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absorption ~ある希少種の日常~  作者: 紅林 雅樹
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百七十六節、夜襲

「…問題ないな」

ルシラの顔を再確認した二人の男は、再び風呂敷に包んで駆け出した。

森を抜け、湖を飛び越え、山に入る。

「とはいえ面倒だな。魔法で指定先に行っても良かったんじゃないのか?」

山林の中、手ぶらの男がいった。「転移術は聖力痕が残りやすいときいたが、魔力のない奴ら下等種には気付かれるはずもないだろ」

「俺もそう思うが、念には念をな。後をつけられたら面倒だ」

もう一人の男が答えるものの、「別に気付かれてもいいんじゃないか?」、と彼はいった。

「何だったらまとめて“証拠隠滅”しても良かっただろう」

仮面を外した男の顔が醜く歪む。「うまそうな女が沢山いたんだし、あのまま少し遊べばよかった」

「それは“コイツ”を届けた後の余興に取っておこう。この山を越えればもうすぐだ」

「そうだな」

男たちは再び足を速め、山の中を駆けていく。

「…しかし、少し気がかりだな」

山の開けた場所に出たとき、ルシラを背負っていた男がボソッといった。「報酬の割りに仕事が簡単すぎる…」

それは、もう一人の男も疑問に思っていたことだった。

人攫いの仕事は総じて高報酬だが、今回の仕事は相場の倍以上はあった。

もちろん誰を誘拐するかや、依頼元によっても報酬は変動するが、それらを加味しても今回の仕事は簡単な割りに明らかに高額だ。

どのような仕事でも、高額にはそれなりの理由がある。そしてそれは得てして危険が伴うものなのだ。

山道を駆けながら嫌な予感が脳裏を過ぎったのは、彼らが多くの修羅場を切り抜けた経験によるものに他ならない。

山腹の広い場所でふと足を止めた男は、月の明かりを頼りに、もう一度背負っていた風呂敷を地面に下ろし、包みを解く。

そこにいたのは、確かに目標物であるルシラだった。依頼元が提示してきた写真に映っている顔と全く一緒だ。

顔だけでなく背丈も全く同じ。疑う余地はないのだが、やはり嫌な予感が払拭できない。

「まさかな…」

男の一人はそういいつつ、念のためにと詠唱を始めた。“アンチマジック”の魔法を試みたようだった。

魔法的な“細工”が施されていれば解除される魔法で、何もなければ反応はなかったはずなのだが…驚いたことに、“ルシラ”の全身が急に光りだした。

眩い光が男二人を包み、急な明るさに「うっ」と目を閉じてしまう。

そして光はすぐに収束し、男たちは目を開ける。

すぐにルシラの顔を確認したのだが…その顔つきが違っていた。

いや、違うどころではない。明らかに別人の顔だった。

「は…!?」

体型は子供そのものだが、長かった髪は短く、服装はシャツと短パン。男の子だ。

「な…!? ど、どういうことだ!?」

男が驚きの声を上げる。「いつの間に入れ替わった…!?」

「…いや、違う」

野太い声の男はすっと立ち上がる。「幻視の魔法だ」

そういって振り向いて、鬱蒼と生い茂る木々のさらに奥…暗闇を睨みつけた。「くるぞ」

「あ…?」

何のことだと疑問が沸いたが、相棒が睨みつける先から確かな気配を感じる。

彼も瞬時に全身から緊張を漂わせ、同じように身構えた。

…無音。

風がヒュゥと吹き、葉擦れの音がする。

辺りの空気が冷たくなったような気がして、男たちの表情はさらに険しくなった。

そうして暗闇を睨み続け、数秒━━闇が動いた。

