277 村人、最後の鉱山へ。
「すいやせん、キュア兄サン……!
【イビルゲイザー】の石化光線を食らっ……ち……まい…………」
「ユン、今行くぞっ!
…………ぐくっ」
≪【ゲイザーの鎧】を着て石化攻撃を50回食らう、達成。
【石化耐性UP】を習得≫
「───よしっ!
ユン、【石化治療薬】だ!」
【ゲイザーの鎧】のスキル効果と【ゲイザー焼き】の料理効果とが合わさり、怪光線に晒されても状態異常・石化LVがあまり上がらなく成ったキュア。
パーティメンバーが石化し始めたなら直ぐさま治療に駆けつけ、或いは怪光線をギリギリまで耐えて【イビルゲイザー】の弱点部位である眼球を攻撃し続ける。
やがてキュア達は、最初の【イビルゲイザー】よりも格段に早い時間で討伐できた。
「主様。
回復薬・治療薬、共に前回より少ない消費量でした」
「チェンも今回は、一回しか石化光線に当たらなかったぞー?」
「主様は一度も避け損なってなどいませんよ、羽根娘。
……ですが、素晴らしい成長です」
「お、おおー!
チェン、もっとガンバルぞー!」
【魔神城】城壁内部を残し、外部のマップボードを埋めたキュア達。
【ドラゴンハーツ】本来のシナリオでは、チェンは生きて城壁内部へ行く事はなく…………現状で向かえば、どんな不具合が起こるか分からない。
然れど、外部に三カ所発見した鉱山を探索する分には正規シナリオのままである。 チェンが如何斯う成ったりはすまいと、二カ所目をクリアした所であった。
「薬には余裕が有るが……どうする?
一旦【下位魔人族の集落】に帰るか?」
「いえいえ、まだ頑張れまさぁ!」
「アッシ等の【魔人角】や【魔人爪】に【魔人翼】もLVUPしてごぜぇやすぜ!」
「分かった。
なら続けて、三カ所目の鉱山へと進もう」
「(そもそも主様は、一言も付いて来てほしいなどと仰られていませんがね……)」
「(朱雀ー……たぶんそれ、禁句かなー?)」
チンピラ魔人族のピョウとユン。
彼等は出会いこそキュア達へのタカリ……敵としてであるが、実力主義の魔人族らしくキュアの強さに惚れ、更に御馳走たる鉄製品を打ってもらい恩義に奮えている。
また、キュアに付いていってからは猛烈な勢いで強くなってゆく自分達にも興奮していた。 強くなる事は魔人族にとって至上命題───彼等にとってキュアに付いて行かないという選択肢は無い。
「……はあ、まったく」
「まあまあ、朱雀。
彼等も格段に強くなった」
「ですが、まだまだ出会った頃の羽根娘にすら劣りますよね?」
「そりゃあ、まあ……なあ」
チェンと共闘して戦った【魔神の右腕】。 彼は間違いなく上位魔人族であろう。 全力は出せなくて尚、 (当時の) キュアとチェンは死に物狂いだった。
今のピョウとユンは……【魔神の右腕】の足下にも及ばない。
「だが……虐げられてきた者達が頑張っているのは助けてやりたい。
鉱山は、あと一カ所だ。
彼等もソコまでは付いて来ても良いだろう?」
「……ズルいですよ、もう。
───主様の、良しなに」
「済まないな」
キュア達は【魔神城】の城壁外部だけを探索するつもりである。
城壁内部にチェンを連れてゆくつもりも、置いてゆくつもりも無い。
興味はある。
だが。
単に『敵が強い』 などならば幾らでも対処出来るが、【ドラゴンハーツ】のシステム的な話など……キュア達にはお手上げだ。
ただでさえ現実のキュアは、もうすぐ【仮想現実装置】を領主レイグランに渡す予定である。
【魔神城】に拘らなくとも、冒険する場所は沢山あるのだから。
「では、最後の鉱山へ向かおう」
◆◆◆
「……ん?」
「……主様、御気をつけ下さい」
三カ所目、【魔神城】城壁外部最後の鉱山。 パッと見は前二カ所と変わりない。
しかし。
「【ローパー】か……偶々か?」
「この国の、特徴かもしれませんね」
前二カ所の鉱山は【ゲイザー】系しか居なかった。 だが最後の鉱山には【ゲイザー】と同じく、【魔神】のチカラが実体化したという【ローパー】も居たのだ。
偶々、この鉱山だけ二種の魔物が出現した可能性も有る。
然れど。
システム的な可能性も、有り得る。
嘗て、条件を満たすまでは【ドラゴンハーツ】の何処にも存在すらしなかった魔物が居た。
先に操作されてはシナリオが破綻してしまうスイッチが、ストーリーが進行するまで存在しなかった事もある。
この【ローパー】も、最後の鉱山の攻略難度を上げるために 『システム的に』 出現した可能性は有る。
「(───どうする?
『?マーク』 は出ていないが、依頼が起きる前触れかもしれん)」
「(依頼ならば……其れは、【ドラゴンハーツ】の理の中かと)」
「(…………そうだな)」
「キュアー? 朱雀ー?
どしたー?」
「いや、面倒な組合せだなとな」
「キュアとチェン達なら楽勝だぞー!」
「ああ」




