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第3話 第一章【神界編】1



(あ~どこだ~ここは~?)

俺は果ての見えない長い行列に並びながらその事だけはボンヤリと思い出していた・・・・・

人の隙間から見える景色は何も存在せず、唯々白い世界が、続いていた。


前を見ても後ろを見ても人だらけ・・・。どれ程の人間がいるのか数える気にもなれない。蛇行しながら繋がっている行列の先頭は、霞んで良く見えない。


後ろを振り返り、良く視ると次から次へと新たな人影が、何もない空間から突然、湧き出ては当たり前の様に行列の最後尾に並び続けている・・・


普通に考えれば、違和感だらけのこの光景を俺は、何の違和感もなくボ~っと見ていた・・・。


(それにしても・・・この行列はどこまで続いているのだろう?)

それもそのはず、全宇宙で死んだ者が一同に集まる世界なのだからその規模は計り知れない・・・が、この青年は、そんな事を知る由もなかった。


そして、無気力だった青年の表情が少しずつ動きたし、色づいてきた。どうやら徐々に忘れていたはずの記憶が呼び起こされている様だ。



(あっ!・・・そうだ! この頭の中にイメージが飛び込んで来る様な状態・・・俺のアカシックレコードだ!)

これだけ膨大な記憶の映像を短時間で見たら・・・生身の肉体では、耐えられないだろうな~


(そうか!おれ・・・ヤッパリ死んだのか・・・まぁ~当然か~)

俺は、呟きながらもアカシックレコードによる映像を次々と眺めていた・・・。



(そう言えば、幼少期の頃は・・・馬鹿だったよな~・・・甘ったれだったし・・・)

意識が、目覚め始めると同時に前世の事を思い出していた・・・。


(あぁ~父さんだ!ヤッパリこの優しい笑顔が好きだったな~)

俺は、物凄い父ちゃん子で、幼少期から死ぬまでの間に嫌いになった事など一度もない程、好きだったし尊敬していた。



前世でも、残念ながら母親の記憶や姉の記憶が少ないな~と思っていたら、アカシックレコードにも少ししか記録されていなかった。


(父さん・・・・・・。ごめんね・・・。)

前世の最後をアカシックレコードでも見るまでもなく思い出してしまい。ついつい謝罪の言葉が出てしまった。

父さんの事が大好きだったが、悲しくなってしまうので、割り切ろう!


(そうそう・・・俺の初恋って・・・この子だったっけ。 何か・・・懐かしいな~)

死んでから、前世を振り返るのは・・・なんか変な感じがした。

(この子に振り向いてほしくてガムシャラに特訓したんだっけ~)

昔を懐かしむように何かを眺めている。


そして、表情が引き締まっていく。

(ボクシング・・・本当に・・・前世では・・・俺の運命の出会いだったな~)

俺は、アニメに出てくるキャラクターの様なダメダメ人間だった。しかし、このボクシングとの出会いが、俺を大きく変えてくれたのだった。


どれ程、ダメダメだったかと言うと、アニメで例えたら・・・どら猫の様な名前のロボットが、色々なアイテムで助けてくれる話で、一緒に住んでいる、物凄くノビタ名前の子と同じ様なダメダメさだ。

それでも、好きな子に惚れてもらいたくて物凄く努力してある意味認められ始めたんだよな~



(そうだった・・・高校生からは、違う意味でダメダメだったな~)

この時期については・・・前世で一番思い出したくない記憶だな~・・・いずれ話す時がくるかな~


(そうそう・・・この年から人が変わったようん勉強したよな~)

死んだ今なら、努力する事が本当に大事だと分かるんだけどな~


(このシーンは!・・・死んだ後に思い出しても、凄まじいモテキだったな~本当にある意味、人生観や価値観が変わった時期だったな~)

人生にはモテキが3回あるなんて前世で誰かが言っていたけど・・・本当にモテモテだった。



(ここでの仕事は本当に楽しかったな~)

少し前の事なのにとても懐かしく感じる。悪業を起こしていれば後悔に苛まれたのだろうが、幸いにも俺は、善業が多いようで、幸福を感じる方が強かった。


映像が切り替わった時、俺の心に戦慄が走った・・・。

(!!!そうだ・・・コイツらだ!・・・・本当に凄まじい奴らだった・・・)

冷や汗などかける訳もないのだが、アカシックレコードに映し出された凄まじい映像記録を見て俺は戦慄した。

そこに映し出されたものは、本当に物凄い映像の数々だった・・・。まるで、SF映画だ!



