表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
333/420

333 村人、邪神官を倒す。

 

 またまた、ムカデに噛まれました。

 

 

「【器物破損】!」


≪ぬぅ……!?

儂の剣が……!≫




 邪神【名を失いし神】の元丁稚の子孫である女戦士ゾリディアを操り、イーストンとシーナを襲う【邪神の使徒】共。


 キュアは【ドラゴンハーツ】においてイレギュラーな存在であるヘイストを、シーナの下へコッソリと送ってゾリディアを操る者の虚を衝く事に成功。 イーストンとゾリディアを一時的に無力化させ、使徒共のボスへと接近。 強力な一撃を入れる。

 追撃を入れ、ボスとシーナの間に入って盾となり。




「シーナ、大事だいじないかっ!?」


「強いて言えば───

ゾリディアがした、よく分からない事よりも……コチラの女性(ヘイスト)の方が、よほど大事おおごとですわねぇ……キュアさん?」


「は?」




 恐怖のあまりパニックになっている () (そうであって欲しい) シーナを背に、ボスへ視線を向けるキュア。 【深眠】( ケルキオン )で眠る、無防備かつ暴走の危険があるイーストンは器用な朱雀に任せ───ゾリディアは。




≪がっ……ごぁ…………!?

ガアああァあアあああァあっ!?≫


「しっかりしろー、ゾリディアー!」


≪ち、チぇん……? ちぇちェチェチぇちェチぇチぇぇェぇェえエんんん!!≫


「ゾリディア……。

チェン、頼んだぞ!」


「任されてー!」




 立ち尽くしていたゾリディアは、急に頭を抱えながら暴れだす。 しかしスキルはおろかマトモな剣技すら使えていない。 金属の棒を滅多矢鱈振りまわしているだけで、単純なすばしっこさならキュアをも上回るチェンが当たるようなものではない。




≪ふん、あんな小娘に何が出来るんじゃ≫


「戦士ですらないゾリディアなんか、チェンの敵じゃないさ」




 準備に準備を重ねた作戦を……訳の分からぬ一手でブチ壊したキュアを警戒して、唯一残された切り札であるシーナを確保しようと動く使徒共のボスと、ボスを牽制するキュア。




「【邪神官:LV112】……。

【キッズグリーンドラゴン:LV109】より、一応強いのか」


≪たかが子竜如きと一緒にするで無いわい!≫


「まあアレは、不意打ちぐらいしか能の無かったし……今の俺なら一人で倒せるからな」


≪あん?≫


「───当然、オマエも……だ」


≪あぁ!?≫


「オマエは 『芋』 より弱い」


≪あぁん!!?≫




 子竜は、キュア含めて四人で倒した。

 『芋』 とは、現実において神───魔王四天侯に次ぐ強さを持つ八部伯衆の一柱を (おまけ付きとは言え) キュア一人で倒した事を言っているのだが……【ドラゴンハーツ】の住人である【邪神官】には分からない。

 無論シーナとチェンも分からない。 然れどキュアの事は強さ含め信頼しているし、 (頓珍漢な台詞には) (慣れているし、) 問題は無い。




「チェンも、そんな奴一人で倒せるぞー!」


「ああ。

所詮、奸智と人数に長けるだけの雑魚ボスだろうさ。

(あとは前のイベントから時間が経ちすぎたのかも)」




 RPGである【ドラゴンハーツ】は、LVやスキルが加速度的に増加する。 そのパワーインフレは大きい。




「朱雀は、イーストンに。

チェンは、ゾリディアに。

ヘイストは、シーナに。

……俺は、オマエに。

───1対1で十分だ」


≪貴様ぁ……!

勇者や巫女の周りをチョロチョロと彷徨くオマケ如きが……!≫




 仲間を利用された怒り。

 まだ敵が持ちうる奥の手への警戒。

 キュアは邪神官を挑発し。

 その、挑発に乗った邪神官は……血走らせた目をキュアにのみ向ける。




「……なあキュア。

敵はこの女に、微塵・ネコの額・雀の涙───まっっっっったくたりとも、魅力を感じていないみたいだし……もう放っておいても良いのでは無いか?」


「……ねえキュアさん。

この鎧って男性用なんですの?

ワタクシ……胸が苦しいですわ」


「貴様ぁ……!

貴様も言うほど無いだろう!?」




 ジリジリと詰めよる、キュアと邪神官。 ぶつかり合う殺意と殺意。

  (ヘイストの魂が) (宿っているからか、) (ヘイストの体型に) (なっている) (ライフイーター。) (ぶつかり合う) (殺意と殺意。)




「はあっ!」


≪死ね!≫




 キュアの剣撃。

 キュアが装備するのは【使徒の剣】という名前の武器で、洞窟入口に居た盗賊タイプの使徒が装備していた物である。

 そのスキル名は【邪気炎】。

 使用者と敵対者が御互いにエンカウントしている時、使用者から離れれば離れるほど、粘度のある熱くない炎が足下を舐める……言うなれば 『逃げ足を遅くする』 スキルなのだ。( 範囲は約20m。)


 邪神官は、キュアと一旦距離を取って様子を見たがっていたが……己等使徒のための武器が、己自身の足を引っ張る。




「元々、イーストン達を逃さないための武器だったのかもしれんが……分不相応な格上を狙ったツケだな」


≪なっ……なめるなァァ!≫




 剣を振り上げる邪神官。

 上げきるまでに数回。

 振り降ろすまでに数10回以上。




【強化】( ヘイスト )【会心】( クリティカル )


≪───ぐが≫




 策を練るしか取り柄はなく、戦闘はからきしであった邪神官は……攻撃のたびダメージを重ねてゆき。




「見ろ! キュアの必殺魔法は、自分とおんなじ名前だぞ!?」


「【強化】って……どんな名前ですの?」




 宣言通り、キュア一人の手で倒された。

 

 

 尻を。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