始まりの始まり-プロローグ1
大きな声で、独り言を呟いている者がいる・・・。
「ん?ここは、良い感じに成長したと思ったが、何か暗いな~」
「う~ん・・・。今度は、食糧問題を何とかしなければ・・・・」
「はぁ~・・・またしても失敗か~」
頭を抱えて苦々しい表情を浮かべているが、目だけはキラキラと輝いている。
「こんな事でへこたれてたまるか!私は絶対に理想を叶えてみせるぞ!」
「そうだ!今度はあれを取り入れて見るか!」
何か良い案を思いついたのだろうか・・・子供の様に無邪気な笑顔で何かの作業している様だ。
「よ~し、よし!良い感じになって来た~このまま行けば良い感じになるんじゃないか?」
この男の顔を覗くと凛々しい顔をしている事は分かるが、若いのか?年老いているのか?
不思議な事にこの正体不明の男性の顔が何層にも重なって見える様な、そんな不思議な印象を受ける。
こんな遣り取りを何度も行っているこの空間は、光も通さない程、真っ暗闇かと思えば、漆黒の闇の中に光り輝く無数の宝石が浮かんでいる。
浮かんでいる宝石を眺めると小さい物から物凄く大きな物迄、無数に浮かんでいる。
ある宝石は、ポツンと浮かんでいたり
ある宝石は渦を巻く様に大小様々な宝石たちが、集まって大きな一つの形を成していた。
大きい宝石は、小さい宝石の数千倍以上の大きさで浮かんでおり一際、存在感があった。
小さい宝石は、小さいなりにとても綺麗な光を放っている。
ある宝石は、凄まじい光を放ち輝いていたり
ある宝石は、凄まじい熱量を持ち。
ある宝石は、極寒の様な冷気を放っている。
そして、ある宝石は、光を失い砕け散っていた。
漆黒の闇の中に浮かぶ光り輝く無数の宝石たちの煌めきが、息を飲む程、美しかった。
この男性(見た目は若いので、取り敢えず青年としておく)が闇の中をあっちに行っては、こっちに行ってと世話しなく動いている。
「はぁ~今度こそ上手く行くかと思ったのに・・・。」
「全く何で仲良く出来ないのかな~」
「また~!?戦争しなければならないルールなんて無いんだけどな~」
「な・何て事だ・・・。まさか・・・」
驚きの表情を浮かべ、暫くその場所で茫然としている。
「ここは・・・上手く行ってたから、ほんの少しだけ目を離して頂けなのに・・・みんな滅んでいるじゃないか・・・。あれから何があったって言うんだ・・・。」
この青年の言い分からすれば、本当に少しだけ目を離しただけだったのだろう。
同じところを覗くとそこには、生命と呼べるものが到底存在出来ないであろう瓦解した景色が映っていた。
「少しだけ遡って見てみよう。」
男がそう言うと宝石が再び光を放ち始めた。
「フムフム・・・何だ?全然良い感じに育っておるではないか!」
少し早送りしているかの様に、映像が動き出す。
「なるほどの~どうして人はこれ程までに信じあう事が出来ないのかの~」
先程までの若々しい姿や口調が見る影もない程、老齢な男性へと変わっていた。
「いがみ合い、許しあえずに騒動が起きて、愛情が捻じり曲がって憎悪となったのか・・・。相手を思いやる気持ちが失われ・・・。親子の愛情さえも失われていったのか・・・。愚かな事を・・・何故!ホンの一欠けらの優しさや思いやりの心を保つ事が出来んのじゃ!?」
「はぁ。仕方がないな!他の場所を見るとするか!」
「こっちは、裏切り行為が頻繁に・・・。」
「ここは・・・。やる気が全くないな・・・。」
「あそこは・・・もう少し様子を見て見るか・・・。」
何かを見ながら、深いため息を吐いている。
「はぁ~上手く行かないものだな・・・。」
「しかし!必ず!理想の場所を想像してみせるぞ!」
そう言い放つと同時に、またしても青年の姿になっていた。
「よし!今度こそ! そうだな~次はちょっと趣向を変えて見るか!」
この何者かの表情は、明るく。前向きの決意の程が伺える。
これが、何の事なのかは、後々の楽しみにしておくとしよう・・・・・。
◆◆◆◆◆
あの時・・・あのお方が教えてくれた・・・私の存在理由・・・・・そして運命
・・・・その様な出来事が・・・本当にあるのかな?
