第17話 第一章【少年編】6 出会いロンとネル
俺は、父上と一緒に馬車に乗り込み目的地へと向かった。
前世で馬には乗った事があったが、馬車は初めての経験だった。
最初は、初めての経験で喜んでいたが、そのまま馬車に乗っていたら、とにかく振動が凄い!
座布団の様なクッションも敷かれていないので、お尻がメチャクチャ痛かった。
家から2~3㎞離れたところにある牧場を通り過ぎる時には、我慢の限界だった。
「父上!お尻が限界です!どうにかなりませんか?もしくは、歩いていきましょう!」
とそう伝えると、父ビルドが大声で笑った。
「ガハハハッ!ヤッパリ痛いか!そりゃそうだよな~ゴメン、ゴメン。」
と言いながら風魔法で俺のお尻の下に風のクッションを作ってくれた。
通りで、父上は平気なはずだ!俺がジト目で見つめると父上は、
「ワザとじゃないぞ!本当に忘れていただけだよ、本当にごめんな。」と言って笑っていた。
自分で魔法を使いたいが、この世界の理を無視する訳にはいかないし・・・はぁ~不便だな~と俺は思った。
そして馬車で揺られる事1時間後、俺たちは目的の場所に到着した。
ここは、僕たちの住んでいる国、ヨトゥンヘイム国の南にある町、シェンツァ市だ!
別名、学問の町とも呼ばれている。
町並みはレンガ造りの洋風な2階建てや3階建ての建物が規則的に並び、綺麗に整った町の中央には大聖堂がある。
その前には、大きな広場があり憩いの場として噴水があった。とても綺麗で、風光明媚な場所だ。
入口は、10m程の高さの壁に囲まれ、その周りには堀があった。
門の入り口に8m程の堀があり、それを渡った所に門番らしき人が二人立っていた。
門番は父上の顔を見るとすんなり通してくれた。
どうやら顔なじみらしい。
門を通り過ぎる時に「ビルドさんにそっくりだ!」って言われたけど俺は、多分母上似だと思う。
門を通過するとそのまま、どこにもよらずに父上と共に聖教会に来た。
目的は、俺の大器成長速度の適正を調べる事と場合によっては、神託を受ける為だった。
俺の前に7人並んでいる。中には両親がおらず子供だけで並んでいる姿もあった。
父上と一緒に教会に並ぶ最後尾に並び自分の順番を待っていると俺の前に並んでいる二人の子供が、チラチラ後ろを向いて俺を見ているようだった。
男の子の方は、少し茶色の髪に生意気そうな顔をしている。女の子の方は、ビンク色の髪を肩まで伸ばしていて何となく優しそうな雰囲気を醸し出していた。
どこか周りを気にしている様なビクビクした様子が伺える。
二人とも貧相な衣服で身を包み羨ましそうに俺を睨んでいた。
今日初めて会う子供に睨まれるような記憶はないので、嫌な気分だった。
それと同時に、何でこの二人がこの様な真似をするのかが、俺はきになっていた。
教会に入り何人かの遣り方を見ていると、どうやら高さ60㎝位の台座の上にある30㎝位の宝玉を両手で挟み魔力を手に込める様だ、そうすると宝玉が光を放ち始める。
その光具合で、大器の判定をしている様だった。
父上に聞いたら、大器早熟型だとハッキリと光を放ち1m前後を照らすらしい。
その次のタイプになると徐々に光が弱くなるらしい。
潜在する魔力の強さや魔法の傾向性(特異な魔法の属性)は光の色によって分かるらしい。
父上によると
光の強さによって魔力の潜在値が高く
●ノーマル属性が四属性
緑は風属性
赤は火属性
青は水属性
紫は土属性
●さらに上級属性が三属性
桃は聖属性
黄は雷属性
白は氷属性
●最上級属性が二属性
黒は闇属性
金は光属性
との事だった。
昔は、一人一属性が多かったらしく、2属性持ちだったらそれだけでチヤホヤされた時代もあったらしい。今は魔法化学が進み平均的に2属性は当たり前で、3属性持ちなら大したものだそうだ。
今のところ全く光らないヤツと少しだけ赤や緑など淡く光を放つ奴らばかりだった。
父上が言うには、全く光らないのは大器晩成型で
淡く光ったのが、大器中成型
もう少し光れば、大器早成型
との事だった。
そして俺の前に並んでいた二人の子供の番になった。
「二人は兄弟ですかな?」
神父さんが、ニッコリ微笑みながら優しくそう話した。
「そうだ!俺達は双子の兄妹だ!それが、何か関係あるのか?」
俺の印象は、子供のくせに言葉遣いの悪い奴だな~って感じだった。
「嫌々、ただ聞いただけですよ。それではどちらから行いますかな?」
「同時じゃだめなのか?」
なんでか、不安そうな表情を浮かべそう話している。
「嫌々構いませんよ。宝玉に触れるのは、同時じゃダメですが、それ以外は、同時でも大丈夫ですよ。」
「分かった。その宝玉には先ず俺が触れる。」
腕をまくる様な仕草をしながらノシノシと宝玉に近づいていく。
「そうですか。では!此方の宝玉に触れてから貴方の信じる神に祈りを捧げてください。」
そう神父に言われ男の子は両手を前に広げ宝玉を挟むと眼をつむりながら魔力を込め始めた。
魔力が込められたその時、宝玉から強い光が放たれた!
