71 村人、ワザと攻撃を受ける。
「地下に降りるぞ」
「う、うん。
分かったよ」
地下1階。 オードリーの兄、バーン ( と思われる黄色いモヤ ) は地下2階である。 また、敵は1階より敵が多い。
「一人で孤立した邪教徒か。
【 鑑定LV.2 】……よし、弱い武器しか持っていない」
キュアが数多の魔法の杖・装備・指輪・道具を手に入れた事で【 鑑定 】は 『 2 』 にLVアップした。
( LVアップにSPは必要としない。)
【 鑑定LV.2 】の効果は、『 敵の装備の名前も分かる 』 というモノ。
「オードリー、ちょっと待っててくれ…………ぐっ」
「き、キュア殿!?」
「うん、変なスキルも持っていない。
正真正銘のザコだ」
「そ……そんなん確める為に、ワザと攻撃を受けたん!? しかもアタシの為に……!」
キュアからすれば、現実ならいざ知らず……回復薬や【 癒しの指輪 】が有る【ドラゴンハーツ】で、安全な傷を負う事に躊躇いは無い。
「弱い攻撃だけを見切って、攻撃を受けるんだ。
敵の攻撃を10回受けて、【 敵からのダメージ1%カット 】を会得しよう」
「分かったよ、キュア殿の頑張りを無断にせんけんね。
任しといて、キュア殿!」
邪教徒から兄を救う依頼を受けた時から、オードリーは常にキュアの指示に従ってはいたが……『 父や義兄を見返す 』 といったモノが、今回の誘拐事件を期に、暴走していた気がする。
兄を救う気持ちに、嘘は無かっただろうが───功名心やら向上心やらも透けて見えていたのだ。
しかし、現在は兄の為に強くなりたがっている。
以前の───暴風に瞬く炎のような不安定な闘志……ではなく、蝋燭のような小さくとも綺麗に最後まで燃え続ける炎の如き闘志。
キュアが、【ドラゴンハーツ】で魔法を集めるサマに似ていた。
「頑張るけん……ちゃんと見ててよ?」
「あ、ああ……」
……が、妙に頬を染めてモジモジしながらキュアを見つめるオードリーに───兄以外のナニカが見えてしまうキュア。
「奴は……( オードリーにはキツい相手だし、) 俺が倒す」
「……うん」
今は……今も、キュアが敵に止めを刺すと悔しそうな顔は微かに見せるオードリーだが、暴走の気配は無い。
キュアとオードリーは、互いに装備を交換しあい ( キュアにピッタリサイズの男性用服がオードリーに、或いはその逆が何故出来るのか……は考えるのを止めた。) スキルを会得しながら先に進む。
───そして、地下2階奥。
大扉の前。 その先に【 エネミービジョン 】で、ただ一つの黄色いモヤが見えていた。




