61 村人、ご馳走さまの文化だった。
「うっ……マップボードにモヤが出た……」
マップボードのモヤが出現した場所……ソコに何らかの施設があり、何らかのイベントが存在し、何らかの冒険に役立つ道具が存在するハズだ。 行きたい……が、キュアは無視する。
初めてのサブイベントで知り合ったケビンの、元・魔法屋だという祖父の下へ直行するために。
◆◆◆
【ドラゴンハーツ】の魔法やスキルを練習した廃墟から領主館へと帰ってきたキュアとクリティカル。
約束通り、キュアは魔力欠乏症に成りかけたクリティカルを寝かしつけた後……晩飯を使用人用の食事を作る料理人に頼む。
「二人とも、自室で食べるのかい?」
「ああ、領主様に二人とも今日一日は大人しくしとけと言われたからな」
「カカッ。 お兄ちゃん、元気そうだが……病人食にでもするかい?」
「いや、食欲は充分……ああでも無理は良くないな。 済まないが片方は病人食を貰えるだろうか?」
「もちろん良いがね。 無理はしなさんな」
「有難う」
通常 ( とは言え、腐っていた時期の貧乏食と比べたら通常以上 ) の食事と病人食を貰ったキュアは領主から宛がわれた自室へ。
中のクリティカルと共に晩飯を食べる。
「ん、美味いな。 使用人用なんて言うからもっと適当なモノかと思っていた」
「領主様のお食事を作っている料理人の御弟子さんよ。
まあ言ってみれば、私達に料理を出す事で腕を磨いているのね」
「ふーん……ん?
この野菜炒め……」
「フフっ、気付いた? 私の料理の師匠でもあるわ」
「じゃあ、次の領主様に出す料理人はクリティカルだな。 クリティカルの方が美味い」
「もうっ!」
隙あらばイチャつきながら、ようやく食事を終える兄妹。
「ふう、ご馳走さま」
「……ねえ兄さん」
「ん?」
「【仮想現実装置】……どうするの?」
「ど、どうする……とは?」
クリティカルは、先程までの談笑時の笑顔とはかけ離れた……真剣な表情をとる。
「私も……流石に冷静に成れば、今の私達がとんでもない事態にあると分かるわ」
「……そうだな」
クリティカルは、敬愛するキュアが魔ナシという理由で蔑まされるのが嫌だった。 ソコへ来た、キュアが魔法を使った事件。
遮二無二、キュアが魔法を使えるようにクリティカルは動いた。
動いた結果……しでかしてしまった、と気付く。
「兄さんが魔法を使える───コレは領主様の中で決定事項だもの。
兄さんが自由に魔法を使えるように成っても、ソコだけは変わらないわ」
「ああ」
「だけど……【仮想現実装置】は、誰でも魔法を覚えさせる事の出来る魔道具だと判明してしまった」
「産まれた赤子の魔力判定を決定する教会に真っ向から反対する魔道具……か」
魔ナシは、後天的に魔法が使えたりはしない。
教会が、声高らかに宣言している事実だ。 ソレが今日、覆った。 教会の歴史に、泥を塗った……などと言われかねない。
クリティカル程の魔法使いが魔力欠乏症になる……とは言え、キュアのケースが有る以上───教会は黙っていないだろう。
「教会だって魔道具そのものの存在は認めているんだ。 教会内に、時計とか有るぐらいだしな。
新種の魔道具の効果なんだから、教会も新しい教義を───」
「───持っては……くれないでしょうね」
「……ハァ」
まあ、教会云々は領主が言っていた。
教会関係者 ( というか、兄妹以外 ) の前で魔法は使わない。 【仮想現実装置】も使わない。 ソレでなんとか成るだろう。
元々、教会関係者は一年四六時中を教会で過ごす。 滅多に外へは外出しないのだ。 バレる事は有るまい。
兄妹は、そう結論付ける。
「問題は領主様ね。
領主様の中では、兄さんが魔法を使えるか 『 どうか 』 じゃ無く─── 『 原因は何か 』 だと思うの」
「そうだろうな」
「領主様にまで……隠す?」
「…………」
キュアは悩む。
領主様は素晴らしい方だ。
自分もクリティカルも世話になった。 不義理は働きたくない。
……だが。
「領主様は……【仮想現実装置】を欲するだろうか?」
「珍しい物好きの領主様だもの。
ほぼほぼ、絶対ね」
「…………仕方ない」
「兄さん、まさか……」
「領主様に御話する」
「兄さん……」
「【ドラゴンハーツ】中の、魔法の杖を集めた後で!」
思わず、カクッと転けるクリティカル。 だが……賛成だ。
「なら早速、【ドラゴンハーツ】に入らなきゃね」
◆◆◆
急ぎ【ドラゴンハーツ】にダイブしたキュアは、急ぎ目的地へと辿りつく。
「ココが、ケビンの祖父の居る村か」