・・・・でも・・・・その様な事がおこるのであれば・・・・・さらに、精進しよう・・・・
あのお方のために!・・・・そして、私の未だ見ぬ運命のために・・・・・・・・
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どこかの神殿の様な建物の中に、一人の可憐な少女がいる。
儚げな目に鮮やかな青髪が腰まで伸びた10代半ば過ぎの女性。
全身を白の聖装に身を包んでいるが、スタイルの良い体のラインがクッキリと浮かび上がっている。
「はぁ~・・・・・あれから、どれ程の時が過ぎたのだろう・・・。」
美しい表情が徐々に曇っていく。
「天啓を受けたけど、私と交わる事の無かった運命だったのでしょうか・・・。」
遠い目をしてボンヤリとどこか、遠くを見つめている。
「私は、聖女・・・。」
悲しげな表情を浮かべ呟いた。
「悩み苦しむ民を救い導く者として、自分の幸せより民の幸せを考えなくては・・・いけないのに・・・。」
何かに葛藤してるのか? 思い悩んだ表情を浮かべている。
彼の方が、お話下さった事が、今でも忘れられない。
「運命で結ばれた存在ならば・・・・・・・・はぁ~~・・・やっぱり私ではなかったのかな~。」
そう呟いた表情は、悲しみに染まっていた。
すると、少女の口から本音が零れ始めた。
「【恋】と言うものを一度は、経験してみたかったですわ・・・・・。」
聖女としてのお役目を日々努める中、悶々とした気持ちが、高まって膨らみ始めていたようだ。
神殿の窓側に立ち下を見下ろすと目の前にある広場を行きかう様々な人々が目に映る。
「私と同年代の方々は、友達と遊んだり、恋仲と戯れたり・・・・。」
羨ましそうな表情を浮かべ外を見つめるその顔に哀愁が漂っていた。すると
「あの壮年の方達は、夫婦なのかな~・・・あっちのご老人達は、間違いなくご夫婦ですね。年老いても仲が良さそうで、羨ましい限りですわ~」
すると、何かに気が付いたのか慌てた口調で、
「まぁ!あの方たち・・・人前で・・・き・・・キ・キスしてますわ!」
大きな目をさらに見開いて見つめ直した。
この子にとっては、非日常の風景なのだろうか・・・。
町中を歩く人々に目を向けると何かを見ては、悲しんだり、微笑んだり、驚いたりしている。
「はぁ~・・・正直に言って、本当に羨ましいですわ・・・・。」
そして、儚げな表情を浮かべ呟いた。
「この様な気持ちでは、宜しくありませんわね!それに神様に失礼と言うものですわね・・・自分の使命を全うしなきゃ・・・。」
自分の役目を全うする為に、自分を律した。
それから暫くした時だった・・・・・。
神殿の中に置かれてある神を模った像の前に跪いて、胸の前に両手を合わせて瞑想していると、突然目を見開きながら立ち上がると驚愕の表情を浮かべた。
「!!!こ・この【波動】は!・・・ま・まさか、本当に?」
冷静そうな聖女に、珍しい程、動揺している。
「もう一度確認を・・・・・ま・間違いありませんわ!」
先程までと打って変わって、真剣な表情を浮かべて戸惑っている。
「こ・これは! 大至急、彼の方に報告しなければ・・・・・・・】
膝を付いて胸の前で両手を併せて何かに祈るようなポーズをとって愛らしい目をそっと閉じた。
誰かと話をしているようだが、声だけが聞こえる。
「その様な!・・・その様な事が、本当に有り得るのですか?」
やはり誰かと話をしているが、周りには誰もいない。聖女の声だけが木霊する。
「畏まりましたわ! では、その様に、そのお方に思念伝達をさせて頂きます。
他には何かお伝えした方が宜しい事は、ございますでしょうか?」
独り言のように話し続けている。
「はい!畏まりました! 私に出来るか分かりませんが、否!私の存在理由にかけても必ずや成功させて見せますわ。では、これから、そのお方に接触を試みます!」
誰かとの会話が終わったのか、先程までの少女らしさが消えていた。
意を決した様な真剣な眼差しを浮かべ、深く深く瞑想し始めた。
そして、その誰か?と何度も交信を繰り返し始めた。
(聞こえ・・・・・・・・)
(わたし・・・・・・‥私の名は・・・・・・)
(~~~様・・・・聞こえますか?)
(え!?)
何度も繰り返した事で、どうやら目標としていた存在との接触に成功した。
そして、彼のお方と呼ばれていた者との約束を果たすために言葉を続ける。
(目覚めなさい!未曾有の危機を救うのです!・・・目覚めなさい・・・あなたの愛する人のために・・・)
(なんだ!?・・・なんて言っているんだ? 君は?)
(・・・・・聞こえますか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・地球を守れるのは・・・・・・・・・・・・)
(なんだ?なんて言ってるんだ? よく聞こえない! もう一回、話してくれ! 君は・・・君は誰なんだ? 名前を・・・名前を教えてくれ!)
(わた・・名・・・ル・・エル・・・・します。聞こえ・・・・・・・・・)
(聞こえない!もう一度! もう一度名前を~~~~~。)
この時の会話が聞こえていたのか?聞こえなかったのか・・・少なくとも、この会話によって、一つの大きな運命が変わり始めていく。
そして! この壮大な物語の幕が上がる!
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始めまして!神龍です。
永い事、あれをやったり、これをやったりと様々な事をしてまいりましたが、仕事柄、色々な物を調べては、書類を作成したり、提出用書類を作成したりと、気が付いたら文章を纏める事が、楽しくなっておりました。
昔から日記を付けたり、詩を書いたり、物を書く事が好きでした。
時が経ち、ふと気が付いたら小説家になりたい気持ちに気が付きました。
人は、本当に好きな事に打ち込むと疲れないと聞いた事がありましたが、この「小説家になろう」に巡り合うまでは、一切信じていませんでした。
小説を書き始めたら不思議と一日1時間の睡眠でも全く疲れる事がなく、楽しくて楽しくて仕方がありません。
まぁ~好きだからと言って面白い小説が書けるかどうかは別の問題ですが、まずは、自分の好きな事をやって自己満足できれば、それで良いか!って感じで初めて見ます。
もし、お気に召すようであれば、これからも応援いただけます様、宜しくお願い申し上げます。
■小さな小さな 大冒険!!もアップしましたので宜しければご一読くださいhttps://ncode.syosetu.com/n6880gm/
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■勇者撲滅! 2度目の人生はハッピーエンドで!もアップしましたので宜しければご一読ください
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