(そして・・・確かこの時にここで・・・なるほど思い出した。

 前世の俺は・・・・でも、メッチャクチャ頑張った!

 自分の映像だけど、自分を褒められる人生だった!・・・満足だ!これなら!次の転生は・・・・・)


アカシックレコードには、俺の生まれてから死にざま迄ハッキリと映し出されていた。時間にしても僅かな時間だったと思う。・・・・・そして、俺は心に秘めた思いを決意していた・・・。



(それにしても!! 今回の人生は、今までになく壮大で素晴らしい生き様だった!!面白かったなぁ~)

俺は人生を振り返っていた・・・前世のアカシックレコードが終わった。

その後、さらに意識もハッキリしてきた・・・。


意識が覚醒していくと同時に今まで真っ白な世界だと思っていた場所が色鮮やかに着色し始めた。

(毎回、思うけど・・・本当に面白い仕組みだよな~・・この・・【アカシックレコード】って・・・。)



【アカシックレコード】とは?

神界にある全記録資料室オールアカシックレコードで、宇宙の全ての星々に人類として生きていく全ての生命の情報が個々に記録されている人類の記録装置である。

前世で、死んだ後に、この世界【神界】に戻って来る、生き戻り【生命の返還】を果たしたものだけが見る事を許されている。


このアカシックレコードには、当然の事かもしれないが、凄まじく膨大な量の人生の記録がされており、自分の人生の記録映像を短時間で見る事が出来るが、死んだ後に神界でしか見る事が出来ない。

理由は単純で、肉体による情報処理を行ってしまうと膨大過ぎる記憶の渦に肉体が耐えられず崩壊してしまうからであった。


地上界に誕生してから死を迎えるまでの全ての出来事とその者が起こした行動の結果、良くも悪くも巻き込まれた者たちの思いも含めて、自分の人生がどうであったのか?と前世の自分を振り返る為に神々によって創られた仕組みの一つである。



(う~ん?何だっけ?まだ・・・何かを忘れている様な・・・?思い出さないといけない・・・何かが~?あった様な・・・何だっけ・・・? う~ん? ・・・・!? ~何か・・・お・思い出してきた・・・)

いきなり俺の頭の中に、忘れていたはずの記憶が呼び起こされてきた。



(あ~そうだ!!・・・そうだった!【ゴッズレコード】だ~・・・)

ゴッズレコードとは、最初に誕生してから現在までの、全記憶が、本人の生命の根本に記録される

【始まりの神によるシステム)】の事であった。


何回の転生を繰り返したかにもよるが、複数回転生を繰り返している時点で、アカシックレコードの数倍の情報量だ。それとさらに神界における情報も含まれる。


アカシックレコードであれば、耐える事も可能だが、身体のない生命であっても、単純な膨大過ぎる記憶の奔流には、耐えられない。しかし耐えられない理由はそれ以外にもあった。

これも、至極当然の事であった。


最初は神界においての事実を思い出すので、そこまでならば何も問題がない。それが終わると今までの人生の全て記憶が強制的に蘇ってしまう。


何度も転生を繰り返していれば、男性だった時もあれば女性であった時もあり、善人であれば悪人の時もある。平和の時代の記憶もあれば、凄惨な戦争や略奪の記憶も時もあるだろう。


