表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/420

80 村人、吹き飛ぶ。

 

 無人の 『 はず 』 の、グサビキのアジト。

 先の爆音以来、静かである。 しかし、数多の実戦経験を持つキュアは気付く。




「( 居る……強い悪意を持った奴が )」




 盗賊だろうか?

 グサビキが、人を集めようと……日常的に人殺しをしている人間を呼んだか───いや……キュアは、この悪意から 『 食物連鎖の頂点に居る生き物特有の傲慢さ 』 を感じた。


 獅子や鷹が、時に獲物を仕止めずに怪我だけを負わせて……我が子の 『 狩りの練習 』 に使ったりするように。


 熊や猫が、時に獲物を甚振いたぶり……死ぬまで 『 オモチャ 』 にするように。




「( 魔物……? しかし、【アジルー村】じゃ有るまいし街中にまで魔物が侵入するか? )」




 【アジルー村】に盗賊や魔物が侵入しないよう防衛していたのは、魔ナシで肉盾のキュアだけである。

 しかし、ココは大きな街。

 防衛する人間は正規軍や討伐隊、他にたくさん居る。


 鼠サイズの魔物が年に3~4回、数匹街中に侵入するケースは有るが……キュアが気になるのは、攻城兵器に等しい爆音だ。

 そんな魔物など、僻地に居るハズの大型魔物のみ。




「( それに、グサビキの 『 アイツ 』 発言───

クリティカル……見守ってくれ )」




 すぐ上の階には、何も居なかった。

 ……が、酷く荒れていた。

 色々な物が散乱していたが……異常なのは、散乱した物に 『 焦げ跡 』 が有ること。

 然れど……壁などは焦げておらず、油を使っても 『 こう 』 は成らない。


 『 火の魔法 』 の特徴である。

 しかも、かなり高位魔法。




「( ……次が最上階。 悪意の源も、だな )」



◆◆◆



 階段を……ゆっくり細心の注意を払い、上がる。

 見晴らしの良い部屋のド真ん中、階段を背にして 『 ヤツ 』 は座っていた。


 右半身が、炎に包まれた……人間だ。


 偶々、此方を向いていなかったとしても……キュアが先に発見出来たのは行幸だったのだろう。

 それほどに化物じみた存在感である。


 全身、一瞬で汗をかく。




「(『 アレ 』 は。 『 あんなモノ 』 は。

───絶対に存在しては成らない! )」




 強い(・・)とか、狂暴(・・)とか、そうゆうレベルの話ではない。

 『 アレ 』 は、御伽噺に出てくる 『 人類すべて 』 の 『 敵 』 ─── 『 魔王 』 の如き存在だ。

 本能が最大級に警鐘を鳴らす。




「( クリティカル……行くぞ! )」




 万が一にも、あんなモノをクリティカルに相対させる訳にはいかない。

 キュアは、己を 『 一本の矢 』 と化し…… 『 敵 』 に突っ込む。

 鏃となったキュアの剣が、背後から『 敵 』 の心臓を貫く。




「死ね……いや、消えろ!」


「ナんだァァ……?」




 『 敵 』 は、心臓を剣で貫かれても生きていた。

 ……いや、剣は 『 敵 』 に刺さっていなかった。 体表面を、とんでもない高温で包んでいたらしく……剣はドロリと溶けていた。




「グさビキぃぃ……。 おレに不意討ちハ効かンって、何デ分かンネぇかな?」


「なっ……なん、何だこれは……!!?」




 『 敵 』 がゆっくり振り向く。

 顔の右半分は炎に包まれ、左半分は火傷で酷く歪んでいた。




「……あ? オまエ、誰───ん?

んン?

…………まサか、おマエ……きゅアか?」


「っ!? だ、誰だ、オマエはっ!?」




 『 敵 』 は、笑う。

 笑う。

 笑う。




「───はッ。 まズ、人ヲ集めテかラ復讐シよウト思ッてイたら……マさか、オまえカら来ルとはナああァぁ……!!」


「…………っ!!」




 『 敵 』 が、炎の半身を振る。

 おそらくは……軽く、埃を払う程度のチカラで。


 それでも、キュアは部屋の真ん中から端の壁まで吹き飛んだ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