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278 村人、ゲイザーとローパーと戦う。

 

「【ゲイザー】の遠距離攻撃に気ぃ取られたら【ローパー】に捕まりやすし……【ローパー】に気を取られたら【ゲイザー】から集中放火を食らいやすし…………」


「こーゆーのはコツが有る」


「ほ、ホントっすかキュア兄サン!?」


「常に、戦場全ての敵の、攻撃が届かない位置に立っていれば良いんだ」


「……………………もしかして、キュア兄サンは天然なのかも知れねでやす」


「今ごろ言ってるあたり、割とソッチも天然かなー?」




 【魔神城】城壁外部に三カ所あるウチの、最後に訪れた鉱山。

 ソコは、【ゲイザー】と【ローパー】が同時出現するなど、前二カ所と明らかに雰囲気が異なっていた。


 依頼サブイベントの前触れを感じさせる様子に、チェンと【真・魔神城の鍵】がイレギュラー的に共存する現状を警戒するキュアと朱雀はに若干ピリピリしつつ……魔法やスキルを会得するのも大事である。


 大きな矛盾は内包しない筈の、城壁外部は全て探索したい朱雀。 キュアは【ドラゴンハーツ】を冒険できるのであれば、【魔神城】だけにソコまで拘る気は無いが───




「マップボードに【アルハザードのランプ】は何も反応していないが……」


「ええ、私にも依頼(?マーク)は見えません」


「偶々……なんだろうか?」


「前二カ所を【ゲイザー】だけに慣らせておいて、三カ所目で難易度を上げる……【ドラゴンハーツ】全体を見ても徐々に敵LVが上がっておりますし、有り得ない事ではないかと」


「ふむ」


「キュアー、朱雀ー?

まだかーー?」




 ───【下位魔人族の集落】では、チェンに魔人族の友達が出来た。 朱雀の要望にも応えてえてやりたい。 【魔神城】を離れるのは後顧の憂いを断ってからでも良い。

 そう考えるキュアは、不安を抑えて先を目指す。




「……行こう、朱雀」


「ええ」


「チェン、ピョウとユンも待たせた。

先に進むぞ」


「おっしゃー!」


「キュア兄サンと一緒なら百人力でさぁ」


「いつか……いつかアッシ等も、上位魔人族並に成れるかもしれねぇんでごぜぇやす」


「……貴方方は無いかと───いえ」


「行くぞ、最後の部屋だ」




 三カ所の鉱山は全て似たような見た目である。 小部屋などは有るが大凡は一本道であり、最後の部屋……【イビルゲイザー】が居た部屋の入口も大体同じなのだ。

 ボス部屋を開けるキュア。

 部屋に居たのは【イビルゲイザー】

───と。




「【イビルローパー】……か。

まあ、予想はしていたが」


「うぇー……。

キモさ倍増だなー……」




 【イビルローパー】という……ウゾウゾと蠢く触手が直径3mにも成るほど幾万も球体状に集まる魔物である。 その醜悪な見た目に、キュア以外のパーティメンバーが引いていた。




「只でさえ【イビルゲイザー】戦は、丸太みてぇなミミズヘビが大量に地面から生えてきやがるってぇのに!」


「【イビルゲイザー】が【ゲイザー】の遠距離攻撃能力を強化した魔物なら……【イビルローパー】は、敵の行動阻害・捕縛・毒能力に長けた魔物の筈だ。

絶対に近付くなよ」


「分かりやした!」




 始まった対ボス戦。

 チンピラ魔人族の二人は、部屋中央に居る【イビルゲイザー】の石化光線対策として物陰に隠れるが……球体の【イビルローパー】が崩れ、溶けるように地面に広がりだす。


 触手が散らばり進むその様は、まるで猛スピードで増殖してゆく赤黒い草原である。




「みんなっ、飛べ!

足下に気を付けろ!」


「うぅ……アッシ等下位魔人族の【魔人翼】は、あんま空を飛べられないんでやすがねっ!?」


「主様に文句を言っても仕方無いでしょう、確りなさい。

……火燐よっ!」


「上から焼いてやるぞー!

【魔人炎】っ!」




 チェン達三人の魔人族と、神たる朱雀が宿る【魔神城の鍵】。 キュアのパーティは、キュア以外全員空を飛べる。 咄嗟に【イビルローパー】の草原を避けて空中へ飛行するメンバー。




「キュア兄サン!

アンタは如何す───」


「【二段ジャンプ】、【ロケットダッシュ】、【タラリア】!

……ん? 何か言ったか、ピョウ?」


「……いえ」




 空中移動系のスキルで【イビルローパー】の蠢く触手の草原を回避したキュアは、重ねた石化耐性効果を駆使して【イビルゲイザー】を狙う。


 その間、キュア以外のメンバーは【イビルゲイザー】のミミズヘビと【イビルローパー】を狙う。

 しかしその気になれば何時までも飛べるチェンと朱雀とは違い、短時間しか飛べないピョウとユンは地上に降りて休憩しつつ攻撃している。


 その隙を突かれ、ユンが触手の草原に足を取られてしまう。




「てめぇっ……離しやがれ!」




 【イビルローパー】の触手は、通常の【ローパー】より細く短いが……足に絡まる数が異常で、全く動かせない。 靴の下にも入りこみ、物陰から運び出されてしまうユン。

 キュアを狙う石化光線の前に曝けだされてしまった。




「か、あ、ぁああ……っ!?」


「ユン、石化治療薬だ!」


「う、うすっ!」




 足下に絡む触手ごと石化したので、石化を治した後は拘束を解かれ、動けはするが…………長時間飛べないピョウとユンは、石化光線の回避手段を失った。

 

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