結婚した相手が、前世では娘や息子であったり、本来なら決して交わる事のない記憶の全てが蘇るのである。

その様な記憶が一度に蘇ってしまえば、受け入れる事など出来るはずもない。


その為、【生命の返還】をした後の生命達は、神界の【聖域】と言われる場所で、誕生してからの全ての記憶が時間を掛けてゆっくり、ゆっくり融合させていく。

・・・・・・・本来であれば・・・・。



(相変わらず・・・凄まじい情報量だな・・・)

・・・どんなに凄まじい成長を遂げようと・・・理から外れる事は、出来ない・・・このゴッズレコードだけは、記憶の統合に膨大な時間がかかる為、終了するまでは、神界にいる事になる・・・。


【生命の返還】をした(せい)(めい)は全記憶の融合が、終了した後は≪神界で暫くゆっくりする事を望む≫か神について学ぶために≪神殿に赴き、様々な相談に向かう≫様になる。

・・・そうする様に神々に言われているからだ・・・。

・・・一人を除いて・・・・・。



(そうだ~! だんだん! 思い出してきたぞ!)

先程迄の難しい顔から一転して明るい顔になる。


(それに!死んだのではなく・・・生まれ戻ったんだった~! そ~だよ!さらなる生命の進化を求めて・・・その為に! 遥かな昔より・・・俺は・・・転生を繰り返しているんだった!)


(毎回、思うけど・・・面白い仕組みだよな~・・この・・【生命の返還】って・・・。)

地上界での活動を終えると肉体のない神界に戻ってくる・・・

【生命の返還(LC)ライフコンバージョン】の事だ・・・。


楽しみで仕方がない、そんな顔をしている。

・・そして何かを・・さらに思い出した様子。



(あぁ~そうだ!! これ以上の記憶を戻す必要が、無いから、別に・・・この行列に並ぶ必要なんて無いんだった~。)

この行列に並んでいる、全ての人がいる場所は、記憶による混濁を防ぐ為のスペース【聖域】であった。

本来であれば、記憶の統合が終了するまでは、動けないはずなのに・・・


それぞれ様々な世界で修練を積み神界に戻ると、神界のルールにより全ての記憶を呼び覚ます。

≪アカシックレコード≫と≪ゴッズレコード≫の全ての、記憶が戻ってしまうと記憶による混濁を起こす。

それを危惧した神々が、この聖域に加護を付与し、守っているのであった。


そんな事などお構いなしと言わんばかりに・・・

(ハッ!こうしてはいられない!俺は何をボケ~と突っ立ってるんだ!・・・急いで神々に報告に行かなければ!・・・・・・ん!?)

記憶が戻り(ゴッズレコードは、必要な情報だけにして後は、強制的に解除したが)周りを見渡すと今まで見えなかった景色が飛び込んできた・・・




「おぉ~俺よりも先に記憶が戻った奴らが、神聖殿を目指して歩いてるじゃん・・・)

数は、そんなに多くはないが、チラホラと神殿に向かう人影が見えた・・・


「まぁ~当然か!」

俺より先に目覚める者や・・・俺より先に、神界に来ている者もいるんだから・・・


「こうしちゃいられない!それにしても・・・相変わらず・・・凄い景色だな~・・・」

俺は、行列から飛び出した後、聖域を見渡した・・・老若男女・・・髪の色も様々で、背の低いものから背が物凄く高い者まで・・・神々が創られた【人類】に分類される多種多様な生き物が並んでいる。