まるで漆黒から生み出されたかのように、一人の人物が現れる。

「━━やれやれ。まさか見破られるとは思いませんでした」

雲が動いて月が顔を覗かせ、闇から生まれた人物を照らし出す。

そこには、白と黒のメイド服に身を包ませた…サラがいた。

「もう少しで尻尾を掴める所だったのですが…惜しかった」

台詞は悔しがっているが、その表情は相変わらず無表情だ。

対峙する男たちはさらに警戒心を滲ませた。

見た目は普通のメイドだ。その華奢な体つきはいかにもひ弱そうに見える。

が、あれだけ高速移動をしたにも関わらず、そのメイドは自分たちの後ろについてきていた。それも“熟練者”である自分たちに気取られずにだ。

「貴様…ただのメイドじゃないな」

男二人は警戒レベルを上げた。

「ただのメイドですよ」

月明かりで目を青白く光らせながら、サラは答える。「最低賃金で働いている、しがないメイドです」

「嘘をつけ」

短くいい、男たちはお互いに目配せした。

この場をどう切り抜けようか。

そう考える男二人は、一瞬のアイコンタクトの後、答えを導き出す。

風呂敷の中で眠っている男の子を地面に置いたまま、構えを取ったのだ。

「おや、逃げないので?」

サラは意外そうにいった。「ここは街の近く。いち早く退散したほうが得策かと思いますが」

「舐めるなッ!」

男の一人が突然駆け出した。

棒立ちになっていたサラの目の前まで素早く近づき、回し蹴りを放つ。

サラはすぐさま上体を屈め、相手の蹴りを避けた。

「ッシャ!!」

連携して、後ろにいた男がサラに向けて何かを投げつける。

きらりと光ったものがサラに迫るが、彼女はそれを素手で掴んだ。

「な…!?」

まさか“それ”を防がれるとは思ってなかったのか、男は驚く。

「…ふむ、なるほど」

サラが取得したのは、小型のナイフのような物体だった。

まじまじとその形状を眺めたサラはいう。「これはクナイというやつですね。先端部に毒が塗ってあります」

そのクナイをポケットに入れ、彼女は再び彼らに身体を向けた。「もっとください。あるのでしょう? 多数の暗器が」

「…っ」

男たちの表情に動揺が浮かぶ。

と同時に、先ほどから感じていた違和感の正体に気がついた。

妙だと思っていたのだ。どうして“男の子”に“ルシラ”に見えるよう幻視の魔法を仕込んでいたのか。

つまり、このメイドは自分たちが今夜襲いに来ることが分かっていたのだろう。

だから罠を仕掛けた。“ルシラ”に擬態した“男の子”を自分たちに攫わせ、後をつけて正体を掴もうとしていたのだ。

そのことに気付いた男たちだが、次に沸き起こったのは明確な怒りだった。

「魔力もない劣等種風情がふざけるな…!!」

再び男は走り出し、サラに打撃技を繰り出していく。

「お前等は所詮奪われる側なんだよ!!」

雑魚同然の連中に嵌められ、プライドを傷つけられたと思ったのだろう。

どちらの男も熱くなりやすい性格だったようで、激昂した彼らはサラに凄まじいまでの連携技を浴びせた。

手にも足にも暗器が仕込まれており、かすりでもすれば傷口から毒が入り込んで致命傷は免れなかったかもしれない。

だがどれだけ男たちが攻撃してもサラに当たることはなく、手応えが全く感じられなかった。

そのことにさらに苛立った男たちは、攻撃の手数を増やしていく。

蹴り、当て身、ワイヤーのような強靭な線を使っての締め技。

だがそれでもやはり手応えはない。

目の前には確かにメイドの女がいるのに…まるで空気を相手にしているかのようだった。

