262 村人、がめつい。
≪【円の杖】を装備して、100回【円】を使用。
パッシブスキル【他の杖でも【円】使用可】を会得≫
≪【加護の指輪】を装備して、100回【加護】を使用。
【他の指輪でも【加護】使用可】を会得≫
≪【会心の指輪】を装備して、100回会心発動。
【他の指輪でも【会心】使用可】を会得≫
≪【虹色樹の銛】を装備して、50回攻撃。
アクティブスキル【レイスラスト】を会得≫
≪【鼠の白衣】を装備して、他人のHPを3000P回復。
パッシブスキル【医者】を会得≫
≪【噴射の靴】を装備して200回ジャンプ攻撃。
アクティブスキル【ロケットダッシュ】を会得≫
「次々とスキルを得られるな。
お蔭で、どんどん戦闘が楽になるぞ」
「チェンも、【魔人爪】【魔人炎】【魔人翼】がLVUPしたぞー!」
「ぜぇー……ぜぇー……。
───ほ、ほうなんやね……」
「わ……我等も同等数、スキル会得している筈なのであるが…………」
【黒鼠教団】犇めく六十階建ての塔を侵攻中のキュア達。
私設兵団に怪我人が多数いる事と、更なる激戦が予測される事から、三十階で怪我人と拠点の護衛を残してキュア・チェン・朱雀・オードリー・バーン・私設兵団の分隊長クラス6人───計11人の少数精鋭で塔を登っていた。
ただし分隊長達は。
「……オレ等、要るか?」
「殆んど荷物運びよね……」
私設兵団の中でも、実父実兄が貴族という特殊背景から私設兵団入りする時にソレなりの訓練を (監視付きで) 受けた団長と副団長の二人の戦闘力は飛び抜けている。 その兄妹が、付いてゆくだけで精一杯なのが、チェンと朱雀とキュアなのだ。
今回の事だけではなく、今まで何度も私設兵団のピンチを救ってくれた絶大な戦闘力を持つ、実に頼もしい彼等だが……一つ、大きな問題が有った。
───がめついのである。
ラットマンの装備など、道中でキューブ化したアイテムは全て入手しようとするのだ。
依頼報酬の値上げ交渉など一度もしたことが無いらしいし、【黒鼠教団幹部カピバラ】の時は、オードリーの為に大多数のキューブを諦めたと聞く。
金に拘らぬサッパリした人物像を想像していた分隊長達だが───
「───店売りの装備や、魔法名を買うには金子が必要なのです」
「「「ぅわおっ!?」」」
呆れる分隊長達の背後に、ソッと現れる朱雀。 静かだが……多分に怒気を孕んだ声で。
「ココで集めた物を売り、更なる装備を得るのです。
主様の新たなる其のチカラは、アナタ方にも還元されるでしょう」
「は……ハイ…………」
「確かに主様は才能が有ります。
ですが、アナタ方との決定的な差は、如何に強さに貪欲で居られるかです」
「ハイ…………」
「アナタ方を魔ナシにして差し上げましょうか?」
「ゴメンナサイ…………」
成人6人を揃って泣かす朱雀。 己が主、キュアの偉大ささえ理解してくれれば問題ない。 魔ナシ云々は本気では無い。
たぶん。
「では三十階の、主様の【道具箱】の中へこのキューブを入れてきなさい」
「ハイ」
扱き使っているのでは無い。
キュアが居なければ、五~六階へ到達する前に私設兵団は全滅していたのは確実だ。 そしてまだ、ラットマンは残っている。 キュアに、リュックの中身が一杯になる度に三十階まで戻らす訳にもいかない。 その時間差が、ラットマンの残存戦力を一箇所に集めてしまい得るのだから。
なら、キューブを依頼解決後に纏めて回収すればイイんじゃね? とか……そういうのは、まあ、その、アレだ。 キュアのテンション維持も大事とか、そんな感じ。
「【拡散毒弾丸】っ!」
≪【毒の杖】を装備して、100回【毒】を使用。
パッシブスキル【他の杖でも【毒】使用可】を会得≫
「よしっ!」
猛烈な勢いで新スキルを獲得してゆくキュアは、ノリノリで更に塔を制覇してゆく。
ラットマンの数は多いが、個人LV差や装備品格差は殆んど無い。 キュアがスキルを得れば得るほど、強く成れば成るほど相対的に戦闘が楽に成ってゆく。