『そうして世界が暗転した』
「ハイ、コレデコノ話ハオシマイ!」
「ヤット、間違イガ修正サレタノネ!」
「長カッタワ、何度ヤリ直シタカシラ」
「イイジャナイ、モウ終ワッタンダカラ」
「ソウソウ、終ワリヨケレバ……ッテヤツ?」
「全然良クナイワ! 後始末ヲスルノハ私タチナノヨ!?」
「終末装置ニ不純物ガ入ッテシマッタシ……ドウスルノ、コレ?」
「動カシタラ、扉マデ壊ソウトスル不良品!」
「停止サセルノ、大変ダッタンダカラ!」
「破棄デイインジャナイ?」
「元々、利用デキレバ上々ッテモノダッタシ?」
「アノ子デ代用デキルンジャナイ?」
「サスガ! ソウシマショウ!」
くすくすと精霊たちは笑い合う。
色とりどりの絵の具を用意して、絵を描いて、描いていたら筆が滑って下書き線をはみ出してしまった。
なんとか修正して、どうにか絵を描きあげた。完璧な作品とは言い難いが、ミスを修正しつつの描画としては上等な方だろう。
では、絵が描けたらどうするだろうか。
必要ならそれなりのタイトルをつけて、画廊に並べる。
時折その存在を思い出して絵を眺める以外、普段は気にもとめない。
そうして、新しく絵を描くのだ。
「次ハ? ドウスル?」
「ワタシネェ、久シブリニ人間ヲ嬲リ殺シテミタイワ!」
「塔刑デドウカシラ!」
新しい絵へのアイデアは次々と湧き出してくる。
こうしよう、あぁしようと話し合う。しかしどれもいまいち決め手に欠ける。
ひたすら真面目に絵を描き続けるのも疲れてしまう。たまには絵の具をぶちまけて遊びたい。キャンパスに色という色を塗って、歪なマーブル模様を眺めて遊ぶのも悪くない。
「反省点ヲ振リ返ッテミルノハドウ?」
さっき描きあげた絵の反省点を振り返ってみよう。そこから何か見えるかもしれない。
反省を活かしていい絵を描こうではないか。
ひとりの精霊の提案に、そうねぇ、と顔を見合わせる。
「前置キガ長カッタ?」
「後半、チョット駆ケ足ジャナカッタ?」
「駒ノ数ガ多スギルンジャナイ?」
「役ニ無駄ガアッタワ」
それらを反省点として次へと活かすなら、人数を絞って話を早々に進めていくべきか。
「次ハ最強ヒトリデドウ?」
「ルールハ4人ガ基本ナノニ?」
「4人セットガ基本ダケド、全員ガソレヲ守ラナキャイケナイワケジャナイワ」
盾、攻撃、補助、妨害。その4つの役割が1人ずつ。それが基本の単位だ。
だが厳密にそれを守る必要はない。バランスのいい4人での探索を攻略難度の目安としているだけで、実力があるならたった1人の単独でも構いやしない。
複数人のパーティでもその内部の比率は偏っていてもいい。攻撃役4人の攻撃偏重パーティだってなんら問題はないのだ。
だったら、1人で何でもできるオールラウンダーが探索に挑むのだってルール違反ではないのだ。
「……ソレ、面白ソウ!」
「ソノパターンハ今マデナカッタワ!」
「ジャァ、駒ノ作成ヲシマショウ」
「エェ」
「ネェ、サッキノ週ノ駒ハドウスル?」
「使エルモノハ使イ回シチャエバ?」
「最初カラ作ルノ、大変ダモノ!」
くすくすと精霊たちは笑い合う。
さぁ、また駒を並べて始めましょう。
この奇妙な奇妙な塔の物語を。