おまけに攻撃する度に、装束の中に仕込んでいた暗器が盗まれていっているようで、いまようやくそのことに気付いた男たちは攻撃を止め、サラから距離を置いた。

「…なるほど、大体分かりました」

明らかに困惑を見せる男たちに向け、盗んだ暗器を確認したサラはいう。「オニワシュウの方々ですか。裏の世界ではなかなかに有名な暗殺組織ですね」

「な…なんなんだ、お前は…」

裏の世界のことまで知っているこの女は、やはり只者ではない。

「貴様…何が狙いだ…」

動揺しつつも男がきいた。

「狙い? 決まっているではないですか」

無防備に立ち尽くしたまま、サラはいう。「オニワシュウのあなた方に誘拐の依頼をしたのは誰ですか」

もちろん答えるわけはなかった。

が、サラは続けた。「“あの子”の存在を知る者はそう多くはない。誰に引き渡す予定だったのですか」

そう話しながら、サラは彼らに向けて歩き出す。

「答えていただけませんか?」

「それ以上近づくな」

男の一人がいった。

「“コイツ”がどうなってもいいのか?」

彼は子供が入った風呂敷ごと抱き寄せていて、その喉元と思しき場所にナイフを押し当てている。

「それ以上近づけば派手な血飛沫が飛ぶぞ」

歩みを止めたサラだが、

「…ふ…」

少し、笑みを浮かべた。

「何が可笑しい!!」

相変わらず余裕綽々とした態度に男は怒鳴るが、

「いえ、()()()()()を人質にとられましても」

サラは涼しげにいった。

「は…?」

疑問符を浮かべた男は、すぐさまハッとして風呂敷を解く。

子供が入っていたはずのそこには、どういうわけか丸太があった。

「な…」

男はすぐにサラに顔を戻す。ルシラに擬態していた男の子は、意識があったのかいつの間にかサラの後ろに立っていたのだ。

殺気に満ちた状況にも関わらず、その男の子は真っ直ぐに男たちを睨みつけている。

「さて、どうしますか?」

サラは再びきいた。「逃げたほうがいいのでは? 動けば動くほど、情報がこちらに渡ってしまいますよ」

一瞬たじろぐ男たちだが、相手は女と子供。それも魔力を持たない劣等種。恐れるに足りない相手だ。

おまけにこちらの素性がばれてしまった。となれば、生かして帰すわけにはいかない。

彼らは小刀を取り出し、サラと男の子目掛けて走り出す。

一瞬にして間を詰め、素早く切りつけた。

しかしどれだけ切りつけても空を切るばかりで、サラの衣服にすら掠りもしない。

「さすが暗殺者。急所ばかり狙ってきますね」

風のごとく身をかわしながらサラはいい、「ですが」と続けた。

「逃げずにこうして切りかかってきたということは、明確な殺意が向けられていると考えてよろしいのでしょうか」

「うるせぇッ!!」

攻撃を続けながら男が叫ぶ。「てめぇらは黙って殺されろ!!」

静かな場所で声を張り上げるなど、隠密行動を得意とする暗殺者としてあるまじき行為だ。が、格下で、それもひ弱な女にバカにされていると感じていた彼らは腹立たしくてそれどころではなかったのだろう。

「半殺しにしたままアジトに連れ帰って慰み者にしてやるよてめぇは! 後ろのガキはバラしてペットのエサだ!!」

怒りに任せた男の台詞を聞いて、始終涼しげだったサラの眉がぴくりと動く。

「…そうですか」

男たちから離れ、サラは静かにいった。「それがあなた方の答えですか」

「せめててめぇらを土産に持ち帰ってやるよ!!」

小刀を手に、男の一人が再びサラの元へ走り出す。

彼女の腹部目掛け、渾身の突きを放った。

避けることを見越して、後ろにいたもう一人の男が暗器で仕留めようとしたのだが━━

突然、音もなく彼の脇を“何か”が掠めていった。

そして、


(ドゴォッ!!)