次々と色を変えながら光を放っている。
最初は、赤色に光り、緑色に光り、次に紫色さらに、黄色の光を放っていた。
「お~これは!素晴らしい!大器早熟型ですな!しかも上級属性持ちのフィーア(4属性)とは」
「よし!ヤッパリな!俺は才能があった様だな!ネル!次はお前の番だぞ!」
喜色満面の笑みを浮かべて双子の女の子に大声で声をかけた。
「うん!お兄ちゃんやったね♪ 分かった!私も頑張る!」
元気表情を浮かべ水晶に近づき・・・
「神父さんが、ではこちらの宝玉に手を触れて・・・」
そう言うが早いかネルとか言われて女の子は宝玉に魔力を込め始めた。
そして、宝玉から強い光が放たれた!
またしても、次々と色を変えながら光を放っている。
最初は、青く光り、緑色に光り、次に紫色さらに、白色の光を放っていた。
「貴方も!素晴らしい!大器早熟型ですな!しかも兄弟揃って上級属性持ちのフィーア(4属性)とは!」
神官のおじさんがワナワナ震えている。
「やったね!お兄ちゃん!私もフィーアだって!」
ニカッと可愛らしい笑顔をでそう声をかけている。
「これで、俺たちを見下していた奴らを見返す事が出来るな!」
憎しみに満ちた子供らしくない眼をしながらそう本音を漏らした。
「うん!ロン!私も頑張る!」
女の子の方は、純粋な目をしてそう言い交わした。
「フィーアが、二人も出るとは・・・これは本当に久しぶりの事ですな!」
今度は、顔を赤くして大声を出した。どうやら興奮している様だ。
「こ・こいつは驚いた・・・フィーアが二人でるとは・・・。」
父のビルドが珍しく驚いていた。
「父上フィーアって何?」父上に確認したら
「あぁ~それはな・・・・・」
属性無しは【ヌル】
1属性持ちは【アインズ】、
2属性持ちは【ツヴァイ】、
3属性持ちは【ドライ】、
4属性持ちは【フィーア】、
5属性持ちは【フュンフ】、
6属性持ちは【ゼクス】、
7属性持ちは【ズィーベン】、
8属性持ちは【アハト】、
9属性持ちは【パルフェ】、
と呼ばれるとの事だった。
まだ、場内が騒めいている。
双子の兄弟を見ると二人とも喜色満面の笑みを浮かべて手を取り合って喜んでいた。
さて、次は俺の番だ!と言っても俺は、既に答えを知っている。
「では、次は君の番だね。宝玉に触れて魔力を流して・・・・・・・」
神父さんに言われるが儘、俺は宝玉に両手を添えて魔力を流した。
当然の様に宝玉は光らなかった。
当たり前の結果であることは、分かってはいるけど何か悔しい!
俺の事を知りもしない奴に決められる事が昔から嫌いだった!
気に食わない!何が何でも一泡吹かせてやる! 手に注いだ魔力を込めたが、光らない。
「ふ~む光りませんな!おそらく・・・大器晩・・」
俺は、魔力をさらに込めた!その時、ピシィ! ピキィ!宝玉にヒビが入り
俺は、さらに2倍の魔力を込めた!
