9 村人、スキルを習得する。
「【弾丸】、【弾丸】、【弾丸】ォ……っ!!!」
「おいっ、調子に乗るんじゃ……痛ッ!?
おい、気をつけろ!」
「す、すまん……つい」
竜頭で前肢にヒダの羽を持つ二足歩行の怪物、【レッサーワイバーン】へ興奮しながら魔法を撃ちこむキュア。
仮想現実……夢とは言え、生まれて初めての魔法に感動していた。
───し過ぎていた。
『グアアアォォッ!!!』
「ぐうぅっ!?」
キュアは、【レッサーワイバーン】の必殺技、【可燃性の唾液】の予備動作に一瞬反応し遅れる。
「相棒!?
大丈───おお、生きてたか!
よく今のを受け止めたな!?」
「な、なんとかな……」
キュアは杖を盾に、ギリギリで【レッサーワイバーン】の必殺技を防いでいた。 この魔物は初めて見る魔物であるが……ソレでも、今までの戦闘経験からギリギリ受けきれたのだ。
しかし、ギリギリはギリギリ。
いずれは受け損ねるだろう、このままでは再び死んでしまう。 またやり直しか───と、キュアが覚悟すると。
≪【囚人靴】装備中に、ジャストディフェンスを1回達成。
【後退即歩】を会得≫
≪シークレットトロフィー 『レッサーワイバーンの可燃性の唾液をジャストディフェンスする』 達成。
【レッサーワイバーンの唾液】を獲得≫
───というメッセージが、キュアの頭に流れる。
会得?
獲得?
何かを貰ったのか?
キュアが謎のメッセージに困惑していると、向かいの牢の囚人が何やらガッツポーズをとる。
「おっ、スキル【後退即歩】を会得しやがったか!」
「スキル? 何だそりゃ───」
キュアが 『スキル』 とやらに疑問を抱いた瞬間、魔物の名前等が書かれた板……エネミーボードと同種であろう板であるスキルボードが目の前に現れた。
ボードに書かれた内容は───
???
???
???
【後退即歩】
???
???
・
・
・
と、あった。
『???』 は暗い灰色、【後退即歩】は明るい白色で書かれている。