「だ・だ・だ・だ・だから~そんなんじゃないんだってば~ソロも何か言ってよ!」

そう言うメロの顔も耳もいまだに真っ赤に染まっている。

「あ~ゴメンゴメン!そうだぞ、マロン!別にそんなんじゃないぞ!俺は嬉しかったから大好きなメロに抱き着いただけだぞ!」

出来れば、耳をモフモフさせて欲しかったけど



「ブッッ!ち・違う・・そ・そ・そ・そ・そう言う意味じゃなくて~」

「あぁ、大丈夫だよメロ!分かってるから!大丈夫だよ!健全な男女なんだから!」

「ち・ち・違う~~そうじゃないんだってば~~!!!」



それから淡々と俺とマロンを前にしてメロが口を開いて説明を始めたのだった。

「なるほど~そう言う事だったのか~ハハハハハ♪ いや・・・流石にさっきのは、僕も衝撃だったよ!まさかメロに先を越される事になるとは・・・。」

「だ・か・ら~もうその話はお終い!」

プンプンしているメロも可愛いな~と思って見つめるソロであった。



「まぁまぁ~冗談はさておき!メロのお陰で、俺も獣人として中央に行ける事になったんだから、本当に感謝しているんだよ?」

「はいはい。二人して私をカラかってもう~知らない!」

またしても、プンプンと怒り出すが、何度見ても可愛いものは可愛いのだ。

「じゃ~機嫌直して貰いたいからコレをメロにプレゼントするよ!だから機嫌を直してくれない?」



俺は、そう言うと獣霊山の頂上に生えていた珍しい木に付いていた氷の結晶の様なイヤリングを渡した。

これは本当に珍しいものだった。大きさは5㎝位で、氷の結晶の様な複雑な形をしていた。

融けるかと思ったけど、融けたら融けたで、仕方ないと思って持って来たんだけど、いつまで経っても融ける気配がない。



光にかざすと虹色に輝きキラキラと光を放っている。

丁度、二つぶら下がっていたので、二つとも持って帰っていた。

メロが以前付けていたらしき壊れたイヤリングが物置の隅っこの箱の中に何個かあったのを見つけて、使っても良いかって聞いたら問題ないって言ってくれたので、壊れたイヤリングの土台に雪の結晶を取付けておいた。



「何かメロにプレゼントしたいな~と思ってたんだけど、お金もないし気に入ってくれると嬉しいんだけど」

そう言いながら雪結晶のイヤリングの片方をメロの手に渡した。

「うわ~すごく綺麗・・・。太陽の光が、当たると虹色に光ってすごく綺麗・・・。」

メロは手に持って色々な角度に光を当てて目を丸くしていた。

どうやら気に入ってくれたらしい。

雪結晶のイヤリングにメロが見とれていた隙に、もう片方をメロの耳に付けて上げた。



「メロなら似合うと思って作ったんだ、気に入って貰えたら嬉しいんだけど。」

またしても、耳まで真っ赤に頭からボッと湯気が上がった。

「ハウッ! あ・ありがとう・・・とっても嬉しいです・・・。」

小さな声で、そう呟くと目が潤んでいた。



「ソロやるじゃん!もうメロがメロメロだね!」

「だから~そう言うじゃ~ゴニョゴニョ・・・。」

恥ずかしそうにしているメロを見るとどうしてもケモ耳をモフモフしたくなるが、ガマン!

「はいはい!そう言う事にしておくか!でも本当に綺麗なイヤリングだな~良いな~僕も欲しいな~メロばっかり~ズルいな~」

チラチラと俺の方を見てブーブー言いながらそう思いを口にするマロン。



「うん、また生えてたら取ってきてあげるね!あったら今度はマロンにプレゼントするよ!」

「ほ・本当か?ヤッター言ってみるもんだな~約束だからな!絶対だぞ!」

「フフ♪分かったよ!ただ、いつ生えてるか分からないから見つけたらだからな!」

「いいよ!それで!楽しみだな~フフフフフ♪」

いつもはボーイッシュな雰囲気なマロンだが、それは性格だけの事で容姿だけをとるなら、かなりの美人さんだ!やっぱり女の子なんだな~って思った。



その後、不思議な事が起こった。お湯を沸かす時にメロが生活魔法のイグニッション(小さい火)を唱えた時だった。

「メロ・・・さっきソロに貰ったイヤリングの形が変形してるよ?」

「本当だ・・・何で?この雪結晶って、今まで何があっても変形しなかったんだよ?」

「えっ?嘘ぉ~!あっ!でも・・・この形も綺麗~それに可愛くなった。私はこっちの方が好きかも~♪」



5㎝位の雪の結晶だったので、平べったい構造だったんだけど・・・今は、直径2㎝位の青く半透明の球体の中に雪の結晶が見える。

しかも、不思議な事にイヤリングの土台と一体化していた。

「もしかしたら私の魔力に反応したのかな~?」



「可能性は・・・あるかもね。ソロって魔力が全くないでしょ?だから今メロが魔法を使ったことで、本来の形に変形したんじゃないのか?」

たしかに、マロンの言う事は尤もだ。

「そう言えば、魔力で変形したり色が変わる金属とかもあるもんね~不思議だけど変な感じはしないし、私はこの形に満足だよ♪ それに、このイヤリングを付けてから体が軽くなったんだよね~」

「ふ~ん 要するに一種の魔道具みたいな感じの物って事かな」



俺の言葉にメロはハッとした表情をして俺のほうに向き直った。

「そうだよ!そうかもしれない!ちょっと待ってね♪」

メロは、そう言いながら耳のイヤリングを外し始めた。

「・・・・・・・うん。間違いない!外したら少しだけど身体に漲る力の感覚が変わったみたい。」

いそいそとイヤリングを付け始めたメロの目がキラキラしていた。



「凄いやソロ!天然のマジックアイテム何て・・・僕、初めて見たよ。良いな~」

マロンも目を大きく見開き、指を咥えて体をフリフリしている。

いつものキリッとしたマロンも美人さんだけど、こういう仕草のマロンはとっても可愛いと思う。

「そうか、何か知らんが良かったみたいだな。」



その後、落ち着いたメロから今日まで俺が、獣霊山でやって来ていた事と明日、中央に行く理由をマロンに伝えたところメロと同じ様に白い眼を俺に向けたマロンが、俺の事を異常と言っていた。

異常じゃないやい!俺・・・再び拗ねた。




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