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320 村人、仲間をギャグキャラにされつつある。

 

「問題を起こさなければ問題ない、と……私は言った筈ですが」


「す、すまない。

だが俺達は、命を宿せる道具アイテムがどうしても必要で……」




 【ロシマ】住宅街門番詰所。

 キュア達は、連行されて怒られていた。


 ヘイストの魂を、ソウルイーターからライフイーターへと移動させたキュア達。 【ドラゴンハーツ】というアクティビティのデータ的には、現在のヘイストは 『キュアが所持する道具アイテム』 の一つに過ぎない。


 然れど。

 現地人達の殆んどは、動くライフイーターの事を見て【デュラハン】なる魔物が出現したと騒ぎだし……キュア達は門番に連れて行かれたのだ。




「アナタ方の依頼者も口添えして、住宅街の混乱は収まりましたが……」


「本当に申し訳なかった。

彼に、謝っていたと伝えてほしい」


「とにかく、住宅街だけでなく【ロシマ】の中では彼女? をフリーにしないように。

次は領兵が呼ばれて逮捕されるかもしれませんよ」




 当たり前の……いや、むしろかなり優しめの注意を受けて解放されたキュア達。

 むろん【ドラゴンハーツ】内で犯罪を犯せば逮捕されてしまう。 その時は、自主脱走イベントや牢屋内で犯罪組織にスカウトされイベント、模範囚イベントなども有るが……悪徳プレイが基本的には出来ない【ドラゴンハーツ】においては大概gameoverだ。


 もちろん犯罪者嫌いのキュアは、そんな道は選ばない。 (こんな失敗を) (してるクセに。)




「さて……みんなにも迷惑をかけたな」


「…………。

……ヘイストのためには仕方無いかなー」


「…………。

……主様に頭を下げさせた事、申し訳なく思います」


「フオオオオオ……っ!」




 キュア含めてチェンと朱雀も、ヘイストの魂入れ変えにはノリノリだったため御互い謝罪しあう形となったが……ヘイスト本人だけは心ここに在らずといった感じだ。


 門番に怒られたキュアは、【ソウルイーター】を直接装備して住宅街に入った時同様に【ライフイーター】を装備して街中を歩いていた。

 この鎧は、『兜』『胴』『籠手』『脛当て』 からなる全身鎧である。 ただし現実の全身鎧のような、平地以外では満足に歩く事すら出来ない作りではない、飛んで走れる【ドラゴンハーツ】の謎仕様鎧だ。


 そんな鎧を───ヘイストの魂が宿った鎧を身に付けたキュア。 鎧の下は何故かパンツ一丁 (の魔○村仕立て)、ギャンベゾンといった鎧下もない。




「フオオオオオ……っ!?

キュアの腕、キュアの頭、キュアの胸板、キュアの腹、キュアの───フオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっ!?」




 キュアの裸体に密着し、 (変態仮○みたいな)悲鳴を上げるヘイスト。 (当初はこんなキャラ) (じゃなかったのに。)




「この状態なら、俺とヘイスト二人同時に【ライフイーター】のスキルを得られるかな?」


「…………。

……おそらく其の通りかとは思われますが、御止めになった方が宜しいかと」


「……キュア、冷静だなー……」


「フオオオオ……っ!?」




  (割とカオスに) (なってきたのと、)次のサブイベントを求めて魔法ギルドへ。 (あそこなら大概の) (変な物は) (紛れこむので。)




「基本、今 (魔法中級) 受けられる依頼サブイベントは全部、パパッと解決出来るものはかりだと思うんだ」


「主様の仰られる通りかと」


「なら取敢ず全部受けてみて、リザルトからスキルや魔法を集めまくろう」


「良いんじゃないかなー?

初級スキルだって、物凄い便利な奴はたくさん有るぞー?」


「主様の、良しなに」


「フオオオオオオオオオ……っ!?」

 


◆◆◆



「───うん、なかなか良いな」


「なー?」


「魔法使いとしても、上級の資格(ライセンス)を貰いましたし」


「こうゆう時は、故郷げんじつの時間経過も短縮されるのだったな」




 宣言通り、魔法ギルドの中級依頼(サブイベント)を全て短時間でこなしたキュア達。 (ヘイストとは) (分離した。) たくさんの装備・スキル・魔法を得た。 また、脳をあまり使わない作業であったので【仮想現実装置】(パーシテアー)の負担低減により、普通のイベントよりかなり時間短縮されている。




「そのぶん、金銭の稼ぎは対ユキーデ(魔人族のボス)戦に劣るが……それでもだいぶ貯まったぞ」


「……それでも【魔神城】で見た、あの馬鹿高い魔人の角は買えないだろう?」


「……そう、だなぁ」




 やや、ソワソワしているキュア。

 ヘイストは 「ん? どうした?」 といった感じであるが……チェンと朱雀は。




「ケルキオンー……」


「う」


「主様の、良しなに」


「な、なんだ?

その……ける? とやらが、どうした?」


「スゴい高い、魔法名の杖だぞー」


「其れを買うと、件の角は暫く先となりましょう」




 魔ナシのキュアが【ドラゴンハーツ】を始めたキッカケが、『せめて(VR)の中でも魔法を使いたい』 という物であった。 その魔法の中でも、最上位に冠される魔法なのだ。

 キュアの興味は尽きない。




「どんな効果なんだ?」


「行動阻害系の最上位だとは聞いてるけどなぁ……」


「行動阻害?」




 同じ行動阻害系魔法───

 例えば粘つく油を振り撒く【油泥の杖】は、敵の足元を縛る序でに炎ダメージ増加効果がある。

 【蜘蛛糸の杖】は、敵全身の動きを阻害し鈍くする。

 乱戦に役立つ魔法だが、種族によっては効かなかったり、短時間で効果が切れるのだ。




「【ケルキオン】は、異世界とはいえ神の杖だから凄い効果だと思うんだ」


「値段に見合う価値が有るんだな。

なら良いのではないか?」


「そっ、そうか?」




 女性陣から合法的に許可を貰ったキュアは……ニヤケが止まらない。

  (タラシの成果である。)

 

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