「ピキ、ピキッ!バリィィ~ン!」と音を立てながら四方八方にひびががいると宝玉が砕け散った!
周りにいた聖職者達数名の目が驚愕の相を醸し出していた。
「「「「はぁ?」」」」
「な・なんと!ほ・宝玉が~宝玉が割れる等・・・・・見た事も聞いた事もないぞ・・・。」
は~スッキリした! 神父さん宝玉を割ってゴメンね!
「シン!怪我はないか?大丈夫なのか?」
父上が心配して駆け寄って来た。
「申し訳ありません!父上。宝玉が割れてしまいました。」
取り敢えず俺がそう口にすると
「あ~あれはお前のせいじゃないだろ~大丈夫だ!」
俺を安心させようとしているのか父上は優しく微笑んでくれた。
「な~神父様!これは、どう言う事なんだい?魔力で宝玉が割れたようだけどさ~」
と父のロイドが、神父に詰め寄った。
「うむ・・・こんな事は初めてなので、何とも言えんのですが・・・息子さんは、多分・・・大器晩成型・・・否!ふ~む・これは困りましたな~申し訳ありませんが、ハッキリした事は言えませんな・・・。言葉が適切ではありませんが、この子も普通ではないのかも知れませんな~。」
さっきの双子の兄弟とは違う意味で場内が騒めき始めた。
「取り敢えず、最初の段階では光っておりませんでしたので、大器早熟型ではない事は確かですな!
ただ、宝玉を壊すほど強い魔力を潜在的に有しているのでしょう。
8歳になったらもう一度お越し頂けないでしょうか?」
その言葉を聞き、気を良くしたのか、父ビルドの表情に笑顔が零れた。
「なるほど!俺の子は魔力が強い訳だな!分かったよ!8歳にまた来るから、その時もよろしく頼む!」
父ビルドが、「飯でも食べて帰るか!」と言ったので、俺は壊れた宝玉を尻目に教会を後にしたのだった。
「シン!お前凄いじゃないか!宝玉が割れたのは、父さん初めて見たぞ!」
落ち着いた雰囲気で、俺に話しかけてくるが、その顔からは喜びを隠せていない。
「魔力が強いらしいぞ!これはある意味フィーアよりも凄い事だ!よし、昼はご馳走を食べてから帰ろう!」
本当に嬉しいのだろう。ビルドの顔が綻んでいた。
「父上!ご馳走は、嬉しいんだけど、僕としては、折角初めてこの町に来たのだから、どんな街並みなのか?とか他にもどんなお店があるのか?見たいに探検したいんだけど!ダメかな~? 出来れば、武器屋とか防具屋とか魔道具屋など色々見て回りたい!」
俺は、初めて見る街並みに興味津々だったので、正直に思っていた事を口にした。
「お!そうか!そりゃ興味があるよな~俺の子だもんな!よし、町の中を案内してやろう!」
と言った父上が何故かウンウン頷いていたのが、気になった。
暫く歩くと左手に道具屋があった。入り口付近に30代位の鎧を着た男性が二人立っていて、こっちに向かって声をかけられた。
「おぉ~ビルドじゃね~か~!久しぶりだな~!」
父上を見上げると少年に戻ったような笑みを浮かべ歩み寄った。
「久しぶりだな~カイト!元気そうじゃないか、ヘイル!」
そのまま、道具屋の中に通された。
父上の知り合いとの話が長引いていた。俺は、暇だったので、
「父上も友達に久しぶりに会ったのだから僕一人で近くのお店を見に行くよ!」と伝えると
「30分位したら戻って来いよ!」だって。まぁ~俺は一人で色々見てみたかったから丁度良いか~
道具屋を出たところで、先程の双子の兄弟にバッタリ出会った。
何かを言いたそうな顔をして俺を見てくる。
「どうかしたのかい?俺の顔に何かついているのかな?」
確かこいつは、双子の兄妹のロンってやつだったな。俺は当り障りが無い様に話したのだが、
「ハァ~ お前の家も、金持ちなんだな!どいつもこいつも俺より才能がない癖に!」
何故か難癖をつけ絡んで来る。少し気になっていたので、相手をしてやるか・・・。
「金持ちって程ではないと思うけど、それと才能だっけ?それが何か問題があるのか?」
