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85 村人、笑われる。

 

「ホタテさん」


「あら~? あらあら~?

キュアさん?

どうも~ホタテさんですよ~」




 キュアは今度こそ【 城下町 】へとやってきた。


 真っ先に私設兵団の詰所へ目指す……つもりだったが、道中にあった道具屋と魔法屋にフラフラと吸い込まれてゆく。

 浮気者か、ゲーマーの性か。 どっちにしろアカン感じの目覚めである。


 道具屋では【 雷の杖 】を買い、魔法屋ではコスナーが思っていた以上に親切価格にしてくれていたと確認できた。 後悔は無い。

 で、私設兵団詰所。




「オードリーさんが、キュアさんの事をベタ褒めでしたよ~。

このこの~、色男めぇ~」


「そ、そうか……。

で、そのオードリーは?」


「彼女は、ヘップ様に呼び出されましたね~」


「呼び……!?」


「ああ、バーンさん救出がバレてお叱りを……とかじゃあ無いんで安心をば~」


「そ、そうか」


「ソレで、どうされます~?

オードリーさんを助けてくれた御礼に、チューしてあげましょうか~?」


「い、いや……指輪を見たい」


「…………つれないですね~。

そうゆう所は直した方が、女の子にモッテモテですよ~?」


「え、鋭意努力するよ」




 良い人なのは分かるが……やはりキュアはホタテが苦手っぽい。

 そしてキュアの苦手意識なんぞ知らぬとばかりに、ホタテは指輪を並べた箱を取り出した。




「今、ウチに有る指輪はこんなモンですよ~」


「ふむふむ……ん? 炎特防の指輪?

炎……炎…………」


「き、キュアさ~ん?」




 指輪を前に……表情が険しくなってゆくキュア。 そんなキュアの雰囲気に、流石のホタテも表情を締める。




「……すまない。

さっきから何故か、炎に対して敵意だか憎悪だかが自分の中で暴走しているんだ」


「な、なるほど~。 炎を使う敵は多いですからね~……ただその分、炎特防は鼠特防より用途が多いので指輪も魔法名もちょっとお高めですよ~?」




 親切価格でもなお、全財産に近い金額である。

 しかしキュアは。




「買う。 買わなきゃ成らないんだ。

……じゃなきゃ、『 敵 』 は……クリティカルに───」


「…………。

どうぞ~、魔法名は【 ファイヤーガード 】です~」


「有難う。

……知らない名前だったな」


「はい~?」


「ああ、杖魔法名の話だよ。

【 ヘイスト 】と【 アシッド 】は知り合いの名前だったからな」


「あらあら~!

ソレなら……ププッ、とっておきの魔法名の指輪が有りますよ~。

【 病忌避石の指輪 】の魔法名が……ププププププププププププププププププププッ!」




 かなり可笑しいのか……ホタテは、頬を大きく膨らませて目には涙を溜めていた。 しかも本人なりに、これで笑いを堪えているらしい。

 いっそ大笑してあげて。




「どれ、【 病忌避石の指輪 】……うわっ高っ!」


「は~……は~…………アゴ痛い。

魔法名はもっと高いです~。

教えられ無いのが残念ですよ~」




 さっきまでのキュアの全財産の10倍以上……仮に杖を買わなくとも、コスナーの所に寄らなかったとしても尚、全く足らなかったのだ。




「あ……でも、【 朽ちかけた病忌避石の指輪 】ってのを持っているぞ」


「あらま~……ププ。

ソレならギリギリ、魔法名を買えますよ?

買いますぅ~? 買いますかぁ~?」


「……おう、買ってやろうじゃないか」




 何故かケンカ腰のキュア。

 笑いすぎのホタテも悪いのだろうが。




「【 キュア 】、ですよ~」


「…………は?」


「【 朽ちかけた病忌避石の指輪 】の魔法名は、【 キュア 】ですよ~?

病の治りを早くしますね~」


「……………………はあ」




 笑われた意味を理解し……なんだかとっても恥ずかしくなる、魔法じゃない方のキュア。

 

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