46 村人、実は脳筋だった。( 知ってた。)
鍛冶師デンダの依頼を受けたキュア。
デンダは、魔法屋を紹介したケビンのように……キュアからマップボードを取り出して何やら書きこむ。 確認すると12km離れた場所に、今回のイベントの目的地である『北連山の鍛冶堂』の文字。
「思ったより近いな」
元々逞しい上……魔ナシ差別により、遠く離れた盗賊のアジトに遠征させられた経験もあるキュア。 トンデモない距離でも、体力馬───体力自慢のキュアは数時間走れば着く距離だな、等と考える。
魔法使いを目指していても……キュアは基本、脳筋なのだ。
◆◆◆
「頂上が雲の上……」
北連山の麓に着いたキュア。
キュアの住む地域には低山しかないので中々壮観だ。
「このマップボードだと、この道の先が変色してて…………コレか?」
キュアの目に映ったのは、階段。 山道をのぼる階段だ。 その手前に廃村があった。
「現在『北連山の鍛冶堂』は使われていない……との事だから、当時の施設か?
職人たちの村だったとか……」
特にマップボードに名前は出ない。
探索価値は無さそうだし……鍛冶師デンダの娘、ダイに追い付くのが先かと考えていたキュアの前に───探しモノが現れた。
「う、うわっ!? アンタ誰よ!?
盗賊!??」
「ま、魔法の杖!? ホコリを被ってるし……廃棄された物だよな!? な!?」
「あ、アタシに聞かないでよ……」
◆◆◆
「そう……あのクソ親父に…………」
興奮するキュアが落ち着く頃……知らぬ間に、女性が目の前にいた。 話を聞くと彼女が目的の女性、ダイであった。
「彼は反省していた。
許してやってはどうだ?」
「アハハっ、アレが売り言葉に買い言葉だってのは分かってるわよ。
親父がアタシを殺すつもりでンな事、言った訳じゃ無いってのもね」
コロコロと表情を変えるダイ。
父譲りなのか、鍛冶の修行の賜物なのか。 コンガリと焼けた肌と、張りのある筋肉。 髪は……有る。 鍛冶師 = 抜ける、という訳では無いらしい。
「じゃあ……」
「……ゴメンね、親子喧嘩に巻き込んじゃって。
でも……ココに挑戦したいってのも本心なのよ」
「良い炉と鉄が有るらしいな?」
「現代じゃ模造・復元できない炉らしいわ。
『北連山の鍛冶堂』、別名……『神の鍛冶堂』」
「神の……」
「光燐教の神様は多重人格で、鍛冶師の人格も居たそうよ。
他にも剣士、魔法使い、商人……」
「ぞ、俗っぽい神様だな」
「宗教なんてそんなもんでしょ。
……ソレより、クソ親父の依頼をアタシの依頼に変えてくんない?」
「ん?」
男らしい身体つき『だけ』を見れば分からない、女らしい美貌を無防備にキュアへと近付け……ダイは真剣な顔つきになる。
「アタシを、件の炉まで連れて行って欲しいの」
「む……。 夢は応援してやりたいが……俺は、あまり他人を守るのは得意では───」
「アタシも、自分の打った剣を振るうぐらいは出来るわよ。 アタシが前衛、アンタが後衛。
ねっ、お願い! その『鍛冶師の杖』の魔法名を教えてあげるから♡」
「分かった、君の依頼を受けよう」
脳筋のキュアであった。




