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265 村人、妹には勝てない。

 

【拡散(ワイド)火弾丸】(ファイアブリット)っ!」


「【魔人炎】っ!」


≪ヂいいぃッ!!≫


「やっぱりHPが減って無いなー?」




 【星読みの塔】ボス、【黒鼠教団ヤマネ】。 ヤマネに攻撃を当てても、HPが一切減らないのだ。

 そのたび光り輝く事から、何らかの魔法かスキルが発動しているのは明白であり、おそらくコレがヤマネの【窮鼠猫噛】だと思われた。




「物理攻撃、魔法攻撃、全属性に耐性・弱点ナシ……ですね」


「【窮鼠猫噛】は【器物破損】で無効化できないスキルだしなあ」




 キュア達は、有りとあらゆる攻撃属性を試してみたが……どれにも有効では無く、状態異常【毒】にしてみても光り輝いて治療されていた。

 更に8人のヤマネへ同時攻撃をする、などの特殊な事をやってみても特に意味は無い。




「【輝くトラペゾヘドロン】なら効果が有るかもしれんが……スキル獲得を優先して、魂は全く溜めてないしな───っと」


≪ヂチッ!≫




 焦るキュア達に、8人のヤマネが剣だの槍だので攻撃を繰りだしてくる。

 少数で敵の集団へ突っ込んできたキュアやチェンに朱雀達、肉盾として戦ってきたヘップ私設兵団であるオードリーやバーン。 みな、対多戦に慣れてこそいるので大ダメージこそ無いがジリ貧ではある。




「…………。

確率的には偶々かもしれんが───」


「キュア? どしたん?」


「【ハムスター】も【カピバラ】も魔法使いだった」


「まあな。 【黒鼠教団】は四分の三が魔法専門である。

しかし教団員全員がそうでは無い。

ヤマネが偶々、物理タイプの戦士であっただけであろう?」


「たぶん、そうだとは思う。

だが偶々じゃないとしたら……何か特殊な魔法を使っているのだとしたら?」


「持続系魔法であるか?

ソレは【光燐神】の加護である指輪魔法であろう?

【黒鼠神】の加護を受けるラットマンには使えないのだ」


「なるほど……だがMPを使うスキルとか無いのかな?」




 エネミーボードに、MPは載っていない。 しかし杖魔法と指輪魔法を同時に使う野党などが、明らかにMP切れを起こしたかのように途中で魔法を使うのを止めたケースを見たことが有るキュアは、 『敵のMPも有限である』 と知っている。




「…………すまない、如何しても試してみたい事が有るんだが良いいだろうか?」


「むぅ……このままでは埒が明かんしな」


「戦闘勘に関したらキュアの方か上なんやけ、えんちゃう?」


「チェンはキュアを信じるぞー!」


「主様の思うがままに」


「有難う。

───【道具箱】(アイテムボックス)!」




 唯でさえ苦戦中に、MPを大量消費する魔法を唱えたキュアに首を傾げる一堂。

 キュアが【道具箱】(アイテムボックス)の中から取りだしたのは……。




「……主様、その剣が?」


「分からん。

殲滅速度が大幅に落ちる使い辛いヤツだから、今までスキルを会得していなかったが……」


ゴーレムの次(・・・・・・)が、この塔だったからなー」


「苛烈さと儚さが有る剣やねぇ」


「上手く行ったら良いなあ、という期待だけだよ」




 『王に相応しい』 装飾はされつつ……戦闘向けの作りでもある剣。 取りだした、その剣を───キュアはヤマネに向けて斬りつける。




「くらえっ!」


≪…………ヂッ!?≫

≪………………≫

≪………………≫

≪………………≫

≪………………≫

≪………………≫

≪………………≫

≪………………≫


「光らぬっ!?」


「他の7人も反応してないなー?」




 今までは1人のヤマネを攻撃すると8人全員が反応し、光り輝いていた。 しかしキュアが攻撃したヤマネは光らず、他のヤマネは反応すらしなかったのだ。




「だがHPは減っておらんし……失敗か?」


「まだ分からん!

皆はどんどん攻撃して、どんどん光らしてくれ!」


「し、しかしだな……」


「バーン兄ちゃん!

キュアに任しときぃよ!?」


「オードリー、言葉使い!」


「キュアのお陰で六十階まで来れたんよ!?

キュアに任したらええやん!」


「団長は……」


「バーン兄ちゃん!」


「…………」


「…………」




 シュンとするバーン。

 あと、序でにシュンとするキュア。

 妹に弱い兄を目撃したので。

 何処かの誰かさんを連想させるので。

 そう言えば魔ナシ差別で腐っていたキュアが復活する切っ掛けになったイーストンも、妹であるシーナに弱かった。


 妹より優れた兄なぞ存在しねえのだ。




「……………………キュアに任せるのである」


「……………………ああ」




 気を取り直して、キュア以外のメンバーは8人を適当に攻撃して光らせ。 キュアは1人に集中攻撃していた。




「主様に斬られるたび、あのヤマネの存在感が薄く成っているかのような……此れは!?」


≪───ヂちっっっ……!?≫




 キュアが数回斬りつけた所で……そのヤマネが、痙攣しながら崩れ落ちてゆく。 隙を見逃さず、蹴りを入れるキュア。




「【ヤマネ:HP86%】!

やはり、指輪魔法以外の【癒し】(ヒーリング)みたいなスキルか何かが有ったんだな」


「き、キュアっ!? いったい何をした!?

その剣は何なんだっ!?」


「この剣の名は【ソウルイーター】。

魂……MPを吸収する能力が有る剣だ」

 

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