74 村人、バーンの誘拐イベントを終える。
「そんでね、そんでね……キュア殿の作戦通りにやったら勝てたんよ!?」
「あ、ああ……其は大した物であるが───」
オードリーは……キュアと共に兄のバーンを救出した後、キュアを誉め殺しにしていた。
そんなオードリーに苦笑いを隠せない兄、バーン。
「しかし……兵団では無く、オードリーが一人という事は───」
「……うん。 ヘップには 「 いかん 」 言われたわ」
「オードリー!
ヘップ 『 様 』 、であろうっ!?」
「あ……う、うん。
御免なさい、バーン兄ちゃん」
「その言葉使いも、だ。
キュア殿だったか……善人ではあるようだが、御前に悪影響が有るならば……」
「キュア殿は関係無いけん───……キュア殿は、関係無いのであります」
「……うむ」
辛そうな表情のバーン。
バーン自身、会って間もないキュアに好感を抱いていたし……オードリーが故郷の方言で話すのは、彼に懐いている証拠だろう。
彼等兄妹は、故郷の寒村から出て以降……他人に心が開けないでいた。
バーンは……そんな妹が懐く者へ、つれない態度を取らせるのは心苦しかったものの……兄妹の現状が、立場が、其を許さなかったのである。
「───話は終わったか?」
「済まない、待たせたか」
「いや、地下3階の宝物庫を漁っていたしな」
「そうか」
黒鼠教団アジトの廃砦は、地上1階、地下3階で構成されていた。
地下3階は宝物庫。
様々な財宝が眠っていた。
さすが邪教、さすが人間は食糧などという教義を持つ宗教団体のアジト。 人間から奪ったと思わしき物品で溢れていたのだ。
盗賊と何も変わらない。
盗賊の法律に関しては、未だ現実の 『 出来る限り、持ち主に返す 』 というモノを引き摺ってはいるキュアだが、【ドラゴンハーツ】のルールはルール。
被害者に胸中で謝りながら、財宝を頂く。 目立った物は───
【 箱の杖 】
【 殺犬剣 】
【 犬特防の指輪 】
───辺り。 あとは何時もの回復剤や、道具屋に聞かねば分からない薬瓶や巻物にインゴットの類いである。
「キュア殿、アタシ……私の兄を助けて頂き感謝するん……のである」
「───……っ。
……ああ、君達の助けに成って良かった」
突如戻った、オードリーの言葉使い。
……だが、今にも泣きだしそうなオードリーの顔を見れば───凡そ事情の想像ぐらい出来る。 伊達に、キュアも魔ナシで苦労はしていない。
「…………。 では、先に言ったように我等はとある御方から余り離れられぬ身。
此処で失礼させて貰うのである」
「楽しかったよ」
「…………では」
キュアに揃って頭を下げ、アジトから去ってゆく兄妹。
キュアもその後ろ姿に頭を下げる。
……と、いったところでリザルトボードが出現。 無粋だな、と思いつつ確認するキュア。
☆バーンを救出
『 金3000 』
☆ハムスターを倒す
『 SP・3p 』
☆敵を全滅させる
『 SP・2p 』
☆オードリーを死なせない
『 ホタテが指輪魔法名を20%OFFで売ってくれる 』
「ふむふむ……って、オードリーを死なせないのは当然だろう!?」
最早キュアにとって大事な仲間であるオードリーの 『 死 』 について、サラッと書かれている事に憤慨しながら……危険な仕事をする二人の無事を願う。
「……たが、ホタテさんから指輪の魔法名か。
教会は何となく行きづらいし、これは助かるな」