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276 村人、魔神城城壁の門を確認する。

 

「門……だな」


「門でやすね……」




 北、マップボード上部へと来たキュア達。 ソコで見たのは、北部城壁に有った巨大な門。

 【魔神城】城壁内部へと入るための門である。




「門の前で、彷徨うろついている白い影は……」


「魔人族ですね、主様」


「だよなあ……。

朱雀、彼等の集落は分かるか?」


「申し訳有りません。

探索範囲内には見当たりません」


「謝るな。

……ひょっとしたら彼等に集落なんて必要ないのかもしれなかったんだ」




 理性を失った魔人族は、何処を見るでもなく……目的が有るでもなく……ただただ、彷徨いている。

 敵対していない魔物と同様の行動をとる彼等には、理性有る者には必要な家や集落などが要るとは思えなかった。




「キュア、どうするー?」


「んー……取あえ───」


「───取敢ず、【魔神城】外周のマップボードを埋めつつ【集落】に戻られては?

城壁内部へ……上位魔人族たちを相手にするのは、【魔鉄鋼】を鍛えたり装備品を収集し終えた後でも問題ないかと」


「……そうだな、その通りだ」


「了解いたしました。

門と奴等(・・)の関係が分かりませんので、迂回路を御案内いたします」


「頼む」




 やや強引ながら(・・・・・・・)キュアの言質を取り、【下位魔人族の集落】へ帰り道を示す朱雀。 キュアとしても文句のつけようも無いプランであったので賛同する。


 理性を失った魔人族に関しては……食い物を奪い辺境へ追い出すなど、下位魔人族への絶対権力を持つ上位魔人族が居る【魔神城】中央への門の前に集中して彷徨いているのだ。

 門と理性を失った魔人族が、無関係とは考えづらいだろう。




「マップボードを、斯う斯う進めば宜しいかと」


「分かった。

みんな、今の道順で進むぞ」


「おー」


「「うーす」」



◆◆◆



「城壁外部のマップボードは殆んど埋まったな」




 【下位魔人族の集落】へと戻ってきたキュア達。 【魔神城】へ侵入して凡そ丸一日。

 チンピラ魔人族のピョウとユンと別れ、チェンを寝かしつけたキュアと朱雀は道具のチェックをしていた。


 【ローパーの触手】から【石化治療薬】を。

 【魔鉄鋼】から【魔鉄鋼の剣】を。

 【イビルゲイザーの眼球】から【ゲイザーの鎧】を作ったり。

 道具屋が (何故か無限に) HP・MP回復薬を売っていたので、購入しつつ要らないものを売却したり。




「こんなものか」


「ええ」


「…………。

朱雀は、城壁内部へ行くのは反対か?」


「…………」




 朱雀は。

 キュアを立て、自主性を尊重する行動を真っ先に取る。 キュアの提案を修正・補佐したり相談に乗ったりはするが……キュアが作戦を提案する前に立案する事はまず無かったのだ。




「【ドラゴンハーツ】的には───」


「…………」


「【ドラゴンハーツ】的には、羽根娘が生きている場合……城壁内部に入れません」


「本来は、【魔神城の鍵】に取り憑いた【魔神の右腕】を倒して【半壊した魔神城の鍵】を入手していたんだしな。

チェンを生贄にして、【真・魔神城の鍵】を入手した場合の話はどう成るのか……なんて考える気も起こらんが」




 キュアにとって仲間であるチェンの死を元に進むストーリーなど、到底受けいれられる物では無い。

 【ドラゴンハーツ】は大好きなアクティビティだが、所々に垣間見える制作スタッフの闇には辟易する。




「つまり───

羽根娘を中央部へ連れて行く事は、【ドラゴンハーツ】を作りし者達ですら想定外の事態を起こし得るでしょう」


「なるほど……」


「其れはつまり、【光燐神殿】にて【光燐神】が間違えて主様にではなく私に何らかのスキルを授けた時と同じ事が起き得ます」


「…………」




 微かに、震えている朱雀。

 神の威厳は感じられない、一人の少女のような。




「羽根娘と一旦別れて城壁内部へ行くのか───城壁内部へ行くのを諦めるかを、具申いたします」


「……朱雀がソコまで言うなら、よっぽどなんだな」




 朱雀の真の目的は、キュアを精霊王にする事。

 その為には、キュアに一つでも多く魔法・スキルを会得して貰わねば成らない。 【魔神城】中央部を目指さないなど、彼女の目的に真っ向から反するのである。

 

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