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291 村人、少女も口説く。

 

「きっ、キサマ……卑怯だぞ!?」


「オマエ自身は特に何もしてないだろう……」




 始まったユキーデとの決戦。

 最初彼は 「小手調べだ」 と【ゲイザー】と【ローパー】を赤い闇のむこう側から山ほど呼びだし、魔物が全滅するまでの間は空中でキュアが地べたで苦労する様を見物するつもりだったらしい。

 ……が、空中を自在に飛び邪魔してくるチェンと朱雀に激怒していた。




「ヴィタリもサンチョも、こんな雑魚相手に負けるとは情けないと思っていたが……」


「空は貴方だけの物ではありません」


「チェンだって、空中戦はナカナカのモンだろー?」




 本来のストーリーでは───

 ユキーデとは、キュア(プレイヤー)一人で戦う設定になっていた。


 『チェン生存ルート』 だと三カ所目の鉱山でユキーデが下位魔人族の理性を奪うまでは同様の展開である。 その後は【半壊した魔神城の鍵】が消滅しているので【魔神城】城壁の門を開けられず、門の前で 『謎の敵ヴィタリとサンチョ』 が弱いバージョンで登場。 二人同時相手に戦闘後、多くの謎を残したまま【魔神城】のイベントは全て終了だ。


 『最強の御供・チェン』 が仲間になる代わりに、極一部の装備スキルしか入手できないルートである。


 『チェン生贄ルート』 は上記の逆、チェンが仲間にならない代わりに全ての装備スキルを得られるルートであり、ユキーデと戦えるのもこのルートなのだが……サブイベント扱いなので、他の 『仲間枠』 のキャラクターは連れて来れない。 『御供枠』 には、犬などの御供動物を引きつれて来れるが……チェン以外に空中戦 (&遠距離戦) が出来る御供はいない。

 普通の犬や馬なので。


 実質的に、現状のキュアは生存・生贄ルートの 『良いとこ取りルート』 を進んでいた。 とんだストーリー改竄チートに、ユキーデが叫ぶのも……ある意味無理からぬ話だろう。




「何故だ!?

真なる鍵……ジャッキーの子孫よ!

何故キサマが……!?」


「独り善がりの下らない男。

貴方によく似た男をしっています」


「オレ以外の男の話をするなぁっ!?」


「───アシッドという男です」


「朱雀……」




 キュアの幼馴染み。

 キュアを最も魔ナシ差別した男。

 朱雀に利用され自滅した愚者。

 アシッド。




「独り善がり、独善、のが分を弁える事も出来ぬ、差別主義者。

自分こそが、真なる愚者とも気付かぬ男」


「キサマぁぁあああああ!!」


「はははっ!

その男も、他人()のチカラを己のチカラと勘違いをして、火を奮った!」




 激怒・憎悪・憤怒……ユキーデが、悪魔と呼ばれるに相応しい形相で【魔人炎】を放つが、高笑いをする朱雀が炎を 『スルリ』 と避けつつお返しだと火燐をまく。

 赤い闇より、なお赤く。

 空を火神の炎と魔神の炎が埋めつくす。




「たしかそのアシッド? ってのにチカラを貸した神サマって……ううん、なんでもナイかなー……」


「ま、まあ、あの時の朱雀には俺達も色々と苦労はさせられたが……」




 キュアが瀕死の重症を負ったり。

 街の一部が大火災に襲われたり。




「だが、今朱雀は本気で怒っている。

それはチェンの為だろう」


「……うん」


「チェンからしたら、遠い御先祖様のイザコザってだけかもしれんが……朱雀からしたら、可愛いチェンが狙われているからな」


「……うん。

…………えへっ」


「むろん、俺もだ。

俺もチェンが可愛いからな」


「……う、うん。

…………はあ」




 ナチュラルに口説く天然。

 キザなイケ顔だろ。

 ウソみたいだろ。

 純情ぶってるんだぜ。


 女と見れば息をするようにタラしこんでるキュアに慣れっこのチェンは、「また始まった」 てなモンである。




「ユキーデは許さん」


「しょーがないなー、キュアはー。

……ふふふ」




 その割には、妙にニヤニヤとしているが。

 キュアが【ゲイザー】と【ローパー】を全滅させると……ユキーデは、真なる鍵(愛しい女の子孫)を誑かした、全ての元凶であるキュアを誅するため、一旦地上に降りてきた。

 【魔人炎】で牽制しながら【魔人角】【魔人爪】でキュア達を攻撃。 キュアは定番の【会心】(クリティカル)【強化】(ヘイスト)(ダブル)掛けで猛攻をかける。


 ある程度HPを減らされたユキーデは、再び空へ。 そして赤い闇から現れる【レッサーイビルゲイザー】と【レッサーイビルローパー】という魔物。

 とことん、他者を使い潰すつもりのようである。




「……やはりな」


「何がだ? 薄汚い光燐め」


「ユキーデ……キサマは、ヴィタリもサンチョも捨て駒にしたんだろう?」


「…………っ」


「彼等の、キサマへの忠誠度と……直に接するキサマとの印象の、解離がひどい。

味方と敵とで、顔を使いわけているとしても……な」


「……………………」

 

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