「あれ?まぁ~良いか!」

何かの違和感があったが、それよりも今後のことが楽しみで仕方がない。


俺が目指す方向には、端の最後が霞んで見えない巨大な壁の様な建造物があった。

その中央に当たるであろう場所に一際、神々しい大神殿らしき建物があった。


その手前の左右に一回り、二回り小さい神殿らしき建物がいくつも並んでいる。

その神殿に辿り着く道の途中から巨大な階段が緩やかなカーブを描いて

続いている。


神殿に続く道は一段一段が考えられないほどの広さと奥行で造られている・・・。

階段を上る人影と比べてみると一段と大きさが浮きだっていた。


階段一つの奥行きが数十メートルで幅は200~300m程はありそうに見える。

その階段の左右には、神殿を奉るように荘厳な宮殿や社の様な建物が数多く見える。


荘厳な景色に圧倒されていたが、俺には行かなければならない場所があった。

「え~っと? 今回も最上級神様のところだっけ?」

俺は、ゴッズレコードの情報を探り始めた・・・。


神界に生命の返還をはたした後は、本来であればゴッズレコードを全て吸収した後に行動する事になるから、俺の様に迷ったり、考えたりする事はないのだが、俺は、神に頼み込んで、自分自身のルールを定めているので、ゴッズレコードの映像が流れ始める途中で、見るのを止めてしまう、その為、行き先が変わる可能性が高い時は、その部分だけを読み取れるようにしてもらっていた。



「えぇ~っと・・・今回からは・・・やった~♪ これからは、トップの超越神様に直接、話が出来るのか!」

神のクラスも分かれており下級神、中級神、上級神、最上級神、と格が上がっていき、その次に位に存在するのが【超越神】である。


このクラスの神となると宇宙に4人しか存在しないと教わった事がある。

「初めて会う超越神様か~どんな方なんだろう~」

初めての超越神様と分かり俺のテンションはメッサ上がってきた。



「よ~し!そうと決まれば、急いで向かわなければ!!」

俺は聖域から離れ、神殿に向け全力で階段を駆け上がった。

肉体が存在していた地上界と違い、肉体がない生命だけのエネルギーは凄まじいのだ!


どれ位凄いかというと!イメージとしては、前世の地球で、人類の出せる最高速度が40㎞程度だとしたら、軽く数十倍以上のスピードが出せてしまう。

譬え神殿までが、1000㎞離れていようとも僅か1時間ほどで到着してしまう。


体力などは、存在しないので、減りようがない。その代わりに生命力(魂力)が弱まっていくので、生命力の弱い者は、長時間を全速力で行動する事は、出来ないのだ。

生命力が高ければ高い程出力を上げる事が可能である為、強いものほど、さらに何倍もの速度で移動する事が可能であった。


それにしても・・・・・

「後どれ位で到着するのかな~」

余りに長い道に余りにデカ過ぎる階段、さらに凄まじく巨大な建造物ばかりで、距離感が分からなくなる・・・。


「相変わらず凄いスケールだ・・・!!」

景色もそうだが・・・何よりも神殿から漂ってくる荘厳な気配に圧倒される・・・

神殿に向かう最中、通り過ぎる様々な人類が目に入った・・・。


「そう言えば・・・さっきも思ったけど・・・ヤッパリ気のせいじゃなかったな。確か、亜人って言うんだったっけ~?あとは、獣人って言うヤツだよな・・・。」

今までの生まれ戻り(生命の返還)でも見た事のない、様々な人種が目に入る。


耳が少し長い人。それよりも長い人。身長が低いがやたら筋肉質でズングリむっくりしている男性。顔の色が見た事のない人種など・・・さらに頭の上に耳があり形も大きさも様々な人達・・・。

尻尾まで生えてる者もいれば、頭に角が生えている者や翼の生えている者達もいた・・・。


「おぉ~!ほ・ん・も・の・だ~」

目がキラキラしている・・・

そして一番気に入った人間は・・・


(さぁ!盛り上がってきました!俺の中の栄えある一位は~・・ドルルルルルゥゥゥゥル! ドン!)

余りにも嬉し過ぎたのか、器用にも脳内で、ドラムロールが鳴り響き何かに決まった様だ。


(ジャ・ジャーン!  亜種部門の一位は、エルフさんで~す!おめでとうございます!)

