おばちゃんのカレー
おばちゃん家に行った日、
夕飯はカレーだった。
ぼくがカレーを食べるときは、
いつも海老の絵のお皿に
装ってくれた。
海老のお皿で食べるのが
幼いぼくのスタイルだった。
ぼくが喜ぶのが楽しみなのか、
周りの大人はそれを
ずっと語り継いでいた。
おばちゃんは年を取り、
今はみんなのことも忘れて、
一日中、ぼんやりらしい。
ましてやカレーのことなんて、
おばちゃんの頭の
どこにもないんだろう。
あの海老のお皿に、
装ってくれたカレーを、
もう一度食べてみたい。
そう言ったとしても、
もう笑ってくれない。
おかわりいれたろかって、
言ってはくれない。
あの海老のお皿、
もらっておけばよかった。
おばちゃん、ありがとう。
おばちゃんのカレー、
美味しかった。好きだった。
もっと、食べておけば
よかった。
もっと、おばちゃん家に、
行けばよかった。
夏休みだけじゃなくて、
冬休みも、春休みも、
大人になってからも、
もっと、おばちゃんのカレーを
欲しがればよかった。
カレーを食べるときには、
やっぱりおばちゃんを思い出す。
おばちゃん、おばちゃん、
海老のお皿だけは、おばちゃんも、
覚えてくれてたりしないんかな。
ぼくはまだここにおるから。
ぼくはまだここにおるんやで。