子供相手にムキにはならない。
「あぁ!お前は金があるから才能が無くても学校に行けるんだよな!俺たちは才能があっても学校に通う事も出来ないなんて理不尽だ!お前だけじゃなく他の奴らもズルいぞ!こんなの不公平だ!」
妹の方は、兄の袖を引っ張ってもう行こうよ~と口を動かしている。
「何を訳分らん事を言っているんだ?お前たちは俺より才能があるんだから学校に行けばよいだろうが!大器早熟型なんだから学校でも超優秀な生徒になれるんだろう?」
「ふん!俺たちだってそう思っていたさ!あの後に学校に行って入学の話を聞いてきたんだ!神父に貰った大器成長速度証明が付与された羊皮紙を持ってな!そうしたら何て言われたと思う!」
「俺は、まだ学校に行っていないから分からんけど、授業料とかの話か?大気早熟型なら特待生制度とかなんとか言われてたんじゃなかったっけ?」
「そうだ!俺は大器早熟型の生徒は入学金や授業料が免除されるって聞いていたんだ!そうしたら、最低でも下級魔法が唱えられないと一般の入学金と授業料が必要だって言われたんだよ!」
「お兄ちゃん!話したってしょうがないんだから、もう行こうよう~」
妹の表情が曇ってるのが気になった。
「はぁ~?だったら下級魔法を覚えるか、授業料を支払って入学すれば良いだけだろうが?」
「お前らみたいに親がいてのほほんと生きてる奴らには俺らの苦労が分からないんだよ!そんなお前らの様な親がいて金を持っている奴らを見るとイライラしてくるんだ!」
そして、先程よりも大きな声で、双子の妹、確か・・・ネルって子が、話に割って入って来た。
「ロン!もう止めようよ・・・。頑張って魔法を覚えよう・・・。両親がいる人達を憎んだって仕方がないよ。」
どうやら二人に両親がいない様だった。
「俺は、ネルだけでも幸せになって欲しいんだよ!どいつもこいつも才能が無い癖に親がいるってだけで、学校に入れて温かい家があって、毎日美味しいご飯が食べれて・・・・・・。」
「ロン・・・。私は大丈夫だよ!これでも頑丈なんだから!ゴハンを探しに行こう・・・・ねぇ~お兄ちゃん!」
「なるほど・・・お前たち親がいないのか?」
「それが何だ!親がいなければ何か悪いってのか!」
「一々そう突っかかって来るなよ!要するに魔法が使える様になれば、入学金も授業料も免除されるんだろ?だったら魔法を覚えれば良いじゃないか!」
「ハッ!これだからお坊ちゃんは、世間知らずで羨ましいぜ!本を買えず何も分からないのに魔法なんか使える訳が無いだろうが!」
「そうでもないぞ!何なら俺が教えてやろうか?」
「フッ!ハハハハハ!馬鹿かお前!さっき教会で自分の能力を教えて貰ったばかりだろうが!お前にはまだ魔法が使えないだろうがよ!」
俺は、周りを見渡すと双子の兄妹に付いて来るように促した。
「何で、こんなところに来る必要があるんだ!様があるならさっさと言え!俺らはコレから自分達の飯を探しに行かなければならないんだからな!」
商業地区を少し離れた場所に少しだけ林の様になっていて、人気が無い場所があった。
当然、シリウスに頼んで探索してもらった。
「人前では見せられないからな!」
俺はそう言うと指先から小さめの炎を灯らせた。
「な!炎だと!?何でお前が魔法つかえるんだよ!」
さらに、水、氷、風、土の魔法を立て続けに見せてやった。
「な・な・なんだと!5属性?そんな・・・馬鹿な?おかしいだろうが!」
メチャクチャ狼狽えている。表情を見ると笑ってしまいそうになる。
ネルの方を見ると目をキラキラさせていた。
「うわ~すご~い♪私たちと同じ年なのに~本当に凄いね~♪」
「先に行っておくぞ!俺の魔法はこれだけではないし、当然威力もこんなもんじゃないぞ!」
「クッ!だからって!それが、どうしたって言うんだよ!」
先程の威勢が少し落ち着いたか?
