54 村人、妹をギャグキャラにされつつある。
「ふぬぬぬ………………ハァ。
───な? やはりクリティカルの勘違いだよ」
キュアは、クリティカルが用意した様々な杖を装備してみた……が、どれも魔力操作できなかった。
「───でも、私は兄さんが魔力を操作して……火の鳥を召喚したのを見たわ! 【アジルー村】の人間も! 領主様だって火の残存魔力を確認しているの!」
「クリティカル……」
半狂乱気味のクリティカル。 そんなクリティカルを見たくないキュアは何とかしてやりたい。
だが……自分は 『 魔ナシ 』 なのだ。 魔法が使えない。 魔法操作が出来ない。
───クリティカルの要望を叶える事は……出来ない。
「ゴメンな、魔ナシなんかで産まれて……」
「…………。
ゴメンなさい、一番ツラいのは兄さんなのに」
「俺は、素晴らしい妹が居るから幸福だよ」
「兄さん……」
暫くイチャイチャして、漸く落ち着きを取り戻したキュアとクリティカル。
「……ねえ、兄さん」
「なんだ?
クリティカル」
「今、兄さんは【仮想現実装置】を使えないのよね?」
「ああ。
今の俺は、脳が疲れているらしい。
軽い疲れだがな」
「…………。
私も、【仮想現実装置】を使って良いかしら?」
「え……ええっ!?」
決意ある瞳を向けるクリティカル。 キュアは、子供のころ遊んでいるとアシッド等に苛められた。
なので、あまり 『 遊び 』 というモノに触れてこなかったキュアは……この歳でほぼ初めての遊びである【仮想現実装置】と、【ドラゴンハーツ】にドハマリしたのだ。
そして、クリティカルもあまり遊ばなかった。
ソレは、遊びそのものに興味が無いからだと勘違いしていたが……よく考えなくとも、クリティカルの事である。 キュアに遠慮していたハズだ。
またしても、腐っていたせいでクリティカルをよく見ていなかった事を後悔するキュア。
「……分かった。
先ずは【仮想現実装置】を頭に被り───」
◆◆◆
「私は友達じゃないっ!」
「ま、まあまあ……そういう仕組みなんだよ」
クリティカルが【仮想現実装置】を被ると、
≪登録ユーザー、キュアさんとは別人の脳波を感知。
フレンドの登録をしますか?≫
……という、メッセージがクリティカルの頭の中に流れる。 自分たちの関係を 『 友達 』 と呼ばれた事にキレるクリティカル。 怖い。