周囲の木々が震動するほどの衝突音が背後から聞こえた。

前方でサラと戦っていた相棒が消えている。

「…あ?」

不思議に思った男は振り返る。

そこに転がっていた巨岩に、相棒の全身が深々とめり込んでいた。

「ア…ガ…」

その顔面はぐちゃぐちゃに近いほど潰れていて、鼻はひしゃげ歯が欠けている。

鼻と口から血が滴り落ちているのを見て、「…は?」とまた男は声を出してしまった。

「いまどき人攫いなど、バカなことをする連中がいたもんです」

サラは涼しげにいった。「ほら、相棒が瀕死ですよ。回復魔法を使わなくていいんですか?」

…まさか、この女の仕業なのか? いったい何をした?

男の脳内は疑問で埋め尽くされたが、状況を考えるに女が何かしたとしか思えない。

━━まずいかもしれない。

そう思った瞬間、男の全身から危険を知らせる強い警鐘が鳴り出した。

己の直感を信じ、一瞬でも隙を作ろうと煙幕を張ろうとする。

が、振り上げた腕が動かない。

「相棒を置いて逃げるおつもりで?」

いつの間にか、サラが目の前に立っていた。彼女は男の腕を掴んでいる。

「ぐ…!」

力ずくで振り払おうとする。

しかしまるで何かに固められているかのように、腕が一ミリも動かなかった。

「ちっ!!」

もう片方の腕を動かし、抵抗するため小刀を引き抜こうとする。

そのとき、上のほうから枝が折れるような音がした。

次いで、男の腕から全身にかけて激痛が襲う。

「が…!?」

サラの手が離れ、男の腕が自由になるが、その左手は彼の意思に反してぷらぷら揺れているだけ。手首が細木のようになっていた。

サラが腕を握り潰したのだ。

「う…ぐぅ…!?」

左腕を押さえ、悶絶する男。

そんな彼を一瞥したサラは、巨石に埋まっていた男を引き抜いて、そのまま引きずって彼の真横に放り投げた。

「ほら、回復魔法は?」

男を見下ろすその目は、月光と同じぐらい冷たい光を放っていた。「このままでは死んでしまいますよ?」

一瞬サラの姿が異形な何かに見えてしまった男は、いわれるがまま相棒に回復魔法を使ってしまう。

するとある程度傷口が塞がったのか、気を失っていた男から苦しげな息が吐き出された。

「お、おい…」

そのとき、サラの背後へ向けて誰かの声がかかる。

「ちょっとやりすぎなんじゃ…」

そう話すのはずっと傍観していた男の子だった。サラの躊躇いのない攻撃に困惑した様子だ。「怒ってんの…か?」

「当たり前ではないですか」

痛みに震える男を見下ろしたまま、サラは答える。「人攫いなど人道に外れた行為。許せるわけがありません」

台詞の通り、サラは静かな怒りに燃えていた。

家族同然、大切な存在であるルシラを寝込みを狙って攫おうとした。

この連中は恐らく単なる金欲しさにやっただけなのだろう。

欲望にまみれ、強奪することしかできない連中。そこに一人の女の子の人生が滅茶苦茶になるかも、という躊躇は一切ない。

「シッ!!」

男の子と会話して注意が逸れたと見たのか、うずくまっていた男はまだ動かせる右手を使い、小刀を抜いて横に振った。

サラの喉元に小刀の切っ先が向かうが、サラはその刃を素手で受け止める。そのまま力を込めたようで、割れるような音がして刀が粉々に砕け散った。

驚愕した男であったが、すぐに次の攻撃へ移る。

今度は爪のついた“握り物”を五指に嵌め、サラに殴りかかった。

彼女の腹部を打ちつけようとしたが、次に鳴り響いたのは…

(パァンッ!!)