「フン!だから俺が魔法を教えてやるって言っただろうが!」
そんな会話が煩かったのか、俺の胸にいたモフメロが這い上がって首のところに出て来た。
「あ!モフメロ!ちゃんと服の中に入っていなければダメだろ!」
以前、何回か狩りの森に行った時、俺から飛び降りてしまったモフメロを鷹に襲われたことがあった。
俺はその時から外に出る時には、モフメロを俺の洋服の内ポケットに入る様に念話で伝えていた。
試しに、ティムした生物は、会話が出来なくても念話による命令を聞いてくれる。
「キャ~可愛い♪何この子~♪」
「こいつは、モフメロ!俺の友達だよ!」
「モフメロって言うの~♪私は、ネル宜しくね♪」
この子は年相応にピュアやの~それに引き換え兄貴の方は・・・。
「まぁどうでも良いけど教わるにしても教わらないにしても俺が魔法を使えることは誰にも言うなよ!」
「僕は言わないよ!本当に僕たちに魔法を教えてくれるの?ありがとう~♪僕魔法を教わりたい!」
妹の方は、素直で大変よろしい!さて兄貴の方はどうかな?
「お・俺たちに求める要求はなんだ!」
ん?なにそれ?
「何を言ってるんだ?別にお前らに見返りを期待していないぞ?」
「ウソを付け!タダで教えてくれる奴なんかいる訳ないだろう!」
随分人間不信になってしまったようだな・・・まだ6歳なのにちょっと可哀そうだな・・・。
同情するわけじゃないけど
「信じる信じないはお前らの勝手だ!俺には、別に関係ない話だしな!ただ、何かしらの縁を感じただけだ!俺の気が向いたから教えてやろうと思っただけだからな!」
俺が冷たくそう言い放つと・・・
「お・お兄ちゃん!この人悪い子じゃないよ!教えてくれるって言ってくれているんだから教えて貰おうよ~僕は、この子から魔法を教わりたい!」
「ネル!?・・・グッ・・・分かった。そんだけ言うんだから約束は守れよ!」
「教えて上げようってのに偉そうな態度だな!まぁ~良いけど」
俺たちは、先程の道具屋迄戻って来た。
「ちょっと待って、父上に話をしてくる。」
俺はそう言って道具屋の扉を開けた。その時ロンが「ケッ!父上だって、キザッタらしい奴!とか言っていたけど俺は、気にしない!
シリウスが先程からイライラしているのが伝わってくる。子供相手に気にするな!と思念を送っておく。
父上は話に花が咲いたのか、まだ話し続けていた。
「父上!少し話しかけても良いですか?」
「うん?あぁ・・・あ~ご・ゴメン!シン、お腹が減ったよな~」
「はい、空きました!でも、そうじゃなくって、さっきの教会にいた兄弟と友達になったから一緒にご飯を食べさせてもらえないかな~と思って」
「おっ!もう友達が出来たのか?凄いな!」
「有難うございます!で、もし父上が、話が終わらないのであれば、向かいの露店で簡単な食べ物を買って友達と食べながら遊びたいのですが、ダメですか?」
道具屋の斜め前に移動型の屋台があり、串焼きが売られていた。
「ん?だってご馳走を食べて帰るって約束しただろ?」
「でも、初めて出来た友達なので、出来ればもう少し仲良くなりたくなったから・・・ご馳走は、また今度でも良いかなって思って・・・。」
「あぁ~そう言う事か!そうだよな!お前もたまには、同い年の子と遊びたいよな!分かった!父さんはもうしばらくここで、こいつ等と話をしているから、このお金で友達の分も買ってあげなさい。」
「うわ~♪ありがとう~」
俺は、子供らしい演技をしながらお金を受け取った。毎度あり~!
それを見ていた父上の友人が
「可愛い子だな!間違いなく!奥さんのレイさん似だな!ロイドには全然似てない!」
「バカ野郎!シンは俺の小さい時にそっくりだ!この可愛さ!間違いなく俺に似てるな!」
俺は、ヤッパリ母上に似ていると思いたい・・・。
「そんな事よりも2時間くらいは遊びたいよな!父さんは、ゆっくりしているから遊んでおいで!2時間くらいしたら戻って来るんだぞ!」
「分かった~ありがとう~父上!では、行ってきま~す」
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