まだ、自分の脳内で、何かが始まったままだった。

前世の地球でも世界の伝記などに登場するので、知ってはいたが、まさか本物がいるとは思っていなかった。


前世のライトノベルと言われる異世界物の小説などにメチャクチャ美人に描かれていたが、嘘は一つだけだった。

胸が無いと描かれていたが、大半のエルフがスレンダーなのにグラマーと言う地球人にとっては、有り得ない程、素晴らしいプロポーションをしていた。


もう一つ嘘があった・・・耳は尖っているけど、少しだけしか大きくなかった。


「俺も前世では、かなりモテてた方だから綺麗な女性やスタイルの良い女性ともお付き合いした事が、多かったが・・・・・これが平均なのか?」

そう思わずにはいられない程、目に映るエルフの大半が、顔が綺麗で、スタイルも良かった。


男のエルフも同様で、線の細い身体をしてはいるものの、綺麗な顔立ちをしていた。

(凄まじい破壊力だな・・・・・エルフ・・・・・あの子なんてエルフって言うか・・・・エロフだな!)


エルフで興奮が最高潮に達したのか再びドラムロールが脳内で、響き渡る。

(そして、獣人部門は~ドルルルルルゥゥゥゥル! ドン! 半獣人さんで~す!

 あれは・・・ゴクリ!どう見ても猫の獣人さんだよな~。

 獣耳に尻尾!顔と体は人間と同じだ!指も5本だ!全然毛深くないんだな~)


猫や犬は大半がカワイイからか、行きかう半獣人の顔立ちは全員可愛いし、綺麗な半獣人もいた。

男も精悍な顔立ちの者から大人であろう体格をしているにも関わらず可愛い顔をしている者まで様々だった。



「ケモミミに尻尾を付けた可愛い女の子に綺麗なお姉さんまで、これは!凄い景色だ~~!」

興奮しすぎてついつい声が出てしまったようだ。

リアルな獣耳と尻尾が付いている人間を始めてみた興奮が抑えられないっと言った様子だ。



「ヤバい!うっかり声に出ちゃった・・・」

反省!だが!まだ続く!

(惜しくも獣人部門で第二位となったのは、ドルルルルルゥゥゥゥル! ドン!完全な獣人さんでした~!)


半獣人と獣人が、同じ種類なのかどうかも分からないが、完全な獣人は人間の様な佇まいで歩いている。

動物の種類によっては、手の指も人類と同じ様に5本あり動物なんだけど人間と言った方が間違いないと思えるほど自然に直立歩行をしていた。


半獣人と違い完全な獣人の方達は、顔だけだと性別の判断が付かない。俺は失礼だな~と思いながらも胸を見て(これは、女性だな!こっちは男性だな!)と思っていた。小さい子は見分けがつかなかった。


・・・様々な半獣人から色々な種類動物の顔が人の様な佇まいで存在している。


ここ迄、興奮して見ていたが、我に返るとある事に気が付いた。

「って!? あれ~?俺って・・・生命の返還をしてから、そんなに長い時間、聖域にいたって事?」

(いつの間に、こんな沢山の種類の人類が誕生したんだ???)

俺は過去を振り返り記憶を探るが、思い出す事が出来なかった・・・


「あれ~何か・・・記憶が何か足らない感じがするぞ?何でだろう?・・・・・。

 まぁ~良いか!それにしても・・・」

なぜか、納得がいかない、と言う顔をして話を続ける。


「これでも、俺って・・・転生した回数がメチャクチャ多いから、聖域の待機時間が、相~当~・・・短いはずなんだけどな~・・・いつの間にこんなに人種が増えたんだろう・・・。」

両腕を前で組み頭を傾けて考える・・・・・俺…自信喪失・・・・


他にも不思議な事があった。前回の生命の返還の時には、俺みたいに走って神殿に向かう奴らが少しは、いたと記憶していたのだが・・・

「・・・何で?誰も走る人がいないんだろう~? どうして、皆ゆっくり歩いているんだ?」

周りを見渡すと少し早いペースで移動している人もいたけど、殆どの人がゆっくり歩いていた・・・


俺の事を見つめる全ての人が、何故か驚いている様に見える・・・

「俺が走ってるから目立つのか?」

別に走っちゃダメなんてルールなかったよな!?