という、風船が破裂したような音だった。

殴りつけていたはずの腕は何故か弾かれており、男は何が起こったのかと自分の手元を見る。五本の指は、暗器ごとぐちゃぐちゃに潰れていた。

男には全く見えなかったのだろうが、サラは男の攻撃に合わせ拳を当てていたのだ。

「ぐぎ…ッ!!!」

再び悶絶するような激痛が男を襲い、膝を折る。

メイドの女を攻撃する度に、何故かこちらが深手を負っている。

訳の分からない状況と痛みに悶絶する男を、サラは無感情に見下ろしている。

このままではまずい。格なる上は…

男は口を開き、何かを呟き始める。

それは転移魔法の詠唱だった。咄嗟に逃げ出そうとしたようだが、次に彼の身に起こったのは不可思議な浮遊感だった。

声を出す間もなく、背中にとてつもない衝撃が走る。

「ぐはっ!!」

彼の背後に木があり、女に投げられたのだと気づいた瞬間、目の前にサラが立っていた。

男が動こうとする前に彼女の腕が素早く動き、男の喉下ごと木に押さえつける。

「次に何か魔法を使おうとしたら、声帯を潰します」

男は足を動かしサラを蹴り上げようとする。

が、その前に彼の両足の根元からパキンッと軽い音がした。

再び男の全身を激痛が襲う。サラに足の骨まで折られたようだ。

「あまり女を舐めないほうがいいですよ」

そのときのサラの全身から漂っているのは、熟練の暗殺者でも震え上がるほどの殺気だった。

「もう一度尋ねます」

そのまま、サラはきいた。「誰の、依頼ですか」

両手と両足が潰され、投げられた衝撃で肋骨も折れたかもしれない。

人外としか思えないサラの強さを前に、暗殺者である男の顔に浮かんだのは、はっきりとした恐怖だ。

だがそれでも、男は口を割らなかった。黒い仕事ばかり請け負ってきた男だが、彼には彼なりの暗殺者としての矜持やプライドがある。

それに依頼元の情報を明かすことは、所属する“オニワシュウ”の評判を地に落とすことになる。それだけは避けなければならない。そう。例え死んでも。

「…殺せ…」

だから男はいった。「全身の骨を折られても…いうわけねぇ、だ…ろ…」

死を覚悟した男の顔だった。

どんな脅しや痛みにも屈しないという執念を感じ、サラは小さく息を吐く。

「そうですか。分かりました」

そういい、彼女は手に込められた力を徐々に強くさせていった。

男の首が絞まっていき、後ろにあった巨木からメキメキと音がし始める。

「あ…ぐ…!!」

男は呼吸ができなくなっていく。

「そちらの頭目にお伝えください」

苦しみ悶える男を冷ややかに見つめながら、サラはいった。「次にまた私どもにちょっかいをかけてくることがあるのなら、オニワシュウの解体だけでは済みませんよ」

何をいってる。

そういいたかったが、男は首が絞まるばかりで声が出せない。

「オニワシュウ二代目頭目、『マサツグ』様にしっかりとお伝えくださいね」

そんなサラの台詞を最後に、男の意識は途絶えた。

白目を剥き、口から泡を吹き出す。サラが手を離すと、そのまま前のめりになって地面に倒れこんだ。

「…まったく、人騒がせな連中です」

動かなくなった男を一瞥した後、サラは振り返って男の子の近くへ歩いていった。

「し、死んでない…よな?」

男の子は心配そうに男二人の容態を窺っている。

「気を失わせただけですよ」

ハンカチで手元を拭いつつ、サラはいった。「念を押しておきましたので、また襲おうなどとバカなことは考えないでしょう」

「こいつら放っておくのか?」

「ええ。そろそろお仲間が探しに動き出す頃合でしょうし。勝手に持ち帰ってくれるでしょう」

「ですから我々も早く帰りましょう」といって、サラは男の子を抱えた。

「ちょあ!?」

突然抱きかかえられた男の子は驚く。「べ、別に俺も走って帰れるから!!」

恥ずかしがる男の子に、「いまは子供体型ではないですか」、とサラはいった。

「このお体では私についてこれないでしょうし」

「い、いや、でも…ふぉっ!?」

サラはそのまま駆け出した。

「いいから大人しく私に抱かれていてください。ダイン坊ちゃま」

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