68 村人、邪教徒のアジトへ侵入する。
「……ん?」
「どうしたのだ、キュア殿?」
黒鼠教団アジト内部へと侵入したキュアとオードリー。 【 敵視の杖 】の魔法、【 エネミービジョン 】を使うキュアは壁や床の向こう側の敵も透視する。
「【 エネミービジョン 】は、敵が赤色に見えるんだが……地下に黄色いモヤが見えるんだ」
「もしかして……」
「オードリー、拐われた君のお兄さんかもしれない。 取敢ずこのモヤを目指すので良いか?」
「うむ」
地下を目指す……その前に、砦一階の邪教徒を暗殺してゆくキュアとオードリー。 逃げ場のない地下にキュア達が降りた後、一階の邪教徒が攻め込んでくるのを防ぐためである。
「残りの敵は北に1、東に4、西に3。
まず、一番近い西から行く」
「手分けした方が早くないのではないかな?」
「ん……」
先程オードリーの戦いを見たキュアは、やや賛成しかねた。
邪教徒とオードリーの戦力差は拮抗、1対1でならオードリーがギリギリ辛勝……と、見たからだ。 別の敵の参戦や罠、様々な理由で何らかのパニックを起こせば、オードリーは負けかねない。
フォロー無く戦わせるのは不安だった。
「君は【 エネミービジョン 】を持っていないし……お互いのバックアップを取れるようにしよう」
「……キュア殿に任すと言ったのだから、キュア殿に任そう」
「( ───とは言いつつ……不満そうだな )」
オードリーの眉根は寄っていた。
兄を早く助けたい、というのは当然有るのだろうが……どこか違う気がするキュア。 そういえば外で二手に分かれた時も、そうと急かされた気がしないでも無い。
キュアは、腐っていた頃の 『 自分 』 を───
美しく強い魔力を持つ妹、クリティカルを。 魔ナシを馬鹿にする【アジルー村】の人間を。
───ただ、回りの人間を見返す事ばかり考えていた頃の 『 自分 』 を見た気分になった。
気のせいかもしれないが……キュアには、オードリーが功名心に焦っているように見えた気がしたのだ。
「( あの時の俺は、本当に愚かだった……。 彼女に、あんな惨めな想いはさせたく無い )」
◆◆◆
「ファイヤー……ボールッ」
三人の邪教徒が居た西の部屋。
キュアは全員が入口から顔を背けた瞬間を狙って、中央邪教徒めがけて魔法を撃つ。
杖スキルを増やすと 『 魔法の、威力や制御力が上がる 』 という言葉を思いだし……気持ち、低速を意識。
───と、同時に部屋へと侵入。
「メイクハンマー!」
「ヂュアッ!?」
「ヂィッ!!」
一番近くに居た邪教徒をメイクハンマーで殴打。 と、同時に部屋中央の邪教徒へファイヤーボールが着弾。 キュアの不意打ちスキルが発動し、二人同時に倒した。
「オードリー!」
「分かったのだ! 喰らえっ!」
「ヂュイッ!?」
しかし、同時に三人目には気付かれる。
キュアが魔法使用により一瞬硬直している横を、オードリーが駆け抜けた。 邪教徒と1対1、危なげながら辛勝するオードリー。
「勝った、勝ったのである!」
「バックアップ有難う、オードリー」
先程までの、しかめっ面は潜めて笑顔になるオードリー。 キュアもつられて笑う。
『 オードリー 』好感度上昇条件
オードリーが止めを指した敵の討伐数。
専用イベント回数。
攻略難度 ☆☆☆☆★( 難しい……というか、面倒くさい )