「まぁ~良いか!! それ以外は見慣れた景色だし・・・問題ないだろう!!」

俺は、自慢じゃないけど、転生回数が多い、しかも同じ地球での転生にこだわり続けた。そのおかげか、再転生にかかる【待機時間】が、かなり早くなったと思っている。


普通は、何度か同じ惑星で転生を繰り返したら、別の人類がいる惑星にも転生させてもらえる。

違う惑星の転生を選ぶと待機時間が今までと同じで、時間がかかるが、同じ星での転生を繰り返すと神々から特別に転生に関しての融通を聞いてもらえるのだった。


俺は、地球の転生を望んで繰り返した事で、他の生命達よりもこの神界における特徴を神々からいくつか教えてもらっていたのだった。


さっきのも、そうだ!

ゴッズレコードも全部思い出すと物凄く時間がかかる。

これは、俺みたいに直ぐ再転生を望む奴には、あまり意味がない。

「まぁ~さっきも話した通り、俺の場合は他にも理由があるんだけど・・・。」


誕生したばかりの奴ならばゆっくり時間をかけて思い出したほうが、良いとは思うけど・・・最初の頃は俺もそうだったし・・・・


何の話だったっけ・・・? -------あ!そうそうゴッズレコード!これは、意識がハッキリしていれば自分の意志で、後回しに出来る。


要するに!自分が知りたい情報や必要な部分だけを思い出せる様にコントロール出来る訳だ!

と言うか俺は、思い出したくないから後回しにしている訳だが・・・。


それと!この神界では、善行を沢山、行った者であれば周りに迷惑をかけない限りどんな事をしても許される恩恵が与えられる。(だから走って神殿に行く奴がいない事が不思議でならない。)


それと!地上での生活は、分かりやすく言えば【修行】だな!


そういえば、神様にも当然、使命(仕事)がある。始まりの神が定めたらしいが・・・・。


ゴッズレコードによると、・・・・・


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


宇宙が、誕生した時の膨大なエネルギーによって、様々な物が、細かく分かれてしまった。


永遠の命の塊である「宇宙」にとっては、時間と言う概念が存在しない。


「宇宙」は、細かく分かれた「魂」を数百兆光年という時を使い元に戻している最中。


故に「何かしら」の役割を与えられた「魂」は、それぞれに行動を起こす。


どの様なことでも「例外」というのは、存在するのである。


そう「神」といっても「全ての事象」において「完全」ではなく、「神」は究極にして完璧であると言う考え方は、人類が縋る思いで辿り着いた「愚考」である。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(これも考えれば当然の事だな・・・・・・・・。)


(人類を遥かに凌駕している存在である事は間違いないが、神であってもある程度の「予想」や「推察」をしてから行動するんだから。)


人は・・・「魂」の錬磨の果てに「神」へと辿り着く。

そして、「神」が悠久の錬磨の末に「創造神」へといたり・・・・・

様々な創造の果てにやっと「全能神」に至る・・・・・・・・・・・・・。


その「全能神」であっても、この遥か広大な「宇宙」の中の一つである。

「神」とは、この「宇宙」を元の「存在」へと戻す「超越者」であり「魂」の管理者なのだ。


「宇宙」からすれば「神」も「完全、完璧」ではない。

「人」と同じで試行錯誤しながら考え行動する。そして「何かしら」の使命を受け存在している。



(その通りだと思う!・・・・神といえ・・・・元は同じ生命だもんな~。)


(神様だってどんなに、頑張っても努力しても結果が実らなければ、嫌気がさすよな~)


神々は、人類からの「感謝=信仰心」の強さで、その「階級」や「超常能力」が変化する。


(神が作った世界の人類の「信仰心」が薄れたり、強まったりってことか・・・。)


(認められれば「やる気」になるし、認められなければ「自暴自棄」になる神もいるかも・・・・・。)





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