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29 村人、HPを回復する。

 

「……っと。

ココが 『道具屋ガルヒン』 か」




 生まれて初めて地図を使うも、【ドラゴンハーツ】の機能に助けられてなんとか目的地へと辿りつくキュア。

 看板には、キュアが盗賊のアジトで大量に棄てた 『回復薬』 と思わしき薬瓶が描かれていた。




「済みません」


「いらっしゃ……おお、盗賊を退治したとか言うモンかね?」


「え、ええ」


「村中の噂になっとるよ」


「村中!?」




 キュアは酷く驚く。 何せ盗賊退治から帰ってきたのは、ついさっきなのだから。

 流石夢の中ヴァーチャルリアリティ

 何らかのルールが有るのかもしれない。




「盗賊の財宝でも売りにきたかね?

ソレとも旅の準備かい?」


「あー……じゃあ、両方で」




 やはり財宝は売れるのか……しかもこんな田舎で? とキュアは驚嘆する。

 ……田舎者のキュアが。

 更にココで、幾つかの正体不明だった道具の使用法を知る。 中でも 『回復薬』 とは、失ったHPを元に戻す物でありHPとは傷つくと失う生命力を数値化した物だという。




「痛みは (気持ち悪いほど) 無いんだが……盗賊のボスの最後の一撃で、結構なダメージを食らったんだ」


「回復薬を飲むと、HPが回復するぞ」


「そ、そうか……」




 己れの火傷を見るキュア。


 結構なダメージ───とは言いつつ、アレだけの炎に全身満遍なく焼かれたにしては……身体に残る火傷跡は……『全体』ではなく不自然な、『斑模状』。 服は焦げてすらいない。


 痛みはピリピリする程度で、多少倦怠感が有るぐらいか。 どうやら、コレがHPが失われたという常態らしい。


 キュアは取敢ず、道具屋ガンヒルに言われた通り恐る恐る回復薬を飲んでみると……飲み込む瞬間までは感触が存在したものの、喉の途中で急にスッ……と感触が消えた。

 多分、腹の中に回復薬は無い。

 何か、人智を超えた───とてつもなく恐ろしい物をクチにしてしまった感じで気味が悪い。


 そして痛みと倦怠感と火傷跡が、嘘のように消える。 ……あまりに突然な消え方に、やはり気味悪さを感じるキュアであった。




「宿屋に泊まってHPを回復させる手段もあるがな」


「そ、そうなのか」




 また現実とは大きく常識が違う、謎のゲームルールが出た。


 宿屋は、滅多に【アジルー村】から出ないキュアとて知っている。 主に旅などで長距離移動した者が、寝床として使う施設。

 ……それだけ、だ。


 しかし、この世界の宿屋で寝たら、死ぬ直前のダメージすら回復するという。

 ……意味不明すぎて、やはり気味悪さを感じるキュアであった。

 

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